fortissimo EXA Diejenigen, die den Kampf fortsetzen(戦い続ける者) 作:鴉鍵
とある山奥にある小屋にて……
「あれー、セリーヌちゃん死んじゃったんだぁ。わら」
小屋に帰ってきた灼の隣に常に忠犬のようにいるはずの女性の姿が見えず、小屋の奥から一人の男性が嫌な笑みを浮かばせながら、そう言い放つ。
「っ!」
「おっと、そんなに怒らないでよ、それよりセリーヌちゃんどーしたのー?」
「攫われた……」
「あっちゃー、人質かぁ、厄介だねぇ、ま、この中ではいっちばーん弱いんだから仕方ないよねぇ」
どこか、おちゃらけた調子で話す褐色の肌の男性。黄色い瞳を輝かせ、野球ボールをいじっている。
「で、いなくなったセリーヌちゃんの代わりにその娘かい? 灼ちゃん残酷ぅー」
「セリーヌの代わりはいない!」
「っと、悪い悪い」
灼の冗談ならない怒声におちゃらけた調子の男性は怯み、謝罪する。
「アストレ! あまりふざけていると……分かっているな?」
「はいはい、分かってますよ……まーだ死にたくないからね」
アストレと呼ばれた男性はクックッと笑い、野球ボールを握りしめ、破裂させる。
「セリーヌが抜けた穴は大きいわ、その子を含めて四人……それに、あなたはまだ万全の調子じゃないでしょう? どうするの?」
と、奥からまた別の声が聞こえてきた。どこか、冷たい印象を受ける女性の声だった。
「心配するな、揺らぎが強い奴を二人見つけた……」
「相変わらず残酷な男ね」
「………………」
女性の罵倒に灼は答えなかった……そんな事、灼自身が、一番よく分かっているのだ。
「そっちの方はどうだ? 梢(コズエ)」
「問題ないわ、私を誰だと思ってるのかしら」
女性は一歩出て、月光の元に現れる。黒いスーツを着ており、月光の光を受け、光る銀縁の眼鏡。
「現在この島にいる『召喚せし者(マホウツカイ)』及び『魔術見習い師(マジシャン)』は計十五人……その子を除いたら十四人ね、更にその内十二人は覚醒済みよ」
「ほう、そんなにもいるのか……厄介だな」
「ふーん、『魔術見習い師』は二人かぁ、クックッ、運悪りぃよなぁ」
「まだ『召喚せし者』で無いとは言え、いつ覚醒するかわからんのだ……開花する前に芽を摘む方がまだ楽だろう」
「灼ちゃん残酷ぅー」
「『召喚せし者』を殲滅出来るのなら、私は悪魔にでもなろう……」
「ふーん、ま、僕は戦えればいいだけだから、別にどーでもいいんだけどねー」
「私は……少々不本意です。倒すべきはローゲの焔使いを倒したオーディンのみにしぼるべきでは?」
「梢、違うよ……この戦争は確かに私個人の復讐心も込められているが、それ以上に人間に害を及ぼす『召喚せし者』を殲滅するための戦いなのだ……」
「………………」
やはり、灼の言葉に納得いかない梢であったが、長年の付き合いである親友のため、頷くを得ない。
「私が万全の状態になるまで一週間……その間、お前達には出来る限りおとなしくして欲しい」
「はぁ? なんで? 自分の獲物は取るなって事ぉ?」
「そんなんじゃないさ、ただ、奴らに最後の時間ぐらいはやってもいいだろうと思ってな」
「ふーん、珍しいじゃん。あんたがそんな優しさを見せるなんてさ」
「ふ、ただの気まぐれさ……お前達も『魔力隠蔽(ファントム)』を使った状態のままならば、この島を観光してもいいのだぞ?」
「お、灼ちゃん、優しぃー、実はさ、ずーっと気になってたんだよねぇ!」
「ふぅ、私はやめときます。下手に親しくなったら、後片付けが大変ですから」
灼の優しさにそれぞれの反応を見せる二人。
「そんじゃ、明日から遊びまくるぜぇ!」
アストレの咆哮が山に響き渡り、一日の終わりが来た。
毎度お読み頂きありがとうございますm(_ _)m
新キャラ二人登場しました。
お察しの通り、新キャラの二人も灼の同期の『召喚せし者(マホウツカイ)』です。
男性の方はアストレ=ドラグフレア
性格はおちゃらけており、残虐な人です。
女性の方は二宮 梢(ニノミヤ コズエ)
性格はとにかく真面目で、基本的にサポート型の人です。あまり戦闘には出さない予定です。
捕捉ですが、セリーヌも含めて、四人の『召喚せし者』の中でもオーディンと同等の力を持つのは灼のみです。それ以外の三人は経験値を除けば、島にいる『召喚せし者』と同じレベルです。
これからもこの作品をよろしくお願いします。m(_ _)m