酔拳   作:RYUxxx

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蒼龍 四神を纏えし者 其の参 王子の部 屋

翌朝宮中では大騒ぎでした。結局賊を取り逃がし、帝兵を三名 も 無くした事で朝から臨時に政が行われることになりました。 そんな中何も知らされていない王子は前の日の勉強の続きと、 黄(ウォン) 硅胤(ケイイン)から教えを授かっていました。

 

「・・・につき去年に引き続き年貢は低い徴収となり、前年同 様税 金で補う事となりまする」

 

「毎年安定した年貢の調達がままならぬのなら、年貢を米に限 らず 主食となりうる麦、治水のいらぬトウモロコシ等から管理 すればよ いだろう。なにも魏のやり方を伝統という言葉で、頑 なに守らぬとも・・・倭(わ)の島国では白人に習って、買い物を するたびに税を払わせているらしいが、民はキャンキャン言っ てるそうだ。目に見える金 よりも、見えにくい汚いやり方はい くらでもあるのではないか」

 

王子は尋ねた。

 

「確かに目に見えにくい徴収も、民に分かり辛くその場凌ぎの 国益 には繋がります・・・鴻飛!」

 

王子の部屋の片隅でウトウトしていた、 黄(ウォン)鴻飛(フェイ フォン) はびっくりして目 大きく開けました 。

 

「んぁ、なんだー親父」

 

「お前は王子に何を吹き込んだ、ロシアの共産的思想とアメリ カの 合理主義を、混ぜ合わせたような適当な事を言いおって」 「はぁ?何だってー、全然意味わかんねーけど」

 

「鴻飛こないだ話した、年貢の根本的打開策だ」

 

王子は腕を組み言いました。

 

「何?年貢の話?そりゃー親父のほうが良く知ってるよ」

 

「食糧管理と年貢を一緒にするとは何事だ、まだそんな下らな い事 を言ってるのか。お前の個人的見解を王子に述べてどうす る。王子にはきちんと天地経典を知ってもらはなければ成らな い。秦の今日 があるのもだな代々天地経典を修められた帝様が 政、外交を行って 築き上げられたものだ。それを子供の頃、私 に話した夢夜這い事を話 すなど、そもそもお前は天地経典の主 軸となる・・・」

 

硅胤は目を吊り上げ、鴻飛に迫っていきました。

 

「ちょっ、ちょっと、な、な、なんなの王子親父あんなに興奮 して るの」

 

鴻飛は壁を蹴って硅胤の頭上をくるっと回ると、王子の机に着 地しあぐらをかきました。

 

「鴻飛無礼なるぞ、どけ」

 

王子抜き手で股間を狙いますが、鴻飛の抜き手で阻まれます。 つかさず抜き手で顔、左肘、右膝、両足首を突いていきます が、鴻飛はよけながら右に宙返りし、床に あぐらをかいて着地 しました。

 

「悪い悪い。で、なんで親父あんあに怒ってんの」

 

「何時もの事だろう」 王子は呆れ顔で硅胤の顔をチラッと見ると言いましたた。

 

「ガルル」

 

「ああ、何時もの事だ」

 

硅胤の凄んだ顔見た、鴻飛は王子に頷きました。

 

「この間俺に話しただろう、米以外に麦、トウモロコシも入れ た、 秦の主食を年貢として徴収したらの話だ」

 

「あん?おうおうあれか、なんだ親父、年貢分主分散徴収式な ら、 親父もいいなぁって言ってたじゃねえか」

 

「鴻飛お前は何時の話をしてるんだ。五歳の子供にして は・・・と いうより五歳の子供が可愛く言ったから、合して 言ったんだろう が・・・本当にあんな昔の事を、いまだに良く 覚えてるというか、 なんと言うか、とにかく下らぬ事を王子に 吹き込むな」

 

「なーんだよ、ったく天地経典が万能ってわけでもねぇのに よー」

 

「鴻飛!」

 

硅胤は又、怒鳴りました。

 

そんな中一人の兵が部屋に入ってきました。

 

「硅胤様、帝様がお呼びです」

 

「分かった、では王子・・・鴻飛」

 

「何?」

 

と鴻飛は振り返りました。

 

「帝様からのお呼びだ」

 

その言葉に鴻飛は目を細めました、それを見た硅胤も目を細め 頷きました。

 

「俺はいいよ、王子の面倒見なきゃなんねーし」

 

「俺は子供か」

 

王子立ち上がり鴻飛の顔に足刀、しかし鴻飛体を反らしてよけ そのままハンドスプリングで立ち上がります。

 

「鴻飛」

 

「んあ」

 

王子の回し蹴りに鴻飛は、不意をつかれ膝を着きました。

 

「やっと当たったか」

 

王子が笑いながら言いました。

 

「しっかり頼むぞ」

 

硅胤はそのやり取りに、呆れ顔で首を横に振りながら部屋を出 て行 きました。

 

「鴻飛、続きだ」

 

「ん?何の」

 

王子は机と鴻飛を見比べ、天井を見つめると言いました。

 

「型だ」 王子は足を広げ腰を落とし、両手を握り腰に構えました。

 

「OK」

 

鴻飛も前転し同じ構えを取ります。

 

「まずは準備体操、足を揃えて真っ直ぐ立つ。腰の拳は開いて 脱力。 ゆっくり息を吐いてー、ハイ!止める。ゆっくり息を吸 いながら、両手を頭上で重ねる」

 

鴻飛は言いながら王子に武術を教えました。

 

黄家、は代々宮中にて食医として勤 めておりました。 食医とは 王族の健康管理そして食事の管理ですが、黄家はここ十数年不 在となっている武術至難も兼ね、又泰爛東方警邏(見回り)と 東方門下警備の任務もつき、さらには政にも加わっておりまし た。 そんな多忙の 黄家、親子二人では到底まかりきれるものではな いのですが・・・ 鴻飛は宮中の仕事はあまりせず、部下に任せ王子とよく遊んで いました。 したがって父、硅胤が先ほど怒ったのも何時もの事だったので す。

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