fortissimo EXA Diejenigen, die den Kampf fortsetzen(戦い続ける者) 作:鴉鍵
今日、なんとか体制を整えます。m(_ _)m
読者方の皆様にはご迷惑をおかけしました。以後気をつけますm(_ _)m
その頃、なぎさは学園の校門にて愛しい恋人の到来するのを心待ちにしていた。
「えへへ……」
今日の龍一の誘いを思い出しては笑みを零し、顔を赤らめる。周りから見れば怪しく思われるだろうが、それ以上になぎさは嬉しかったのだ。
なぎさも龍一も不器用な故に、自分からデートに誘うというような事をするのが苦手であった。いつもは紅葉やら零二やらが誘導してなんとか二人をデートさせてきたのだが、今回は龍一が誘ってきたのだ。
「まだかなぁ、龍一……」
「おまたせ、待たせたかな?」
「ううん、大丈夫だよ龍一」
走ってきたのか、うっすらと汗をかき、少し荒い呼吸音が感じ取れる。
「それじゃ……行こうか?」
「う、うん」
付き合ってから数ヶ月の二人。まだ初々しさを残した二人はごく自然に手を繋ぎ、ミルキー通りへと向かう。
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その後はなぎさにとってまさに幸せな時間そのものだった。
隣にずっと恋い焦がれてきた人と手を繋ぎ、あらゆる物を見て、互いに思いを零し、笑い合ったりと……本当に夢のような時間だった。
「次はどこに行こっか?」
「ねぇ、龍一」
「ん? なんだい? なぎさ」
「どうして、今日、私を誘ったの?」
それはなんともない素朴な質問。なぎさとしては恋人らしい返事を待ち望んでいたのだが、それは訪れなかった。
「もうすぐ、この島で『召喚せし者(マホウツカイ)』による戦争が始まるからね」
「え?」
龍一の口から吐き出された答えはなぎさの思い描いていた物とはかけ離れた物だった。
「だから、今の、少しの平和な時だけでもなぎさと暮らしたい。戦争が始まったら、僕は……零二達を倒さないといけないしね」
「え……なに?」
更に追い打ちをかけるように続いて吐き出された龍一の言葉。なぎさは最後のところだけ聞き取れなかった。否、言葉自体は耳に入ってきたのだが、意味が分からなかったと言った方が正しいだろうか……
「ここじゃ、人目がつく、続きは公園で話そうか」
と、寂しげな表情を浮かべ、公園へと早足で歩いていく。
「待ってよ龍一!」
早足で歩く龍一になんとか追いつきながらも公園にたどり着くまでは先ほどまでの時間が嘘だったかのように重々しい雰囲気が漂っていた。
徒歩数分。ミルキー通りからそんなに離れていない公園にて、二人はベンチに腰をかけ、先ほどの話を続ける。
「ねぇ、龍一……さっき、芳乃くん達を倒すって、言わなかった?」
「言ったさ」
「っ…………」
嘘であって欲しい、聞き間違いであって欲しいというなぎさの思いは無情にも打ち破られる。
「ど、どうして?」
突然の事態に頭を混乱させながらもなぎさは喉をひねって疑問を言葉にする。
「なぎさは……どうしてこの世界から戦争がなくならないと思う?」
「え?」
突然の質問に戸惑いながらもなぎさは懸命に頭を巡らし、龍一の問いに答えようとする。
「それは……争いを好む人がいるから……とか?」
なぎさの捻り出した答えに龍一はどこか満足げに頷いた。
「それもある。だけど仮に力を持たない人間二人が殴り合ったって、おそらく死にはしないだろうし、周りの仲裁もあるだろ……けど、誰にも止められない程強靭な力を持った者が争い合えばどうなる?」
「あっ……」
龍一の言い分を大体理解できたなぎさ。だけど、龍一がそんな事を思っていると思いたくなかった。
「そう、力を持つ者……僕たち『召喚せし者(マホウツカイ)』が争い合えばどうなると思う?」
それでも龍一は話を続ける。それが正しい思想だと言わんばかりに
「大きすぎる力は対象だけでなく周りにも被害が及ぶんだ。かつてこの島で起きた戦争もそうだった。被害者だった君にはよく分かるんじゃないのか?」
「……っ!」
そう、龍一の言うとおり、なぎさはかつての戦争で大切なものを失った過去がある。
そして、その戦争を引き起こしたのは
「『戦略破壊魔術兵器(マホウ)』の力が戦争を引き起こすの?」
「ああ、その通りだよなぎさ」
なぎさの導き出した答えに龍一はまたもや満足そうに頷く。
「もちろん、力そのものが悪いって訳じゃない。けど、強すぎる力はどんな善良な人間でも惑わしてしまう。その良い例がオーディンさ」
そう、かつてオーディンは創世であり無愛想ながらも心やさしき青年だった。だが、サクラを失いその代償に手に入れた"世界を作る"という半端ない力は創世に"サクラの生命回帰"という常識をかけ離れた目的へと導いた。
そのオーディンの行動が龍一やなぎさらにどのような影響を与えたのかなぎさはよく知っていた。
「だから僕は、あの人の思想について行くんだ」
「龍一……」
龍一は騙されているだけ……なぎさはそう言いたかった。だがそれは出来ない。何故ならオーディンを知るなぎさにとって、龍一の……灼の言い分は正しいと感じてしまうからだ。それでも
「でも、だからって『召喚せし者(マホウツカイ)』を殲滅させるのは間違っているよ」
思想は正しいが、それにたどり着く為の行動が残虐すぎる。望まぬ力を持ってしまった人に対して世界平和の為に死ねと言っているようにも聞こえるからだ。
「………………」
そこを突かれ、なぎさから視線を逸らす龍一。おそらくその矛盾さに龍一もどこか疑問を抱いていただろう。