仮面ライダーメレフ   作:辰ノ命

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皆さんご無沙汰しております。
それではどうぞご覧ください。


第18解「我は進化、我の命」

 プリーストはメレフに攻撃できずにいた。いや、正確には攻撃する意味を考えていた。決めつけるのは良くないが、この場合、決めつけておいた方が自分の身を守れるのかもしれない。

 まだ戦ってすらいないのに、こいつは強いと思える。エンジェルティアの力を使ったとしても勝てないと思わせる程に。

 

「…… まーだそんなの隠し持ってたのか」

「これは奇跡ではないぞ。俺の力がそこに達したから生まれた力だ」

 

 このまま話を続けても、結局メレフはエンジェルティアを倒すのだろう。そうなる前に先手を打たなければならない。

 例え、勝つ事が不可能に近いとしても。

 

「これでも喰らいなッ!!」

 

 そしてプリーストは100発の光弾に各属性を乗せて撃ち放った。どの属性でも、どんな防御力でも防ぎようがない数と力。避ける事ももちろん不可能。この光弾はどこまでも追尾する。

 

「何…!?」

 

 メレフは避けない。それどころ防御態勢すら取らない。

 

「馬鹿かッ!?」

 

 全弾直撃した。凄まじい爆発の量に流石のプリーストも開いた方が塞がらない状態だった。杖を構える事もせずただ突っ立っていた。

 それが隙となる事も考えられない。

 

「来るよ源次。もう間に合わないけどね」

「はっ…!!」

 

 ムウテンに言われハッとなったプリーストだったが、時既に遅し。

 メレフはいつの間にか彼の間合いに入っており、それに気づいた頃には地面に倒れていた。胸部に鋭い痛みが走る。

 

「がぁぁぁぁぁ!!…ぐぅ…っ!!」

「………」

 

 攻撃、素早さどちらも凄まじい程に仕上がっている。天使達の力を結集してパワーアップを遂げたプリーストであったが、新たなメレフの力に圧倒されてしまっている事にイラつき始める。

 それを感じ取ったムウテンはプリーストを宥める。まだ完全に負けたわけではないというのだ。

 

「君は焦り過ぎだ。もう一度攻撃してご覧」

「無理だ。奴の力は前よりも強大になっちまった。見ただろ? 俺の攻撃全てが効いてなかったんだぞ」

「いや、もう一度やってみるんだ。そしてよく見て。絶対ではないと気づくよ」

 

 そしてプリーストはもう一度100発の光弾をメレフ目掛けて放った。先ほど同様に逃げる隙間はない。喰らうだけ。

 しかし、メレフにはやはり効いていなかった。1度ダメだった攻撃がもう1度やった所で、それはただの二度手間。無意味な行動。エネルギーをただ消耗し続けるだけ。

 そう思っていた。

 

「さぁ、これでも君は効いてないと言うのかい?」

「こ、これは…!」

 

 プリーストはムウテンに言われた通り、メレフの身体をよく見た。すると、彼の装甲はプリーストの攻撃によってひび割れ、それどころか砕けている箇所まである始末だった。

 ムウテンに言われなければ気づかないほど、焦っていたようだ。だが、これで焦る必要はない。効いているのなら攻撃し続けるのみ。ムウテンもやれると確信した。

 ただプリーストはもう一つの疑問を捨て切れていなかった。

 

「うおぉぉぉぉぉぉぉ!!!」

 

 光弾が飛ぶ。ただし、今回は攻撃されてもいいように地面を操って周りを固める。水で衝撃を防ぎ、風で受け流すつもりだ。もし、相手の行動に気づくのが早ければ、闇で拘束してもいいし、光の力で逃げたっていい。隙なんてない。勝てる。

 

「─── 痛みはあるが、これはいい」

「なっ…!!!?」

 

 プリーストの光弾はまたも全て当たった。この時、彼は気づいてしまった。この疑問が晴れた瞬間だった。ムウテンもそれに気づく。

 だが、後悔するのにこの一瞬の時間は短すぎた。

 

「ヌンッ!!!」

「ぐほぉっ…!!?」

 

 防御態勢を取っていたプリーストは呆気なく後方へ吹き飛ばされ、凄まじい速度で壁にめり込む。

 そしてその衝撃と共に変身解除に追い込まれてしまった。

 

「お前… その力は……」

「まさかエイルの力… 王の力を解放しても全て防げなかったのは流石だな。エンジェルティア」

 

 すると、メレフの身体は凄まじい速度で修復されていき、この喋っている間にすっかり元通りとなっていた。

 エンジェルティアの力を結集したプリーストの力は想像以上に強大である。それ故に75%解放したメレフの鎧であったとしても、完璧に防ぐことは困難であった。が、それ以上にメレフの王としての力が異常だったのだ。

 

「超再生能力…… いよいよ本当の化け物になってきたじゃねーか」

「話せ源次。お前に一体何があった」

「話してやりてー所だが───」

 

 次の瞬間、メレフの目の前が真っ白になる。強烈な光だ。視界が元に戻ると、そこには既に源次の姿はなくなった。

 

「どうやら引いたようだな」

 

 そう言って恭也も変身を解除すると、いきなり肩に重石を乗っけられたような疲労感に襲われ、地面に膝をつく。

 それに対して急いで駆け寄るエイルは心配そうに声をかける。

 

「恭也様、大丈夫ですか!?」

「あ、あぁ… 急に身体が……」

「…… それは私のせいです」

「これも王の力の解放が原因だろう」

「はい、超再生は身体に大きな負荷が掛かります。この力を使い続けるとやがて…」

「生命エネルギー… 王としての力が解放されるスピードが早まる。100%になった時、死ぬか生きるか… だろうな」

 

 恭也ははっきりとそう言った。これは確認の為に言ったわけでない。覚悟が揺らがない為に敢えて口に出した。死にたくない。内心ではそう強く願っている。強さを手に入れる度に死へと向かう身体。18歳の青年が背負った代償と使命。

 

「エイル… みんな、大丈夫だ。俺は… 大丈夫だから」

「恭也様…」

 

 その後、恭也はエイルの肩を借りながらゆっくりと帰路に着く────。

 

 

 -------------------------------------------

 

 

「契約内容を忘れた訳じゃないよね?」

「あぁ…」

 

 源次は再びあの椅子が7つ置かれた神聖な間にいた。そこでムウテンに契約違反であると、注意と言うべきなのか、脅しに近い事を言われている。

 

「もう一度君の為に言っておくよ。悪魔の王やその他の悪魔に助けを求める行為は禁止。王を倒すまで契約は継続。そして…… 王を倒せばジェルエは無事に君の元へ戻る。いいかい?」

「わかってる」

「ジェルエは僕たちを扱う為の器。逆に僕たちはいつでもその器を壊す事ができるし、君自身も簡単に始末する事だって可能さ」

「それもわかってる」

「……… ふふっ、ごめんよ。少々脅しが過ぎたよ。僕たちは人間で言う所のビジネスパートナー。平和に行こうじゃないか」

「… あぁ」

 

 ただの人質じゃねーかふざけんな。と、源次は思う。

 

「───…… あ、そうだ」

「なんだ?」

「君はデモンハンターとかいう悪魔を倒す職に就いてるんだったね」

「それがどうした?」

「一つ提案があるんだけど…… どうだい?」

「どうせ碌な事じゃねーんだろうが… まぁいい、聞いてやるよ。断ったら何されるかわかんねーし」

「そう警戒しなくてもいいよ。お互いwin-winな関係になるだけさ───」

 

 

 *

 

 

 今日はおかしな事が起きている。リーダーの男は嫌な予感が的中しないように、心の中でただただ祈っていた。

 何故なら、デモンハンター達は源次に呼び出されたからだ。彼から呼び出されるなんて事は今まで一度たりともなかったのに、今回いきなり集まって欲しいとリーダーに頭まで下げたという。

 

「………」

 

 静かにソファーに座って待っていると、ドアをコンコンと叩く音が聞こえ「入れ」と、中に入るように言う。

 ドアを開けて入ってきたのは源次だ。時間通りである。これも初めてだ。

 

「時間通りに来るなんて、お前にしては珍しいな」

「俺だってたまには真面目に守る時だってあるんだぜ?」

「………」

「………」

 

 お互いに沈黙が続く。先に口を開いたのはリーダーの男だ。

 

「… そこにいる奴はなんだ?」

「は?」

「お前の事はこれでもわかってるつもりだ。源次、この静寂の中、お前は何かの声を聞いていたな?」

「…… なにかって?」

「それはわからない。だが、そこに俺の知らない何かがいる事はわかる。誰なんだそいつは? 俺たちに一体何を話す?」

 

 すると、源次の背後からどこからともなくムウテンが姿を現した。そこにいたデモンハンター達は銃を構えるが、リーダーは手を挙げてそれを静止する。

 

「やぁ、デモンハンターの諸君。初めまして」

「デモンティア… いや、違うな。お前は一体何者だ?」

「僕はエンジェルティアのムウテン。先に言うけど、君たちの味方と認識してくれて構わない」

「証拠は?」

「僕がデモンティアみたいに野蛮なら、今ここで君たちを皆殺しにしてるよ」

 

 警戒態勢が解かれる事はない。この言葉に思わず源次をゾッとした。冗談で言ったのだろうが、周りからすれば本気と言わざるを得ない不気味さがあった。

 そんなムウテンは早速、用件を話し始める。

 

「君たちをここに呼んだのは他でもない。僕たちと契約を結んで欲しい」

「契約…? デモンティアと同じような事を言うな」

「あいつらと同じ風に思わないでくれ。僕たちは君たち人類をこれ以上傷つけたくないんだ」

 

 嘘だとわかる。本来の目的はデモンティアの抹殺だ。人類がどうなるなんて考えてすらいないだろう。源次はそう思った。

 ムウテンは続ける。

 

「一応聞こう。契約内容は?」

「メリットデメリットだけ話すなら、メリットは君たちは人間の力を遥かに凌ぐほど、強大な力を手に入れる事ができる。デメリットは──── ない」

「ない? 何もない訳がないだろう?」

「ないよ」

 

 源次は思わず小声で「嘘だろ」と呟いた。

 その言葉を聴こえていたのか、ムウテンは源次に言うように続けた。

 

「僕たちの目的はデモンティアを全滅させる事。君たちの目的はデモンティアを倒す事。まぁ意味は同じだろう。目的も一緒さ。だけど君たちの武器では彼らに太刀打ちできない。更に言えば、ここ最近のデモンティアの王は以前より遥かに強くなっているそうだね。このプリーストでさえも既に足元にも及ばなくなってきている」

「もうこの銃も使いものにならないのか?」

「君たちの使うその特殊な弾丸かい? 今は効いていたとしても、デモンティアが本来の力を取り戻したら最後、君たちの技術では到底敵わない。全滅。人類に明日はないよ」

「そうならない為には…」

「契約して強くなる他ない。そこら辺にいる人でもいいんだけど、君たちのように鍛え上げられた肉体を持ち、戦いにおいての基本を身につけている人じゃないと圧倒的に不利だからね。一般人を巻き込みたくはないだろう?」

「そうだが……」

 

 リーダーの男は源次を見る。思わず源次は目を逸らす。

 

「源次」

「……… なんだよ」

「お前が決めろ」

「なんだって…?」

 

 リーダの言葉にざわつき始める。それもそうだ。デモンハンター内部で1番の問題児であり、ダメ人間の彼に全てが委ねられたのだから。

 

「いや、リーダーであるあんたが決めなきゃ───」

「エンジェルティア? に詳しいのはお前だ。お前に任せる」

「ふざけんな。ストレスで頭イカれちまったのかよ」

「過去を忘れようとしても忘れられない。だが、世界を救いたい。お前の本当の気持ちはわかっているつもりだ。この組織に入る前から一緒にいるんだからな」

「…… でも」

「俺は覚悟が決まってる。お前も既に決めてきた筈だ。それを選ぶだけでいい…… だろう? 皆もそう思うな!!?」

 

 デモンハンター達は後ろで手を組み背筋を伸ばして立つ。なぜここまですぐに覚悟を決める事ができるのだろうか。たった1人の為に。

 そしてリーダーは源次の耳元まで行き囁いた。

 

「… お前の場合、この契約云々の前に守りたい奴がいるんだろう?」

「…っ!」

「俺たちは仲間の為ならこの命を懸ける。例えどれだけ憎たらしいお前でも、真っ当な理由があるならそれに手を貸そう」

「……… ホント馬鹿だぜ。あんた」

「それはお前もだ」

 

 源次はムウテンに告げる。ムウテンはニコリと微笑むと、デモンハンターたち全員と契約を結んだ。

 そうして彼らは強大な力を手に入れた。が、その代償はあまりに大きかった───。




人類にまで手を出したなお前な(呆れ

次回、第19解「我が知らぬ、我の過去」

次回もよろしくお願いします!!
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