酔拳   作:RYUxxx

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蒼龍 四神を纏えし者 其の六 泰爛中央 市場

次の日鴻飛(フェイフォン)と王子は何時もの如く街に繰り出して いました。 鴻飛いわく王子 の課外授業という事ですが・・・

 

「本当にいいのか?」

 

王子は鴻黄を横目に言いました。

 

「良いって良いって、親父の許可なんかいちいち取らなくたっ て。それに親 父なんだか特別任務についたらしく、俺にも話し てくんないんだよ。」

 

無論特別任務とは、宝物庫から盗み出された天地動転の玉など の取り戻しと 今日行われる宝物庫ならびに城門警備不備による 公開処刑の立会いであります 。 硅胤(ケイイン)は鴻黄にそれとは告げず出かけていました。 鴻飛達は宮中より東二里程の所にある泰爛東中央市場(たいらん ちゅおういちば)に来ていました。

 

秦(しん)は泰爛のような宮中を中心とした 都弓千(ときゅうせん という)八角形の巨大都市が32あり、各都弓千は巨大な城壁が敷 かれてました。32の都弓千の間は生産業が行われ、きつい仕事 例えば開拓、掘削などは罪人が行い比較的軽い農作業 、放牧な どは土地を与え小作人を雇いいわゆる領主として秦の指定する 作物を作り。その八割を納税するという 等法不分(とうほうふぶ ん)という形式で領主と商いをしていました。 又領主は与えられた敷地内での作物の精作は自由となってお り、指定の分だけ収めればあとはどれだけ作っても、何を作っ ても制限なしであったのです 。領主は特産物や他の領主に作物 を売ったりしてお金を作って、小作人達に賃金を払っていたの です。 さらに小作人達もまた成人男性は何を買っても売っても自由で したが、一個人もしくはその家族が運営する商売は五割を国に 収め小作人を使用した者には二割を税として収めさらに色々な 取り決めを交わし、商品販売の価格の設定も利潤は三割までと 決まっていた。 これらは民に金銭的差別の減少と、金銭的権力の軽減における ものでした。 又ここで昨日王子と硅胤の会話で出てきた年貢について説明し ますと、秦の財源の四分 の一は年貢でまかない、米は各都弓千 の物価になっていました。米一升が 三眼(ガン)というのが目安 となっていました。各都弓千には帝と血の繋がった神官達はそ の人口に見合った米を所得し、差別化を計りつつ五年に一度帝 様自ら人口の減少した都弓千に宮中を移動し建て直しを図られ ておりました。 三年前から泰爛は自給率が衰え米一升が八眼と倍以上となりそ れに伴い犯罪が増 し、人口が減ったのでした。

 

「王子質問です、なぜ私たち人間を含め生物は生きてるので しょうか」

 

鴻飛と王子は白と緑の着物で人ごみに混じっていました。 王子も鴻飛と街に出る時は何時も民と同じ服で出かけます。王 子という事を隠す事により、色々都合の良い事があったからで す。もちろん護衛も王子と距離を取り私服で 四方に紛れており ます。

 

「はぁ?」

 

鴻飛のらしからぬ一言に赤犬の雑炊を詰まらせそうになった王 子でした。

 

「分かりませんか王子・・・そうですねちょっと難しいですか ねー」

 

鴻飛はヤモリの串焼きを食べ終えると、その串をくるくる回し ながらニヤニ ヤと王子を見つめながら続けました。

 

「うーん時 間を与えましょう、百数える間に答えてください。いいですね い きますよ、いーち、にーい、さーん、ひゃーく、ハイ答え は」

 

「ゴホガハ・・・、はぇーよ」

 

王子は鼻から噴出しました。

 

「はぇーよ?うーん確かに人生というものは天に輝くそれに比 べれば悲しい ほどにはかない」

 

王子のリアクションを全く無視し、鴻飛は語り始めました。

 

「鴻飛違うぞ俺は数えるのが早いうか、飛ばしすぎだろ」 鴻黄 は自分の世界に完全に入り込み、語り続けています。 「そのは かない中でも人生というのは生きていかねば成らないのです。 六十 年でも一週間でも」

 

「きいてねぇーし」

 

王子は口を半開きにし、人差し指で頬をかきました。

 

「そもそも時間というものは」

 

鴻飛の演説は止まりません。

 

「だ・か・ら」

 

王子は箸で鴻飛の串をつまむと、目の前に突きつけました。

 

「勝手に話を飛ばすな」

 

「うん?」

 

「っまいい、それにしても何なんだこの人の山は」

 

「あぁここは市場ですからね、泰爛の胃袋みたいなもんです よ」

 

「胃袋?」

 

「そう胃袋、生物が何故生きていられるかそれは食べるからで す」

 

「は?」

 

「王子も物食べないと死ぬでしょ」

 

「うん?あぁ」

 

王子は鴻黄の言葉にとりあえず頷きました。

 

「王子も知っての通り。秦は沢山の都弓千を中心に発展してい ます。しかし 発展するには素材を加工しそれを需要と消費する 事で経済の基本が作られます。都弓千では各地領主の納める 村、街の素材がここ市場に集められ加工販売されています。食 料、衣服、人形、情報ってのも商品となっています。泰爛では ここ漣些(れさ)大市場、北の金武(きんか)ほらこないだ芝居見に 行ったところ、そして 西の手亜(てあ)そしてなんといっても一 番有名なのは、南の泰爛(しんらん)水上市場あそこは 泰爛を縦 断する啓洪(けこう) の中にあって、船を使って売り買いするんです。すごいで すよ こんな大きな牛を船にぎゅうぎゅうに乗せてるんですよ。・・・ プップ ップ牛だけにギュウギュウって、どう王子。ねぇ」

 

「川の上の店か面白そうだな」

 

「いや違いますよ、牛だけにギュウギュウって」

 

王子の顔を覗き込み、鴻飛は言いました。

 

「物知り博士だな」

 

王子の答えに鴻黄はテーブルにのの字をかきながら、調理場の 方へ仕方なく目をやりました。

 

「だから・・・まぁね二回も三回も言っちゃうとね・・・って いうか、不老長寿の薬探しで、色々行 かされましたからね」

 

「ほー」

 

王子は鴻黄のこういった話が好きでした。

 

「王子秦は広いです、ですが大抵の事は図書館に書いてありま す。そして必要な事は王子の学ばれている天地経典で間かなは れます。しかし闇、人の心 の言葉に出来ないものは感じる事し かありません。」

 

「ふーんでもな鴻飛、ここは金で動いておる。経済の原理、真 理がこの者達 の全てを言葉に出来るぞ」

 

「ん?」

 

鴻飛はあたりを見回しました。

 

「かもしんない」

 

鴻飛は二度首を前後に振りました。

 

「ばか、そんな単純なものではない人間というのは」

 

「っえ」

 

「政だ、この市場も政からすれば全て言葉に出来るという事 だ。人それぞれのこの市場における闇など俺に分かるわけがな い。っま知ってどうなる事も 、どうするこも・・・俺には関係 ないだろう。」

 

「うーん」 また、鴻黄は自分の世界に入り始めました。

 

「秦の闇は帝になる俺の闇。しかし人々それぞれの闇など・・・ど うしようもないであろう」

 

「うーん鴻飛には難しくてよく分かりません」

 

鴻黄は片目を瞑り空を仰ぎ答えました。

 

「お前が俺に説いてるんではないのか」

 

「えぇ、そうだったの」

 

ビックリした顔で王子に言いました。

 

「じゃあ、お前は何を言いたかったんだ」

 

「だ・か・ら・牛だけにギュウギュウっていうね、このーギャ グをね」

 

鴻黄は両手を鳥のようにばたつかせ王子に訴えました。

 

「・・・下らん、いくぞ」

 

王子は立ち上がりました。

 

「どこへ?」

 

「・・・知らん、お前が連れていけ」

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