遊戯王U   作:yt-tan

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 ついにミツルが本気を出します。

 主人公より主人公なデュエルを楽しんでください!


第8話 幼馴染は全力を

「さぁて、今回は俺が先攻を貰おうか、ドロー!」

 

ユート

『LP:4000』

『手札:6』

 

「俺は手札より、『ヂェミナイ・エルフ』召喚!」

 

『ヂェミナイ・エルフ』

「地属性・星4・魔法使い族・通常」

「交互に攻撃を仕掛けてくる、エルフの双子姉妹。」

ATK1900

 

 まずは高い攻撃力のモンスターを出す。守るためではなく、攻めるための戦略。それが俺のやり方だ。

 双子のエルフ。頑張ってくれよな。

 

「俺はカードを2枚伏せ、ターンエンドだ」

 

ユート

『LP:4000』

『手札:3』

 

 先攻は攻撃宣言できない、これでターン終了だ。

 さて、本気のミツルを見せてもらおうか。

 

「僕のターン、ドロー!!」

 

ミツル

『LP:4000』

『手札:6』

 

 ミツルは手札を確認すると、軽く笑みを漏らした。

 

「……僕の全力、見せてあげるよ!!」

「ほぉ」

 

 こんなにも強気のミツルは初めて見た。

 

「僕は手札より、『ゴブリンドバーグ』を召喚!」

 

『ゴブリンドバーグ』

「地属性・星4・戦士族・効果」

ATK1400

 

 飛行機に乗ったゴブリン。以前のデュエルでゴブリンを破壊していたからか、少し懐かしさを感じた。

 

「バーグの効果発動。手札から星4モンスター1体を特殊召喚するよ。来い、『ならず者傭兵部隊』!!」

 

『ならず者傭兵部隊』

「地属性・星4・戦士族・効果」

ATK1000

 

 おお、久しぶりだなDQN諸君。またその下品な笑みを見る日が来るとは。確か、自らを生贄にしてのモンスター破壊効果をもっていたはず。

 また自爆でもするつもりだろうか? かわいそうな奴らだ。

 

「特殊召喚の代償に、バーグは守備表示になるよ」

 

『ゴブリンドバーグ』

DEF0

 

「そして傭兵部隊の効果発動!」

 

 さよならだな。あばよ傭兵ども。

 

「……は、しない」

「は?」

 

 効果を使わないだと?

 守備力0と攻撃力1000の貧弱な2体のモンスター。守るとも攻めるとも取れない微妙な相手フィールド。

 一体どうするつもりだろうか?

 

「さぁユート。僕の場には同じ星数(レベル)のモンスターが2体揃ったよ」

「?」

 

 だから何……って、おいおい、この条件下でできることと言えばまさか!!

 

「そう、僕は2体の4ツ星モンスターでオーバーレイ!!」

 

 ゴブリンと傭兵部隊が2つの光の球に変化した。

 そして上空にブラックホールの如き巨大な黒い穴が開く。その黒い穴に光球が吸い込まれた。そしてその中から、見慣れぬモンスターが出現する。

 そう、この召喚方法は……。

 

「エクシーズ召喚! 来るんだ、『No.(ナンバーズ)39希望皇ホープ』!!」

 

 2つの光球を従え、金と銀の鎧を纏った双剣の戦士がフィールドに舞い降りた。

 

『No.39希望皇ホープ』

「エクシーズ・光属性・ランク4・戦士族・効果」

ATK2500

 

「マジかよ……早くも攻撃力2500だって?」

 

 まだ始まったばかり、であの攻撃力か。

 それににしてもエクシーズか……エクストラデッキのカードはあんまり使おうと思ったことがないから、大きな盲点だった。

 

「いけっホープ、ヂェミナイ・エルフを攻撃! キングソード・スラッシュ!!」

 

 双剣で体を両断される我がモンスター。まさか1ターンでここまでやられるとは。

 

「グ……」

 

ユート

『LP:4000→3400』

 

「カードを1枚伏せ、ターンエンド」

 

ミツル

『LP:4000』

『手札:3』

 

 満足げな顔でエンド宣言をするミツル。

 どうするべきか……。

 

「俺のターンだ、ドロー!!」

 

ユート

『LP:3400』

『手札:4』

 

 攻撃力2500。ブラック・マジシャンと同じ値か。突破は中々難しいな。

 俺は手札を確認した。この手札なら……よし、このカードを使うか。

 

「俺は『魔導戦士ブレイカー』を召喚!!」

 

『魔導戦士ブレイカー』

「闇属性・星4・魔法使い族・効果」

「このカードが召喚に成功した時、このカードに魔力カウンターを1つ置く(最大1つまで)。このカードに乗っている魔力カウンター1つにつき、このカードの攻撃力は300ポイントアップする。また、自分のメインフェイズ時にこのカードに乗っている魔力カウンターを1つ取り除く事でフィールド上の魔法・罠カード1枚を選択して破壊する。」

ATK1600→1900

 

 安定の破壊効果持ちモンスターだ。

 

「効果発動! ブレイカーの魔力カウンターを使用し、相手のセットカードを破壊する。ウィザード・ブレイク!!」

 

 ブレイカーの振るった剣がミツルのセットカードを破壊する。しかし、その代償でブレイカーの攻撃力は元に戻った。安全を確保するためだ、仕方がない。

 

『魔導戦士ブレイカー』

ATK1900→1600

 

 後はあのエクシーズモンスターを殴り倒すのみ。

 まずは……。

 

「ブレイカーでホープを攻撃!」

 

 無謀にもブレイカーが強大な敵を討つため、走る。

 

「!?」

 

 ミツルも驚愕の表情を見せる。相手が急に自殺に走ったんだ、当然だろう。

 だが、ちゃんと考えはある。

 

「俺はトラップ発動、『マジシャンズ・サークル』!!」

 

『マジシャンズ・サークル』

「通常罠」

「魔法使い族の攻撃宣言時に発動できる。お互いのプレイヤーはデッキから攻撃力2000以下の魔法使い族モンスター1体を表側攻撃表示で特殊召喚する。」

 

 互いのフィールドに淡い赤色の魔法陣が浮かび上がる。これで強力な増援を呼ぶ。

 更に!!

 

「この瞬間、俺は手札から速攻魔法、『エネミーコントローラー』をチェーン発動!」

 

『エネミーコントローラー』

「速攻魔法」

「次の効果から1つを選択して発動する。・相手フィールドに表側表示で存在するモンスター1体を選択し、表示形式を変更する。・自分フィールドのモンスター1体を生贄に発動する。相手フィールドの表側表示モンスター1体のコントロールをエンドフェイズ時まで得る。」

 

 フィールドにテレビゲームのものであろう巨大なコントローラーが出現した。

 チェーン発動とは、何かの効果の発動に対して行う発動の事。いわゆる、『魔法発動!』『何だと!? ならそれに対してトラップだ!!』の様な状況のことだ。この場合、後に発動したものからの『逆処理』を行う。よって、まずはエネミーコントローラーの効果から処理する。

 

「俺は1つ目の効果、表示形式の変更を選択。コマンド入力!!」

 

 エネミーコントローラーがホープに接続される。

 

「守備表示に!!」

 

 カタカタとボタンを押す音と共に、A、B、↑、↓……と順番にコマンドが入力され、ホープは守備表示に変更された。

 

『No.39希望皇ホープ』

DEF2000

 

 これで自爆特攻によるダメージの軽減、及びブレイカー戦闘破壊をなくすことができる。ホープを奪うという選択肢もあったが、エンド時に相手に帰るのでは意味がない。俺の目的はあくまでも『破壊』だ。

 

「そしてマジシャンズ・サークルの効果、互いにデッキから魔法使いを特殊召喚!!」

 

「くっ……」

 

 ミツルはデッキから魔法使いモンスターを場に出した。一応、戦士以外のモンスターも少しは入っているようだな。

 魔方陣の中央から妖精の様な少女のモンスターが現れる。

 その胸はまな板だ。

 

『エフェクト・ヴェーラー』

「光属性・星1・魔法使い族・チューナー・効果」

ATK0

 

 攻撃力0。おそるるに足らないな。

 

「俺が場に出すのはコイツだ。来い、『ブラック・マジシャン・ガール』!!」

 

 ぽむっ、という女の子向けアニメでよく聞くような効果音と共に、魔方陣から現れる魔法少女。年は俺たちと同じくらいだろうか。服装はブラック・マジシャンに似ているが、明るい色合いに加え露出が多く、扇情的だ。

 そしてその胸は豊満だ。

 

『ブラック・マジシャン・ガール』

「闇属性・星6・魔法使い族・効果」

「互いの墓地の『ブラック・マジシャン』『マジシャン・オブ・ブラックカオス』の数だけ攻撃力が300ポイントアップする。」

ATK2000

 

 マジシャンズ・サークルで呼べる魔法使いの攻撃力の上限は2000。ブラック・マジシャン・ガールはギリギリだ。

 今は自身の効果による攻撃力の上昇はないが、十分な打点。

 

「ブラック・マジシャン・ガール。ブラック・マジシャンが育てた唯一の魔法使い。いわば伝説の魔術師の弟子!」

 

 意味ありげな名前だとは思ってたが、そうなのか。知らなかったぜ。さすがミツルは物知りだ。

 カードの効果処理が終わり、ブレイカーの攻撃が再開される。破壊はされずともバトルに敗北し、俺に400のダメージだ。

 

「くっ……」

 

ユート

『LP:3400→3000』

 

 マジシャンズ・サークルの発動のためにやむをえなかった攻撃だが、ダメージの蓄積はマズいな。

 とにかく、今はホープを倒す!!

 

「いくぞガール、ホープをぶっ倒すぜ!!」

 

「はははっ、ユートも知ってるでしょ? 守備表示モンスターがバトルする場合、攻撃モンスターの攻撃力と守備力が同じなら、互いに破壊されない。そしてホープの守備力は2000、ガールの攻撃力は2000、どちらも破壊されないよ。攻撃するだけ無駄さ」

「それはどうかな? 俺はリバースカード発動、『禁じられた聖杯』!!」

「!?」

 

『禁じられた聖杯』

「速攻魔法」

「フィールドに表側表示で存在するモンスター1体を選択し発動できる。エンドフェイズ時まで選択したモンスターの効果を無効にし、攻撃力を400ポイントアップする。」

 

「当然選択するのはブラック・マジシャン・ガールだ!!」

 

 ブラック・マジシャン・ガールは聖杯の中身を口にした。その瞬間、杖からほとばしる魔力の量が増大する。

 

『ブラック・マジシャン・ガール』

ATK2000→2400

 

「これでホープを撃破だぜ。ガールの攻撃、ブラック・ブラスト!!」

 

 ガールの杖から放たれる黒き魔力の閃光がホープを襲う。よし、これで……。

 

「甘いよ。僕はホープの効果発動! ホープはエクシーズ召喚の素材となったモンスターを墓地に送ることで、戦闘を無効にする!」

「なっ!?」

 

 ミツルはホープの下に重ねられていたカードの1枚、ゴブリンドバーグを墓地へ送った。

 

「ホープ・バリア!!」

 

 ホープの鎧の一部が変形し、盾になった。ガールの攻撃は弾かれ、バトルは無効となる。

 さすがミツルの採用したモンスター。攻撃と防御を一挙にこなして見せた。

 

「くっ……カードを1枚伏せ、ターンエンド」

 

 あのエクシーズモンスター、次は絶対破壊してやる。

 

ユート

『LP:3000』

『手札:1』

 

「僕のターン、ドロー!!」

 

ミツル

『LP:4000』

『手札:4』

 

 ミツル場を確認した。

 

「マジシャンズ・サークルは相手も有利になる可能性を秘めたカード。それをしっかり理解してるよね?」

「ん? ああ」

 

 でもお前の出したモンスターは攻撃力0じゃん。

 

「なら、いくよ! 僕は手札より『切り込み隊長』を召喚!」

 

『切り込み隊長』

「地属性・星3・戦士族・効果」

ATK1200

 

 コイツも久しぶりに見るカードだ。ご無沙汰してます、隊長。

 

「隊長の効果発動、手札から星4以下のモンスター1体を特殊召喚する!! 来て、『ながれ者傭兵部隊』!」

 

 見たことあるDQNどもが登場した。

 

『ながれ者傭兵部隊』

「風属性・星4・戦士族・効果」

ATK1700

 

「な……んだと?」

 

 ミツルが『どうよ?』と言いたげな顔をする。いやいや、お前の戦略に驚いてるんじゃなくて、そこの傭兵部隊、お前らならず者じゃなかったのか!!

 見た目も装備を変えただけ、名前も2文字しか変わらない……でもなぜか愛着がわいてきた。攻撃力なんか700も上がってるし、頑張っているようだ。

 これからもよろしくな、DQNども。

 

「そして僕は場のヴェーラー、隊長、ながれ者を……」

 

 どうするつもりだ? 今度は星数がバラバラだ。

 

「チューニング!」

「なっ!?」

 

 チューニングって言うと……確か、シンクロ召喚という召喚方法だ。でもあれは最低でも1体の『チューナー』という特別なモンスターが必要。そんなのいたか?

 俺は困惑する。

 

「チューナーならさっきユートが出させてくれた、ヴェーラーがそうだよ」

「マジで!?」

 

 俺は慌ててディスクで確認する。

 マジだ……0という攻撃力ばかりに目がいって、気づかなかった。

 

「問題ないならチューニングを続行するよ。ヴェーラーの1、隊長の3、ながれ者の4。計8つの星を束ねる!!」

 

 集束された『星』が強い光を発する。その白く眩しい光の中より、星屑を従えた龍、8ツ星モンスターが現れる。

 これが……。

 

「シンクロ召喚! 星屑の龍よ、聖域より飛翔し、僕に力を。現れよ、『スターダスト・ドラゴン』!」

 

『スターダスト・ドラゴン』

「風属性・星8・ドラゴン族・シンクロ・効果」

ATK2500

 

「更にホープを攻撃表示に変更!」

 

 ホープがむくっと立ち上がった。

 

『No.39希望皇ホープ』

ATK2500

 

「そしてホープでブレイカーを攻撃!!」

 

 ブレイカーの攻撃力は1600。

 やはりミツルのことだから、より大きなダメージを狙える下級モンスターを先に狙ってきたか。

 まぁ両方潰すつもりなんだろうが。

 

「うわあああ! っとでも言うと思ったか。甘いな、トラップ発動、『聖なるバリア―ミラーフォース―』!!」

 

『聖なるバリア―ミラーフォース―』

「通常罠」

「相手モンスターの攻撃宣言時に発動できる。相手の攻撃表示モンスターを全て破壊する。」

 

「これでお前のモンスターは全滅だ!!」

 

 形勢逆転!

 

「そうはいかないよ。僕はスターダストの効果発動! このモンスターは自信を生贄に、『フィールド上のカードを破壊する効果』を無効にして破壊できる!!」

「ちょっ、マジかよ!!」

 

 あのドラゴンも、攻めと守りを同時にこなすというのか!?

 

「いくよ、スターダスト・イロウジョン!!」

 

 スターダスト・ドラゴンはミラーフォースの効果を吸収し、墓地へと送られた。

 

「ミラーフォースは消滅し、ホープの攻撃は続行。ブレイカーを破壊!!」

「ぐおお……」

 

ユート

『LP:3000→2100』

 

 スターダストがいなくなったため、ミツルの場はホープのみ。よって攻撃はこれで終了だ。ガールが破壊されなかったただけマシか。

 それに相手の場のモンスターはホープ1体のみ、案外俺の優勢になってきているのかもしれない。

 

「これで僕はエンド。そしてエンド時に自身の効果で墓地へ送られたスターダストは復活するよ」

 

ミツル

『LP:4000』

『手札:2』

 

 閃光と共に、スターダストがフィールドへ舞い戻る。

 

『スターダスト・ドラゴン』

ATK2500

 

「…………」

 

 復活……だと?

 俺のどこが優勢なんだよバカ野郎! 誰だ優勢とか言ってたアホは! 俺か。

 

「俺のターン、ドロー!」

 

ユート

『LP:2100』

『手札:2』

 

 俺はこのデュエルを大きく左右するであろうドローカードを確認する。

 ……コイツは……。

 相手の場には攻撃力2500のモンスターが2体。伏せは無し。対して俺の場にはマジシャン娘のみ。

 これならばもしかしたら……よし。俺はたった今引き当てたカードを発動する。

 

「俺は手札から魔法カード、『賢者の宝石』を発動!!」

 

『賢者の宝石』

「通常魔法」

「自分フィールドに『ブラック・マジシャン・ガール』が存在する時に発動できる。自分の手札、またはデッキから『ブラック・マジシャン』1体を特殊召喚できる。」

 

「賢者の宝石だって!?」

「ああブラック・マジシャン専用のサポートカードだ。コイツで俺は相棒を呼ぶ。デッキより現れろ。来い、『ブラック・マジシャン』!!」

 

 ガールの持つ魔法の杖により描かれた魔方陣から、巨大な青い宝石が召喚される。それが砕け散り、中から信頼すべき俺のモンスターが現れた。ブラック・マジシャンだ。

 

『ブラック・マジシャン』

「闇属性・星7・魔法使い族・通常」

「魔法使いとしては、攻撃力・守備力ともに最高クラス。」

ATK2500

 

「よし!」

 

 やっと俺のエースを呼ぶことができた。逆転のチャンスは今しかない!

 俺は自身の高ぶる感情を抑え、冷静に場を分析し……。

 

「す、すごいすごいよ! まさかあの幻の黒魔術師の師弟を同時に見ることができるなんて!!」

 

 おいミツル、頼むから静かにしてくれ!!

 俺は思考に全神経を注ぐ。ここはどうすれば……よし。俺は俺より興奮しているミツルを無視して行動を開始した。

 

「俺は『ワンショット・ワンド』をガールに装備する!」

 

『ワンショット・ワンド』

「装備魔法」

「魔法使いモンスターにのみ装備可能。装備モンスターの攻撃力は800ポイントアップする。また、装備モンスターが戦闘を行ったダメージ計算後、このカードを破壊することでデッキからカードを1枚ドローする。」

 

 ガールの杖が少しばかりゴツい三日月型の飾り付の杖、つまりワンショット・ワンドに変わった。

 

「これでガールの攻撃力をアップだ!」

 

『ブラック・マジシャン・ガール』

ATK2000→2800

 

 これで手札を全て使い切った。

 

「俺はブラック・マジシャンでホープを攻撃!!」

 

 相打ちでも仕方がない、特攻だ。はっと我に返ったミツルはホープに指示を出す。

 

「ホープの効果発動、攻撃を無効に!」

 

 ホープの体を取り巻いていたエクシーズ素材が尽きた。

 

「なら、ガールでホープを攻撃!」

 

 ガールはワンショット・ワンドを振りかぶった。

 瞬間、

 

 ドンッ!

 

 不意に、鈍い爆発音が響き渡る。そしてガールが攻撃の手を止めた。

 

「!?」

 

 攻撃が届く前にホープが破壊されたようだ。

 どういう事だ? ホープが自爆した?

 

「しまった、ホープはエクシーズ素材がなくなると、攻撃対象に選択された瞬間に破壊される!」

「ほぉ……なるほどね」

 

 召喚のしやすさ、高い攻撃力、汎用性の高い効果、これらを全て持っているモンスターにはそれなりの理由があるってことか。勉強になる。

 攻撃は済んでいないので、ガールの攻撃はまだ可能。今度はスターダストを狙う!

 

「ガールでスターダストを攻撃!」

 

ガールの魔法攻撃がスターダスト・ドラゴンを貫いた。

 

「ぐうぅ……」

 

ミツル

『LP:4000→3700』

 

「ぃよおっし!」

 

 やっとダメージを与えられたぜ!

 スターダストの復活条件は『自身の効果による生贄』なのでもう復活はしないだろう。相手の場は空だ、これから一気に攻める。

 

「更にワンショット・ワンドの効果発動。装備されたこのカードを破壊し、デッキからカードを1枚ドローする」

 

 俺は破壊されたワンショット・ワンドを墓地へ送り、カードをドロー。装備が外れたため、ガールの攻撃力が元に戻る。

 

『ブラック・マジシャン・ガール』

ATK2800→2000

 

 かなり悩んだが、手札0はマズい。補充できるときに補充した方がいいだろう。

 

「ターンエンドだ」

 

ユート

『LP:2100』

『手札:1』

 

「くっ、あの状態から場を一掃されるなんて……僕のターン、ドロー!」

 

ミツル

『LP:3700』

『手札:3』

 

「よし!」

 

 ミツルの表情が明るく変化する。どうやら、ヤバそうだ。

 

「僕は『サイバー・ドラゴン』を特殊召喚!」

 

『サイバー・ドラゴン』

「光属性・星5・機械族・効果」

ATK2100

 

 鉄の龍がフィールドに現れる。

 アイツは確か、相手の場にのみモンスターが存在する場合に特殊召喚できるモンスターだ。これはまさか……。

 俺の脳内であの時の光景が再生される。

 

「僕はサイバー・ドラゴンでガールを攻撃!」

「うっ……クソ」

 

ユート

『LP:2100→2000』

 

 サイバー・ドラゴンの口から発せられたレーザーにより、ガールが消滅する。そしてミツルからあの言葉が発せられた。

 

「僕はサイバー・ドラゴンを生贄に!」

 

 やはり来るか!

 

「召喚、『絶対防御将軍』!!」

 

『絶対防御将軍』

「闇属性・星6・戦士族・効果」

DEF2500

 

 ドン! という男らしい効果音が似合いそうなゴツい風貌の戦士が登場した。と、するとミツルの最後の手札は……。

 

「更に僕は永続魔法、『レベル制限B地区』発動!」

 

『レベル制限B地区』

「永続魔法」

「フィールド上の星4以上のモンスターは守備表示になる。」

 

「出やがったか……」

 

 場のモンスターが全て守備表示に変更される。

 

『ブラック・マジシャン』

DEF2100

 

『絶対防御将軍』

DEF2500

 

 デジャヴとはまさにこのこと。

 ミツルの鉄壁ディフェンスコンボが完成した。将軍の1550という攻撃力の低さが不幸中の幸いか。しかし、この布陣を突破するのは正直難しい。長期戦に強いのはどう考えてもミツルだ。

 どうする……?

 

「僕はターンエンド。さぁ、ユートのターンだよ」

 

ミツル

『LP:3700』

『手札:0』

 

 デュエルが終盤に差し掛かっている事実がピリピリと伝わってくる。

 1手間違えただけで勝敗が決してしまう状況。脳がフル回転し、熱くなる。運命を決めるかもしれないドローの瞬間、バクンと心臓が脈打つ。正直、こんな状況、避けられるなら避けた人生を歩みたいと思うだろう。だが、俺はこの状況を、

 

「……面白れぇじゃねぇか!!」

 

 楽しんでいた。

 

「俺のターン、ドロー!!」

 

ユート

『LP:2000』

『手札:2』

 

 考えるより先に、体が動いた。

 

「俺は手札より、魔法カード、『黒・魔・導(ブラック・マジック)』を発動!」

 

『黒・魔・導』

「通常魔法」

「『ブラック・マジシャン』が自分フィールドに存在する場合のみ発動できる。相手の魔法・罠を全て破壊する。」

 

 ミツルのB地区は破壊され、モンスターの表示形式が自由になる。

 

「俺はもう1枚のカードを発動、『千本(サウザンド)ナイフ』!!」

 

『千本ナイフ』

「通常魔法」

「自分フィールド上に『ブラック・マジシャン』が表側表示で存在する時のみ発動できる。相手フィールド上に存在するモンスター1体を破壊する。」

 

「絶対防御将軍を破壊!!」

 

 ザクザクザクザクッ!!

 

 一瞬ではあるが、数え切れないほどの斬撃音。それとともに、将軍に無数のナイフが突き刺さる。出てきたばかりのところ悪いが、破壊完了だ。

 

「もう突破されちゃったか。ここでブラマジの専用カードを手札に持ってるなんて、さすがユートだね……」

 

 ミツルは悔しそうに空となった自分のフィールドを見る。だが俺も十分なほどの余裕があるわけではない。少しの油断が命取りになるのだ。

 

「俺はブラック・マジシャンを攻撃表示にし、ミツルにダイレクトアタックだ。ブラック・インパクト!!」

 

 ブラック・マジシャンの魔導弾がミツルに直撃した。

 

「ぐ……」

 

ミツル

『LP:3700→1200』

 

 一気にライフを削り取った。このデュエル、勝たせてもらう!

 

「ターンエンド」

 

ユート

『LP:2000』

『手札:0』

 

「……僕のターン、ドロー!!」

 

ミツル

『LP:1200』

『手札:1』

 

 ミツルは今のドローで逆転の1手を打つだろう……なんだこれ? 俺は本能的にそう感じてるのか? 俺はそう確信していた。ミツルは本当に強いデュエリストだ、と。

 

「……僕は手札より魔法カード、『カップ・オブ・エース』を発動!!」

 

『カップ・オブ・エース』

「通常魔法」

「コイントスを1回行う。表が出た場合、自分はカードを2枚ドローする。裏が出た場合、相手はカードを2枚ドローする。」

 

 なっ、ここでギャンブルカード!?

 

「ミツル、お前……!」

「……ここが運命の分かれ道だね」

 

 ファントム・ビジョンのコインが宙を舞う。高速回転し、円にさえ見えるそのコインは床にぶつかり、止まる。

 表か裏か……。

 

「……なーんて」

 

 俺には解っている。そのコインは……。

 

「……表!!」

 

 ミツルの声がエコーする。だと思ったぜ!!

 こんなところで終わらせてみろ、その時は俺が神様を許さない!

 

「僕はカードを2枚ドロー!」

 

ミツル

『手札:2』

 

 ミツルは手札を確認し、少しだけ顔を歪めた。どうやら、何かが足りないといった感じだ。しかし、行動を開始しなければ、俺は次で勝利をいただく。

 

「……よし、僕は墓地の『スターダスト・ドラゴン』『ながれ者傭兵部隊』『ゴブリンドバーグ』をゲームから除外!!」

 

 墓地から除外か、何が来るんだ?

 

「特殊召喚、『デザート・ツイスター』!!」

 

 すさまじい暴風と共に現れたのは、下半身に竜巻を纏った人型のモンスター。コブラと人間を2で割ったような、恐ろしい風貌だ。

 B地区がすでに存在しないため、高レベルでも攻撃表示で場に存在することが可能となっている。

 

『デザート・ツイスター』

「風属性・星6・悪魔族・効果」

ATK2300

 

「このモンスターは通常召喚できない。代わりに風属性2体と地属性1体を墓地から除外という召喚コストを払うことで特殊召喚できるんだ!」

 

 なるほど、そんなモンスターもいるのか。いつだったか、そんな感じの召喚方法で有名なヤツを聞いたことがあったが、なんと言っていたか……。

 まぁ、今はそんなことはどうでもいい。

 

「更に僕は『終末の騎士』を通常召喚!」

 

『終末の騎士』

「闇属性・星4・戦士族・効果」

ATK1400

 

 黒い鎧を身に纏い、ゴーグルとスカーフで顔を隠した戦士が場に現れた。

 

「このモンスターは場に出た時、自分のデッキから闇属性モンスター1体を墓地に送れるよ。僕はデッキから『ネクロ・ディフェンダー』を墓地に送る」

 

 墓地肥しのモンスターか。それもいいがまた手札0だぞアイツ。大丈夫なのか? いや、俺こそ手札なし、場はブラマジ1体だ。

 現状では俺の方がヤバいのかもしれない。

 

「更に僕は今墓地へ送ったネクロ・ディフェンダーを除外し、ネクロ・ディフェンダーの効果をデザート・ツイスターを選択し発動。次の相手のエンドフェイズまでツイスターは戦闘で破壊されず、ツイスターの戦闘によって発生する自分へのダメージは0になるよ!!」

 

 どうしてもあのツイスターを次の自分のターンまで繋げたいようだな。露骨すぎる。

 

「これで僕はエンドだよ」

 

ミツル

『LP:1200』

『手札:0』

 

「俺のターン、ドロー!」

 

ユート

『LP:2000』

『手札:1』

 

 よし、モンスターカードだ。

 

「俺は手札より、『魔導騎士ディフェンダー』を召喚!!」

 

『魔導騎士ディフェンダー』

「光属性・星4・魔法使い族・効果」

「このカードが召喚に成功した時、このカードに魔力カウンターを1つ置く(最大1つまで)。フィールド上に表側表示で存在する魔法使い族モンスターが破壊される場合、代わりに自分フィールド上に存在する魔力カウンターを、破壊される魔法使い族モンスター1体につき1つ取り除く事ができる。この効果は1ターンに1度しか使用できない。」

ATK1600

 

 ATK1600が高いとは言えない。だが、この局面で破壊体制持ちはかなり心強い。そしてブラマジの攻撃力は2500。いい布陣と言えるだろう。

 

「俺はブラック・マジシャンで終末の騎士を攻撃!」

 

 強烈な魔導弾の一撃が終末の騎士を破壊。そしてミツルのライフを削った。

 

「うぅ……」

 

ミツル

『LP:1200→100』

 

 あと一歩だった。仕方ない、次で終わらせるとしよう。まだ俺のライフは半分ある。少し余裕があると言えるだろう。次の俺のターンが回ってくれば、勝てる。

 

「ターンエンド」

 

ユート

『LP:2000』

『手札:0』

 

「僕のターン……」

 

 極限のデュエルで消衰し切った様子のミツル。そんなミツルは、デッキに手をかけ……。

 

「ドロー!!」

 

 その声が響き渡った。そしてドローカードを確認したミツルは、こう呟いた。

 

「……来てくれたね」

 

 どうやら、俺はヤバいらしい。

 

「僕は墓地に存在する、『No.39希望皇ホープ』『終末の騎士』をゲームから除外!」

 

「また除外か!?」

 

 今回は『光』と『闇』……この組み合わせは、まさか!!

 俺はここにきて思い出す。最強の戦士の存在を。

 

「特殊召喚、来るんだ! 混沌を切り開く光の勇者、『カオス・ソルジャー―開闢(かいびゃく)の使者―』!!」

 

『カオス・ソルジャー―開闢(かいびゃく)の使者―』

「光属性・星8・戦士族・効果」

ATK3000

 

 全身に淡く輝く光を従えた戦士。その姿は今までミツルが繰り出してきた戦士とはオーラが全く違う。全身を青と金の鎧で身を包み、その顔は自信と誇りに満ち溢れている。

 攻撃力3000。まさに最強の戦士・・・か。

 さっきミツルはツイスターをネクロ・ディフェンダーで守ったが、その真意はツイスターを守ることではなく、ライフを極限まで捧げてでも、闇属性の終末の騎士を俺に破壊させ墓地へと送るためだったみたいだ。それだけアイツは、あのデッキを、あのモンスターを、信頼していた。

 

「開闢の効果、このモンスターが戦闘によって相手モンスターを破壊した場合、もう一度続けて攻撃できるよ! まずはツイスターでディフェンダーを攻撃!!」

 

 ここでディフェンダーを破壊から守っても、開闢でディフェンダーを攻撃されれば、700+1400=2100。俺の負けだ。ディフェンダーを守らずに開闢とブラマジを戦わせても、ブラマジを破壊した後に、開闢の2連撃目、ATK3000のダイレクトが待っている。

 どうあがいても、俺の負けだ。

 どうせ負けるのなら……俺は、ディフェンダーの効果を使わなかった。

 

ユート

『LP:2000→1300』

 

「僕は開闢でブラック・マジシャンを攻撃!!」

 

 開闢の剣が、俺の相棒の体を貫いた。

 

ユート

『LP:1300→800』

 

「更に開闢の連続攻撃、ユートにダイレクトアタックだ! カオス・ソード・ブレイク!!」

 

 俺に対し、剣を大きく振りかぶった最強の戦士。

 

「……いい面構えじゃねぇか」

 

 俺はその姿を目に焼き付けた。そして心の中でつぶやく。大会が終わったら、また戦おう。次は負けねぇからな!!

 開闢の斬撃は、俺のライフを完全に無へと還した。

 

ユート

『LP:800→0』

 

完敗……ってか。

 

 

~続く~

 




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