それではどうぞご覧ください。
アスモの放った弾丸。それはプリーストに確実命中した。
だが、弾丸は不思議な事にプリーストの目の前で止まっていた。どう足掻いても逃げられないゼロ距離で放った弾丸が空中に留まっている。
「私の弾丸が……!? 一体何が……」
「はっ───!!」
プリースト、アスモにもそれは見えた。
それは跡形もなく消滅させられてしまった筈のエンジェルティアの面々であった。
うっすらと今にも消えそうな光の集合体。
だが、その光はあまりにも暖かく、それでいてとても強い意志を感じる。
「お前たちどうして…!!」
「君が僕らを呼んだんだ」
それに答えたのはムウテンだった。
「源次、僕たちは消えてしまった。だけど君の想いが、僕たちをこうして呼び戻してくれたんだ」
「でも、これは……」
「そう…… 完全な復活とは言えない。ただの形さ。それでも僕たちはここにいる。さぁ、使ってくれ源次。奴を倒そう。僕たちの力でッ!!」
プレイドライバーにエンジェルティアたちの想いのエネルギーが集約し、ドライバーはこれ以上にないほど光り輝き出す。
更に全身が輝きを放ち、スタンドホリージェルの見た目は変わらないが、そのエネルギーの増幅量は、アスモも少しばかり驚いてしまうほど強力であった。
ただそれだけである。何も変わらない。と、アスモは最初こそそう思っていた。
「ほう、先ほどとは違う様だが…… しかし、特段変わったというわけではない。力の差は埋まらないままだ」
「……… 果たしてそうかな?」
「なに?」
「お前に見せてやるよ。俺たちの絆をって奴をなぁ!!」
すると、プリーストは自身を何十人と分裂させ、一瞬にしてアスモの周りを囲う。
「ふんっ…!」
アスモはそれをモノともせずに弾丸を放つ。
が、その弾丸は全てプリーストの身体をすり抜けた。
「確実に捉えたはず…… 一体何が……」
そう、アスモの弾丸は絶対に当たる。相手を死の淵まで追いかけ、確実に急所に当ててしまう。
つまり分裂したとしても、自動的にそれが本体だとわかってしまうはずなのだ。
しかし、今打った弾丸に手応えがまるでなかった。まるで液体に向けて放った様な────。
「まさか貴様……!」
「そうだ!! ヒイテンとフウテンの能力だぜッ!!」
ヒイテンは分裂。フウテンは液状化。
これにより分裂して撹乱すると共に、本体含めて分身も液状化してしまう事で、アスモの攻撃を無効化しつつ、分裂による一斉攻撃を可能としている。
「くらいやがれ!!」
そしてプリーストは杖の先から光のエネルギーをレーザーの様に放出し、それと同時に分身達もアスモに向かってレーザーを放つ。
アスモはそれに対して弾丸を身の周りに展開させ、各方位のレーザーを弾き飛ばす。
「無駄だ。お前達がいくら束になろうと、私の身に攻撃が通ることはない」
「まだまだァッ!!!」
「……!!」
続いてプリーストは姿を消した。
これは透明化。ミイテンの能力である。
「姿を消した所で何の意味も──── むっ…!!」
上空から巨大な何かが降ってきた。巨大である事がわかるほどの質量にアスモは思わず両手を使って押し上げようとする。
だが、それはかなりの重みであり、思わず膝を地面につけてしまった。
「ぬぐぅ……!! 小癪な!!」
アスモは片腕で何とか耐えながら、もう一方で弾丸を放つと、それはプリースト目掛けて飛んでいき、液状化で無効化しているとは言えど、アスモの本気で放った弾丸に思わず透明化を解除してしまう。
そして巨大化していた身体も縮まって元の姿へと戻った。
「この力は……」
「ヨオテンの巨大化。イツテンの肉体強化だ」
「私に膝を着かせるとは…… 生意気な人間め」
「もう俺は無敵だ、アスモ。今の俺たちには勝てないぜ」
「減らず口をッ!!」
アスモは弾丸を放つが、プリーストはヒョイっとそれを避ける。
弾丸はこれでもかと何度もプリーストを追いかけるも、その弾丸は彼に当たることは決してなかった。
「な、なぜ当たらない…!!」
「わかってるだろ。あの2人の力だよ」
ムウテンの予知。そしてナナテンの超感覚。
これによって液状化しなかったとしても、先読みでき、尚且つ感覚が研ぎ澄まされているので攻撃が当たる事はなくなったのだ。
この感覚について身体が来られるのも肉体強化能力のおかげである。
エンジェルティア達全ての力が使えるプリーストに最早隙はなかった。
「ぐぅ…!!」
アスモはわからなかった。全滅させたはずのエンジェルティア達が、こうして再び自分の前に現れ、プリーストに力を与えただけなのに。
何故、こんなに差が生まれてしまったのか。
この差は一体なんだ。
この間に何が生じた。
「私を本気にさせた事を後悔するがいい」
それからアスモは両手を拳銃の様に構え、その指先から高エネルギー弾を何発も発射する。
本気、と言った彼だが、まさしくその通りであろう。この無数の弾丸から逃げ出すことは不可能であり、確実にプリーストの息の根を止めようとしている。
「行くぜ……… 掛かってきやがれぇッッ!!!」
弾丸を避ける。避ける。避ける。
プリーストは次々に襲い掛かる無限の弾丸を避け続けた。
そして逆にプリーストはアスモに光の攻撃を当て、確実にダメージを蓄積していった。
「こいつでトドメだ!! はぁっ!!」
プリーストは次の弾丸を避けた後、透明化してアスモの背後に回り込んだ。
弾丸は自動で追尾し、プリーストの元へと飛んでいく。
「小癪な真似をッッ…!!」
アスモは弾丸の軌道から即座に考え、行動に移し、自らが放った弾丸を避ける。
背後にいたプリーストもまたそれを避ける。
そして何度もそれを繰り返され、アスモが慣れてきた頃、つまり彼が少し油断をしてしまったほんの一瞬であった。
「はっ…!!」
アスモは自身で撃った弾丸に胸を貫かれた。
自分自身何が起こったのかさっぱりといったところであろう。
「アスモ…… こいつは意外と効くだろ…?」
「貴様……!!」
いくら神の使いであるアスモだったとしても、意思があるから思考もある。
相手は自分よりも格下で、神の膝下にすら居られないようなそんな存在。
だからこそ油断をした。何度も繰り返す中で、自分と相手の両方を考え続ける事で生じた隙。
アスモは自身の攻撃どころか、相手の策略にハマってしまったこと、どちらも思考が追いつかない程の怒りを露わにした。
「貴様如きが…… 貴様如きがこの私を、この私を嵌めたのかぁぁぁぁぁぁぁぁっっっ!!!」
「そうだ。お前は俺に負けた。お前を倒せる程の強力な攻撃なんざ全くできなかったけどよ…… お前の言うちっぽけな存在が束になりゃ、こうして少しくらいやってやれるんだよ」
「……ッッ!!!」
「あばよ、アスモ」
アスモは天に向かって咆哮しながら爆散した。
実に呆気ない最後だったが、エンジェルティア達の無念を晴らせるならそれで。
そう思っていた矢先である。
プリーストは大事な事を忘れていた。そしてすぐに思い出す事になる。
「───…… あーあー、そうだったよなぁ……」
倒したはずのアスモがそこには立っていた。
使徒は死んでも転生する。これを倒せるのは現状、メレフ以外にいないのだ。
「貴様に私を倒せない…… この位置がわかるであろう?」
「あぁ、わかってる。なら、何度でもお前を倒し続けりゃいい」
また弾丸が飛んできた。先程よりも異常な量だ。
プリーストは液状化と分裂、それから透明化に肉体強化、更に感覚と予知を発現させた。
ほぼ全ての能力を解放して無数の弾丸を攻略していく。
「一撃を浴びせる…… どんなやろだって吹き飛ばせるほど強力な光っ!!」
それからプリーストは弾丸を避けつつ、杖を持ってその先に光のエネルギーを集約し、アスモの隙を作ろうと飛び回る。
けれど、先ほどのような隙をもう一度見せるはずもなく、警戒しているのか中々隙がうまれない。
「いや…… こいつでッ!!」
プリーストは透明化しつつ巨大化し、脚をこれでもかと限界まで上に伸ばし、それからアスモに向けて強烈なキックをお見舞いする。
流石のアスモも態勢が崩れる。
今がチャンスとプリーストは杖の先端を構え、その先から溜めに溜めた光のエネルギーをレーザーのように発射する。
アスモも急ぎレーザーに向けて渾身の弾丸を放った。
「何度やっても同じだ…… 私の事を倒すことは不可能」
「ぐぅぅぅぅぅぅ……… でも、それはどうかな?」
「なに…?」
「俺の後ろ見てみろよ」
「────ッッ!! な、なぜ貴様らが!!」
レーザーを放つプリーストの横へとムウテンは近づいて、耳元で話す。
「もう僕たちの力もそろそろ限界だ。あとは全て君に託す」
「ムウテン………」
「さぁ…… 僕たち全ての属性を解放するんだ。これで決着がつく」
そういうとプレイドライバーへとエンジェルティア達が吸い込まれる。
その瞬間プリーストの身体が虹色に輝くと、光のレーザーが全ての属性を含む極太のレーザーに変化する。
「これで最後だッ!!! アスモ!!」
「私は滅びぬ!!」
そうだ絆だ。絆の力があればアスモを倒せる。
なんとなくそんな感じが伝わってきた。いや、それよりもエンジェルティア達の想いが、全てプリーストの身体を包み込む。
杖を押さる手があまりの威力に震える。その手をジェルエが優しく包む。
「源次っ…!!」
「ジェルエ…… あぁ、行くぜ。相棒ッ!!!」
「「うおぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉッッッ!!!!!」」
弾丸がジュッと音を立ててレーザーに飲み込まれた。
「くっ…!!」
アスモの身体を虹の光が包む。
「あぁ………」
その光を感じたアスモは叫ぶことはなかった。
ただ、何か伝わったような気がした。とても今は穏やかである。
「お前達に負けたのか………」
「あぁ、そうだ。お前は俺たちに負たんだよ」
プリーストはそう言いながら近づいていく。
「お前達は勝てるのか? 神に?」
「それはやってみなきゃわからねぇ…… ぶっちゃけお前とやり合ってた時、俺は死んだと思ってたよ。でも実際こうして立ってる。もしかしたら勝てちまったりするのかも知れねーなぁ…」
「ふん……… 下等生物め。抗ってみるがいい。人類最後の希望はお前達だ──────」
プリーストは変身を解き、アスモが徐々に消えていく様を見続ける。
「全くホントに神ってのは自分勝手な野郎だぜ」
源次はそう言い、消えていくアスモを背に、恭也の元へと向かう。
お久しぶり過ぎてホント申し訳ナス……
そろそろ畳み掛けて書いていきますよろしくお願いします。
つまりもう後半戦で最終回が迫ってます。
次回、第33解「我は神、我は王」
次から多分早いです。
次回もよろしくお願いします!!