それではどうぞご覧下さい。
ンードゥに呼び出され、闇の中へと入った。
闇の中は何もなく、どこを見ても真っ暗であり、僅かな光は恭也の入ってきた場所から差し込むのみ。
その光も恭也の入場と同時にすぐに消える。
自分が今どの位置にいるのかも把握できない。
「王よ。肉体の疲労はどうだ?」
「ンードゥか…? あぁ、寧ろ疲労というより何か力が湧いてくる様だ」
闇の中でンードゥの声が聞こえるが、直接脳内に語りかけてくる様な感覚。
声があちこちから聞こえてくる。
「お前さんの力が解放されて来ているのは大いに結構。だが、身体もそろそろ限界が来ているようじゃ」
「ワナイズか」
「変身できてもあと『2回』が限界じゃろう」
「2回か……」
「意外と驚かんのじゃな?」
「もう察しがついていた。今更驚くことではない」
「ふぉっふぉっ、成長しておるわい」
ワナイズも闇属性。何処かにはいるのだが、ンードゥと同じ様にどこからともなく聞こえる。
そして恭也は察しがついた。
この2人がここにいるということは例の話をする為なのだと。
「本題を話せ。俺をここに連れてきた理由…… 絆の話だろう」
「左様」
「お前達ともそれを極めることが出来れば、俺は死の運命を逃れ、強大な力を得る事になるはずだ」
「それに関しては問題ない。我々は既にそれを結んでいる」
「なんだって?」
絆の力は戦いの最中に発現した奇跡的なものだ。
それをンードゥ達が既に結んでいるとはどういうことなのだろうか。
「ンードゥ。詳しく話を聞かせてくれ」
「……… お前の力がより強大になった事で、魂の器が広がった。前に一度会った時は3回ともう1人の男が告げた事だろう。その影響によりお前は寿命が少しばかり伸びている。そして……… それにより我の抜けていた記憶が元に戻りつつある」
「記憶とは?」
「悪魔と天使がまだ戦争をしていた時だ」
「……ッ!!」
神と神、悪魔と天使が争っていた時代。
その時の記憶は皆消えてしまっている様だが、ムウテンが少しだけその事について話していたのを思い出す。
「スレイマン。この名を聞いたことはあるか?」
「あぁ、ムウテンが話していた」
「この神はかつて我々の神として、天使の神であるゴエティアと戦った。この2体の神が争った理由。それは人間が関係している」
「人間だって?」
「そうだ。スレイマンは人間を愛していた。か弱き生命体、その日を生きるのもやっとな彼らが互いに力を合わせ、苦難を乗り越え、新たな文明を開花していくその姿を、神はこの上なく愛しく思っていた。だが、ゴエティアは人間の醜さを知っている。何かを得る為に争い、奪い、殺す。見るに堪えないあまりの醜さに奴は人間という存在そのものが、この世界にとって不必要だと悟った」
「だから今、この世界にいる人間を滅ぼそうとしているのか…… 身勝手過ぎるッ…!!」
「それが神の考えなのだ」
神の意志、という言葉をガーズが言っていた。
そこまで神がえらいのか。神は何を得たいのか。自分勝手な神こそ醜いのではないのか?
「そして我々デモンティアとエンジェルティア戦争が始まり、最初の数年は決着のつかない戦いをしていた……… だが、デモンティアは劣勢を強いられる事となった」
「なぜ?」
「我々の力は同じだとしても、神の力は違う。そしてスレイマンは誰よりも慈悲深い神だったことが災いし、ゴエティアに…… 人間の人質を取られてしまったのだ」
「そんな卑怯な…!!」
「案の定、スレイマンは敗北した。なんとも情けない最後であったが、誇れる存在であった事は間違いない」
「…………」
「それからは一瞬だ。地盤が崩れた事で、デモンティアも早々に敗北した。そしてゴエティアにより記憶を抹消されたのだ」
ゴエティアにより?
ゴエティアがンードゥたちの記憶を消したのか?
「……… そしてここからが真実だ」
「真実?」
「スレイマンの敗北後、我々は記憶を失った。そこまでは知っている筈だ」
「あぁ、記憶を無くして彷徨っていた頃、前王…… 初代悪魔の王にあったのだろう?」
「そうだ。前王は
「再び? どういう事だ? 前王はお前達とは初対面のはずだ」
「初対面などではなかった。これは…… 必然、運命であった」
「つまり……」
「つまり我々の王、初代デモンティア王の正体。それは記憶を消され、新たな人としての道を歩まされていた────『スレイマン』だ」
*****
「変身ッ!!」
《アンロック!!》
《祈る!!願う!!導きのままに!!プリースト!!》
源次は仮面ライダープリーストへと変身し、街に突如として現れた怪人達と交戦していた。
この怪人達はゾンビルやダテンといった使い捨ての雑魚といった具合に、皆それぞれ特徴もなく同じ見た目をしている。
しかし、その強さはゾンビルやダテンの比ではなく、誇張なしで言うならば、現在の恭也のデモンティア1体に匹敵する力を持つだろう。
「─── だぁぁぁぁぁぁあぁぁっっっ!!! クソッ!! 数が多過ぎんだよ!!」
そう言いながらプリーストは持っている杖に光のエネルギーを一気に溜めて空へと打ち出した。
空へ放たれた光は怪人達を追尾し、身体を貫通し、的確に多くの怪人を倒していく。
「へっ…… これで終わりだッ!!」
《プリースト!! パニッシュ!!》
それからプリーストはドライバーのキーを捻り、杖の先端に光を集め、タコの脚のようにそれを伸ばすと、鞭を振るうかのようにくるりと回転し、全方位を一気に殲滅した。
「まぁそれなりに手強かったが、まぁまぁまぁまぁ…… 俺にかかればこんなも─────」
瞬間、プリーストは何かを察知して横へと飛んだ。
だが、彼は避けれなかった。何かが胸に当たる衝撃を感じた。
「ぐ、ぐおぉぉぉぉぉぉぉッッ!!?」
プリーストは思いっきり身体を捻り、その何かを無理やり別方向へと逸らした。
何かは勢いよくどこかへと飛んでいったが、胸の装甲はとてつもない威力で抉られてしまっている。
「危ねぇ…… あのまま避けてなかったら死んでたぜ……」
いや、そもそも当たっている方がおかしいのだ。
彼の直感とプリースト自身の機能により、当たらない位置に、最低でも掠るくらいに素早く避ける事ができていたはずだ。
あの時、それをしていた筈なのに、何かは急に起動を変えてプリーストの胸部に突き刺さった。
「こんな馬鹿げた事すんのはよ。アレしかいないだろうが…… 出てきやがれッ!! 使徒さんよッ!!」
そう言うと何処からともなく使徒は現れた。
「─── 『カミナクシ』をよく1人で倒せたな。どうやら実力はあるようだ」
「お前は……」
「私はアスモ。お前の仇だ」
「……っ!! つーことはエンジェルティア達をやったのはお前か」
「そうだ」
「態々出てきてくれて助かるぜ。探す手間が省けた」
《ホリージェル!!》
《アンロック!!》
《聖なる!!鐘を!!皆に送ろう!!holy bell!!スタンドホリージェル!!》
プリーストはスタンドホリージェルへと変身し、アスモに向かって無数の光の弾を発射する。
そして翼を広げ、絶対に避けられないように全方位から包み込むように光の弾丸を放ち続けた。
「蜂の巣になりやがれッ!!」
弾は小さく。それでいてエネルギーを高密度に。
そんな凄まじい光を凝縮した弾丸を何発もアスモへと食らわせる。
無数の光でアスモの状態が確認できないが、少なからずこの量を食らえばひとたまりもないはず。
「─── 待てよ…?」
プリーストは違和感を覚え攻撃を止めた。それによりアスモの状態が確認できる。
アスモを包んでいた光。その隙間から確認できた。光の弾丸は数センチ付近でバリアの様なもので封じられていたのだった。
「なんだってッ───── がはっ!!? こ、これは………!!?」
また何かが飛んできて、プリーストの腹部に直撃する。
またしても身体を捻り軌道を逸らそうとしたが、今度は全くと言っていいほど逸れはしない。
それどころか段々とプリーストの腹に減り込んできていた。
「くそっ!! なんなんだこれはッ…… ごぽっ…!!」
プリーストはマスクの中で血を吐いた。
それと同時に何かは腹を突き抜けて彼方へと飛んでいった。
「大丈夫!!? 源次!!?」
「あ、あぁ…… 大丈夫だジェルエ………」
ジェルエに心配されながら、プリーストはゆっくりと地面に降りて膝をついた。
アスモの方を見ると、彼は何事もなかったかの様に首を鳴らし、手を銃の様に構えながらプリーストの方へと近づいてきた。
「なんだこの能力はッ!!」
そしてプリーストは杖を構え直し、先端をアスモに向けてそこからビーム放つ。
ビームは確実にアスモに当たったのだが、アスモがいる部分が膨れ上がり、次第にビームが裂け始めた。
「な、なんだ……」
手元の杖が震える。ビームの真ん中を何かが突き抜けてきているのを感じる。
「避けなきゃまずい…… 確実に次は…… 殺される…!!」
何かが近づいてくるにつれて、杖の震えが激しくなっていく。
「うおぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉっっっ!!!」
《ホリージェル!! パニッシュ!!》
プリーストは何とか杖を片手で持ち、もう片方の手でドライバーのキーを捻って、光エネルギーを極限にまで高めてビームの威力を跳ね上げる。
そして杖を思いっきり横へとスライドさせて、突っ込んできた何かを光に閉じ込めたまま吹っ飛ばす。
「はぁ…… はぁ……」
「お前に休んでいる暇があるのか?」
「くっ……!!」
今度は避けようもなかった。
が、杖を咄嗟に前に出した事でそれが勢いを潰す形となり、装甲を破って少し突き刺さる程度で済んだ。
そのせいで杖は折れてしまい、いよいよ守るものがなくなってしまった。
「お前…… なんだこの能力は…」
「この力はゴエティア様に頂いたものだ。私は狙った獲物を確実に仕留める。いついかなる時も、何処にいようと、どの様な手段を使おうとも必ずだ。しかしながら、お前が初めてである。私の攻撃を3度も避けるとはな」
「自動追尾弾って事かよ……」
先ほど手を銃の様に構えたのも、アスモは指先から弾丸を放ち、自身が決めた標的に自動で追尾させる事ができるからだ。
弾丸は1発だけしか発射できないが、標的を再度指定し続ける事で、バリアを張ったかの様に攻撃を攻撃によって潰し、自身を守ることも可能。
この芸当ができるのもアスモが優れた観察眼と洞察力、圧倒的反射神経、そして弾丸に込められた高密度のエネルギーからなせる技だからだ。
(さて、困ったぜ…… 腹に穴が空いてかなりやばいが、運悪く…… いや、この場合は運良くもう1発刺さっちまった。内臓に達してるか……? だとしても出血してるのはまずい。プリースト…… なのに回復能力ないってどういう事だよ…… このままだとマジに死んじまう……)
そんなことを考えている間にアスモが近づいてくる。
「こんな所で死ぬ訳には……!!!」
「さらばだ。プリースト」
「… くっそ…… 畜生ッ………… うわぁぁぁぁぁあぁぁぁぁぁぁぁぁッッ!!!!!」
──── 無慈悲な弾丸が放たれた。
「もう1人の男」に関しては「第25解」をご覧下さい。
ちょっと出てきてます。
あといつもの如く遅くなってます。申し訳ないです…… だから同時進行はダメって決めてたのに(今更)
次回、第32解「我と友、我の天」
次回もよろしくお願いします!!