酔拳   作:RYUxxx

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蒼龍 四神を纏えし者 其の七 泰爛 西広場

鴻飛と王子が市場でそんな会話をしてた頃、宮中の西広場で は先日の賊を逃がした事で三人の若者達が目隠し猿靴葉の状態 で処刑台に縛られ公開処刑が執り行われておりました。 そして話は少しさかのぼりまして朝、謁見の間に三人の若者 とそれぞれの部署の上官と神官達が集められ帝様に公開処刑の 報告の辞が行われておりました。泰爛を収めている泰爛大使 (たいし)甲 棟人(コウ トゥスィー)が 読み上げる罪状そ して選抜された経緯の帝様へ報告の辞には、皆三人の若者の首 から下を強く見開いて見つめていました。少しでも目を細めよ なものなら、首の 後ろに抑えている涙を止められなかったから です。 そんな中、帝様だけは冷たい眼差しで三人の若者の顔を見つ められておりました。三人の若者は自ら名乗りをあげた者ばか りで、他にも沢山手を上げた者もいましたが、人選を絞り家族 の無い者の中からさしあたり人数の調整のつく部署から選ばれ ました。 帝様は、甲 棟人の読んだ書面を受け取るとだまって目読され ました。帝様がご覧になってる間そこにいた者達は一様に、胸 のうちより湧き出る恐怖に襲われた そうです。帝様から発せら れるそれは、さっきまで己が抱いていた悲しみなどみじんにも 消し去られ。ただただ、帝様の発するそれに怯えるのみでし た。一人一 人に三人の帝様が、背中と胸と目の先に矢を向けら れてる感覚だったそうです。初めて接する若者達は奥歯を ぎゅっと噛むものの、膝と頭はガクガクと震えて止 まりません でした。二枚目の書面に目を通すと帝様はグシャッと丸め後ろ にほうり、一枚目を軽く見直し三人の若者を見つめました。そ して細い冷たい眼差し で、三人の若者に優しく言葉をお掛けに なりました。

 

「礼は言わぬ・・・悪いのはお前らだ」

 

そう言うと罪状の記された書面を若者達に突きつけました。そ の一言に三人の若者達の眼からは涙が溢れました。抑えていた 死という恐怖、家族、知人達への未練、決意した後悔、捨てた はずの生への執着、そして無いと解かっていたはずなのに心の 奥底で期待していた希望、全てが涙として視界を曇らせ深い闇 に飲み込まれたのです。

 

「そうに違いないのだな」

 

泣き崩れている若者達に帝様は優しく問いました。

 

「そうに違いないのだな」

 

帝様は声を荒げ怒鳴りつけました。神官達はその情景にただ傍 観するしかなく、誰一人として帝様にも三人の若者達にも声を 掛ける事など出来ませんでした。帝様はしばらく三人の若者達 を見ていると書面をしまい、耳たぶを触りました。

 

「聞こえぬか」

 

そう言うと神官達を見回しました、しかし誰も帝様と目を合す 事など出来るはずもありませんでした。帝様は大きくため息を つくと手を変え反対の耳を触り、天井を見つめました。これを 見た神官達はひそひそと声を掛け合いますが、誰一人良い案も 声を掛ける者もおりませんでした。そんな中泣き崩れていた一 人の若者が声をあげました。

 

「私の責任で宝物庫の警備が行き届かなく、警備兵5名が死に 十四名に重軽傷多大な損失を負わせてしまいました。この責任 は、死をもって償わさせて戴きたく参りました。」

 

これをお聞きになった帝様は、耳の手を下ろすと細い冷たい眼 差しでこたえました。

 

「わかった・・・硅胤を呼べ」

 

そして硅胤は、三人の若者の体を隅々まで最後の診察をしまし た。若者達はそれぞれ重い病気と怪我をわずらっていたので す。 三人の若者は、処刑台の上で何を思い何に願ったのでしょ う。読み上げられる罪状、民衆の声、宮中のそして帝様の目。 三人の若者達は抗う事無く己を律し時 を辿った。自心他真、人 の心とは外的要因について過去の経験に基づきどうすれば自己 利益につながうかにある。天智経典の中に出てくる言葉の一つ でありま す。三人の若者に感情が無かったわけではありませ ん、そしてそれを押さえつける理性も使命も正義もありませ ん。あるのは闇と時間と事実でした。 メラメラと立ち上がる 炎、足は熱さから痛みに変わり、体は生を求めあがきます。感 情が悲鳴をあげ、声を荒げ激しく体をのたうちまわします。グ サリ 若者の体に無数の矛が突き刺さります。足元に槇がくべ られ若者達の体を一気に炎は飲み込んでいった、その炎は一つ の闇を消した・・・そして多くの者に闇を植え付け。

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