今作が二次創作での初投稿作品となりますが、よろしくお願いします。
俺は
というのも俺にとってリアルもとい現実はなかなか窮屈に感じるもので、それなりに満たされているはずなのになぜか物足りなさを覚える。その事に対して色々思うところがあるものだ。
だが、サブカルチャー物はそうではない。あくまで自分はその物語を見届ける視聴者あるいはプレイヤーでしかないけれど、だいたい物語の中では主人公に立ちふさがるなにかで何かしらの困難や苦労が起こる。でも、そんな問題事を乗り越えて更に前に進んでいく。そんな姿や描写に自分の中で何かこう打ち震えるような感動を覚えてしまうものだ。
そんな感覚を味わうことが好きだから、今でもサブカルチャー物を好む野郎になったのかもしれないなって思う。
だからなのか
ふと考えてしまう
もし自分が
物語の主人公のような生き方が出来るのなら、それはきっと楽しいことなのかもしれない
なんて
「って、不味い不味い。早く準備していかなくちゃ」
俺は、イベントに向かうため家を飛び出した。
ちなみに俺は大学生になることをきっかけに育て親の元から離れて一人暮らしを始めたばかりだから、家には誰もいないのである。
彼の先ほど呟いた言葉はただの叶う事のない願望なのかもしれない。
ありもしない幻想のような物かもしれない。
しかし
「――」
日の当たらない場所で、そんな彼の姿を見ている
そう遠くない未来で彼の望みが図らずにも叶ってしまうことになるのをこの時の彼には知る由もないのである。
たとえ、本人が本当に望んでいなかったとしても……
イベント会場に向かうため交通機関に乗りこんで、特にこれいった問題もなく会場近くの場所までたどり着いた。
強いて言えば、今日は風がちょっと強いなってくらいだ。
「と言って、なんか起こったら起こったでそれはどうなんだって気もするけどねぇ」
なんて一人で愚痴りながら、会場まで歩いていると――
――意外なほど強い風が吹いてきた。
「っ」
思わず目に何かが入らないように身構えてしまったが、それはすぐに収まった。
「思ったよりも風が強いなっ……て!?」
ちょっとどころではない強風から解放されたと思ったら、俺の顔面になにかが貼りつくように飛んできた。
「~~~!? なんだ?」
手に取ってそれを見てみると
「紙? いや札かな」
なんか神社や寺でみるお札のような物だった。といっても見た感じはアニメやゲームでみる霊能力者が使用する符にもみえるくらい丈夫そうな紙だなという印象だ。
……まあ、実物の札はどんな感じか分からないから何となくという感じでみてるのはあるが。
「どっから飛んできたんだ?」
とりあえず周辺をきょろきょろしていると。
「あ……あの、すみません」
「ん?」
声をかけられた方向に向くと、そこには長い黒髪をたなびかせながらこちらを見つめている美少女がそこにいた。そんな人を見て、まず思ったことは『なんだこの人、結構可愛いな』だった。
黒色の目に髪は風があるからはっきり分からないが、ロングではなくセミロング?みたいな感じがして、見た目は俺と同年齢でなんだかおとなしそうな印象を受ける。
……恰好がどこかのゲームやアニメにありそうな霊能力者みたいな感じがするけど、多分コスプレイヤーか何かなんだろう。
スタイルもいいし
「………」
「あの、大丈夫ですか? 私に何か?」
しまった。黙って見過ぎた。彼女の用は多分飛んできた札の方だろう。
「いや、大丈夫だ。問題ない。ただ美人なコスプレイヤーに話しかけられたのは初めてでちょっと緊張しちゃって」
「こすぷれいやー?」
黒髪の美少女がきょとんとした感じでこちらを見る。
「えっと……それよりもこれ。多分あんたのだろ……だから、はい」
何とも言えない微妙な空気を払拭するかのように、さっき飛んできた札を彼女に差し出す。
「あ、ありがとうございます。……よかった」
俺の持っている札に気づいた黒髪の子は俺から受け取るとそれを大事そうに握りしめていた。どうやら大切なものだったらしい。
「じゃ、じゃあ俺はこれで」
用は済んだということで立ち去ろうとするが……
「あ、ちょっと待ってください」
なぜか呼び止められる。
「あの、拾ってくれたお礼をしたいのですが」
「いやいや、偶然こっちに飛んできただけだし、お礼なんて大丈夫ですよ」
実際にそうだし、このくらいはお礼を貰うほどの事でもない。少なくとも俺はそう思う。
「! では私があなたを占ってあげます……まあ、見習いみたいなものですけど」
「占い?」
正直、俺はあまり占いを信じるタイプじゃないが……そう考えながら彼女の方を見ていると
「どう……でしょうか?」
思い付きの提案なのかそれとも俺が渋っているせいなのかどこか不安そうな感じでこちらを見つめる黒髪の美少女……ではなく占い師(自称)の美少女がいた。
何となくどこか
「わかりました。機会があれば寄ってみます」
彼女のお礼を受け取ることにした。美人のお礼は断るのはなんか勿体無いし、こんな大人しそうな子なら厄介事なんて起こらないだろう……多分。
「! ありがとうございます。これが私の占っている場所の地図です」
そう言って、占い師(仮)から地図(さっきの札並みの大きさの)を貰ったが
「……なんか思ったよりも古臭いですね」
「あはは……実は私、最近田舎から出たばかりなもので……」
思わず呟いた感想に少しバツが悪そうに視線が明後日の方向に向き始めた目の前の少女。
「はあ」
そういうものか? という気がするが、この貰った地図。なんかネットとかで作成した物ならではの感じ(なんか全体的に色鮮やかできれいに描かれている)じゃなくて、手書きで作成した感100%な感じ(黒色統一で描かれている)の印象だった。
まあ、大まかには分かるし、意外にも字や絵が綺麗だから問題はないが、田舎でも今の時代の流れにここまで着いてきていない地域があるものだろうかという疑問が出てくる。
でも
「田舎ね……まあ、そういうもんなのかな」
「そ……そうですよ」
今、ほんのわずかに占い師(仮)の表情が晴れたような?
安堵したように見えたような?
気のせいかもしれないが
「それじゃ、今度こそ俺はこれで」
「あ、はい。では、また」
占い師(仮)の少女と別れ、今度こそ俺は本来の目的地(イベント)へ向かう。美人なうえ初対面の相手だったのに、思ったよりも話せた気がするな。
俺の今までの人生の中で最も話せたと思う。今までの俺なら美人と話していても何故か緊張しちゃって上手く話せなかったことも少なくなかったので自身の意外な進歩に内心驚いている。
……彼女のどこか不慣れそうな雰囲気がそうさせたのかもしれない。それにしても
「あの子、可愛かったなー」
なんて愚痴ってしまう。……ちょっと風変わりな子だったけど。
今度会えたら、名前でも聞いてみようかなと思いながら、俺はイベントへの気持ちに切り替えていったのだった。
「ふう、ここまでは何とかなりましたね」
とはいえ、来てくれるかどうか。いや、それ以前に信じてくれるかどうか。傍から見れば与太話だと思われても仕方ないことだと思うからだ。
だが、このままにしておけば彼の運命は死に繋がってしまう。ほぼ間違いなく。その結果、この世界も私たちの世界にもとても看過できない状況に陥ってしまう。
正確には彼に目を付けている
本来ならこちらの世界の問題事に他所の世界の人間を巻き込むものではないし、その存在だって私の本来の能力をフルに使えれば密かにかたをつけて彼が何も知らないまま何気ない日常を送ることだってできたはずなのだ。
でも、今の私にそんな力はないし、もし出せたとしてもこの世界でそこまでの力を出せば私自身がどうなるのかは分からない。
……こんな不安を覚えるのは、やはり不安定に復活した影響なのだろうか。それとも目的の為とはいえ、私の知っている今までの常識が通じない未知な世界への恐れから来ているのか。ある意味、私も彼と似たような状況にいるのかもしれない。
まあ、だからといって何も知らない彼をこのまま見殺しにするわけにはいかないんですけどね。それにただ戦うこと以外にも出来ることはある。
……ほんと、偶然飛んで行った符が私を彼まで導いてくれたのは幸いでしたね。
「さて、私は準備でもしましょうか」
彼が私のもとに訪れる準備を。そして、これから起こる運命へのほんの少しの助言と抗える術を授けるために。今はただ出来ることをやっていこう。
それにしても
「“こすぷれいやー”っていったいなんでしょうか。あと、まともな住まいで甘味も味わいたいながらゴロゴロしたいですねー」
などとか愚痴りながら、私はこの世界での仮住まいに向けて歩みを進めた。
近いうちにあと2話ほど投稿します。
慣れていないからか投稿するのって意外と大変。
ところで日数の間があまりない作品の方は一体どんなペースで投稿しているのだろうか