ファイナルファンタジー14 異譚 獅子の子タジムニウス 作:オラニエ公ジャン・バルジャン
時を少し遡ること数日。
霜降り山脈は長大な山脈であり、それ自体が長城の役割を持ち、北東から東の侵略者を防ぐ帝国の防壁で有る。
そこにはドワーフ達の帝国が有り、ヒューラン族国家で有るライクランドと長らく同盟関係にあったが、第4星暦の大地震で分裂、壊滅した。
然し、分断、外界から隔絶されたに等しいこのドワーフの巨大な王都は未だその威容を損なっておらず、もしドワーフ族達がこの地の奪還をもっと早くに志して居れば未来は変わっていたかも知れない。
だが歴史はこの地に与えた役目は巨大な収容所としての役目だった。
その収容所としての余生を終わらせる為にドワーフ・エレゼン、いやアスールの連合軍が進軍していた。
だが、山道に入る前に軍勢は足を止めた。
狭い山道では大軍は役に立たない。
奇襲等を受けない様に偵察部隊を先発させて、罠や伏兵を探す事にしたのだ。
こうしてドワーフ、アスールの偵察部隊、そしてタジムニウスの好意で同行したアルトワ・レンジャーズ連隊が霜降り山脈の各山道に放たれた。
その偵察部隊の中には暁の面々とそれに同行する数名のドワーフとアスールの戦士で構成された部隊も含まれていた。
王都カラク=エイト=ピークに繋がる大道を見渡せる崖にアルフィノとドワーフとアスールの戦士が潜んでいた。
アルフィノ
『間違いない…だが妙だ。』
アスール弓兵
『やはりそれらしき気配もしません。』
ドワーフ戦士
『地下道を掘った跡もない、本当に人っ子一人近寄らなかったみたいだ。』
アルフィノは望遠鏡を覗き込む、その先には同じ様な崖があり、対岸となっていた、そして対岸にはアリゼーとグ・ラハ・ティアがいる。
二人も同じ結論に至ったのか首を振ってみせた。
アルフィノ
『撤収しよう。
時間を無駄に潰すわけにはいかない。』
アルフィノ達偵察部隊が本隊に帰還した時は他の偵察部隊も同じ様な結果を持って帰ってきていた。
結論は、伏兵、罠の類無し、そしてバットランド方面に軍勢が進軍した形跡も無し。
前者は自分達にとって直近に影響を齎すが、後者はバットランド平定に出撃したタジムニウス達にとって厄介になる存在であった。
何よりタジムニウスが単身ドラッケンホフ城に潜入した際に見つけた見事な鎧の数々の出所はカラク=エイト=ピークで作られたドワーフ製の物である可能性が高く、もしそうなら重武装の亡者の軍勢や信者の軍勢、それこそドワーフ、教団に捕まり強制労働に尽かされた者達で編成された奴隷軍が横槍を入れに来るかもしれない。
そうなれば単純な数だけで見ればタジムニウス達の数的劣勢はもはや決定的になる。
ドラッケンホフ城は後に凄惨な結末を迎えるが、雑多な武器を持った農民と完全武装した兵の違いは大きい。
もしそうなっていたらタジムニウスのドラッケンホフ城攻略は大いに苦戦したであろう。
翌日、軽装のエレゼン遊撃兵部隊を先頭に前進した。
特にドワーフ勢の士気は大いに高かった。
もはや巨大な岩盤に埋もれてしまい、彼らに復興の意思すら湧かせないほど完全に壊滅したと思われた王都が古代の威容を保ち続けそこに残り、そしてそれが邪教の手先に悪用されている。
都と、そして長い年月を掛け、作られ、蓄えられた莫大な富は彼らにとっての命より大事な財産で有り、この地への再入植は、まさに氏族の悲願であった。
そういう意味で言えばアイアンロックの胸中は様々な感慨が渦巻いていた。
オリオンもまた、親友の胸中を慮った。
彼らの身に起きた悲劇、そして本来自身の先祖が汗水垂らして獲得した富がよりにもよってカルト教団に悪用されてたあっては憤慨を禁じ得ない事も、そして諦めていた先祖代々の悲願を遂に果たせるのだから。
それは彼らの子供達もそうであった。
そして遂に一行は一切の抵抗を受けなかった不自然さに違和感を覚えながらも遂にカラク=エイト=ピークに辿り着いた。
暁の面々はその威容に思わずを声を上げた。
山の壁をそのまま掘り抜いたドワーフの戦士の像が二つ並び立ち、その間に巨大かつ強固な城壁と城門が築かれていた。
正に山そのものが巨大な城塞都市なのだ。
きっと中にもオルカル山地で見た様なドワーフの地下都市が広がっているに違いない、しかも今回はそれよりも広大かつ豪華な建物が並び、それらから黄金が溢れているのだろう。
暁の面々をみたアメジストは彼らの前に立ちこう言った。
アメジスト
『ようこそ、我らがダーヴィの都、カラク=エイト=ピークへ‼︎』
だがそのまま入城とは行かない。
ここまで一切の抵抗が無かった。
恐らく信者達は武装して待ち構えてるに違いない、それどころか奴隷兵や亡者達も戦列に加えているかも知れない。
奥深くに潜まれては攻城兵器は役に立たない。
自分たちの実力で勝負しなければならない。
そして確実な数的劣勢を覚悟しなければならない。
中の様子が知りたい…。
そこで何人かの優秀な者を中に忍ばせる事になった。
アメジスト、タンザナイト、ティリオン、テクリスのドワーフ、エレゼンの王の子らと暁の面々アルフィノ、アリゼー、グ・ラハ、ヤ・シュトラの八名である。
八人は少しずつ都の城門まで近づいた。
威容を誇る巨大なドワーフ像も手入れがされていないのか錆が所々に浮き出ていた。
そして大っぴらに開いた城門からは冷たい空気が流れており、城壁の上に備え付けられた大砲やバリスタは人なんて居なかったんじゃないかと勘繰りたくなるほど手入れがされておらず錆びついて使い物にならなくなっていた。
アルフィノ
『ここは敵の重要拠点じゃ無かったのかい?
まるで備えが出来ていない様に見える。』
タンザナイト
『ああ…先祖代々ここを守り続けた兵器群がこんな無様に。
あれらは後で解体して新しい物を用意するしかない。』
ティリオン
『弟よ、どう見る?』
テクリス
『どうも気配はするのですが、この周囲ではありせん。
恐らく奥から、待ち構えているとしたら都市内と見るべきです兄者。』
同じ様にエーテルでこの世界を見ているヤ・シュトラも頷いた。
都市内に踏み込むとしても、少なくとも出入り口は確保しなければならない。
出入り口に敵が居ない事を狼煙で確認したアイアンロックとオリオンは兵を前進させた。
それぞれの軍で市街地での白兵戦に慣れた騎士団や兵団を抽出するとそれぞれアメジスト、タンザナイト、ティリオン、テクリスの四名に指揮を取らせ、自身達は敵の来襲に備えるべく、都を背にして軍を並べ直した。
さて突入隊はそれぞれ別れて都の中を捜索した。
カラト=エイト=ピークの中はオルカル山地のドワーフ都市とは少し異なる。
オルカル山地は山の中に大きく広い洞窟が広がりその中に建物が建つという構造だったが、これは多種族の居住を考えて作られた物である。
だがドワーフ族の為の純粋な居住地である此処は、山の中に作られた都であると同時にそれ一つが巨大な館の様になっており、中に建物が無い代わりに無数の大小の部屋が作られており、その大なり小なりの部屋に住人達が住まい、仕事をし、訓練を積む。
そして大ホールで大勢の仲間と食卓を囲み、歌って飲んで騒ぐのだ。
山の外に向けた石造りのバルコニーが建てられ、更にその上に邸宅が設けられ、そこには氏族の上流階級が住む事も有るが、大概は専用の部屋を作り大なり小なりの部屋を幾つか持つのだ。
それはドワーフの王、通称山の下の王も例外では無く、王の間と言われた一際大きな広間が有り、そこに玉座が構えられているのだ。
つまりこの霜降り山脈自体が巨大な館で有り、迷路なのだ。
その為か、彼らは慎重に進んだ。
無数の部屋があるという事は無数の隠れ場所があると言う事…いつ奇襲されてもおかしく無い。
ちなみに暁の面々もそれぞれの突入隊に付いている。
アメジストにアリゼーが、タンザナイトにはアルフィノが、ティリオンには、グ・ラハが、そしてテクリスにはヤ・シュトラがついている。
最初の発見が有ったのはアメジストとアリゼーのコンビだった。
アリゼー
『何…このカビ臭い臭いは?』
アメジスト
『この部屋からだね、見てみよう。』
するとなんと言う事だろう、もう何世代も前に朽ちたであろうドワーフ族のミイラの山だった。
着ている服や鎧からは上流階級のドワーフ達だったのだろう。
第五霊災の時にこの部屋に居た者達に何が有ったのだろうか…?
よく見ると争った跡がある。
天地が崩れ去る様な大地震が起きて、この部屋の中に居た者達はパニックを起こして殺し合ったのだろう。
アリゼー
『可哀想に…。』
アメジスト
『霊災の時、その日はドワーフの祝日だったそうだ。
大勢のドワーフがここで祝いの席を設けていたんだろう。
だが霊災が起きて、酔いと恐怖でパニックを起こしたってことか。』
実際この部屋の様な場所は幾つも見つかった。
中には岩盤で押し潰されたり、貫かれたりした死体が放置された部屋もあった。
何故未整備なのか?
それは
ヤ・シュトラ
『逃げ出そうとする者への警告と絶望を与える為…。
そんなところかしらね。』
テクリス
『私もそうも思う。
今歩いている部屋は割と綺麗、と言うより整備された部屋も多いが、出入り口付近の部屋はそのままになっていた。
心理的なダメージを与える為だろう、あと考えられるとしたら価値を見出されず放置されたか…。』
ティリオンとグ・ラハはこの都内に通ったインフラを発見していた。
グ・ラハ
『トロッコだ。
凄いな石と鉄で出来ている、金細工まで施してある。
これで人や物を運んだのだろう。』
ティリオン
『ああ、そしてここまで綺麗だと言う事は、』
グ・ラハ
『つい最近まで誰かに整備され、使われていた。
やはり誰かいる、無いしは居たに間違いない。
破壊されていないみたいだし、使えるかも。』
ティリオン
『ああ、皆に教えてやろう。
ここを起点に中間地とする、陣地化するため何人か残れ、それと外の父上とグリムハンマー叔父に伝令を送れ、残していった目印を辿ればすぐ着くはずだ。』
エレゼン族伝令兵
『ハッ!』
そしてタンザナイトとアルフィノの一団は遂に自分たち以外の人間に会う事になる。
アルフィノ
『タンザナイト殿あれを‼︎』
タンザナイト
『人…ドワーフだ‼︎‼︎』
かなり痩せこけている、そうかつての自分達と同じ、いやそれ以上だろう。
タンザナイト
『おい、しっかりしろ‼︎』
ドワーフ
『………ああ、遂に幻覚が見えちまった。
こんなに筋肉のついたダーヴィがここに居るはずがない、居るとしたら昔の話だけだ……。』
タンザナイト
『良いや幻覚じゃない友よ、俺もダーヴィだ‼︎
ここにいるお前以外の仲間は死に絶えちゃあいない‼︎‼︎』
ドワーフ
『そう…か…。
やっぱりあいつらは嘘をついてたんだな…。
皆んなに……知らせて…やらないと…。』
そう言ったドワーフの青年は意識を失った。
空腹と渇きのせいだった。
アルフィノが気つけ薬としてブランデーを飲ませてやると、そのドワーフが目を覚ましたのでゆっくりと水を飲ませ、治癒魔法でボロボロの体を治療してやった。
全身鞭打たれ、然も鎖で殴られた痕があった。
タンザナイトは怒りに燃えて壁を叩く。
ドンッ…………
と言う音が響く、虚しく、そして弱々しく。
タンザナイト
『あの邪教徒どもめ、居るなら出てこい!
全員ここの溶鉱炉に生きたまま、女子供だろうと教団の信者やその家族は叩き込んでやる‼︎』
アルフィノ
『タンザナイト卿!
大声を出してはいけません、敵に聞かれてしまいます。』
他のドワーフ兵達も涙を浮ばせながら震えていた。
無理も無い、ここに来るまで無数の仲間の死体が放置された部屋を見てきた。
せめてもの救いは、それら全てつい最近に殺された者達では無かったとはいえ、彼らにとってそれらは侮辱に他ならない。
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生存者発見の報は直ぐ、外にも伝えられた。
アイアンロックは敵勢無しと判断し、城門修繕のための工兵と防衛部隊を残し、それ以外は全軍入城すると決断した。
ティリオンとグ・ラハが発見したトロッコ停留所以外にも大小の停留所を発見し、それら全てが昨今まで使用されていた事が判明した。
そしてその周辺に打ち捨てられる様に囚われていたドワーフ達や異国より拐われた者達が居た。
ここのドワーフ達に一切外の情報を掴ませない為にこれら攫われた者達は全てアルトドルフ帝国外の異国の民達で有り、ドワーフの姿を見たことあれど話しかける事も近くにいた事すらないと言う。
そしてそれはドワーフ達も同じであった。
囚われた者達の話で都中の囚われた者達の解放は一気に進んだ。
大勢のドワーフ達が捕まっていた。
皆同じ様に先の者達の様に痩せ細り、皆が外の世界で何が起きたか一才知らぬ身であった。
少なくとも第六西暦くらいにはなっているであろう…それくらいの認識であった。
そして彼らは霊災で壊滅した王都に取り残され生きるのに必死だった最中に何処から現れたのか吸血鬼教の大軍勢に襲われ長い長い年月彼らの為に働く奴隷として世代を重ねたのだと言う。
そして二十五年前のキスレヴの大敗までの間、隠された本山として機能し吸血鬼教の暗躍の温床になっていた。
その為吸血鬼教の教典や儀式の道具なども多く発見された。
肝心の吸血鬼教徒たちは何処へいったのか?
この疑問に答えられる者は誰一人この場には存在しなかった。
彼らは本当に酷い生活を強いられたがここ数日前に更に酷くなり、配給されていた僅かな食事も一切来なくなり、自分達を鎖に繋ぎ、檻や部屋に閉じ込めたきり姿を見せなかったと言うのだ。
ドワーフの青年
『俺は元々アイツらから自由を取り戻したくて、仕事の合間に目を盗んで枷の鍵を作って忍ばせておいたから抜け出せたが、アンタらが来なかったらきっとあのまま餓死だったろう。』
アイアンロック
『一つ聞いて良いか、坊主?』
ドワーフの青年
『俺に答えられる事なら殿様。』
アイアンロック
『ソルグリム王の遺体は何処にある?』
ドワーフの青年
『聞いてもあんまり意味が無いと思うぜ殿様…。
爺ちゃんたちが語り継いだ話が本当なら今も玉座に座すが…』
アイアンロック
『ワシらはそれと見えねばならぬのじゃ。』
アイアンロックは自身の斧に付けられた宝石を青年に見せる、水晶の中にはドワーフ王族の紋章が彫られていたのだ。
ドワーフの青年
『驚いた…。
ここで生き残った王侯貴族達は奴らが来て直ぐみんな殺されたって聞いてたからな。
特に王族は奥のホールに居たからみんな逃げ遅れたって。』
アイアンロック
『幸いワシらの先祖はその場に居合わせなんだお陰で難を逃れたのだろう。
お互い、生き残っているとは知らずに今日まで来てしもうた。
そしてお主らからしてみればワシは王族は民草を見捨てて逃げたも同然じゃろうて。』
ドワーフの若者
『………。』
二人の会話はそこで止まり、アイアンロックは若者の世話を医者に任せると部屋を出た。
出るとそこにはアメジストが待っていた。
アメジスト
『父上、宝物庫を発見致しました。
かなりの宝や金貨が残されておりました。』
アイアンロック
『そして数え切れぬ富の内、数え切れない分が吸血鬼教の財源になってしもうた訳だ。
なんという…なんということじゃ…。』
老いた父が咽び泣くのを娘はただ見ていることしかできなかった。
その頃オリオン親子は炊き出しの指示を取っていた。
こうなる事を見越して大量の物資を持ち込んでいたが、都内にも大量の食料品が残されていたのだ。
幾らかは持ち出された様だが、持ち切れず残されたのだろう。
中には新鮮な肉や魚まで氷魔法を利用した倉庫に収められていた。
アスール・エレゼン族秘伝の薬膳料理を振る舞い、囚われた人々はみるみると、とりわけドワーフ達は活力を取り戻し、オルカル山地のドワーフ達よろしく筋肉隆々の体を取り戻していった。
暁の面々は武器庫を調べていた。
理由はセレーネからの頼み事であった。
セレーネ
『タジムニウス卿がドラッケンホフ城で見た鎧甲冑…。
恐らくドワーフ製の物、作っているとしたらかの都である可能性が高いと思います。
その確たる証拠を押さえて欲しいのです、彼らは世界中に潜伏しているカルト教団、恐らく他国での活動もありますから他国の鎧や武器を模した物もあるはず。』
セレーネの予想は的中した。
骸骨騎士達が身につけていた鎧と同じものが大量に陳列されていた。
然もそれだけではない、東方連合構成国の武装や、なんとエオルゼア五大国家の軍装まで完璧に複製していたのだ。
これでハッキリした、彼らはここでドワーフ達に自身や死者の軍勢が使う武器や防具、そして陰謀や混乱を巻き起こす為の道具を作らせていたのだ。
ドワーフ達の技術力ならそれらは完璧に果たせる、だが何故彼らはここを放棄したのだろう。
教団にとってここは総本山ドラッケンホフ城を除けば最重要拠点の筈だ。
そしてこれだけ広大な都を手中に収めねばならない以上かなりの人手がこの地に詰めていた筈、その気になればアルフィノ達一行と攻城戦をやるぐらいの人数はいただろうに。
アルフィノ
『何故彼らはここを捨てたのか…?』
アリゼー
『私達を恐れた…情報が漏れたからどこかに別のアジトでも作って逃げ出した?』
グ・ラハ
『だとしても逃げ出す要因にはならないだろう。
連中にとってここは長年の根拠地だ。
その気になればここに囚われていた人々や、放置されていたドワーフ族の死体を使って死者の軍勢を作り出す事だって出来た筈だ。』
ヤ・シュトラ
『此処を維持する以上に必要な事がきっとあったと見るべきでしょうね。
例えば、これは有り得ないと思うけどドラッケンホフ城が呆気なく陥落して国外に逃げ出さないと教団を維持できなくなったか、内部分裂が起こって脱落者が出て集団を維持できなくなったか、もしくはここに私たちを引き込むために敢えてもぬけの殻、空城の計か?』
最後のが1番起きて欲しくない仮定だとこの場にいた者たち全員が思った。
無理もない自分たちの数倍に近い数の民草を抱えている現状、籠城戦にでもなったら悪夢でしかない。
しかも問題はドワーフの捕虜、彼らは1星暦以上も続く奴隷生活の末、誇りや尊厳を失ってしまったのだ。
もちろん全員が全員じゃない、それでもそういった奴らはごく少数派である。
大多数は吸血鬼教の復讐を恐れる者たちばかりだった。
割と最近さらわれた異国出身の者たちは兎も角、非協力的な民衆を抱えた籠城戦など何処に勝ち目があるだろう…?
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翌日、ドラッケンホフに向かったセレーネ一行からの通信が届く。
二、三日後にはドラッケンホフ城攻囲戦が始まるというのだ。
戦闘が始まれば通信が出来なくなるので、合わせて命令が飛んできた。
現地点の死守である。
事の次第を聞いたタジムニウス、ディーターが協議し、敵の逆撃の可能性、つまりヤ・シュトラが上げた空城の計が現実味を帯びている可能性と、仮にカラク=エイト=ピークを開けたとして残された民草が恐怖心あまり元の占領者を呼び込み自らを再び奴隷の身に落とす事を厭わない可能性の二つを挙げたからである。
アイアンロック、オリオンはこの指令を受諾、そして麾下軍団に厳命を布いた。
民衆に対しての対応は実に紳士的である事、一切の暴力行為の禁止である。
ここのドワーフ達は敵国民では無い。
だが彼らのあまりにも落胆した態度はドワーフ族の忌避する物であり、自分たちと同じドワーフの癖に沈み込む態度が気に食わない、先祖の恥だと悪態をつく戦士達が相次いだ。
そうでなくとも倒れた民衆を助け起こそうとエルフ族の兵士が手を差し伸べると虐待された事を思い出し錯乱したドワーフ女性が現れるなどトラブルが相次いだ。
軍人民衆間のトラブルだけでは無い、開放されたことにより発言が強くなった連中、つまり血気盛んな一部のドワーフ達とそうでは無い多数派のドワーフとのいざこざまで発生し、双方の意見の食い違いが危うく殺し合いに発展しかけたのだ。
多数派のドワーフ達は吸血鬼教徒の忠実な僕になっていれば少なくとも生活は保障されていた居ただろうに、急に彼らが出ていって出て行くまでの数日間の惨状はそう言った一部の連中が外の連中を呼び込んだからだと非難し、一部の連中(便宜上抵抗派と呼称する)、抵抗派はそれは言い掛かりであり、それが出来るならもっと何年も前にやっていたと反論し、そこまで腐り果てて自らの誇りを捨てる連中などもはや同族とは思えぬ、あの時全員飢え死してしまえば良かったのだと吐き捨てた。
これがいけなかった。
双方感情に任せた乱闘騒ぎに発展し、警備隊が抑えに来るまで負傷者多数という事態に陥った。
そして気がついただろうか?
多数派の言い分は奴隷である事を良しとしていた。
これは一星歴と長い間に多くのドワーフは吸血鬼教の教義に触れてしまい、自分達は吸血鬼を信奉しなかったが故に罰を与えられ末代まで使役される運命であると洗脳されていたのだ。
むしろ抵抗派が一星歴以上の間、反抗心を温めていた方が異常なのだ。
当然これだけ長い時間があったのだ、バットランドの民の様に麻薬漬けにして無理くり道具に仕立てる必要など無い。
その所為で折角打ち壊した吸血鬼教徒の礼拝室や祠を建て直したり、挙句破壊されぬ様に立て籠ったりする一団まで現れ、事態はまさに混迷を極めていた。
だがアイアンロックは決して民衆に手を挙げる事を是としなかった。
彼は自分が短慮な行動に出ないように心中で推測を立てていた
アイアンロック
(本当に信徒になったわけではあるまい。
もしそうなら大勢の信徒を捨てて教団上層部が逃げ出す必要性が見受けられないばかりか、彼らに対するあの粗略な扱いに対する説明がつかん。
おそらく当初、そしてそれなりに期間、彼らは屈しなかったのだろう。
そしてその期間が長く教団に対しての不利益もまた大きかった。
だから手っ取り早く恐怖で押さえつけたのじゃろう…。
そしてそれが長い期間続けば彼らに対して恐怖心を植えつけ、それによって従わせることが出来る。
……待てよ、裏を返せば、彼らは連中が戻ってくると何処かで分かっているのではないか?
ここ最近のワシらが奴らの聖堂を破壊したりなんだりした後の様子、まるであれは留守番していた子供が親に粗相したのがバレるの恐れる様子そのものじゃ。)
アイアンロックは主だった者達を集めて、自身の推測を語った。
皆、唸り声を上げて考えた。
皆、そう思わないわけでは無かったのだ。
だが、だとしたらいつ取り返しに来てもおかしくない。
アイアンロックは全軍に第二戦備体制を発令し、多数の斥候を放ち、敵の発見に全力を注ぐ事にした。
必要であれば、ザ・バーン(東州オサード小大陸と北州イルサバード大陸の間に広がるエーテルが枯渇した無人の荒野)にも斥候を送る準備も始めた。
寧ろ、敵が潜伏するとすればその方面しか無いのだ。
帝国側の出口は封じている、後はキスレフ方面に出て、ガレマール帝国領内(キスレフに行こうものならそれこそ彼らにとって自殺行為である)
か、ザ・バーンしか無いのだ。
翌日に斥候を発する事で話はまとまった。
なぜ翌日なのか、それは法事があるからで有った。
第五星暦の際、没するその時までその玉座から離れず堂々たる姿を見せたドワーフの至高王ソルグリムの葬儀であった。
完全に肉体は朽ち果て、嘗ては立派に蓄えられていたであろう髭も無く、完全に一回り二回り小さい人骨が豪華な鎧を身につけているだけの状態であったが、最期まで同族のために命を懸けた偉大な王を弔わねばならなかった。
そしてそれはアイアンロック達が正統なドワーフ王族の血を引く事を外部、そして内部に喧伝する必要があるからだった。
王の葬儀は死者を弔うだけでなく、新たな王の即位を表明する場でもある。
ソルグリム王への弔いが終わるとアイアンロックは自身の即位を発表した。
オルカル山地から連れてきたドワーフ達とエルフの軍勢、そしてこの地に残った僅かな抵抗派のドワーフ達は『国王万歳‼︎‼︎』と熱狂したが、それ以外のドワーフ達はそれを複雑に見ていた。
ドワーフの王よりもやはり彼らの主人の怒りを買う方が何倍も怖いのだ。
中には寧ろ自分達がこうなったのは他でも無いソルグリム王の所為だと思っている者たちすら居たのだ。
確かにソルグリム王はこの都を堅持に拘った。
だがそれはこの都が最も堅固であり、この地を目指して逃げてくる同族の為を思ってだった。
然し、霊災の威力は凄まじくソルグリム王は都の放棄を決断したが、そのタイミングは確かに逸していた。
致し方ない事だった、だがそれでは当人達(少なくとも精神的には当時の人間)には納得が行かない。
それを分かっていたからソルグリム王自身も脱出せず最期までこの地に残ったのではないか。
吸血鬼教の襲撃にも動じず玉座で死したのでは無かったか…?
兎も角結論を出すのは歴史家の領分だろう。
翌日になってまだ朝日が登りきる前に事態は進んだ。
城壁には簡易的な石の城門が建てられ、その上でドワーフの目張りが目を擦りながら立っていた。
そこに交代要員のエルフ弓兵達が朝食を持って現れた。
彼らは談笑しながら朝食を食べていると、丘の向こう、方角的にはザ・バーンの方に黒い影が現れた。
それは軍勢だった。
吸血鬼教の軍勢である。
見張り達は慌てて、角笛を吹き鳴らし、鐘を鳴らし、馬を使って都中に伝えた。
敵、来る。
各軍慌てて城壁に急いだ。
その頃アリゼーはまだ宿舎で夢の国の住人だった。
だが扉がぶっきらぼうに開いた事で彼女は現世に戻ってきた。
アリゼー
『何??
ヤ・シュトラ??』
ヤ・シュトラ
『起きて頂戴アリゼー様。
敵が戻ってきたわ。』
アリゼーは飛び起き、ソックスとブーツを履くと大急ぎで飛び出した。
広間では既に軍議が開かれていた。
アイアンロック
『なぜここまで接近を許したのだ⁉︎
見張り達は何を見ていたのじゃ‼︎‼︎』
テクリス
『叔父上、恐らく敵は然程離れては居なかったのだと思います。
彼奴等は恐らく近場で息を潜め、太陽光屈折魔法でも掛けてその姿を隠していたと考えるべきかと。』
アイアンロック
『成る程…それならあれだけの軍が隠れる事も出来よう。
それだけの大規模、かつ長時間魔法を維持出来たという事は敵の中にかなりの手練魔法使いが居そうじゃな。』
テクリス
『もしくは多くの魔法使いが居るかです。』
アイアンロック
『兎も角、敵は大半は信者の軍勢じゃ、しかもバットランドで見たような雑多な武器で武装した暴徒ではなくドワーフ達に作らせた甲冑に武器と来ておる、とりわけワシらの銃も有るのはいかんせん不味い。』
アメジスト
『見たところそれなりの訓練はされているようです。
傭兵を雇い訓練させていたのでは?』
ティリオン
『だとしたら厄介だな、質は我らに劣るとしても数は多い。
テクリスの言うように手練れの魔法使いか、大勢の魔法使いが敵に居たら、野戦での長期戦は分が悪くなるぞ。』
タンザナイト
『兵器群の運び出しや設置も間に合いませなんだ火力支援は限定的なものと考えていただかねばなりません。』
オリオン
『致し方ない、兵同士の単純な力比べと行こう。』
アイアンロック
『良し、ならワシと、オリオンが両翼を担おう。
そいで我らは中央より前に展開し鶴翼の陣を敷く形にしよう。』
ティリオン
『父上達が両翼ですか?
お二方は王なのですよ、ここは我らに先方と両翼を任せ、中央本陣にて采配をお取り下さい。』
オリオン
『ティリオン、タジムニウス陛下が何故兵達に慕われているか分かるか?
英雄だから?
王族だから?
そうだなそれもある、だがそうだとしても兵達の背に隠れ安寧と過ごす王に誰がついてくる?
陛下は常に陣頭で指揮を取られている。
そして今もそうだろう。
将たるもの兵達と苦楽を共にしてこそなのだ。』
アイアンロック
『左様、それに敵は側だけ立派でも中身はその辺の暴徒と変わらんかも知れん。
ならワシとオリオンが兵を率いてぶち当たり、力量を測りそれに合わせて戦い方を変えれば良い。
中央はお主ら若い衆が担えば良い。
暁の方々もそれで良いな?』
アルフィノがテクリス、アリゼーがティリオン、グ・ラハがアメジスト、ヤ・シュトラがタンザナイトにそれぞれ副将待遇として付くことになった。
かくして布陣が決まり、両軍は都を前に相対した。
最初に先制したのはドワーフ・アスール連合軍である。
アスールの矢とドワーフのボルトと弾丸を撃ち込んだ。
だが敵もまたそれなりに戦列を組み応射してきた。
矢弾が飛び交う中吸血鬼教の遍歴軍は白兵戦部隊を送り込む。
それに合わせてアイアンロック、オリオンがそれぞれ自ら部隊を率いて真っ向から迎え撃とうとしてきた。
敵が何かしらの理由で魔法攻撃を温存するならこちらは今のうちに白兵戦戦力を削り取って置こうという算段だ。
こちらは遅かれ早かれドワーフ謹製の重火器の準備が整えば一方的に戦いを展開出来るからだった。
アイアンロック
『皆、準備は良いか‼︎‼︎』
ドワーフ軍将兵
『オオオオオオオオオオオ‼︎‼︎』
オリオン
『行くぞ、アスールの雄達よ‼︎』
アスール軍将兵
『ハッ‼︎‼︎』
意外にも先に駆け出したのはオリオンだった。
乗騎の雄鹿に跨り、矛を煌めかせ、その後ろをエルフ軍の兵達が鬨の声を上げながら走りついていく。
瞬く間に信者の軍勢を切り崩し始めた。
そしてドワーフ軍も…
アイアンロック
『ドゥーベーカー‼︎‼︎(ドワーフ語でいざ‼︎等)』
ドワーフを雄叫びを上げながら斧や剣を煌めかせ敵陣に突撃していった。
双方、タジムニウスの父フィリップ9世以来、そして先帝ジギスムントの元で世界広しと暴れ回った歴戦の勇将と以来の部下である。
そんじょそこらの訓練を積んだ程度の信徒達が勝てる相手では無かった。
中央もこれに合わせて前進した。
アメジスト
『急げ急げ、早く行かないとあたしらの分も無くなるよ‼︎』
ドワーフ軍
『オオオオオ‼︎‼︎』
グ・ラハ
『スゲェ…何だよありゃ。
あの二人の前に立ってた奴等みんな吹っ飛ばされてやがる。』
圧倒的優勢…正にそうであった…が、ここで急展開を迎える。
両将の猛攻でついに敵将の姿を捉えるまでに至っていた。
オリオン
『あれは…。』
アイアンロック
『ハイドリッヒ・ケムラー⁉︎
あやつ生きておったか‼︎』
タンザナイト
『敵将があの天才ネクロマンサーだと⁉︎
確かなら面倒だぞ。』
ヤ・シュトラ
『どういう相手なのかしら?』
タンザナイト
『三十年ほど前にブレトニアで死者の大群が現れる事件が起きました。
その首謀者が過去の伝記や発禁本、そして吸血鬼教の教典を見て独学で死霊術を覚えた当代一の秀才魔道士と言われたハインリヒ・ケムラーと呼ばれる男です。
魔法の習得、知識の欲求に溺れたかの男は死霊術に取り憑かれ挙句国の乗っ取りを画策するようになったと聞いています。
結局大事に至る前にブレトニア・ドワーフ・アセル・ローレンの3王国からなる連合部隊に鎮圧され、王国ひいては帝国の謀反の罪でザ・バーンに追放されたと聞きましたが。』
その頃そのケムラーなる男が戦場を見渡していた。
死霊術士
『ケムラー司教、準備整いました。』
ケムラー
『宜しい、行けいワイドキング‼︎
かの者らを討ち取れぃ‼︎』
そう言われて出てきたのは立派な武具を身につけた二名の骸骨騎士だ。
頭には王冠の乗せている。
ワイドキング、骸骨の王。
恐らくかつて王として君臨した者の墓を暴いて使役されたそれらはそれより劣るものの全身武装した骸骨騎士団を率いて突撃する。
骸の王達の狙いはドワーフとエレゼンの王。
ドワーフとエレゼンの兵達は槍衾を敷く。
骸骨騎士達は突進する。
槍衾に貫かれるも突進の勢いもあって戦列に乱れが生じた。
そこにワイドキングが斬りかかる。
かつては高名な王だったのだろう。
その剣技は槍衾を切り裂き、兵士たちを両断した。
オリオン
『何という…皆下がれ奴は私が仕留める‼︎』
アイアンロック
『おのれ、よくも我が一族を‼︎』
矛と剣、あるいは斧と剣が打ち合う。
両者、数十合打ち合う。
勝負は互角だった。
だがオリオンと打ち合っていたワイドキングが急に逃げ出したのだ。
いや逃げ出したのではない‼︎
骸骨の騎馬を走らせ向かうはアイアンロックの首。
二体のワイトキングでドワーフの王を討ち取ろうとしているのだ。
オリオンも追うが疲弊していて追いつけない。
オリオン
『アメジスト、タンザナイト、ティリオン、テクリス‼︎
奴を止めろ‼︎
奴の、奴らの狙いはアイアンロックだ‼︎‼︎』
アメジスト
『お父様…!
ええい、百ついてこい‼︎‼︎』
四名はそれぞれ直属の兵を連れ右翼へ走り出す。
暁も後を追う。
その頃右翼ではアイアンロックとワイトキングが打ち合っていた。
アイアンロック
『ええい、なんて面倒な髑髏じゃ‼︎
次でかち割ってやるわい‼︎』
ドワーフ兵
『あっ⁉︎⁉︎
殿ぉぉ‼︎‼︎』
アイアンロックは兵達の呼び声で振り向くともう一体のワイトキングが襲いかかって来た。
すんでの所で受け止めるが二体のワイトキングでは分が悪い。
アメジスト
『お父様‼︎‼︎』
タンザナイト
『父上ぇぇ‼︎‼︎』
一方のワイドキングに斧を両断され、そしてもう一体のワイドキングの刃がアイアンロックに迫った。
アイアンロックは敵刃の光の中にかつての主君を見た。
アイアンロック
『フィリップ陛下…。
子らよドワーフを……‼︎』
肉が切り裂かれる音が戦場に響き、ドワーフの王の首が空高く放り投げられる。
そして首を失った胴は地面に倒れた。
アメジスト
『嫌ァァァァァァァァァァァァァァァァ‼︎‼︎‼︎‼︎』
アメジストの悲鳴が戦場に響き渡る。
タンザナイトは呆然として立ち尽くしてしまった。
オリオン
『おのれェェェェ‼︎』
オリオンは涙を流しながら斬りかかる。
だがワイトキング達の連携は凄まじくオリオンは数箇所斬られ、乗騎を切り裂かれた。
そしてオリオンは遂にトドメの一撃を喰らい、吹っ飛ばされた。
ティリオン
『父上ェェェェ‼︎』
テクリス
『ダメだ、兄者‼︎‼︎』
息子娘達がこのように我を忘れるなら兵達は完全に戦意を喪失していた。
このままでは全軍為す術なく殲滅されてしまう。
だがこの窮地を救う者が現れた。
アルフィノ
『全軍撤退せよ‼︎
カラク=エイト=ピークまで下がれ‼︎』
事態を飲み込んだアルフィノが指揮が取れなくなった四将の代わりに指揮を取った。
アルフィノの声を聞いて先に我に戻ったのはテクリスだった。
テクリス
『アルフィノ殿…辱い。
全軍引けぇ‼︎‼︎』
ティリオン
『交代だと⁉︎
ならぬ、全軍突撃して父上と叔父上の仇を‼︎』
テクリス
『子供のような我儘を言うな兄者‼︎
我らが悉くここで討ち死にならばドワーフもアスールも帝国も滅んでしまう‼︎‼︎
我らの使命を忘れるな兄者‼︎‼︎』
するとオリオンの体が味方の方に吸い寄せられた。
ヤ・シュトラが救出呪文を掛け、オリオンの体を連れ帰ろうとしてくれたのだ。
ヤ・シュトラ
『兄弟喧嘩はここまでになさい‼︎
今は生き残る事だけ考えるのよ‼︎』
その頃アリゼーとグ・ラハは後続部隊を掌握して最前線に立っていた。
アルフィノもそしてこの二人もタジムニウスに軍略の手解きを受けた事があった。
だからアルフィノは、元々の指導者としての素質もあるがすぐさま全軍に指示を飛ばし、思考を停止するの防ぎ、二人はまだ余力のある部隊で被害の大きい部隊の後退を支援させようとしていた。
この戦法はタジムニウスが得意とした完全な秩序を保ったまま後退する戦術の仕掛けであった。
余力を保った部隊で戦列を作り、それらが来るまで戦列を敷いていた部隊で被害の大きい部隊が順番に後退し、投射部隊が交代しながら援護射撃を加え、後列から前線に上がってきた部隊は追撃する敵を跳ね除けたら、後退し、また跳ね除けて後退し、完全に敵の足が止まったら悠々と交代すると言う物である。
今回の場合残念ながらほぼ全軍が士気崩壊状態である為恐らく秩序を保った後退は出来ない。
だが少しでも犠牲を減らす事が出来るのならやる価値はあった。
そして吸血鬼教の軍は追撃を仕掛けてきた。
だがタジムニウスよろしく他の将のように最前列に立ったアリゼーとグ・ラハに率いられた後続部隊は何とか敵の追撃を跳ね返した。
その彼らをアルトワ・レンジャーズ以下、後退作業を終えた、ないしはカラク=エイト=ピークの城壁に辿り着いた弓兵、銃兵が射撃を加え援護する。
今回の敵は大半が死者の軍勢ではなく生者の軍勢だ。
流石に全員死んでも蘇らせれば良いとは行かないのか損害が大きくなる前に追撃の手は止まり、アルフィノ達は何とか後退に成功した。
だが結果は全軍の三割強を失い、アイアンロック・グリムハンマーを失い、そしてオリオンもまた死の床にあった。
そしてその後を継ぐべき子らも完全に意気消沈としておりとりわけ王位を継ぐアメジストとティリオンは完全に使い物にならなくなってしまった。
一人は完全に塞ぎ込み、もう一人は怒りで我を忘れている。
兵達も完全に戦意を挫かれている。
何よりこの様だ。
吸血鬼教の奴隷に甘んじようとするドワーフの民衆が襲い掛かるかも知れない。
気が気では無くなった。
幸いだったのは意気消沈とは言ったもののテクリス、タンザナイトは指揮を取り続けていた。
彼らとて目の前で父を手に掛けられたのだ。
平気な筈は無い。
だが姉を、兄を支えると誓ったのだから自分達が立たねばならんかった。
テクリスの呼び掛けでアメジスト、ティリオン以外の生き残った将達が集められ、軍議を開いた。
テクリス
『我が軍は負けた。
だが敵はまだ攻めてこない。
城門は間に合わせでしかなく、強度も難ありと言った代物だ、多少の時間稼ぎを期待してたった今橋は破壊した。』
タンザナイト
『だが我が軍は包囲下にあると言う事は我らは兵糧攻めに遭うと言う事。
我らだけでなく、この都には大勢の民衆が居る。
敵の攻囲が続く間、彼らを食わせ、我らの腹を満たす分の食糧はいくら都といえど無い。』
ドワーフ将軍
『あんな種族の面汚し共に飯などやる必要など有りませぬ‼︎
我らのみが着服すれば敵の攻囲に耐えられます‼︎』
エレゼン将軍
『左様、そもそも彼奴等は敵に通じているやも知れんのです。
この際吐かせるまで手当たり次第首を刎ねてやりましょうぞ‼︎』
諸将
『そうだそうだ‼︎
やってしまえ‼︎‼︎』
テクリスは杖を地面に打ち付け威圧する。
テクリスの氷のような眼は見る者の心を貫く。
興奮した諸将達は一斉に黙り込み座った。
タンザナイト
『一先ず、通信は使えないが伝書鳩は使える。
帝都に先程事の次第を伝えた。
エオルゼア側に兵を送らずに済むようになった今、ある程度の余力はある筈だ。
一万、いや八千程で良いから援軍を送ってもらえないかと認めた。
彼らが来れば何とか打って出て、撃滅は出来なくとも撤退させる事は叶うだろう。』
すると軍議中に一人の客が現れた。
エレゼン族の医師だった。
医師はテクリスに耳打ちするとテクリスは顔が真っ青になり天幕を医師と一緒に出ていった。
タンザナイトは察し、エレゼン族の将の退席を許した。
エレゼン族の将達も大慌てで二人の後を追った。
タンザナイトの後ろに立ち軍議を聞いていた暁はタンザナイトのこぼした愚痴を聞いた。
タンザナイト
『どうすれば良いのです…父上。』
テクリスが付くと息を引き取りそうなオリオンが居た。
そのすぐ後にティリオンも入ってきた。
ティリオン
『父上‼︎』
テクリス
『父上…。』
オリオン
『二人ともよく聞け…。
お前達にエレゼンの、アスールの未来を託す。
この内乱が終われば女帝陛下が約束された領地に我らの都を打ち立てよ。
その為にまずこの戦に勝て!
必ず。』
ティリオン
『ははっ。』
テクリス
『ははっ。』
オリオン
『ティリオン、お主は余りにもアスールの男過ぎる。
自意識過剰、高慢な態度は他の顰蹙を買うばかりか手を携えねばならぬ時それは弊害となる。
高名なアスールと言えど世界の一部、上には上が居る。
そのことを弁え、驕ることなきよう王として務めを果たせ。
テクリス。
其方は、少し人の心を知れ。
正論では世の中は回らぬ、腹立たしいがな。
余人の心を知り、寄り添う事を覚えよ。
お主の知恵、ホエスの知恵は万人の物。
兄の為、民の為に尽くせ。
その曇りなき聡明な目はいずれ必ず世界に渦巻く陰謀から帝国を救うだろう。』
痛みに呻きオリオンは苦痛の表情を浮かべる。
そして目の光は失い、もはや半分も開ける事が出来ない眼には、フィリップ王、ジギスムント帝、そしてアイアンロックが写っていた。
オリオン
『フィリップ様…陛下、今、アイアンロックと共に参ります…。
カムイ殿、ジャン殿、お先に………。』
アセル・ローレンの王オリオン逝去。
この日、ドワーフとエレゼンの王を同時に失った。
帝都には即日文が鳩によって届けられ、この訃報を知ったが、戦場に向かっていたタジムニウス、セレーネらがこの事を知ったのはドラッケンホフが陥落してから3日後の事であった。
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夜になってテクリス、タンザナイト、そひて暁の面々は遅めの夕食をとっていた。
ティリオン、アメジストは拒否してそれぞれの場所で一人になっている。
テクリス
『この状況を打開する為には我が兄ティリオンとアメジストがそれぞれ王と女王として我らを率いて貰わねばならぬとそちらのタンザナイト卿と意見が一致致しまして。』
タンザナイト
『ただ、我らから悲しみを閉まって立てとは言えず、そも掛けてやれる言葉が見つからず難儀しております。』
アルフィノ
『お気持ちはお察しします。
御両人ともお辛い中皆を引っ張っていく姿に感嘆を禁じ得ません。』
テクリス
『我が兄も、そしてアメジストも、俗に言う父さん子でして…。
取り乱すのも無理からぬ事…。』
タンザナイト
『だが立ち直って頂かねば困るのです。
それも早急に、敵が来る前ではなく、味方によって居場所を失う前に。』
アルフィノ
『…もしや。』
テクリス
『一部の者達は私とタンザナイト卿に王位を継がせようと画策している様なのです。』
タンザナイト
『我らは知恵や物を作り出す力はある。
だが、姉上やティリオン殿の様に皆を率いるカリスマは無い。』
テクリス
『父上達が望んだ王は兄者とアメリーなのだ、我らではなく。』
アリゼーはこの間沈黙していたが、遂に口を開く。
アリゼー
『ねぇ、あの二人を私達に任せて貰えないかしら。
悲しみが大きいのもそうだけど、1番心配なのわ。』
アルフィノ
『皆を率いるリーダーとしての不安、立ち直れるかは彼ら次第だけど、考えを変える機会を私達なら用意できるかも知れない、そう言う事だねアリゼー?』
アリゼー
『そう言う事、同じ事を経験した者、家族以外の者なら話せる事もある。
でも最後は貴方達が踏ん張って、信じて待っている姿を見せてほしいの。』
テクリス、タンザナイトは顔を見合わせ、微笑すると起立し深々と頭を下げた。
テクリス・タンザナイト
『どうか、我らの家族を宜しくお願いします。』
アルフィノ
『男は男同士、女は女同士が良いと言う、私はティリオン卿の元に向かうよ。』
アリゼー
『なら私がアメジスト卿ね。』
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ティリオンは木偶人形相手に剣技の訓練をしていた。
ドワーフの古防具を着せられた木偶は全て両断され、切断部は赤く発熱していた。
アルフィノ
『見事な剣技ですね。
私はどうも余り剣というのは使い慣れません。』
ティリオン
『もう少し成長すれば卿も使える様になる。
貴方も私と同じアスールなのだから。』
アルフィノ
『不死鳥王のお墨付きを戴けるなら安心だ。』
ティリオン
『やめてくれ、私は父のようにはなれん。
父が斬られるのも、叔父上が殺されるのも黙って見ているしか出来なかった。
それどころか怒りに駆られて正常な判断が出来ず多くの同胞を無駄に死なせてしまった。』
アルフィノ
『私は公子として、不死鳥王として失格だ。
と言うつもりでしたね?
そしてこうとも云うつもりだ、卿に私の気持ちが分かるものかと。
分かりますよ、私も同じ過ちをした。
私は自らの力を過信して利用されているとも知らず掛け替えのない者達を失ってしまった。
罪なき者達が死なしてしまった。
だが私は託された、燈を、信じてくれた人達が絶やすなと言ってくれた。』
ティリオンはアルフィノを見て驚いていた。
若干17の少年がここ迄大きく見えるのは歳不相応の重責と使命を持っていたからなのかと、彼をここまでにしたのは何なのかと。
アルフィノ
『貴方にも託された物があるはず、託してくれた人達が居る筈、信じて待ってくれている人達が居るはずです。』
そう言うとアルフィノは武器庫に置かれていたので持ち出した剣を引き抜くと木偶を斬りつけた。
鎧を着けていたわけではないが木偶は斬れず、切れ込みだけが入った。
アルフィノ
『獅子心王陛下(タジムニウス)からお前は剣を使える様にしておけと言われたのですが中々上達致しません、彼とは別に成長した所を見せたい人が居るのですが、これでは行けませんね。』
アルフィノは笑って肩を竦めてみせた。
ティリオン
『腰の使い方がなっておられぬ。
腕や剣の重みだけで斬るのでは無く、体全体を使って『迷い』や『恐れ』を断ち斬る様に‼︎』
スパァン‼︎と言う音を立てて木偶は斬れた。
そして別の物も切り裂いたのだとアルフィノは理解した。
______________________
アリゼーがアメジストを見つけた場所は王の玉座だった。
彼女は空の玉座を眺め、このだだっ広い広場に灯りも付けず立ち尽くしていた。
天窓の月明かりだけがホールを照らしていた。
アリゼーは魔法を唱えて火を灯す。
燭台は全て火が灯り、暖かい光と空気が大ホールに広がり出した。
アメジスト
『誰かと思ったよ。』
アリゼー
『山の男達の姉貴分がしょぼくれてちゃ締まらないわよ?』
アメジスト
『よしとくれ。
私はお父様が討ち取られたの見た瞬間何も出来なくなっちまったのさ。
ずっと居てくれる、いつか私に王位を譲る時も居てくれると思ってた。
そんなわけ無いのにね、でも私たちはお母様を早くに失った。
親としてもガレマール帝国に占領されていた時も守って、頼れる相手はお父様だけだったから。』
アリゼーは優しい顔で聞き続けた。
アメジスト
『それは他のドワーフも同じ、お父様だけは必ず救いが来ると信じ続けてみんなを励ました。
いつかブレトニアを救いに来る者が現れる。
それはきっと落ち延びた王子様だろうからきっとワシらの力を必要とするだろうし、その見返りとしてワシら鬱憤を晴らさせてくれるだろうからどんなにキツくとも今は耐えるんだ。
お父様はそう言ってみんなを励ましていた。
自分が1番奴らに酷いことされていたのにお構いなし。』
アメジストは溜息を吐いて続けた。
アメジスト
『そんなお父様の背中を見て育ったけど、何処かで私はそんなお父様の様にはなれないって何処かで思ってた。
そしてお父様が死んだ時、私は自分の無力さと目指す物を一気に失った事の喪失感に打ちひしがれてしまった。
あんた達とタンザナイトが居なかったらドワーフ達は私のせいで全滅するところだった。
私は弱い女よ、女なんて捨てたつもりだったのにね。』
アメジストの話を聞いていたアリゼーは皮袋を手渡す。
アメジストは皮袋を傾ける。
中身を数口飲み込んだ。
ドワーヴン・ビール、ドワーフ特製のビールである。
アリゼーはリンゴのジュースが入った皮袋を傾ける。
そして徐ろに話し始めた。
アリゼー
『背中ってね、追えば追う程、辿り着けない代物になってるんだそうよ。
私も追い掛けている背中があるけど、どんどんここ最近の出来事だけでも離されていく感じがするの。
そこでね、ふと気づいたのよ、どんなに頑張っても、私はあの人にはなれない。
その時はね、とても悔しかったし、泣きたかった。
当たり前よね、私はタジムンティス・フェデリウス、いやタジムニウス・ド・レオンクールじゃ無いんだから。』
アメジスト
『あんた…?』
アリゼー
『でもね、追い掛けたくて仕方が無かった。
彼の様な英雄になりたくて、私の理想のために…夢のために。
だから考えたの私なりに彼の背中を追うって。
個性の差で、私にしか出来ない事をやろうって。
当然そこからずっと上手くなんていかなかった。
友達も目の前で死なせてしまった。
救いたかった子も最初はうまく救えなかった、救えなかった命も沢山あった。
怖くてもう諦めたいとも思った、でも諦めたくなかった、私がそこで諦めても何も良いことがないし、それに癪じゃない?』
アリゼーはアメジストの前に駆け寄り目の前に立つ。
アリゼー
『責任とか使命とか、そんな堅苦しい事今は何も考えず貴女の本音を教えて、貴女は今何がしたいの?』
アメジスト
『私は…お父様の仇を取りたい‼︎』
アリゼー
『ならその為にがむしゃらになりなさいよ!
怖いだの何だの言っている暇なんて無いわよ‼︎』
アメジストは皮袋の中身を一気に飲み干した。
______________________
翌日、敵は城門の目の前まで迫っていた。
城門の前にはテクリスとタンザナイトの直属の兵と戦意を何とか保った兵が整列していた。
だがそれでも多くの兵が戦意を喪失し都に立て籠もってしまい、民草は恐れで打ち震えていた。
我が方一万弱に対し、初戦の失った兵力及び敵が失った兵力全てアンデットとして使役し当初の二倍近くに膨れ上がった吸血鬼教軍である。
エレゼン兵
『ご寝所や修練場を探し回りましたが、ティリオン様は見つかりません‼︎』
ドワーフ兵
『姫様も先程よりお姿が見えませぬ‼︎
如何なさいますか若‼︎』
テクリスとタンザナイトはルヴェユール兄妹を見る。
ルヴェユール兄妹は力強く頷く。
テクリスとタンザナイトは同じ様に頷きを返す。
タンザナイト
『必ず姉上は戻ってくる。
それまで決して敵を寄せ付けぬぞ!』
テクリス
『よし、槍兵は先頭に立て、槍衾を敷け、弓兵隊は後列で矢を番えろ、銃兵達は槍兵達の間に配置して射撃準備‼︎』
ドワーフ将軍
『お、おおお待ちください若。
戦うのですか⁉︎⁉︎』
タンザナイト
『では貴様は逃げろと言いたいのか?』
ドワーフ将軍
『い、いえ少なくとも都内に籠城して援軍が来るのをお待ちになれば宜しいかと。』
テクリス
『それまで敵が待つ事はない。
ここで食い止める。』
エレゼン将軍
『然し、現在の我らは全体三割、一万程しか居らず、相手は八万近くに膨れ上がっています。
とても勝負になりませぬ‼︎』
テクリス
『兄者達が縮こまった兵と奮い立たせて武装させた民衆を引き連れて戻ってくる。
それまでの辛抱だ。』
エレゼン将軍
『お言葉ながら御両人に最早期待するだけ無駄と存じます。
それでも尚お二人がそう信じる根拠をお聞かせください。』
テクリス・タンザナイト
『決まっている、家族だからだ‼︎』
そう言うと諸将達も納得、いや呆れたのか、兎も角もこれ以上口を挟まなかった。
タンザナイト
『配置につけェェ‼︎‼︎』
将兵
『オオオオオオオオオオオ‼︎‼︎』
______________________
その頃都で最も大きいホールの中に震え上がるドワーフの民衆と都に残った兵達がこの中に固まって身を寄せ合わせていた…。
灯りをつけずガタガタ震えて待つのみ…。
だが急に彼らの頭上を炎が飛んだ。
それはただの炎では無かった…正確には不死鳥の姿をした炎だった。
一声鳴くとその不死鳥は彼らの頭上を通り過ぎて、大広間の全ての燭台に火を灯すと何処かへ飛び去った。
一同が何だ何だと騒めいていると一人の民がホールの前に立つ人物に気がついた。
アメジストである。
アメジスト
『聞きな、アンタ(ドワーフ)達‼︎
私の声を、山の下の王アイアンロックの娘としてでは無く、ただの一人のドワーフ女としての私の声を!』
ドワーフ達はこの期に及んで何を言うのだと思った連中が大半であったが聞かないわけには行かない。
アメジスト
『アンタたちは恥ずかしくないのか?
アンタ達は強いれるのか??
これから産まれてくる子らに、子孫に‼︎
自分達は恐怖に屈した、屈したからお前達もそうしろと言えるのか‼︎
自分の子供達が手枷に繋がれる姿を見て良しと思えるのか‼︎‼︎』
ドワーフ達はグッと胸を締め付けられた、そしてアメジストを見た。
その目は決して納得していないという目だ。
アメジスト
『そうだろう、アンタ達は決して納得していない‼︎
だが、このままじゃそう言う結末を辿る、いや今度こそ皆殺しも有るだろう!
怖いのも分かる、私だって怖い。
目の前で父の首が跳ね飛ばされた時、私はここで死ぬと思った。
だが生きている、それは何故か。
良いかい、私達は常に一人じゃない、常に盟友と父祖の霊が守ってくれている。
そして、カラク=エイト=ピークは今こうして立っている‼︎
我が父よ、我が母よ、我が兄弟、姉妹達よ、我が子らよ、今こそ戦う時なのだ、父祖に子孫に恥ずかしくない生き方を選ぶ時が来たのだ。
生きるという事は戦う事なのだ、ならば我らは生まれ出た時より生粋の鍛治士であり戦士、これ以上何を恐れる‼︎』
ドワーフ達に火が灯り始めていた。
炉に火が焚べられたのだ。
アメジスト
『立てダーヴィ達よ‼︎
我らの帝国を取り戻す時が来た、出陣だ数十万の我が精兵達よ‼︎‼︎
我らのダーヴィは借りを返す、我らを侮った事後悔させてやろうぞ‼︎‼︎』
ドワーフの民衆
『ウオオオオオオオオオオオオオオオ‼︎‼︎』
アメジスト
『我らの都を取り戻す‼︎
ダーヴィの都を穢され、怒り狂わぬ者はここには居らぬ‼︎
皆武器庫に走れ‼︎
武器と鎧を身につけよ、無ければ其方の使い慣れたツルハシやスコップを持て、我らダーヴィにはそれだけで十分だ‼︎‼︎
我らの父祖と子孫に懸けて‼︎‼︎
ガズキ・ガズキ・バァー‼︎‼︎‼︎‼︎(ドワーフの鬨の声)』
ドワーフの民衆
『『『ガズキ・ガズキ・バァー‼︎‼︎‼︎‼︎‼︎‼︎‼︎』』』
______________________
その頃、都の中で残ったエレゼン兵達はドワーフ達が遂に自分達に牙を向くのでは無いかと気が気では無くなっていた。
だがそこに兵達に通信が走る。
都内に残った兵達は全て中央広場に集結せよという者だった。
遂にドワーフの奴隷達が牙を向いた、そう思った兵達は走る。
だがそこにはドワーフは居ない、その代わり待っていたのはティリオンだった。
ティリオン
『来たか、お前達。』
エレゼン兵
『ティリオン様、コレは一体。』
ティリオン
『私が貴君らを呼んだ。
私も貴君らもここで時間を潰している暇はない。』
エレゼン兵
『はい、だから我らはドワーフの捕虜の鎮圧に』
ティリオン
『違う、我らが武を向けるべき相手は外だ。』
エレゼン兵
『お言葉ですが、公子。
今の我らに彼奴等と戦って勝てる見込みが万に一つにも有りましょうや?』
エレゼン兵
『我らはオリオン様を失いました…。
我らに奴らを倒せる力など有りません…。』
ティリオン
『愚か者!』
エレゼン兵達は一喝され身を竦めた。
それはまるでオリオンに一喝されたように感じたからだ。
ティリオン
『父上の遺言を聞かなかったのか‼︎
父上はウルサーンの復興を望まれた、この戦に勝てとは申さなかった。
ならば逃げろと言ったのか?
否、父上はこう申したのだ、先ずこの戦に勝ち、勝利の栄光を以て、我らが悲願成就の狼煙とせよと‼︎』
兵達はウルサーン復興という言葉に皆顔を上げた。
ティリオン
『我らアスールが、ハイエルフが一度たりとて敗北の上に栄光を上塗りした事があったか?
虚栄の上に我らの威光を輝かせた事が一度たりとてあったか??』
兵達は否、否と応えたがその声はあまりにもか細かった。
ティリオンは怒りに震え、身から炎を湧き立たせ、大剣を引き抜き、地面に突き刺した。
そして遥かに大声で再び問うた。
ティリオン
『如何に‼︎‼︎』
エレゼン兵達
『否。』
ティリオン
『如何に‼︎‼︎‼︎』
エレゼン兵達
『否!』
ティリオン
『如何に‼︎‼︎‼︎‼︎』
エレゼン兵達
『否‼︎否‼︎‼︎否ぁぁ‼︎‼︎‼︎‼︎』
ティリオン
『ならば覚悟を決めよ!
どのみちこの戦いに勝たねば我らは悉く討ち死に、悲願など達せられぬ。
我らはコレより敵中に突撃し一挙に敵将を討ち取る‼︎‼︎
皆、唯、我が向かう所だけを見よ‼︎‼︎』
エレゼン兵達
『オオオオオオオオオオオ‼︎‼︎‼︎』
______________________
その頃、外ではタンザナイトとテクリスに率いられた兵達が城門の前に展開し、敵を待ち構えていた。
敵は死者、生者の混成軍、果てはその先頭にはオーガ族の傭兵まで居るではないか。
角笛が鳴り、全軍前進の号令が発せられ、敵はジリジリと寄ってきた。
するとドワーフとエレゼン族の角笛が鳴り響いた。
敵は、足を止め、味方は皆後ろの城門を見た。
すると城門がバラバラに叩き壊された。
城門前に備え付けられた大鐘が城門を破壊したのだ。
そしてその瓦礫の上を疾走するアメジストとティリオン、そしてその背後には士気を取り戻したアスール軍、そしてドワーフの民衆達が鬨の声を上げながら後に続いた。
正にアスールとドワーフの丁度真ん中を突っ切るように走る。
テクリスとタンザナイトはすかさず叫ぶ。
テクリス
『不死鳥王(王)の下へ‼︎‼︎』
タンザナイト
『山の下の王(王)の下へ‼︎‼︎』
城門の前に居た兵達はより一層奮い立ち、王の後を追う。
アメジスト
『ドゥー・ベーカー‼︎‼︎(突撃)』
ティリオン
『アスロリアン・チャージ‼︎‼︎(突撃)』
期せずして紡錘陣となった一軍は敵の戦列を貫いた。
アメジストの大斧、タンザナイトの大槌、ティリオンの大剣、テクリスの杖が光る。
光る度に敵は倒れ、味方は前に進んだ。
そしてその後ろに更に続く一団があった。
アルフィノ達もまたドワーフ以外の捕虜達を奮い立たせていたのだ。
アリゼー
『やられっぱなしで故郷に帰れるわけ無いわよね、行くわよ‼︎‼︎』
異国の捕虜
『オオオオオオオオオオオ‼︎‼︎』
かくして味方と敵の戦力差は一気に覆った。
味方は大半が暴徒になった訳だが、この際は良いだろう。
ドワーフとアスールの四人が目指すのはそれぞれの父の仇。
それを分かっているのか二体のワイトキングも挑発するかのように彼らの前に出た。
乾いた骨の音を鳴らし笑う。
それはまるで貴様らの父親の何と弱い事か、貴様らはその足元に及ばぬだろうから一振りで死体を晒すのだろうと言いたげだった。
四人と二人、いや二体が打ち合う。
聖者と死者が切り結ぶ中その周りでは聖者と死者の兵士達が死力を尽くして戦っていた。
然しこの骸骨の王は強く、若き王族達の攻撃を防ぎきっていた。
四人は疲労が蓄積されていた。
相手は完全に朽ちた骸骨であり、魔力、エーテルによって動く存在であり疲労だなんだなどお構いなしなのだ。
怒号と、砲声、爆音の中、四人は意識を集中した。
もはや一撃に全てを託すしか無かった。
それ程までにこの四人の疲労は蓄積されていたのだ。
ワイドキングは嘲笑うかのようにゆっくりと近づいている。
先に動いたのはドワーフの兄妹だ。
タンザナイトが大槌を振りかぶり、ワイトキング目掛けて叩き落とす。
タンザナイト
『我が大槌は大地を穿つ、ガイアブレイク‼︎』
然しこれは躱されてしまった。
だがこれは狙い通りだった。
大槌が振り下ろされた辺りから地面が隆起した。
ワイドキングは足場を失い後ろに姿勢を崩す。
そこに大きく飛び上がり大斧を振り下ろそうとしたアメジストがいた。
アメジスト
『これで終わりだ骸骨野郎‼︎‼︎
幾千幾万と増える刃、我が斧の前に立ち塞がる者無し‼︎
ミストラルエッジ‼︎‼︎』
振り下ろされる斧と同時に無数の斧の刃の形をした鎌鼬が無数にワイドキングに突き刺さる。
ワイトキングの片割れは原型を留めぬ程細切れになって霧散した。
それと同時にアスールの兄弟もまた渾身の一撃を叩き込んでいた。
テクリスの杖から竜巻が現れそれはワイトキングを囲んだ。
テクリス
『大いなる風の怒りを侮し者、虚無への旅路へ旅立ち、霞も残ることは無い。
大地より追放せしめんとする風の意志を思い知れ、アスローリエン・トルネード‼︎‼︎』
竜巻はワイトキングを浮かせ、大きく天に打ち上げた。
ワイトキングは錐揉みになりながら抗う。
だが同時に巻き上げられた石ころ達が石礫の如く竜巻の中を飛び交い、骸骨の王を襲う。
そしてその竜巻の外から自身を追う不死鳥に気がついた。
ティリオン
『我らアスールの幾星霜に掛けて鍛え上げられた武の技、それは我らの敵を打ち祓いし神の御技。
我が修練の果てにある剣技を喰らえ‼︎
ソニックブレイブ‼︎‼︎』
ティリオンが大剣を横に大きく斬り払う。
すると斬撃が音速となってワイトキング目掛けて飛んできた。
そしてティリオンが持つ大剣は古の帝国、ロサーンより受け継がれし太陽から作り出したと言われる宝剣サンファングは燃え盛る大剣、その燃え盛る大剣から放たれた飛ぶ斬撃は燃えていた。
完全に両断するなど敵わぬと思わせる時が経てもなお劣化せぬ古代の鎧を完全に寸断し、ワイトキングは胴と足に分たれた。
そしてそれぞれが発火し紅蓮の炎に包まれた。
テクリスの隣りにティリオンが舞い降りると共に、古代の人骨を燃やし尽くした火の粉が兄弟の周りに舞っていた。
ハイドリッヒ・ケムラーは驚きを隠せなかった。
ケムラー
『ば、馬鹿な⁉︎
二体ともかつてその武勇で謳われた王達だぞ。
それを二体とも…。
やはりドワーフとロサーンのエレゼン達は目障りよのぉ…。
二十五年前に奴らを更に弱体化させられていれば…。
まぁ、良いわ。
時間稼ぎは済んだ、総大主教猊下とあのお方が待つミドンランドまで飛ぶとするか。』
転移魔法テレポでこの場を去ろうとするケムラーだったが突如放たれた火焔弾でそれは阻まれた。
ケムラー
『ぬぅ⁉︎
何奴、ワシの邪魔をするとは!』
アリゼー
『アンタを逃すと思ってるの?
聞きたい事が山程あるんだからね!』
ケムラー
『お前達か、ブレトニアの小僧とくっついてきた異邦人は。
面白い、お主達なかなか良い素材になりそうだ。
デミ・ヴァンパイアか、ワイトキングかワイトクイーンにしてやろう‼︎』
グ・ラハ
『骸骨なんて真っ平ごめんだ‼︎』
グ・ラハは剣で斬りかかるがケムラーもまた腰に佩いた剣を引き抜き防ぐ。
アリゼーが反対方向から突撃するも杖で防御魔法を繰り出し弾き返した。
かつてこの男もまた王国魔法修道院(ブレトニア王国カルカソンヌ公爵領に立てられた魔法学校、修道院とついているのはかつて魔法を学べたのが泉の聖女の侍女として選ばれた身分問わず魔法の素質のある女性か、聖職者のみであったことから修道院として建てられたことの名残り。
現在は身分問わず魔法の素質のある若い男女のみが学べる学院として機能している。
然し、依然他国に比べれば魔法修学の自由は無いに等しい)で学んだ一流の魔法使いである。
自身の身を守るための剣技と多彩の魔法を使いこなし、賢人達と渡り合った。
高い魔力の素質と武勇、そして経験と若さを持つ賢人達に比べ若さだけは持ち合わせない老人のケムラーが四人をまとめて相手に出来ているのは禁忌の黒魔術死霊術を研鑽の賜物であり、凄まじい力を持っているからだった。
やがてそれは人間の寿命すら超越すると言われており、ケムラーはこの四人の賢人の年齢を足して、更に10年近く生きているが見た目が40〜50代で止まっている。
ケムラー
『ちょこざいな小僧と小娘どもよ、まずはそこの黒魔道士の女貴様からだ。
我が呪文は痛みの具現、ワード・オブ・ペイン‼︎』
ケムラーから放たれた紫色の光弾がヤ・シュトラが張った結界をいとも簡単に貫き、ヤ・シュトラに当たる
ヤ・シュトラ
『ああああ‼︎‼︎』
アルフィノ
『ヤ・シュトラ‼︎‼︎』
ケムラー
『ほぉ…運がいい…いや防御魔法の使い方が分かっているな女。
完全に防ぐ事は出来なかったとはいえ、威力を弱めるとはなぁ。
ワシの魔法をもろに喰らっていたら今頃胴体は消し飛び、頭と四肢が転がっていた事じゃろうて。』
グ・ラハ
『このォォォ‼︎‼︎』
グ・ラハが更に斬りかかる。
数合撃ち合うが、ケムラーの杖より放たれた衝撃魔法を打ち据えられ地面に叩きつけられてしまった。
グ・ラハ
『かはッ…⁉︎』
アリゼー
『ラハ‼︎』
ヤ・シュトラ、グ・ラハが倒され、残るはアルフィノ、アリゼーのみとなった。
ケムラー
『フハハハ、さぁどうする小童共。
お主らにワシを殺せるかのぉぉ?』
アリゼー
『その減らず口を切り落としてやるわ‼︎‼︎』
アリゼーがレイピアを突き入れる。
だがケムラーもまた応戦する。十数合打ち合った。
傍らでアルフィノが魔法で支援攻撃を繰り出したりカーバンクルを嗾けているにも関わらず秀才死霊術士はビクともしない。
そしてケムラーは口を閉ざしたまま何か詠唱すると黒っぽい紫色の魔力で出来た巨大な手が2本現れ一方でアリゼーを掴んだ。
アリゼーを助け出そうとカーバンクルが突撃するがそちらはもう一方の手に掴まれそのまま握りつぶされ元のエーテルに戻り霧散してしまった。
ケムラー
『小僧、貴様の妹か姉か…恐らく妹だろうな。
その妹が握り潰されて死ぬ様を見せてやろう。』
アリゼーは踠く、だが魔の手から逃れる術など無し、ミシ…ミシ…と身体が悲鳴を上げる。
アリゼー
『アル…フィノ…助け…あああああああ‼︎‼︎』
アリゼーの悲鳴がアルフィノに突き刺さる。
万策尽きた…どうすれば…どうすれば…。
ふとアルフィノは腰に佩いた剣に手を当てた。
話は少し遡る。
______________________
ティリオン
『アルフィノ殿、少し待たれよ。』
出撃間近の時にアルフィノはティリオンに呼ばれていた。
ティリオン
『これを貸しておこう。
お守り代わりに持っていってください。
私も貴殿の歳くらいに持っていた。』
それは一振りの剣だった。
アスール伝統の細工が施され、高貴な者が持っていたものと分かる代物だった。
アルフィノ
『これは?』
ティリオン
『我らアスールに伝わる冒険王フィヌバールが持っていた宝剣です。
これを持つ者は勇気と加護が備わり、力が溢れると伝わっております。』
アルフィノ
『そんな大事な物を私に貸して頂けるのですか⁉︎』
ティリオン
『大事だからだ。
私は貴方に救われた。
この戦いで万が一にもあなたを失うような事が合ってはならない、だからこそこの剣を持っていてもらいたいのだ。
フィヌバール王も王になる前はしがない船乗りだった。
だがフィヌバールは仲間と船を守る為慣れない剣を振るい族を退けた、以来その剣を持つと剣を使った事のない者でも十分に振るう事が出来るとされている。
それを抜かなくて済めばいいが、もしもの時はそれを振るうと宜しい。』
______________________
そして正にその時が来たのだ。
アルフィノは剣を引き抜こうとした。
そしてその時そっと剣に語り掛けた。
アルフィノ
『どうか力を貸してくれ…。
懸け替えのない物を守る為に。』
すると答える様に剣はゆっくりと抜けていった。
白色の光を放つ剣を見たケムラーは驚きを隠せなかった。
ケムラー
『何と…その剣は古代の魔法で鍛えられているのか…。』
アルフィノは剣を正眼に構えると掛け声と共に突き入れた。
咄嗟に避けたケムラーは杖で弾く、然し弾かれた勢いそのまま剣は懐に入り込みケムラーの杖を持つ左手を両断したのだ。
ケムラー
『ヌオオオオオオ⁉︎⁉︎』
アルフィノがそこまで剣の腕が立つ訳ではない。
これも剣に宿る冒険王フィヌバールの魂の賜物だが、その魂に力を貸し与えさせたアルフィノの決意をまた誇り高いものであった。
ケムラー
『おのれ小童が…だがワシはここで死なん。
ワシには死霊術を完成させる役目が…ッ‼︎』
ケムラーの後頭部から何かが突き出てきた。
それはクロスボウのボルトだった。
脳天を射抜かれたケムラーはそのまま絶命し、倒れた。
アルフィノが撃ったであろう人影を見るもその人影はもう既に転移した後であった。
アルフィノはすぐにアリゼーの元に走り寄る。
幸い一命は取り留めた様だが酷い怪我だ。
その後すぐにワイドキングを退けたティリオン・テクリスの兄弟とアメジスト・タンザナイトの兄妹が駆けつけた。
テクリスが他の二人に回復魔法を唱えて、何とか大事に至る事は無かった。
アメジストはケムラーの死骸を見つけると斧で首を寸断した。
アメジスト
『どんな形であれ、総大将は死んだ。
この戦は私たちの勝ちだ‼︎』
アメジストは首を掲げてみせ、勝ち鬨を上げた。
それに呼応しまだ戦っていた味方も鬨の声をあげる。
カラク=エイト=ピークの戦いは辛くもドワーフ・アスールの連合軍の勝利で幕を閉じた。
残った教徒達は全員が捕虜無いしは最期まで抵抗し玉砕した。
この戦いでドワーフとアスールは王を失った。
だが、跡を継いだ子供達が王として立ち上がり、同胞を率いて勝利へと導いた。
この日より再び山の下の王はダーヴィ(ドワーフ)の先頭に立ち、不死鳥王はアスールを導く灯火となるのだ。
第七星歴元年の秋の終わり頃の事である…。
オマケ…
ブレトニア王国軍・ライクランド帝国軍の編成をff14のジョブを基準にした一覧表第一弾(一部筆者のイメージ、モチーフになった作品の設定を含みます。)
『近接歩兵』
槍兵(槍術士LV1〜40相当)
基本的な歩兵、正にスタンダード。
武装は短槍か大楯、ないしは長槍を持つ。
悪くいえば雑兵枠なのでレベル換算これぐらいかなという位置付けにしました。
レベルが高くなる程熟練兵になるイメージです。
因みにブレトニア王国軍の歩兵は半分が徴兵された農民兵なのに対しライクランド帝国軍は末端に至るまで全て職業軍人です。
(元ネタwarhammerではブレトニアの歩兵は完全に農民軍でそれ故に全勢力最弱の歩兵と言われています。騎兵が来るまでの囮、壁役、兵士は畑で取れるって奴だね⭐︎)
装備に差異が有り、ブレトニアの歩兵はホーバーグに更にその上に厚めのレザーアーマーを装備する、いわゆる全身を纏うのに対し、ライクランド帝国軍の歩兵はヘルムとキュイラスのみ付けて後は軍服という簡素な物になっているが、これはライクランド帝国軍の歩兵が軽装と重装に分かれているからで有り、後述する重装歩兵は騎士ではないが全身フルプレート装備で有る。
剣兵(剣術士LV1〜40)
白兵戦のメインを担当する連中。
剣と盾を装備する。
その他諸々は槍兵と一緒。
ハルバーディア(ハルバード)・キザルメ兵(槍術士1〜40)
槍兵のハルバード、キザルメ装備バージョン。
ライクランド帝国軍においては通常の槍兵よりもこのハルバード兵が主力を担う。重装歩兵に至ってはオマケに大楯も装備するので歩兵騎兵なんでもブっ刺してみせらぁの大活躍をする。
ブレトニア王国軍歩兵はキザルメを装備している。
ブレトニア王国軍おいてはキザルメを持つのは一般兵、ハルバードを持つのは徒歩騎士と言われている。
後の詳細は一緒。
弓兵・クラスボウ兵(弓術士LV1〜50)
戦場における投射兵部隊のスタンダード。
ブレトニア、ライクランド双方で編成されている。
ブレトニア王国軍弓兵隊は他国にも名を馳せており、農民弓兵が他国の弓兵を凌ぐという事態を引き起こす事が多々有るのだが、それは狩りなどに使い慣れている事や、騎士の突撃を助ける為に矢の雨を降らせるのはブレトニアの数星暦にも及ぶ基本戦術で有り、弓兵の育成に余念が無いからという理由がある。
物理的な理由としては通常の矢やボルトだけでなく、疱瘡矢や火矢、毒が塗られたボルトに火薬付きボルトなど状況に合わせて放つ矢弾を変えて戦況に変化をもたらせてるからで有る。
銃兵(機甲士LV30〜50)
読んで字の如く銃を装備した歩兵。
彼らは他種の兵とは違い、軍服のみの姿をしている事が多い。
ブレトニアは青のコートに白ズボンに黒長靴、シャコー帽という出立ちであり、ライクランド帝国軍は赤と白の軍服、ファーベレー帽という出立ちである。
姿的には火打石式先込め銃を装備してそうな出立ちだが、彼らの基本的な武装はボルトアクションライフル(元ネタwarhammerでは火打石式先込め銃、尚ブレトニアに銃兵は居ない)と銃剣を装備しており、古臭いのは見た目だけで有り、武装は同等、無いしはそれ以上、運用、戦術に於いては世界最先端を自負している(尚ガレマールも主張しており双方の歴史家は一切譲歩しないという。)
『筆者は最初それこそマスケットにしようと思っていましたがエオルゼアにおいて多少なりと連射する銃が機甲士の装備になっている様な状況なのにマスケットは些かどうなのだという判断や、元ネタwarhammerに於いてもドワーフを除けば最も火器で武装した勢力であるエンパイアが他国に遅れを取るというのもリスペクトの観点でこれも忌避しなければと思ったので、服装はそのまま武器だけは進化させました(笑)』
突撃兵(銃兵)
軽装の鎧を身につけた銃兵。
頭部、胸部のみ装甲化しており敵陣への強行突破の際に他の白兵戦歩兵と混じって発砲しながら突撃する。
武装はライクランド帝国軍は六連装リボルビングリピーターライフル、ブレトニア王国軍はレバーアクションリピーターライフルで有る。
彼ら突撃兵が塹壕戦では使いにくく、伏せ撃ちがしにくいリピーター銃を使うのは、彼等が守戦の為の兵ではなく攻撃戦の為の兵で有ることを明確にしているためと言われている。
『本作品オリジナルの兵士達です。
六連装リボルビングリピーターライフルは元ネタwarhammerにもあり、竜騎兵ユニットとして存在していますが歩兵としてユニット化されておらず歩兵部隊に関してはオリジナルです。
ブレトニアに関しては完全オリジナルです、あの国にレバーアクションとかあったら正にオーパーツ扱いです。』
徒歩騎士・徒歩従士(剣術士・斧術士・暗黒騎士・槍術士LV40〜65)
徒歩で戦う騎士とその見習い。
彼らは主君と共に歩兵として戦う騎士で有り、ブレトニア王国においてはやはり他国に見劣りする歩兵戦力を何とか一流陸軍の地位を保ち続ける重要戦略で有る。
白兵戦に熟達した彼らは敵軍歩兵を切り刻みながら突撃したり、敵の進撃を跳ね除ける正に生きた城壁なので有る。
騎士はコート・オブ・プレート、徒歩従士はホーバーグで身を包み、剣や盾、大剣、片手斧、両手斧、ハルバードで武装している。
『元ネタwarhammerではブレトニアに於いて徒歩騎士は存在せず、全て騎乗した騎士になります。徒歩従士は強力ですが、完全な汎用歩兵としては機能しづらく、やはり騎兵が来るまでの時間稼ぎにしかなりません。』
騎士(騎乗)(LV40〜70)
騎乗した騎士。
彼らは皆、馬上槍と盾、剣や片手斧、片手槌を装備している。
ブレトニア騎士の突撃は如何なるものを粉砕すると謳われており実際彼らの突撃は幾多の尸と亡国を生み出していた。
ガレマール戦に於いても騎士のランスが魔導アーマー越しに乗り手を貫くというのはよく有る光景で有り、純粋な騎馬戦に於いては勝てるのはライクランド帝国軍騎士団かキスレフ有翼騎兵軍団、東方オサードの騎馬民族軍団くらいしか居ないとされている。
ライクランド帝国軍の騎士団はそれには劣るものの完全に訓練された軍馬とそれを守る重装甲に身を包んだ騎馬の突撃はやはり脅威で有り、戦果を重ねていた。
帝国軍、王国軍共に、馬の他にもペガサスやグリフォン、ピポグリフ、そしてデミグリフに騎乗する騎士団がいくつか有り、取り分けグリフォン、ピポグリフは限られた騎士、しかも手懐けるだけのそれ相応の実力を持った騎士しか騎乗出来ず、大概が騎士団総長、軍団指揮官、少数精鋭騎士団レベルにとどまる。