それではどうぞご覧ください。
よう、俺は深尾源次だ。デモンハンターっていう組織のリーダーではないが、まぁ最重要人物であり、組織にいなきゃいけない素晴らしい人間な訳で、スポーツ万能で週1でジムに通っていたこともあった。やめたが。
それに天才と称され、将来有望とまで言われたこの俺なんだが、今とある奴を取り逃しちまったもんで、組織のリーダーから篦棒に説教くらってる訳だ。
「源次。お前、例の王様を取り逃がしてよく生き生きとした顔で戻ってこれたな。死ぬ寸前の顔で帰ってこなきゃおかしいよな。もしお前が死にかけで戻ってきたのなら少しは同情してやっただろうが、特に理由もなしに逃してきて、その後は女と遊んでただと? 舐めてるのか?」
「おいおいリーダー。一応、ここは国が設立したありがたーい組織な訳だ。こんな悪そうな感じで集まったら逆に捕まっちまうぜ。もっとスマイル大切にしなきゃよ」
リーダー格の大男はこの言葉を聞いた途端に立ち上がり、源次の胸ぐらを掴んで拳を固める。
「お前は自分の立場というものがわかってるのか? 俺たちはデモンハンターとして、これ以上犠牲者を出さない為にこの組織に入った謂わばエリートだ。誰よりも優れているからこそ誰かを守る事ができる。今の世になければならない立場なんだぞ。それなのにお前は最重要人物を流して女遊びだと? ふざけるなッ!!」
「あー…… お言葉なんだがリーダー?」
「なんだ?」
「俺たちが誰よりも優れているって言ったよな?」
「言った。だから守れるものが───」
「守れるって実際現在大体が俺の手によって守れているだろ?」
「…っ!!」
源次はそう言うと胸ぐらを掴んでいた手を払い除け、パッと手でシワを直す。
そして人差し指を突き立て、更に激しくリーダーを、彼らを責め続ける。
「いいか、よく聞けよ? お前達が選ばれたんじゃなくて俺が選ばれたんだよ。この中で仮面ライダーに変身できる奴いるか? 今までに何回失敗した? ほら、挙手しろよ、ほら。さぁ!!」
静寂。誰も手を上げられるはずなかった。プレイドライバーを使えるのは源次の言う通り選ばれた者のみ。
このドライバーを造った研究員達数十名は、過去の文献からデモンドライバーを参考に現在へと甦らせた。謂わば模造品。
ただし、模造品と言えども変身する為には体力試験等が実施され、強い精神力も必要となる他、最終的には残った数名の中で最も適合率が高い者が選ばれる。
それがこの深尾源次だった。
「はいはい、じゃあ俺はまた好きにやらせてもらうので」
「ま、待てどこに行く!!?」
「勿論、悪魔退治。それ以外に俺がやれる事ってあるか? あってもやだね。俺は好きな時に好きなだけ遊びたいのよ」
手をヒラヒラとさせて彼は部屋を出て行ってしまった。
リーダーは大きなため息を吐くと近くにあった椅子に座り直し、テーブルに置いてあったコーヒーを一気に飲み干す。
「リーダー… あいつッ……!!」
「よせ。言っても無駄だ」
「ですけど!!」
「いいんだ。あいつが文句を言いたいのもわかる。自由にする理由もな……」
「そりゃまぁ…… 確かにそうですが、いくらなんでもあんまりですよ」
「うーん…」
深尾源次という男の背中はいつも何かが乗っかっているんだ。
金でも女でも責任でもない。例えるなら悪魔。あいつの背中には何匹も嫌な悪魔がのし掛かってるんだ────。
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その頃、恭也たちは順調に悪魔達を封印していた。
ここ1週間の間に20人以上は封印済みだ。あまりにも振り回されている為、彼らの身体はボロボロであり、そろそろ休みが欲しいという時であった。
「はぁ… はぁ……… これで何人目だ?」
「29人目でございます」
「29か…かなりの数だな」
「… あの恭也様?」
「なんだ?」
「ここ最近、お休みになられてないようですが… お身体の具合はよろしいのですか?」
「うむ、どちらかと言われれば良くはないな。1週間で力を使い過ぎたのか、身体が妙に重い。偶に睡魔に襲われる」
「添い寝致しましょうか?」
「この数秒で何があった」
「…… 共に寝させていただきませんか?」
「お願いになったな」
恭也を心配するエイルだが無理もない。
エイル達も相当身体に負担がかかっているはずだ。それなのに自分が休むなんて王としての威厳や使命が無駄になる。無理をしてでもやらなければならない。平和の為に。
そう思っていた時であった。
少しの油断を見せたその瞬間を狙って、隠れていた悪魔が恭也に襲いかかってきたのだ。
「恭也様ッ!!!」
「しまった…ッ!!」
悪魔の電撃が恭也に降り注ぐかと思われた。
その時である。
突如、彼の前に大きな壁が出現したかと思うと、その壁は雷を全て地面へと受け流し、恭也の窮地を救ったのだ。
「この岩壁は───」
「ガハハハッ、久しぶりだな!! 王よ!!」
「お前が助けてくれたのか?」
「王を助けるのは当然だッ!!… さて、まぁお互い話したいこともあるだろうから、こいつをさっさと黙らせてやろう」
「あぁ、感謝するッ!!」
《スタンドエイワン!!》
恭也は地面を操る悪魔の助けを借りながら、メレフへと変身し、メレフキーブレードを手に取って雷の悪魔の元へと突っ込んだ。
当然、ただ真っ直ぐ突っ込んでいくのだから、悪魔側からしたらこれほど狙いやすいことはない。両手から雷を発生させるが、メレフの通り道を壁が覆うものだから全て無効化されてしまう。
「眠れ、悲しき悪魔よ────」
《エイワン!!シャットアウト!!》
「ぐわぁぁぁぁぁぁぁぁぁっっ…!!!」
雷の悪魔にメレフキーブレードの斬撃が浴びせられる。切り裂かれた悪魔に鍵を挿してやると、鍵に悪魔が封印される。
謎の悪魔の手助けにより苦戦する事なく、無事に悪魔を封印できた。
恭也は変身を解くと、その悪魔に尋ねる。
「さて、話をしよう。予想はついているが……」
「予想通りわしは『ネゴール・レイ』。会いたかったぞ王ッ!! ガハハハハハハハッ!!」
そしてネゴールは嬉しそうに、力強く恭也の背中を叩いた。
この無礼に犬が威嚇するような声を上げながらエイルが牙を向けている。その横でジェイクが笑いながらネゴールと肩を組む。
「久しぶりだなッ!! ネゴール!!」
「お前はジェイクだなぁ!!? 久しぶりだなッ!!?」
「今までどこにいたんだ!!? 俺はこの王と共に悪魔を熱く!! 世界にその名が轟くほど封印してきたぞ!!!」
「そうかそうか!! わしもその名を聞いてここまで来たんだ!!! お陰で予定より早く会えたわい!!!」
ガハハハハハハハッと、これ以上にうるさい絵面があっただろうか。暫く基本的に静かな状態だった我が家に、重低音スピーカーが1つ追加されるな。
すると、ネゴールはピタリと笑うのを止め、恭也に真面目な顔で質問をしてきた。
「そういえば王。お前は先程の悪魔で封印したのは何体目だ?」
「ん? 30体目だが… 更に前に遡れば数体封印に成功している。デモンハンターによって魂だけとなった奴らもそれなりには…… だから40体くらいか?」
「40… 既に半分か」
「順調ではあると思っているが… 何か問題が?」
「いや、問題ではない。寧ろ良い。だが、半分も封印しているのならそろそろ力の解放ができているはずなんだがなぁ…」
その力の解放という言葉を聞いた恭也は、それが何なのか予想がついた。
それを確かめる為にネゴールに聞く。
「王の力だろう?」
「その通りだ。半分も封印しているのなら、王の力も半分以上解放されている筈だ。ただ今見た所、お前はまだその半分すら出せていない。2割程度と言ったところだな」
たったの2割という言葉に恭也は耳を疑った。既に40体という数を封印しているにも関わらず、解放している力は王としての力に慣れた程度なのだ。
恭也は思わずやや前のめりになって問う。これから先どんな強敵が待ち構えているかわからない。その為にも早く力を解放しなければならない。
「ネゴール。王としての力を解放するにはどうしたらいい?」
「…… あ?」
ネゴールは何言ってるんだ?という顔で恭也を見つめる。
「なんだその顔は…?」
「いや、お前知らないのか? そんな訳はないだろ、エイルから聞いて───」
その時、エイルがデモンティアを察知した様で、恭也を早急に向かわせようと促す。
この行為がまるで今の話を遮ろうとしている様にも捉えられたが、それは後でもいい。今は一刻も早く現地に向かうことが優先だ。
「よし、行くぞお前たち───」
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恭也たちが着いた頃には既に終わっていた様で、そこにはプリーストが立っていた。
まだ正体がバレていない恭也は物陰に隠れメレフに変身し、プリーストの元へと歩み寄る。
「───…… おっ、なんだ王様じゃねーか。残念だがもう終わったぜ」
「ご苦労。俺はやる事がある。早々に立ち去って貰うと助かるんだが…」
「そいつはできない相談だな。俺はデモンハンター、目の前に悪魔… それに王もいるってなら話は変わってくる。お前を倒して金にも女にも困らない生活させて貰うぜ?」
「… ネゴール、俺に力を貸してくれ」
メレフはネゴールにそう言うと、彼は「その力でどこまでやれるか見せてみな」と言い、ネゴレイティアイズキーをメレフに渡した。
それからメレフはドライバーの鍵をネゴレイティアイズキーへと変更し、そのまま回して土のエネルギーを増幅させる。
《ネゴレイ!!》
《解錠!!》《憑依!!》
《悪魔の名はネゴール・レイ!!50の数字を持ち、その硬度は全てを弾く!!》
《スタンドネゴレイ!!》
上半身を岩の様なゴツゴツした鎧で包み込み、そこから両手にメリケンの様に棘が着いた岩のグローブが装着される。
仮面ライダーメレフ スタンドネゴレイ───。
「今度はガチガチに固めてきたってわけか。まぁ、いいぜ。前と同じ様にフルボッコにしてやるだけだからな!!」
「そう同じように事が進むと思わない方がいいぞ」
プリーストは杖から光弾を発射する。この光弾は自在に動かすことが可能であり、例えどれだけ攻撃を避けようと最終的には当てられる。
それにこの形態からして素早く動くことは困難。装甲の薄い部分から攻撃すれば問題ないだろう。プリーストはそう思った。
「同じようになっちまうのがデモンハンターの俺の腕よ!!」
光弾はメレフに直撃した。直撃した筈だ。
しかし、プリーストは何か違和感を覚えた。
「なんだ…?」
装甲に当たった時のような金属音というのだろうか。それが一切なかった。硬くはない。まるで砂糖のような…。
「あ、えっ!?」
「同じようにならなかったな。デモンハンター?」
メレフの身体に分厚い砂が纏わり付き、光弾の威力を下げ、衝撃を吸収したのだ。
だが、たった1発回避しただけ。四方八方から放てばどこかしらには当たる筈だとプリーストは考えた。それに全部とは言わないが、数個なら無理なく操れる。
「くらいなっ!!」
そしてプリーストは光弾20発を同時に発射した。
思った通り避けようとしない。それはそうだ。メレフ自身もわかっている筈だ。避けても追っていくと。
「はい、じゃあお疲れぇっ!!」
「── 俺は避けられないんじゃない。敢えて避けないだけだ」
「は…?」
次の瞬間、メレフが地面に手を触れると、周りに岩の壁が出現し次々に光弾を防いでいく。
それをプリーストは光弾を操って避けようとするものの、壁はパカッと肉食獣のように口を開いたかと思うとそれを飲み込んで無効化してしまう。
まさに防御は最大の攻撃と言えよう。メレフは次に砂を巻き上げ、プリーストの身体に纏わせて動きを封じた。
「こ、こんなものぉ…!!」
どこにそんな力があるのか。火事場の馬鹿力で砂の拘束を纏ったまま杖を振り上げ、光弾を放って周りの砂を弾き飛ばす。そして杖から光のレーザーを放ち、まるで剣のように振り回す。
「これでぶった斬って─── えっ」
「気づかなかったのか?」
プリーストがメレフに向き直ると、彼は影に覆われていた。
恐る恐る上を見ると、巨大な岩が砂で下から支えられていた。本当にいつから浮いていたのだろうか。
「まさか… 砂は拘束する為じゃなく、俺の視界を遮る為にか…?」
「その通りだ。だが、わかった所でもう遅いがな」
「へっ、へへっ…… 一旦話し合う事はできない感じでしょうか…?」
「ふむ… もう少し早かったら聞いていたかもな」
「そーかいッ!!」
《プリーストパニッシュ!!》
そしてプリーストはドライバーの鍵のボタンを押してから捻って、レーザーの威力を強くして上から岩を真っ二つに切るように振り下ろす。
それと同時にメレフも彼に向かって巨大な岩を投げ飛ばした。
《ネゴレイ!!シャットアウト!!》
「ハァッ!!」
互いの必殺技がぶつかり合い、目の前が光ったかと思うと、大爆発を引き起こし辺りが砂埃に包まれる。
メレフはそれらを掻き分けてプリーストを確認するが、そこに彼の姿はなかった。
「…… 逃げたか」
「ですが、奴もこれで恭也様は最強で完璧で素晴らしいお方だと気づく筈です」
「そ、そうだな」
エイルの事はさておき、ネゴレイの防御力がなければどうなっていたかわからない。王としての本当の力。解放するのはいつになるのか。
「とりあえず、今回はここにいた悪魔を封印して引き上げ────」
その時だった。メレフに光弾が直撃する。
「がはっ…!!?」
「恭也様ッ!!」
更に光弾は飛んでくるが、壁を作ろうにも追いつかず、その身で何発を受けてしまった。
この光弾はプリーストか?何故、どこから見ていた?帰ったんじゃなかったのか?
いや、これは違うとメレフは思う。確かに同じ光ではあるが、威力がだいぶ違う。こちらは威力こそ低いものの速い。
「一体… 誰だ!!」
「………」
そこに立っていたのは見た目ですぐにわかった。女の悪魔だ。だが、他とは全然違う個体だと感覚でわかる。
それを見たエイルはそれが誰かわかった。
「… アレは60番目です」
「なに?」
「60番の悪魔、『メロク・オーラ』です!」
彼女、メロクの目に光はなかった。ただその手には光の力が込められていた。
そして再び彼女から光弾が放たれる───。
まさかの敵対…?こんな事エミーの時もあったような…なぜ?
次回、第10解「我に裏切り、我は戸惑い」
次回もよろしくお願いします!!