fortissimo EXA Diejenigen, die den Kampf fortsetzen(戦い続ける者)   作:鴉鍵

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作戦会議

「戦争だと……ふざけんじゃねぇよ!」

 

 その後、自宅に帰宅した零二は創世の話を聞き、机を思いっきり叩きつける。

 

「落ち着くのじゃ、零二……わしらとて、そのような事は望んでおらん」

 

 激情する零二をなだめようと、苺が零二の肩に手を置く。

 

「戦争だなんて……あり得ない! その灼とかっていう奴頭イッちゃってんの?」

 

「そうね、常人には考えられない愚かしい行為だわ」

 

 零二とともに相楽家に上がり込んでいた雨宮と紅葉も零二に賛同する。

 

「だが、恐らく奴……灼は本気だろう。あれは紛れもない『決断』していた瞳だったのだからな」

 

「クソッ……ふざ……けんなよ」

 

 ラグナロクを経て、ようやく手に入れた日常は一人の狂った男によって、再び失った。

 

「灼の居場所を探ろうとも、奴は完全に魔力を隠し、特定出来ん……一応、『始まりの大地(イザウェル)』に灼の仲間を閉じ込めてあるが、一向に口を割る気配がない」

 

 さすがの創世でも、お手上げだった。

 

「今のところ……悔しいけど、相手の出方を伺うしか出来ないって事ね」

 

 雨宮の言葉に創世はコクリと頷き返す。

 

「それと、灼の勢力についてだが、もし、私の知る限りでは恐らくまだ仲間がいるだろう」

 

「なっ、あのクソ野郎に仲間がいんのかよ」

 

「ああ見えて、灼はかなりのカリスマ性を持つ。奴の言葉には不思議と引き込まれる何かがある。それに賛同する者も少なからずいるだろうな……」

 

「狂った統治者(カリスマ)ね、ドイツのアドルフ・ヒトラーのような

感じかしら?」

 

「もっと達が悪いわよ、なんせ、その灼とかって言うやつ『召喚せし者(マホツウカイ)』でしょ?」

 

「そうね、今日はなかなか冴えてるじゃない、紅葉」

 

「ふんっ、何であれ私たちの日常を邪魔するやつは私が断罪してやるわ」

 

「やめておけ、お前では無理だ、里村 紅葉」

 

「はぁ?」

 

 やる気になっていた紅葉を創世は否定する。

 

「お前では、奴の殺意に尻込みするしかない」

 

「なに言っ……」

 

「親父の言うとおりだ」

 

「っ、れーじ!」

 

 意外にも創世の言葉に同意を見せたのは零二だった。いや、実際に灼と対峙した零二だからこそ、同意したのだろう。

 

「あのクソ野郎の殺意は半端ない……俺たちも最初は足が震えて動けなかったんだよ」

 

「そんな……れーじ」

 

「悔しいけどよ、あのクソ野郎は俺たちの上を行く『召喚せし者』を超えた存在なんだよ」

 

 零二の言葉に反論する物は誰もいなかった。

 

「でも、勝てる方法がないわけでもないんだよ」

 

「えっ?」

 

 今まで沈黙を守り通してきたサクラが、初めて口を開く。

 

「私が見た限り、灼の使う最強の武器『堕ちた煉獄の業火(イフリート)』は発動時間に比例して、威力が変わるんだよ」

 

「つまり、発動時間が長ければ長いほど威力は増し、短ければ短かいほど威力は減るって事ね」

 

 サクラの解釈を雨宮が分かりやすいように説明する。

 

「そうなんだよ、だから、灼に『堕ちた煉獄の業火』を発動させないよう、攻撃して行けば……」

 

「なるほどな、そうしたら仮に発動出来たとしても、威力はそんなに強くない……主導権を握れば勝てるってわけか」

 

「そうなんだよ!」

 

 ほんの一握りの可能性が見え、嬉々する零二達。

 

「分かっていないな……お前達に万が一もの勝利の可能性など全くない」

 

「なんだと!」

 

「どうしてなんだよ!」

 

 そんな中、創世だけは全く違っていた。今の零二らでは勝てないと言い放った。

 

「奴のカリスマ性は人だけでは無く、『戦略破壊魔術兵器(マホウ)』や自然すらも引き寄せる」

 

「『戦略破壊魔術兵器』ですらも引き寄せるだと?」

 

 あり得ない事を耳にしたかのように、零二はその言葉を口にする。

 

「そうだ。零二よ、奴と戦ったお前なら分かるだろう。奴にどんな攻撃を当てようとも……"死ななかった"だろう?」

 

「っ!」

 

 創世の言葉を聞き、零二の脳裏に浮かんだのは、サクラの『穢れなき桜光の聖剣(レーヴァテイン)』や、零二の『復元する拳狼の蒼槍(フェンリスヴォルフ・ダ・カーポ)』をその身に受けてなお、再生し、生き延びた灼の姿。

 

「確かに……あのクソ野郎は不死身だった」

 

 そう言わざるを得ないほどの異常な生命力……

 

「私は"創造"する能力、零二は"可能性を想像"する能力、ワルキューレは"分析"する能力、里村 紅葉は"第六感"の能力……それと同じように、灼は"惹きつけるカリスマ性"といった能力を持つ」

 

 それは灼が生まれ持っている他のものにはない才能……

 

「それを極めた今の灼に勝てる者はごく僅かにすぎん、私ですら勝てるか危ういのだからな」

 

「親父がそんな事言うなんて……」

 

"究極"の『召喚せし者』ですら、危惧する不死身の『召喚せし者』……

 

「それよりさぁ、オーディン」

 

 そんな緊張した空気を壊すように、紅葉の声が響き渡る。

 

「あんた、やけにあの灼って言う奴に詳しくない?」

 

「っ!」

 

 確かに、今までの話の中でも創世は妙に灼に詳しかった……

 

「確かにそうね、私たちの意見をことごとく否定するのだから、あの人に詳しくなければ出来ないわよね」

 

「そうだな……どう言うことだよクソ親父!」

 

「返事によっちゃ、あんたも敵って事になるけど?」

 

「………………」

 

 あまりにも知りすぎているオーディンに敵意を向ける零二ら四人。苺は俯いたままで、創世は何も言おうとしない……

 

「クソお…………」

 

「待って! 違うの!」

 

 更に追求しようと零二が口を開くと同時に、サクラに似た女性が創世を庇うように前に立つ。

 

「お袋?」

 

「違うの、創は……創は悪くなんかないの!」

 

「桜っ!」

 

 創世の制止に、桜はううんと首を横に振り、ゆっくりと創世と灼の関係について語り始める。

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