fortissimo EXA Diejenigen, die den Kampf fortsetzen(戦い続ける者) 作:鴉鍵
迫り来る煉獄の青い炎……
「動け……動けよ……動きやがれってんだよ!」
足が鉛になったかのように、零二とサクラは一歩も動く事が出来なかった。
「うぁぁぁぁぁぁーー! やらせないんだよーーーー!」
精神的恐怖になんとか抗い、両腕だけでも動かし、『穢れなき桜光の聖剣(レーヴァテイン)』を放とうとする。
「『穢れなき桜光の聖剣』ッ!」
恐怖に縛られながらも辛うじて放つ『穢れなき桜光の聖剣』
「諦めろ……『堕ちた煉獄の業火(イフリート)』に『戦略破壊魔術兵器(マホウ)』は通用しない」
と、サクラの必死の抵抗を嘲笑うかのように灼はそう言い放つ。
そして、その言葉通り『穢れなき桜光の聖剣』は『堕ちた煉獄の業火』にせめぎ合う間も無く一瞬にして飲み込まれ、消えていった。
「そんな!」
最後の望みをかけた抵抗も虚しく、ほんの一撃で挫かれた。
「『堕ちた煉獄の業火』はありとあらゆる魔術を寄せ付けず、破滅させる!」
「そんなの……ズルじゃねぇか」
例えるなら、それは燃え盛る炎に木刀で戦いを挑むようなもの……仮に木刀がどのような高級な素材で出来ていようと"木刀"の域から出ていない。
それと同じで『堕ちた煉獄の業火』は『召喚せし者(マホウツカイ)』を受け付けない。どれだけ複雑で破壊力が高い魔術や『戦略破壊魔術兵器』を使おうが、『召喚せし者』である限り、その地獄の業火を打ち倒す事は出来ないのだ。
「『堕ちた煉獄の業火』! 燃やし尽くせ!」
荒々しい音を叫びながら、『堕ちた煉獄の業火』は再び二人の死刑囚へ裁きを与えんと突き進みだす。
「こんなところで、終わってたまるかよ!」
しかし、そんな絶望的な状況においても零二の瞳はまだ諦めという物は存在しなかった。
「うぉぉぉぉぉぉぉーーーー」
その拳に魔力を練り、蒼い輝きを放つ魔力を火花のように撒き散らす。
「『神討つ拳狼の蒼槍(フェンリスヴォルフ)』!」
零二の拳から放たれたサクラの『穢れなき桜光の聖剣』と同等、あるいはそれ以上の威力を誇る蒼い一撃を放つ。
「無駄だと……言ったはずだ!」
されど、零二の渾身の一撃もまた煉獄の業火の前では意味をなさない。
「くそッ……」
圧倒的な戦力差……『召喚せし者』が使う魔術を無効化する煉獄の業火。既に勝敗は決した。
「やらせるかぁぁぁ!」
だが、それでも零二は諦めない。万が一の可能性を信じ、己の魔力を練り続ける。
「『復元する世界(ダ・カーポ)』」
煉獄の業火の猛攻を蒼い円盤の盾にて時間を巻き戻し、それを防ぐ。
だが、それすらも『召喚せし者』が発動した魔術にすぎない……
時間を巻き戻すこと無く、蒼い円盤にぶつかり、肉が焼ける嫌な音がした。
「がっ、あぁぁぁぁぁ!」
痛みを堪えつつ、迫り来る煉獄の業火を防ぐ。
「マスター!」
「やらせるかよ……ぜってぇにやらせるかよ!」
零二の背後には護るべき大切な人サクラがいる。ここで引くわけにはいかない……
だが、それでも『堕ちた煉獄の業火』は非情に零二の蒼き円盤の盾を貪り、零二の掌を焼きだす。
「うぐ……が、がぁぁっ」
想像を徹する痛みに零二は悲鳴を抑えきれない。それでも、背後にいる者を守る為に己の掌が黒焦げになろうが、その掌を突き出し、『堕ちた煉獄の業火』を辛うじて防ぎ続けている。
「なぜだ……」
その光景を灼は理解出来ないと言わんばかりに唖然と眺めていた