fortissimo EXA Diejenigen, die den Kampf fortsetzen(戦い続ける者)   作:鴉鍵

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もう一人の『召喚せし者(マホウツカイ)』①

 一方その頃……

 

「っ! 創!」

 

「ああ、やはり勘違いなどではなかった……あそこは、ミルキーウェイ辺りだな」

 

 オーディンこと創世と苺は昨日禍々しい魔力が発せられた場所にて魔力の残痕を調べていた。

 

 しかし、何の前触れもなく発生した灼の禍々しい魔力を感じ、二人はその場所へと目を向ける。

 

「青い……炎?」

 

「やはり……な」

 

 二人はその炎に見覚えがあった。かつて『予言の巫女(ウォルスパー)』に所属していた頃、似たような能力を持つ『魔術見習い師(マジシャン)』がいた。

 

「……む! アレと戦っているのは零二だ」

 

 創世の特殊な能力で灼と対峙しているのが零二だと分かり、やや驚きの色を浮かべる創世。

 

「零二じゃと! すぐあそこに行くぞ! もう二度と家族を失ってたまるか」

 

「同感だ」

 

 そう言い、二人がその場所へ向かおうとすると

 

 突如、上空より放たれた風の斬撃に行く手を阻まれる。

 

「ここから先は行かせない!」

 

 聞く者の耳を虜にする美しい音色が響き渡り、一人の女性が姿を現す。

 

「っ! お主は!」

 

「お久しぶりです……わんこさん」

 

「苺じゃ!」

 

 思わず突っ込む苺に笑みを零すブロンド髪の美しい女性。

 

「相変わらずですね、苺さん」

 

「お主は……成長したのう、セリーヌ」

 

 セリーヌと呼ばれた女性はマリンブルーのような青い瞳を閉じ、にこやかに微笑む。

 

「久しいな、シヴ……いや、セリーヌか」

 

「あなたこそ、相変わらずのようですね、オーディン」

 

 先ほど、苺を見る優しい瞳とは打って変わって憎しみのこもった目で創世を睨みつける。

 

「それより、セリーヌ、どうしてここにいるのじゃ?」

 

「え?」

 

 一瞬、キョトンとした表情で首を傾げるが、すぐに理解し、ああ、と声を漏らす。

 

「どうしてって……灼くんの邪魔をするものがいないかを見張ってたんですよ」

 

「やはり……あの禍々しい魔力は灼だったか」

 

 セリーヌの言葉に納得する創世。前の灼と随分と変わったがやはり、そうではないかと確信していた。

 

「ええ、灼くんは私と、一緒にこの島に帰ってきたんです」

 

「そうか、帰ってきたなら顔ぐらい見せに来ても良いのにのう」

 

「ふふ、すみません、居場所は分かってたんですけど、なんだか照れ臭くて……」

 

 初々しい反応を見せるセリーヌに苺は前と変わらないセリーヌであることにホッと胸を撫で下ろす。

 

 だが……

 

「何の目的で帰って来た?」

 

 オーディンこと創世はセリーヌに対する警戒心を解くことなく、オーディンたる風格を醸し出していた。

 

「随分と酷いことを仰いますね、オーディンさん、故郷に帰って来るなと私たちに言いたいんですか?」

 

「そうは言っていない、ただ、何の目的で帰ってきたを聞きたいだけだ」

 

 深呼吸をした後、セリーヌは重い表情で口を開く

 

「……ためです」

 

 返ってきた言葉はあまりにも小さく、聞き取れなかった。

 

「全ての『召喚せし者(マホウツカイ)』を殲滅するためよ」

 

「っ! な、何を言うんじゃ! セリーヌ」

 

「『召喚せし者』は人間に災いを引き起こす……故に殲滅しなければならいの」

 

 そう語るセリーヌであったが、その言葉に重みはなく、まるで誰かのセリフを真似しているかのようだった。

 

「イフリートがそう言ったんだな」

 

「っ! その名前で呼ばないで下さい! 灼はイフリートなんかじゃありません!」

 

「……すまない」

 

 激しい憎悪を創世に向け、謝罪する創世。

 

「ええ、『召喚せし者』を殲滅するのはあの人の思想……私はそれに付き従うだけ」

 

「セリーヌ……お主は」

 

「『予言の巫女』にいた頃、私はモルモット扱いで、殆どの人間から色々嫌がらせを受けてきました……でも、そんな私を救ってくれたのが灼くんです」

 

 瞳を閉じ、自分の過去を語るセリーヌ。それと同時に魔力を練り始める。

 

「だから、どんな事があっても、私は灼くんに従う!」

 

 吹き荒(すさ)ぶ風。それは紛れもないセリーヌが引き起こした現象。遠くに見える青き炎の元へ行かせんと風が吹き荒れる。

 

「『魔術召喚(ゲート・オープン)』」

 

 セリーヌは灼の為、目の前に立つ二人の知り合いを討ち滅ぼす覚悟でその言葉を口にした。

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