「おはよう、爆豪君もトレーニング?」
「馴れ馴れしいんだよ、女。ガリガリのおっさんとこに戻れよっ!」
爆豪君はそう言うとさらにスピードを上げた。
毎日ランニングしていると週に何回か被る日があったけど、こうして二人だけで走るのは初めてだったりする。
「そんなに速く走ると倒れちゃうよ。」
「うるせェ!こ"ん"なん余裕だよッ!」
明らかに無理をしている爆豪君に僕は疑問を覚えながら、並走する形で走る。
海浜公園を抜け、住宅地に戻ってくる。
人はまだ早いこともあり、少ないけどいない訳じゃ無い。
僕らの足音に気付いた人達はこちらを見ると一様にぎょっとした表情を浮かべていた。
「爆豪君、みんなびっくりしてるからスピードを落として、自分のペースで走った方がいいよ。
それにほら、僕もお話したいから。」
「俺はテメェと話す事はねぇんだよ!」
爆豪君はそう言うと手の平を後ろに向ける。
「わわぁ!?」
次の瞬間、爆発音を響かせながら、爆豪君の手から火花が上がると前方に大きく吹き飛ぶように加速する。
「あ、爆豪君の個性かぁ...爆発を使って、早くしてるんだ。」
幼稚園の頃は個性使用は先生の目が厳しかったから知らなかったけど、絡まれてる時に使われなくて良かった。
...っと、流石に本気じゃないと追いつけないか。
「誰もいない...よし、お母さん、少しだけお願い。」
僕の呟きと同時にお母さん、トルネイカが現れ、地を大きく蹴り、跳躍する。
一陣の風が僕の体を押し上げ、空高く舞い上がった。
「流石に...もういねぇ、か...」
後ろをチラッと振り向くが、あの女の姿は無かった。
「はぁ...少し休むか。」
手を下ろし、個性を止めて、住宅地の小さな公園に入ると手近なベンチに腰をドカッと落とした。
にしても、馴れ馴れしい女だったが、なんでアイツ俺の名前知ってたんだ?
...今はいいか、とりあえず休みてェ。
一度大きく息を吸うとベンチに持たれて、目を閉じた。
朝特有の冷たい風が頬を伝い、緩急をつけるように薙ぐのを感じつつ楽な姿勢を取ろうと手を広げる。
むにっ。
「なんだ?何か手にうおおお!?」
隣に視線を向けるとさっきの女が座っていた。
「あ、驚かせちゃった?
ごめんね、寝ていたみたいだから声掛けなかったんだ。」
申し訳無さそうに謝る女に俺は反射的に頷く。
「それとね、手離してもらっていいかな?
その、流石に恥ずかしいから。」
俺ははっとしたように手に視線を向けるとガッシリと女のむ...体の一部を掴んでいて、弾かれるように手を離した。
「て、テメェがそんな所にいたからだからな!」
「うん。」
「俺は悪くねェぞ!」
「分かってるってば。」
顔が熱い。
横目で女を見るとそいつは飄々とした顔でこちらに笑みを向けている。
何かがブチンと切れる音がした。
「表でろや、オラ!」
「うん?もう外にいるけど?」