仮面ライダーメレフ   作:辰ノ命

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皆さんご無沙汰してます。
それではどうぞご覧ください。


第33解「我は神、我は王」

 神、スレイマン。それはゴエティアと対を為す存在。

 いつしかこの神はデモンティアの王となり、デモンティア達を従えるようになった。

 そう、王とは前王。前王は神であったのだ。

 神々の戦いは人間を生かすか殺すかで対立し、デモンティアとエンジェルティアは死力を尽くして戦い抜いた。

 その結果、スレイマンとデモンティアは敗れ、それは見せしめか、はたまた遊びか、彼らはゴエティアにより記憶を消され、下界へと降ろされた。

 

「──── そして運命か必然か。前王とデモンティアは記憶がないながらも出会い、そして彼を王と崇めた」

「左様」

 

 恭也の言葉にンードゥは頷く。

 スレイマンは記憶を消され下界に降ろされた。これによりスレイマンは神の座を外され、人間となったのだ。

 だが、ただの人間がたった1人で、72体の悪魔の力をその身一つで背負える筈もなく、代償はより多くのしかかった。

 それが命。

 

「悪魔との取引は自らの命。我と最初に出会った頃も、王は我が身などどうでも良いと、蝋燭の火を消すかの如く簡単に命を差し出した」

「………… だからエイルは……」

 

 エイルが自分を責めるのも頷ける。

 ただそれは彼女のせいではない。いや、そもそも誰のせいというわけでもない。

 

「エイル」

「は、はい!」

「俺は自分の運命を受け入れている。俺の命は人類を…… あのゴエティアという神を倒し、スレイマンの果たせなかった使命を為す事だ。世界を守るという使命。それが王としてやるべき事なんだろう?」

「……… 私には記憶がはっきりとしていません。ですが、王の使命を果たすという事は愛するあなたが死んでしまうという事。私が蒔いた種なのに…… 私は… 私はどうしたら……!!」

「エイル────」

 

 エイルに声を掛けようとした時、ちょうど玄関から誰かが入ってくる音が聞こえた。

 それを聞きンードゥは闇の中から元の部屋へと戻る。

 足音で大体誰かはわかる。ドアが開くと、そこにはボロボロで脇腹を抑え、ジェルエに介護されていた源次の姿があった。

 

「源次ッ…!!」

「その傷は?……って言いたそうな顔だな。まぁ無理もねぇ。いつつっ……… 別に話しても長くねーけど、とりあえず俺の状況を説明させてくれや」

 

 源次はそう言うと自分が使徒を倒した事、そしてエンジェルティア達が本当に全滅してしまった事を息が詰まりながらも話してくれた。

 恭也はあの源次がここまで神妙になるなんて、と最初こそ思ったが、自分もデモンティア達が消えてしまったら現実を受け止めきれないだろう。

 

「アスモは倒したぜ…… みんなのおかげでな」

「……… 使徒はこれで最後なのか?」

「わからねぇ…… ただあの強さは本物だった」

「俺の変身は残り2回…… 源次は負傷…… さて、いよいよ追い詰められたというわけだ」

「残り2回…? お前何言って─────」

 

 その時、恭也の部屋の壁が一気に吹き飛んだ。

 屋根が剥がれ、2階に大きな穴が開く。

 

「な、なんだ…!!?」

「おいおい…… 今降臨するのは流石に卑怯ってもんじゃねーかぁ…?」

 

 大きな翼をはためかせ、その神は降臨した。

 奴はゴエティア。スレイマンを神の座から引き摺り下ろしたものだ。

 

「デモンティアの王よ。その様子では我のことは聞いているな?」

「聞いている。お前を倒せば全て終わる」

「なら、もう一つお前達に教えてやろう」

「なんだ?」

「ついて来い─────」

 

 ゴエティアが指を弾くと、瞬く間に恭也と源次たちは別の場所へと移動した。

 そこは人がいないであろう岩壁だらけの広い土地だった。

 

「早速だが王よ。デモンティアの封印を解いた者の真の目的はわかるか?」

「真の目的……?」

「無理もない。我はな王よ。人はこの世に不要だと気づいてしまったのだ」

「なんだと?」

「人は愚かだ。幾度となく争い、幾度となく死を繰り返した。さて、王。お前は王として力を手に入れた。お前は人類より遥か上の存在へ変わったのだ。そこから見下ろす景色はどうだ? 何が見えた?」

 

 恭也はそう言われ人々の冷たい視線を思い浮かべた。

 暖かい眼差し?声?そんなもの最初から全く思い浮かばなかった。

 自分が王となってからチヤホヤされたりだとか、崇められたりだとか、世間ではそんな評価ではなく、悪魔。世界を混乱に貶める悪者として認知されていた。

 これが現実だ。

 

「………… 現実は俺を嫌った」

「そうだ。お前のような悪魔の王など最初から期待されていない。忌み嫌われる存在なのだ」

「─── だがッ」

「……?」

「人間はそうして成長し、進化してきた。お前が何を言おうと、人はお前の様に要らないからと捨てる様な薄情な生き物ではない!! お前が人の人生を決めるな!!」

「なら、お前はやはり人の側に着くと?」

「当たり前だ」

「やはりそうか…… 誠に残念だ。王よ。察しがついているだろうが、我が封印を解いた張本人である。その目的自体は失敗に終わったが、最終的にはお前の命が尽きようと言うのだ。それに関しては成功と言っていいだろう」

「目的とはなんだ」

「デモンティアがデモンティアによる自然消滅。あわよくば王の魂ごと持っていってもらうつもりであった。だから前王を向かわせたのだ。お前が前王に負けたとしても、前王が現王として成り代わればいいだけの話なのだからな」

 

 こいつは態々その為だけに封印を解いて、デモンティアの戦いを上で胡座をかいて笑っていたというのか?

 その間に大勢が犠牲となり、自分の部下すらも傷ついたというのに。

 恭也はあまりの身勝手さに叫ぶ。

 

「ふざけるなッ!! お前は命をなんだと思っている!!」

「命は創れる。我からすれば命など粘土細工と一緒だ……… 全く。静観するつもりであったが、どうやらもうそうは言ってられないようだ。改めて褒めてやろう。よく使徒を倒したな」

「貴様ァァァァァァァァッッ!!!」

「来い、現実を教えてやろう」

 

 恭也と源次はドライバーをセットし、キーを回して変身する。

 

《ドゥラスト!!》

《シッカリ開錠!!》

《ガチ憑依!!》

《悪魔の名はンードゥ・ツーラスト!!72の数字を持ち、その闇は全てを呑み込み、闇へと帰す!!この闇から逃れる事はできない!!King of darkness!!》

 

《ホリージェル!!》

《アンロック!!》

《聖なる!!鐘を!!皆に送ろう!!holy bell!!スタンドホリージェル!!》

 

 仮面ライダーメレフ スタンドドゥラスト。

 仮面ライダープリースト スタンドホリージェル。

 どちらも現状、最強の姿と言ってもいい。この姿で使徒を倒した。例え神でも苦戦を強いられるだろう。

 

「行くぞ。これで決着をつけてやろう」

「懺悔しな…… しなければその命、エンジェルティア達に返しやがれ!!」

 

 2人の仮面ライダーは神に向かっていった。

 そして次の瞬間、彼らは力の差というものすら存在しない事に気づかされる。

 

「え──────」

 

 変身が解除されていた。

 周りにはデモンティア達とジェルエが大きな傷を負って倒れていた。

 

「な、なにがあったんだ……っ!!!」

 

 そもそも彼らは同じ位置にすら辿り着けて居なかった。

 神と人の差という概念はない。そもそもそういう次元の話ではないのだ。

 ゴエティアが腕を払っただけで2人は変身が解除され、一瞬のうちにデモンティア達をズタズタに切り裂いてしまった。

 1秒という時間もあっただろうか。本当に一瞬の出来事だった。

 

「ここまであるのかよ…… 神と俺たちじゃ……!!」

「まだだ…… まだ俺は後もう一度変身できる…!!!」

 

 そう言って恭也がデモンドライバーを腰に装着しようとすると、エイルが足を引き摺りながらも必死に止めに入る。

 

「ダメです……!! いけません恭也様!!」

「離せエイル!! ここで負けたら人類はッ……!!」

「私は…… 私はあなたに死んで欲しくありません!!」

「なら、どうしろという!!!」

「……ッッ!!!」

 

 恭也にいつもの様な冷静さはなく、エイルを振り払おうと必死にもがく。

 そしてエイルはそんな彼を必死に止めた。

 その姿を見たゴエティアは口を大きく開けて笑い始めた。

 

「はっはっはっはっはっはっ!!! これは滑稽だ。いいだろう。悪魔の娘よ。お前の一つ条件を出してやろう」

「え…?」

 

 ゴエティアはニヤリと笑いながら言い放つ。

 

「お前の命を差し出せ」

 

 それに対して恭也は怒りを露わにしてゴエティアに言い放とうとしたが、エイルは恭也の前に出て身を差し出す姿勢を取る。

 

「な、なにをやっている…… エイル!!」

「あなたを守る為にはもうこうするしかないのです」

「お前が死んでなんのメリットがあるんだ!! 俺の命だけだろう!!?」

「あなたはッ!! 自らの命を軽んじているッ!!」

「エイ…… ル………」

 

 その言葉に思わず言葉を詰まらせる。

 

「私が犠牲になれば…… 恭也様だけでも救ってくれる」

「バカな真似はよせ…… エイルッ!!」

「今まで本当に申し訳ありませんでした。私はあなたの為に、あなただけを見て、あなただけを信じてきました…… 愛するあなたの為に、今度は私の命くらい掛けさせてください」

「よせ…… やめてくれエイル……!!」

「───── ゴエティア!!! さぁ私の命を取りなさい!!」

 

 エイルがそう言うと、ゴエティアは掌をエイルに向ける。

 次の瞬間、エイルの身体がみるみるうちに塵になっていく。

 

「エイル…… エイルッ!!!」

「さよなら──── 私の愛する王、恭也様────────」

 

 そうしてエイルは──── 白い煙の様に跡形もなく消えてしまった。

 

「……ッッ………ァァァァァァァァアアアアアアアァァァァァァッッ……!!!」

 

 言葉にならない叫び。

 恭也は喉が潰れるほどの声で叫んだ。

 

「エイルゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥッッッ───!!!!!」

 

 世界は終焉へと向かう─────。




以上です。
一応ですがエイルはただでは消えてないので次回ご説明……。
本当はもうちょっと長くやりたかったのですが、僕の事情で色々と飛んでしまい、煮詰めることができなくなってしまったのが反省点であります(涙

次回、最終章「神と王編」
第34解「我の絶望、我は誰だ」

次回もよろしくお願いします!!
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