Kenshi -20years later-   作:さわやふみ

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人物紹介


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ハムート
以前の組織では常に前線にいた武闘派。
組織解散後はリーバーに幹部としてスカウトされている。
密かにリーバーを土台とした組織復興を企んでいる。


6.リーバー2

「こんなに仲間を殺しやがって・・やはりスケルトンは何を考えているか分からんな。」

 

足元に転がるリーバー達を横目にハムートは強化曲刀をユラリと長老に向けて構え直す。

 

「フォッフォッフォッ。貴方のことは知っていますよ。ハムートさん。」

 

「ほう。俺も少しは有名になってたのか?」

 

「以前、南の皮剥ぎ盗賊をやってくれた方々の一人でしょう?邪魔な存在でしたので助かりましたよ。」

 

「ボスが捕らえた奴らのことか。お前もついでにやっておけば良かったな。」

 

「私に手を出さなかったのは懸命でした。あなたのボスもその辺はちゃんと理解していたようですね。」

 

「ああ、お前がただの引退した悪趣味道楽爺だってことをな!人間を巻き込まずに大人しく死ね!」

 

先に仕掛けたのはハムートであった。

 

受け身になって長老の九環刀の風切音で心を乱されるより、少し重い強化曲刀を使って手数で一気に押しきる。

 

(強化曲刀は小さい得物だがスケルトンの装甲も力で貫ける・・!)

 

ハムートの考えは間違っていなかった。が、長老のスピードは老体には似つかわしくないほど想定を上回っていた。

 

シャラン・・ブオオオン!

 

ハムートが長老の懐に入る前に肩にのせていた九環刀を振り下ろす。

 

「う・・お!?」

 

ハムートは目先まで迫った刃を体を捻りすんでのところでかわす。

 

(今のカウンターは危なかった!環のおかげで音を察知でき、スピードも落ちて避けきれた!が・・こいつ古いスケルトンのくせに武器を降る力とスピードがありやがる!)

 

「もう昔のようには動けないですかな?」

 

長老の挑発は心を乱す戦術の一貫だ。

 

「・・・ぬぅ!」

 

ハムートにはその事が分かってはいるが強敵が醸し出す余裕と全盛期に満たない自分の動きに苛立ちを感じていた。

 

「こぉの・・!」

 

キン!カキン!

 

負けじと素早い攻撃を繰り出すが、長老に受け流される。

 

「まだまだぁ!」

 

年齢を感じさせない機敏な動きでハムートは長老に連擊を見舞う。

 

ガキン!キーン!ガン!

 

刃の交わりによって起こる無数の火花が2人を包む。

 

「おお!」

 

ハムートの攻勢にリーバー達が湧く。

 

(これが達人たちの戦いなのか・・・!)

 

ルイもこの決闘に息を飲む。

 

 

しかし、その間ハムートは疑問を感じていた。

 

(こいつ・・・初手以降、防御体勢だけで反撃していない?・・・俺を舐めてるのか?)

 

幾度の角度を変えた斬り込みも長老の巧みな防御に防がれる。

 

(・・・まさか)

 

「てめぇ、俺の疲労を待ってやがるな!?」

 

「スケルトンが優位になる戦い方をするのは当然でしょう。それより大丈夫ですか?息があがってきていますよ。」

 

ブオン!

 

長老は突如、2擊目をハムートに向け繰り出した。

 

(避・・・けらんねぇ!)

 

ハムートは咄嗟に強化曲刀を長老の九環刀にぶつけ軌道を逸らす。

 

シャリーン!

 

「・・・!」

 

だが長老は間髪いれずに次の攻撃動作に入る。

 

ブオオオン!

 

激しい音と共に九環刀の刃がハムートの首すれすれを通過する。

 

長老の早い攻撃をハムートはただ後ろに下がる形でなんとか避けるが、少しづつスピードが落ちてきているのが分かる。

 

完全に形勢が逆転していた。

 

それを見ていたサッドニールがルイに声をかける。

 

「ルイ!もう行くぞ!勝負が決まりかけている!この場に留まるのは危険だ!」

 

「おいおい!なんでハムートのおっさんが押されてんだよ!?負けちまうぞ!」

 

ルイは戦いを凝視したままだ。

 

「疲労してきているし長老の九環刀の振りのほうが早いから下手に反撃できないんだ。疲れないスケルトンの長老がこのまま押しきる可能性が高い!さぁ行くぞ!」

 

「行くったってこんな結末でいいのかよ!?前の組織の頼れるソルジャーだったんだろう?あんなワケわからんスケルトンにやられちゃっていいのかよ!」

 

「・・・・・!」

 

ルイの言葉にサッドニールも口を閉じる。

 

 他のリーバーは誰も助太刀に入ろうとはしていない。

サッドニールの計算にはハムートの死が見えていた。

例えサッドニールが加勢しても時間を延ばすだけでその確率に大きな変動はなく、むしろルイを危険に晒すだけ。

 

 選択肢はこの場を離れること一択なのだ。

 

シャランブォン!

 

九環刀の音が祭りの演舞のように響き渡りハムートの命を消そうとしている。

 

(ボス・・・ボスならばどうしていた?当然ルイを選びますよね?)

 

最早、ハムートの足取りはおぼつかない。

すんでのところで九環刀をかわすが運命の刻は間近であった。

 

「そろそろですね。少々期待はずれでしたが終わりにしましょう。」

 

長老は九環刀を大きく振りかぶった。

 

 

 自分でも理由がわからなかった。

昔の戦友とは言え20年前のことだし、すぐに消え行く人間種であり、リーバーという革命を建前にしたただの略奪集団に成り下がった男を助けるなんて。

 

輝かしい過去の栄光を思いだし懐かしみが彼の足を動かしたのか。

 

気がつけばサッドニールの鉄棒が長老の九環刀を受け止めていたのだ。

 

「サッドニール・・・!?」

 

ハムートも驚いている。

 

「おやおや、尋ねスケルトンさんが現れましたね。人間に与するのですか?」

 

ググググ・・・

 

「まとめて排除しましょう。」

 

長老の腕力のほうが高いのだろう。サッドニールはそのまま押し込まれる。

 

「お前に助けられるほど俺は落ちぶれてねぇ!ったく、誘い込むためのバテたフリが無駄になったぜ。」

 

後ろから聞こえるハムートの声は嬉々としている。

 

長老の死角から飛び出たハムートはそのまま素早く長老の肩口へ強力な一撃を叩き込む。

 

「お主!演技だったのか!」

 

左肩の配線を破壊され長老の左手は断線したのかブランと動かなくなる。

 

「俺の運動量を舐めていたな!」

 

ハムートの動きは機敏に戻っている。

サッドニールも力が抜けた長老の九環刀を押し飛ばす。

 

「ぬぅ、ぬかりました。撤収しますよ!」

 

しかしさすがに数百年生きてきた長老だ。撤退判断は素早かった。

スケルトン盗賊の兵士達を放ったらかしにして我先に逃走していった。

 

「今だ、追撃しろ!リーバーのために!」

 

ハムートの号令でリーバーが追い討ちをかけ始める。

 

勝利が確定的となった瞬間であった。

 

その流れをサッドニールは呆然と眺めていた。

 

(私は何ということをしてしまったのだ。これでルイはリーバーに入るしか生き延びる道がなくなってしまった。あのままハムートを見捨ててその場を離れるだけで良かったのに。逃げる機会はいつでもあった。それを私が潰してしまったのだ・・・!)

 

そこに隠れていたルイも駆けつけてきてしまう。

 

「やったなニール!大丈夫か!」

 

「・・・。」

 

ハムートはサッドニールのことを満面の笑顔でいたわるルイを見て近づいてきた。

 

「サッドニール。一応礼を言っておこう。お前のお陰で苦労することなくスケルトン盗賊を追い返せた。」

 

「礼には及ばない。君だけでやれたようだな。計算を間違えたよ。」

 

「はは、あの場面で出てくるとは保守的なお前らしくなかったな。」

 

2人の間にしばし沈黙が流れる。

 

「ルイをリーバーに連れていくのですか?」

 

サッドニールの言葉にルイもハムートを見る。

 

「・・・ボスはお前に子供を託したのか?」

 

ハムートは強化曲刀を鞘にしまいながら質問した。

 

「そうです。事情を説明しましょうか?」

 

「いや・・・また今度教えてくれ。ブラックスクラッチに行きたいんだろ?近くまで護衛してやる。」

 

サッドニールにとって予想外の回答であった。

 

「目的地はブラックスクラッチではありますがあなたは・・・。」

 

「どうした?俺がいないと他のリーバーに出くわすだろ。ボスがお前に託したのなら俺はそれに従うことにした。」

 

ルイとニールは驚きのあまり顔を見合わせる。

 

「おっさん!あんためっちゃいい奴じゃん!」

 

ルイがさっきまで警戒していたはずのハムートに飛び付く。

 

「年上におっさんとはなんだ!」

 

あっという間に仲良くなっているルイとハムートを見てサッドニールは思った。

 

(やはり人間は儚くも素晴らしい。それに比べ私は・・・。)

 

この時のサッドニールの心情の変化はこの後の行動に大きく影響することであったが、ルイはそれに気づくことは出来なかった。

 

 ハムートは約束通り数名の手下と共に2人をブラックスクラッチの近くまで送り届け食糧まで提供してくれた。

 

「ルイ、サッドニール。俺は俺の信念に基づいて行動している。間違っているとも思っていない。もし、その信念を理解し頼りたくなったらいつでも歓迎する、待ってるからな。」

 

「うん。ありがとう。またな。」

 

ルイも笑顔でこれにこたえる。

 

最後に3人は固い握手を交わして別れた。

 

 しかしこれがハムートとの最後の会話になろうとはまだルイ達には知るよしもなかった。

 

 

その後アークにて

 リーバーの本拠地であるこの場でハムートはリーバーの長バラモンに戦果報告をしていた。

 

「結局、長老を逃してしまったのか?兄弟よ。」

 

「はっ。申し訳ありません。片腕は破壊出来たのですがとどめはさせませんでした。」

 

「ふむう・・・。それで?報告にある2人組は奴隷にしたか?」

 

「いえ、彼らは偵察兵として都市連合に向かわせました。」

 

年老いたバラモンは真っ直ぐハムートを見つめる。

 

「ハムートよ・・。余はなぜリーバーを壊滅寸前まで追いやった組織のソルジャーをあえて召し抱えたと思っている?優秀だったからだ。本来なら憎くて真っ先に首を飛ばしていた。だから・・・失敗はするなよ?」

 

「承知しました。」

 

「よし。行け・・・。」

 

振り返り立ち去るハムートの表情は険しくも何か決意を固めたような揺るぎない表情をしていた。




ハムートは自分の推しメンで大体いつも仲間にして主力にします
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