fortissimo EXA Diejenigen, die den Kampf fortsetzen(戦い続ける者)   作:鴉鍵

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堕ちた少女②

「っ! どう言うことだよ」

 

 あまりにも灼の発した言葉が信じられなかった。

 

 確かに目の前に紗雪は存在する。だのに、死んだなどと殺したなどと、信じられるはずが無かった。

 

「殺したといっても肉体的にではない」

 

「な?」

 

「心だよ……お前の知る黒羽は死し、新たな人格として生まれ変わった」

 

「……どういうことだよ」

 

 なかなか、理解できない零二に嘆息を漏らす。

 

「簡単に言えば、黒羽の心だけを殺し、作り変え、私の手足となるよう造ったということだ」

 

「な……に?」

 

 零二はようやく理解した……否、本当は理解しようとしなかったのだが、それでも、頭は自然と灼の言葉を紡ぎ、一つの結果を導き出す。

 

「嘘……だろ?」

 

 つまり、それは目の前にいるものは紗雪の身体をした別人ということになる。

 

「さぁな、私が嘘をついているかは、今の黒羽を見れば明らかだろう……」

 

 確かに灼の言うとおり、紗雪は手を休めることなく漆黒の弾丸を放ち続けている。それが明らかに今までの紗雪ではないと物語っていた。

 

「てめぇ……紗雪を……」

 

「っ! マスター!」

 

 尋常ならざる魔力の放出にサクラが驚きと恐怖が入り混じった声をあげ、零二の方を見る。

 

「てめぇだけは……許せねぇ!」

 

 零二の咆哮とともに魔力を練り始める。放つはもちろん、奇跡の魔術『復元する拳狼の蒼槍(フェンリスヴォルフ・ダ・カーポ)』

 

「ぐ……」

 

 だが、灼の前に紗雪が立ち構えている。最早紗雪ではないと頭では分かりながらも、紗雪の身体ごと消し去るのは抵抗がある……

 

「『瞬間魔力換装(フリューゲル・ブリッツ)」

 

 零二が意を決するより速く、紗雪は己の『魔力魔術換装(エイン・フェリア)』を発動し、神速の速さで零二の下へ接近する。

 

 突然の急接近に、零二はサクラ共々反応が遅れ、零二の眼前にまで接近を許してしまう。

 

 そこから、円を描くように蹴り上げられるムーンサルトキック。

 

「がぁっ……」

 

 なす術もなく蹴り上げられた零二は宙を舞い、後方へ落ちて行った。

 

 だが、それで紗雪の猛攻は止まらず、次の獲物をサクラへと向ける。

 

 鳩尾を狙った正確なストレートアッパー

 

「あっ……」

 

 まともに喰らい、うずくまるサクラにトドメと言わんばかりに、中段蹴りを振るい、サクラの横顔にヒットし、吹き飛ばされる。

 

「サクラッ!」

 

「遅い……」

 

 次の瞬間、またもや零二の元に急接近する紗雪。そのスピードは光速など生温い……神の域に達しているであろう神速。

 

「はぁっ」

 

 目に見えぬ素早さの拳の連撃。零二はそれをガードするのに精一杯だった。

 

 避けきれない……

 

 喧嘩仲間である龍一と殴り合い、身についた持ち前のタフさで、紗雪の攻撃を耐え忍び続ける。

 

 だが、その拳は神速の速さで繰り出されるため、拳にかかる威力も並ならない威力を持つ。

 

「紗雪!」

 

「………………」

 

 大事な妹の名前を呼ぶが、反応せず無表情で攻撃を続けている。

 

「さて、そろそろ私も仕掛けるか」

 

 と、今まで傍観に徹していた灼が不意にそう呟き、その手に青い炎を灯す。

 

「さて、これで……っ!」

 

 不敵な笑みを浮かばせながら再び地獄の業火を発動しようとした矢先。

 

「セリーヌ……」

 

 灼は遠くを眺め、確かにそこにあったはずの魔力の喪失を感じ、戸惑わずにはいられなかった。

 

「セリーヌが、消えた? まさか……ありえん……確かめねばならないな。黒羽、私は離脱する。お前も適当なところで帰ってこい」

 

 横目で灼と目を合わせ、答える紗雪。

 

 そのまま、灼はこの場から去って行った。

 

「っ、待ちやがれ! 瀬道!」

 

「零二……私の『堕ちた煉獄の業火(イフリート)』を破ったお前の名前……覚えておこう」

 

 灼はそれだけ言うと、ミルキーウェイの奥にへと消えて行った。

 

「瀬道ォォォォ!」

 

 零二の叫びも虚しく、灼はその場から完全に離脱した。

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