Kenshi -20years later-   作:さわやふみ

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5.リーバー

「なんだあいつら!?ニールが呼んだのか?」

 

突然の乱入者にルイは狼狽えている。

 

「リーバーという団体だ。呼んだのではなく我々が彼らの領域に侵入したのだよ。」

 

「なんで!?大丈夫なの?」

 

「この周辺だと一番勢力が大きい組織なのだが、ある意味スケルトン盗賊より厄介な存在かもしれない。しかしこの場を乗り切るにはこれしか方法がない。」

 

「どういうことだよ?」

 

ドドドドドドド!

 

話している間もなくリーバー達は奇声をあげながら突撃してくる。

 

「バラモンのために!」

「バラモンのために!」

「兄弟のために!」

 

 

「うわ!一体何人いんだよ!」

 

ルイはサーベルを構えたが、リーバー達はそれに目もくれずスケルトン盗賊の集団に襲いかかる。

 

「おお!?あいつら敵同士なのか?」

 

「そうだ。スケルトン盗賊とリーバーとクラブレイダーは長年争いあっている。」

 

「そうなのか!やれーやっちまえー!」

 

リーバーの軍勢とスケルトン盗賊の小隊による戦闘が開始されると無邪気にもルイはリーバーを応援する。

 

「今のうちに怪我を治療しておくぞ。」

 

「あ、ああ。しかしすごいな・・・。」

 

複数人同士の衝突もルイにとっては初の光景である。

 

切断された手足が飛び散り、お互いが血まみれでルールなしの殺し合いを行う様は凄惨を極めていた。

 

そしてスケルトン盗賊側は少人数ながら奮戦していたが、やはり多勢に無勢。徐々に押され始める。

 

「・・退却!長老の本体に合流する!」

 

ついにスケルトン盗賊は撤退を開始した。

そこにリーバーが逃げ遅れたスケルトン盗賊を容赦なく集団で討ち取っていく。

腕を羽交い締めにし、無防備の胸にショートクリーヴァーを突き刺し絶命させるのだ。

 

「これが・・戦争なのか・・。」

 

「小規模だけどね。それより早くこの場を離れよう。」

 

戦闘は終了に向かっていた。

 

「バラモン、万歳!」

「リーバーよ、永遠なれ!」

 

リーバーが勝利の雄叫びをあげている横で治療を終えたサッドニールは動き出そうとした。

 

だが、そう簡単にはことは運ばない。

 

「そこにいる2人!お前達は誰のために戦う?」

 

リーバーの一部がルイ達を見つけて近づいてきたのだ。

 

(まずいな・・・)

 

サッドニールが前に出て応えようとするも

 

「スケルトンに用はない。そこの女に聞いている。」

 

と遮られる。

 

(ルイ・・こいつら相手に正直に答えてはダメだ。)

 

話をふられた当人のルイは回答を渋っている。

 

当然だろう。リーバーの高圧的な物言いにルイも不審に思っているのだ。

 

「自由のためか?名声のためか?どうなんだ?」

 

そして詰め寄ってくるリーバーにルイが何か言おうとしたときであった。

 

「お前・・・サッドニールか?」

 

後ろの方でリーバーの集団の中から大柄の人物が近寄ってきた。

 

短い金髪に無精髭。サッドニールには見覚えのある男であった。

 

「その声と顔は・・ハムートですか。」

 

「おお!やっぱりサッドニールか!久しぶりだな!」

 

「久しぶりです。まさかあなたがリーバーに入っているとは。」

 

ハムートはリーバーの中で一人だけ違う種類の武器を持ち出で立ちも何となく特別な格好をしていた。

恐らく幹部級なのだろう。

片手片足に義手義足がそれぞれついており歴戦の凄まじさを物語っている。

 

「スケルトン盗賊なんかに追われて何をしていたんだ?」

 

「ボスの娘を守っていた。」

 

「ボスの・・・娘だと?」

 

驚いた表情で隣にいるルイを見やるハムート。

 

「なんと言うことだ・・。ボスに子供がいたのか・・!」

 

困惑するルイをよそにハムートは続ける。

 

「お嬢ちゃん名はなんと言う?」

 

「ル、ルイだ・・・。」

 

「ルルイ!リーバーに入る気はないか?俺が言えば特別に即、幹部からスタートだ。」

 

「!」

 

サッドニールは驚いてハムートを見る。

手下のリーバー達もどよめいている。

 

「あ、いや、目的がよく分からないし・・名前はルイだし・・・。」

 

「そうだ。ルイは旅をして世界を知りたいんだ。それから入るか判断するでもいいだろう。」

 

サッドニールもすぐさまルイに同調してフォローする。

 

 しかし、ハムートは引き下がらない。

 

「なんでだ?こんな逸材を放っておけるわけがないだろう。大きな声では言えないがリーバーの長バラモンはもう年だ。いずれ引退したときにこの子をリーダーにして俺が補佐する。そうすればボスを慕ってた連中も集まってきて組織は再興でき、都市連合に復讐できるじゃないか!」

 

都市連合。広大な領地を有した世界三大大国の1つだ。ルイも名前だけは知っていた。

 

「都市連合は交易相手だったしそもそも彼らとは友好関係だった。君の目的のためにこの子を使うのはやめてくれ。」

 

「アイゴアが来た時点で奴らの仕業だと確定だろう?奴が単独で行動を起こす方が逆におかしい。」

 

「そのアイゴアも負傷して帰国後に皇帝テングを殺して消息を絶ったとの噂だ。何かが起きていたのは確かだが、あの事件は情報がない中で短絡的に判断するべき話ではないのだよ。」

 

ハムートとサッドニールのやり取りに理解が追い付かない様子でルイは口を挟む。

 

「あのー・・さっきから何の話しかまったくわかんないんだけど・・。」

 

ハムートは目を丸くしてこたえる。

 

「サッドニール!まさか両親に何が起きたか、まだ話してないのか?」

 

「ああ。話そうとはしたが、旅をして世界を知ってからでも遅くはないだろう。」

 

「これだからスケルトンは・・!まぁいい。この子は俺が責任持って預かる。復興の光が見えてきたんだ。邪魔はすまいな?」

 

この突拍子もない申し出にに反論したのはルイだった。

 

「ちょ!何を勝手に決めてんだよ!俺はニールと行くとこがあるんだ!」

 

しかしハムートはまったく聞く様子はない。

 

「いいか。お前の両親はな、お前を捨てたんじゃない。都市連合に・・」

 

「ハムート!それ以上喋るな。」

 

サッドニールが武器を構えている。

 

それを見てハムートは鋭い目付きで睨み付ける。

 

「・・・お前はいいスケルトンだ。壊したくはない。」

 

ハムートも間をとり愛刀である強化曲刀に手をかける。

和やかな雰囲気からうって代わり殺伐とした空気が漂う。

しかしそれは幸運にも外部からの呼び声で打ち消された。

 

「隊長!向こうでスケルトン盗賊の新手が現れました!数も多く、援軍をお願いします!」

 

「そうか、分かった。いま行く!サッドニールとルルイはそこで待っていろ!」

 

そう言うとハムートは手下のリーバー達を連れて駆けつけていってしまった。

 

「ルイ。我々は今のうちにこの場を離れるぞ。」

 

「・・・そうだな。だが、もう少し戦闘を見ていっていいか?」

 

「どうしてだ?逃げるには今が絶好のタイミングだよ。」

 

「元々俺達が撒いてしまった火種だし、ハムートの言葉も気になるんだ。あいつ昔の組織の仲間なんだろ?」

 

「奴は復讐心に囚われている。信用してはだめだ。」

 

「じゃあニールが教えてくれるのか?両親のこと・・。」

 

ルイの目はいつにもなく真剣であった。

 

「!・・・分かった。まさか君から聞いてくるとはな。今を切り抜けて一段落してからゆっくり話そう。戦闘も遠目から見つからない場所で少しだけだ。」

 

「うん。ありがと」

 

ルイ達が駆けつけると、スケルトン盗賊とリーバーの一団は既に対峙しており、一色触発の状況であった。

 

スケルトン盗賊の先頭にはスケルトンがいた。

 

「奴がスケルトン盗賊の長老だ。もう少し頭を屈めなさい。」

 

長老の足元には無数のリーバーの死体が転がっている。

 

同じスケルトンではあるが服を着ておらず骨格がむき出しの様はサッドニールとは違って何か禍々しさを纏っていた。

 

 長老はジャラン!という怪音とともに光沢を放つサーベルを振って肩にのせる。

 

「なんだ?あのサーベルは?」

 

「九環刀という刀身の背面に金属の環がついたサーベルだ。振った時の環の音で相手の集中力を乱す効果があるそうだ。しかも長老が持っているのは名刀級の代物だぞ。」

 

先頭のリーバー達は完全に尻込みしている。

 

「なにをしている!奴はスケルトン盗賊の長老だぞ!打ち取って名をあげろ!」

 

リーバーの幹部は下っ端と思われる部下達に突撃の命令を出す。

 

「兄弟のために!」

 

無理矢理鼓舞され奴隷のような出で立ちのリーバー達が長老に襲いかかるが

 

ジャラン!ブオオオン!

 

けたたましい音と共にリーバーの首が九環刀によって宙を舞っていく。

 

「まったくリーバーはゴミのように沸いてきますね。2人組を追ってきてとんだ目にあいました。そろそろ引き時でしょう。」

 

戦意を亡くしこれ以上攻撃してこないリーバーを見て長老は引き上げようとする。

 

「待て。お前が久しぶりに出てきているのに何もしないわけにはいかないな。打ち取ってスケルトン盗賊を今度こそ壊滅させる。」

 

リーバーの中から歩き出て、名乗りを上げたのはハムートであった。

 

「おお!隊長!兄弟のために!」

 

腕を認められ慕われているらしくリーバー達から歓声があがる。

 

「む。どうやらハムートが一人でやるようだ。」

 

サッドニールも反応する。

 

「あの人は強いのか?」

 

「以前の組織では常に前線で戦い数々の賞金首を捕らえてきた武闘派だ。当時は技も力も極限まで練り上げられ全盛はCP90まで到達していた。」

 

「マジか!圧倒的じゃん!」

 

戦歴に相応しい隆々とした筋肉をまとった堂々たるハムートの姿は威厳すら感じさせる。

 

「・・・しかしそれは20年も前の話だ。体格は維持しているようだが今は年齢も50を超えて戦闘力のピークはとっくに過ぎているだろう。一方、長老は衰えることはなくむしろ少し進化している。この勝負分からないぞ・・・。」

 

(ハムートには死んでほしくない。)

 

昔の戦友としてなのか、現状を打破するための保険としてなのか。

 

サッドニールは自分でも理解できない感情が時折沸き起こることに困惑していた。

 

 

 そして静まりかえった戦場で長老とハムートは対峙し、お互いが自分の構えに入る。

スケルトン盗賊もリーバーもルイ達も全員が固唾を飲んでこの達人たちの勝負の行方を見守っていた。




大陸と主な勢力図
※他は汚染地域等のため現時点では割愛

【挿絵表示】

ここまで読んで頂きありがとうございます
引き続き設定に基づきつつも
妄想爆発していきますのでよろしくお願いします
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