それではどうぞご覧ください。
「お前の本当の目的はなんだ!! 言うがいい、前王ッ!!」
「知りたければ力づくで来るのだなッ!!」
恭也はメレフへと変身し、悪魔よりも恐ろしく禍々しい見た目をした前王と戦っていた。しかし、攻撃の流れや受け身、戦いにおける攻めと引きを理解している分、前王の方が遥か上をいく。
メレフが剣で切り裂こうとするが、その鎧の様な身体に傷はつけられない。装甲が薄そうな腹や手足、丸出しの顔の部分を狙ってはいるが、肉体的にも硬度が高いのか攻撃しても前王は平気だとばかりに動き続ける。
「なら、俺の全てを貴様にくらわせてくれるッ!!」
《スタンドジェイテン!!》
そしてメレフはまず「スタンドジェイテン」へとフォームチェンジし、業火を纏った大剣を振り回し、前王を斬りつける。
例え傷はつかなくても属性攻撃ならば通る筈だと考えた。
「1000年の時を経て火力が落ちたな、ジェイク!!」
前王は火だるまになった状態でメレフを掴み、上空へと放り投げ、両手から無数の針を飛ばす。
空中でその針を避ける事はできないと、大剣に先ほどよりも更に炎を纏わせ、針を溶かそうとした。だが、針は数本防げただけで他はメレフの身体へと突き刺さる。
「がはっ…!!」
「全てをくらったな?」
「くっ…… まだこれからだ」
《スタンドエミオン!!》
空ではこの形態「スタンドエミオン」の方が圧倒的である。
風を操り、前王の周りを4つの竜巻で囲うと、そのまま彼を押しつぶす様に1箇所に収束させる。激しい突風が吹き荒れ、周りの物が吹き飛ぶ中、何をしたんだと言わんばかりに身体についた塵を払って竜巻の中から出てきた。
再び風を操ってぶつけようとしたが、前王は翼を展開して空を飛び、一瞬にしてメレフの目の前へと辿り着くと、首を掴んでそのまま落下し地面へとめり込ませる。
「ぐおぉぉ…ッ!!!」
「全て無意味だったな?」
「……っ!!」
先ほどと同じセリフを吐かれ、怒りを露わにしたメレフは前王を両足で蹴り飛ばし、ドライバーのキーを変更して「スタンドティニーマ」へと姿を変える。
「ふっ!!」
周りにある水分を操り、前王を包み込んでそれらを回転させる。これは攻撃ではなく視界を遮るための囮だ。視認できない所から防御すら取れない一撃を与えでやる為。
そしてメレフは《スタンドゼフゼロ》へと変身し、キーのボタンを押して捻り、雷のエネルギーを専用武器の槍へと収束させる。
それから地面が割れるほど踏み込み、身体を思いっきり捻って、雷を纏った槍を前王に投げつける。
まるで本物の雷の様な一閃が、ティニーマによって作られた水の壁に突き刺さり、後ろの壁も貫通して後方へと槍は消えていった。これはつまり前王を貫いたという事だろう。
「これでッ!!」
しかし、前王は翼を広げた。効いていない。無傷のままだった。
「なんで……」
「弱い、弱過ぎる。本当に王として選ばれた者か? この力…… 私の間違いでなければ2か3割程度の力しかない。これで私に勝とうなどという傲慢さは非常に腹立たしい」
既に力の差があった。メレフの攻撃が通らないどころか、現在の力の度合いすらも前王は把握していた。レベルが違い過ぎると改めて実感できる。
「まだだッ!!」
「いや、終わりだ」
前王は両手を合わせ、そこへと無のエネルギーを溜めて一気に放出する。
それに対してメレフは防御体制を取るが、防御力とかの問題ではなく、この攻撃が装甲を無視してダメージを与えてくるものだった。
「ぐあぁぁぁぁぁぁぁぁっ…!!!」
その強烈な一撃に恭也は変身解除へと追い込まれてしまう。立ち上がろうとしても脚に力が入らない。
そして前王がトドメを刺そうと恭也へと近づいてくるが、他の悪魔たちがその前に立ち塞がる。
「退け」
「…… いけません」
「私の命令に背くと?」
「……………」
皆の顔に恐怖が見える。これは力の差が圧倒的だからではない。1000年前とは言え、忠誠を誓った先代の王が彼に対して命令をしているのだ。命令に背くという事は王の意志を裏切るという事。彼ら、彼女らからしたらそれがどれだけ罪であり、辛い事なのかよくわかる。
「あの男は王に向いていなかった。お前たちが私に付いていたのは、私が誰よりも強き王だったからではないのか? その圧倒的力の前に忠誠を誓ったのではないのか? なら、なぜ庇う。その男の何を見ている?」
その質問にエイルが唇を震わせながら言う。
「私は今でもあなた様の事を愛しています。忠誠も誓いました……… ですが、我々にとっての王は恭也様でございます」
「私の命を奪っておきながらよく言えたものだな」
「……… はい、そうです。私は悪魔です。魂を喰らわなければ生きていけない悪魔… そんな悪魔に対して恭也様は最後まで聞こうとする事はありませんでした。ずっと私を守る為の行動をしてくれました…… この方の優しさは私だけではなく、他の悪魔たちにも伝わっている筈です。だから守りたいのです」
「理由になってないぞ」
「この方を愛しています」
「なぜ?」
「理由にならないので、お答えする事はできません」
「ふっ… 私を前に冗談を吐く様になったか。いいだろう、エイル。お前はお前の友に殺してもらうとしよう」
そう言うとメロクがエイルの前へと立ち、右手を首に掛ける。徐々に力を加えられ締め上げられる。
「うっ…ぐ…っ……!」
「………」
メロクは何も言わない。その目には先ほどと同じ様に光は見えない。
「メロ…ク…… 聞いて」
「…………」
「私が恭也様と初めてお会いしたあの日… 私はあの方を好きになった…… 最初は王だからという理由だったのかもしれない……」
「…………」
「でも、今は違う… そう言える…… 私はあの方の全てが好きなった…… 悪魔である私たちを迎え入れ、どんな苦難も乗り越えるそのお姿……」
「…………」
「だからこそ言いたくなかった… 私の秘密を言いたくなかった…… 恭也様に嫌われると思ったから…… 私は使命を優先してしまったのよ… 酷い話でしょ…? 愛してるのにあの方を殺そうとしてるなんて…… これも何かの罰なのかもしれないわ…メロク、あなたに殺されるならそれでいい……… これが少しでも罪滅ぼしになるなら───」
涙を流すエイルに、恭也は声を荒げて否定する。
「エイル、違う!! それは罪滅ぼしでもなんでもない!!」
「恭也様……!」
「罪は一生ついてくる!! 例えお前がここで死んでしまったとしても、その罪はお前の心から決して離れる事はない!!」
「なら… 私は……」
「その罪がお前に一生ついていくなら、俺の元で一生償い続けろ!!」
「それでは恭也様の命が…!!」
「何の取り柄もなかった俺に光を見せてくれたのはどこの悪魔だ? 俺をこの運命に引き込んだのなら、最後まで付き合ってもらう。これは命令だッ!! もう一度俺に力を貸せッ!! エイルッ!!!」
「恭也…様……!!」
その時、恭也の手の中から光が漏れ出す。手を広げるとそこに自然と握られていたエイワンティアイズキーが光を放っていた。
その鍵をエイルに向けると、彼女と共にメロクもその光に包まれる。光は強烈に発光したかと思うと、やがて消えてしまい、光に包まれた2人は倒れてしまう。
「エイル!!」
恭也は力を振り絞って立ち上がり彼女達の元へと駆けつける。悪魔たちも彼が倒れない様に横へと着く。
「……… 恭也様…?」
「大丈夫か?」
「はい…… っ! メロクは!?」
「メロク……」
そしてメロクの方を見ると、彼女も目を覚まし、辺りを見渡している。
何が起こったのかわからないという顔になっている彼女に、恭也は声をかける。
「お前も大丈夫か、メロク?」
「あなたは………… そう、大体把握できたわ」
「色々と話したい事もあるんだが… 理由は聞かず今は力を貸してくれるか?」
「もちろんよ。何故かわからないけど、あなたたちの気持ちは私に伝わったから」
それからメロクは恭也の手に「メローラティアイズキー」を渡す。
恭也は前王に向き直り、そのキーを起動させる。
《メローラ!!》
「この力でもお前に勝てるとは思わない。だが、最後まで抵抗はさせてもらうぞ。俺たちの力でな」
「ふんっ… なのに、私にまだ対抗すると? 無謀にも程がある」
「無謀だけどやるしかない。それが王である俺の姿勢だ」
「面白い… 来るがいい」
「行くぞ、エイル、メローラ………… 変身ッ!!!」
《解錠》《憑依》
《悪魔の名はメロク・オーラ!!60の数字を持ち、その光源は全てを照らす!!》
《スタンドメローラ!!》
仮面ライダーメレフ スタンドメローラ。
この形態は脚を中心にアーマーが構成されている。スタンドエイワン時の剣を逆手に持ち、数秒間、光の速度で移動できる形態である。
メレフは動く。光の速度で前王の背後を取ると、そのまま斬りつける。
「何かしたか?」
やはり効いてないが、メレフは気にもせずに斬り続けた。もちろん攻撃は通らない。
四方八方から飛ぶ斬撃に対応する必要のない前王は、容易くメレフを捉え、手刀でメレフを叩きつける。が、しかしそれでも彼は止まらない。
「何の意味がある…?」
前王にこの攻撃の意図が全くと言っていいほどわからなかった。態々効かない攻撃を続ける必要があるのだろうか。どれだけ攻撃しようと、メローラの攻撃力は知っているので、避ける事をせずに隙を見て一撃を食らわせてやればいい。何も心配事などいらない。これが圧倒的力の差。
そう思っていた────が、
「─── っ」
何故か脇腹の部分に少しばかり違和感を覚える。この違和感の正体がわからない。先程は何もなかった筈なのに、徐々にその違和感がハッキリとするようになってきた。
「こ、これは…!!」
「今更気づいたか… もう遅いッ!!」
これは痛みだ。痛みが襲ってきていたのだ。
メレフは四方八方からデタラメに攻撃していた訳ではなく、光速で脇腹に叩き込んでいた。
絶対に効かないなんて事はあり得ない。だったら同じ攻撃を同じ場所に同じ力で撃ち込む続ければいい。
「貴様ッ…!!」
「ハァァァァァァァッ!!!」
《メローラシャットアウト!!》
前王が無のエネルギー波を繰り出そうとして来たが、既にメレフはドライバーのキーを回し、光のエネルギーを両脚に溜めていた。
光速で脇腹に斬撃を浴びせ、最後に両脚から剣にエネルギーを集中させ一気に斬りつける。
「ぐおぉぉぉぉっ…!!!」
流石の硬い装甲もその連続した攻撃には対応できず、前王は吹き飛ばされてしまう。かなりダメージとなったのか脇腹を苦しそうに抑え、ゆっくりと立ち上がる。
「油断してしまったな。謝っておこう。お前たちの力を甘く見過ぎた…… 次に会った時は本気で相手しよう────」
そう言うと前王は闇に消えてしまった。
その姿を見たメレフもまた身体の力が抜けてしまい、いつの間にか視界が真っ暗になってしまう────。
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「きょ……ま……」
「…………」
「きょ……や……様ッ」
「…………」
「恭也様ッ!!」
「…っ!」
そこは自宅のベッドだった。恭也はエイルや悪魔たちに囲まれ、ベッドの上で寝ていたのだった。
エイルは滝の様な涙を流しながら、恭也を抱きしめてきた。一瞬にして服がびしょ濡れになる。
「良かった… 良かった……!!」
「エイル… 皆も無事の様で良かった」
「……… 恭也様… 私は───」
「もういい、エイル。それ以上言う事は許さん」
「ですが───!!」
「そうなる運命だっただけだ。それに俺が死ぬと決まったわけじゃない。何かしら方法がある筈だ。それに……まぁ、お前たちもいる事だ」
恭也は悪魔たち一人一人に目を合わると、各々が頷く。
「お前がそう望むのであれば喜んで戦おう!! 俺たちはその為に燃え上がらせよう!! 闘志を!!! 熱を!!!! 想いを!!!!」
「当たり前だよ〜、今の王は恭也さまさまだからね〜。しっかりサポートするから安心して二度寝してもいいよ」
「僕より優れてるとは言わないけど、君の王としての姿は真似できないよ。ま、僕にかかれば君の死の運命なんて、ヒラリとどこかへ吹き飛んでしまうのさ。ちなみに僕の───」
「それがお前の意志であるなら従おう…」
「この短い期間で随分と肝が据わったな。これは王としての覚醒も近いな!! ガッハッハッハッ!!」
そして騒がしい中、恭也にメロクが近づいて来て頭を下げる。
「どうした?」
「王、無礼をお許しください」
「何だそれか。お前は操られていた。仕方のない事だったではないか」
「いえ、罰をお与えください。いくら操られていたとしても王に牙を向けてしまったのです。罰を受けなければ私の気が済みません」
「ふむ…… ならば、俺に尽くせ。それがお前の罰だ。これでいいだろう?」
「承知しました……」
メロクはそれを了解すると、同じベッドの中に入り込んできた。
「いや、は?」
「今からあなたに尽くしたいと思うのだけれど… これでいいわよね」
「何も良くはない、退け」
「ふふふっ、恥ずかしいのかしら」
「おい、先程のあの感じはどこへいった」
その光景を見るや否や、エイルもまるで蛇の様にメロクと逆側の方に入り込んできた。
明らかにおかしい光景に悪魔たちは笑っている。
「退きなさいメロク」
「あら、エイルは罰を与えられていないのだから、退いた方がよろしくなくて? これは無礼に値するわよ?」
「あなたこそ無礼よ。恭也様が嫌がってるわ」
「あなたがいるからじゃなくて?」
「何ですって…!!?」
なるほど。友人とはライバル関係という事だったのだろう。彼女たちは恭也を挟んで喧嘩をし始めた。
その光景を見て更に笑い出す悪魔達、そして耳を塞ぎただ天井を見上げる恭也。
「頼む、もう勘弁してくれッ!!!」
恭也の嬉しい様で苦しみの叫びが部屋にこだました。
──── そんな中、誰も気付かないところでエイワンティアイズキーが淡く光始めていた。
次で1章目終わりです!!本当に時間がかかってしまい本当に申し訳ないです!!本当に本当にほんまにごめんなさい!!
次回、第12解「我は強大、我にプラス」
次回もよろしくお願いします!!