それではどうぞご覧ください。
ピンポーン。
と、大神家のインターホンが鳴り、恭也母は「はーい」と玄関前まで出向いて行く。
どうやら母の知り合いなのか親しげに話しているようだ。というより母が一方的に話しているだけのような気もするが…。
「── 恭也様、この気配は我々のものと同じです」
「なんだと?」
「態々出向いて来るとは… どんなデモンティアだ!? 気に入った!!」
しかし、この部屋も少々狭くなった。エイルだけならまだしも肩幅の広いジェイクが居ると中々に窮屈だ。
恭也はとりあえず臨戦体制でそのデモンティアを待つ。徐々に足音が近づいて来る。
「恭也ー?」
「なに母さん?」
「この子があなたに会いたいらしいわよ」
「…… デモンティア?」
「えぇ、そうよ」
「いや、うん… なんでそんなに冷静というか…」
「この子は大丈夫な子よ。開けるわね」
「え、ちょっ…!?」
扉が開かれるとフードを深く被ったデモンティアが入ってきた。
恭也は座っているので下からその人物の目が見え、それはこちらをジッと見つめているようだ。
母はごゆっくりと扉を閉め、部屋の中は一気に暗い空気で充満した。用があると言いつつ、恭也たちに対して全く話しかけない謎のデモンティア。
「……………」
「…… お、ごほんっ… 俺に何の用だ? 意味もなく敵陣に踏み込むほど無謀な奴ではないと見るが?」
「……………」
「… な、何か言ったらどうだ?」
「……… ふふっ」
「ん?」
「… 作ってる〜」
「作ってるだと…? 何を?」
「口調〜!」
「………」
ここに来て突っ込まれるとは思わなかったので、恭也もどう答えて良いのか困り、思わず目を背けてしまう。
それに対しエイルは激怒しているようだ。彼の事になるとどのような事でも無礼と言う。偶に怖くなる。
「『ティッツ』!! あなた恭也様に向かってなんて事を…!! 無礼よ!! 死んで詫びなさい!!」
「もーやだな〜エイル。先代の時もそうだけど王のこと好き過ぎでしょ〜!」
恭也は心の中で思った。思ってたんと違うと。
フードを深く被り物静かなイメージだと思っていたのだが、口を開いた瞬間、明るいというか何というかホワホワとした感じになった。
これでこのデモンティアが女性であることはわかったが、そんなことどうでも良く、とにかくエイルを沈めなければいずれ破裂する。
「エイル」
「はい!!!!!」
「静かにしろ」
「喜んでッッ!!!!!」
機械かよというくらいピタリと止まる。凄いよこの悪魔。
そんな訳で彼女ティッツがこの家に来たということは、仲間になりに来たかそれともジェイクのように試練を出すのか。どちらにせよ覚悟はできている。
「仲間に入れて欲しいんだけど良いよね〜?」
ド直球な仲間になりたいコール。流石にそれ以外ここに来た理由はないかと恭也は問うが。
「え〜? なんでそんな事しなきゃいけないの? 面倒じゃない? 普通に前と変わらず王の下に着きたいってだけじゃダメ〜?」
ティッツは座り込んで恭也の鼻と自分の鼻が付くほど程の距離で問いただす。
理由はなんにせよ仲間になりたいと言ってくれているし、特に何か考えているというわけでもなさそうだ。
恭也はティッツの両肩に手を置いて距離を離すと、エイルとジェイクに視線を送り決断する。
「歓迎しようティッツ。これからよろしく頼む」
「ねぇなんでその口調やめないの?」
「…………」
そして再びエイルがキレてティッツに飛びかかるのを止める所から話は始まる────。
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──── 皆が寝静まったとある街中。
デモンティアナンバー6の「エフックス」とナンバー12の「エルニ」が同じ場所で出会した。必然的だったというべきか、2人は急に可笑しくなって互いに笑い合った。
「ははははははっ! なんでこんなに面白いんかね?」
「…… ふぅ、さぁね。でも面白いよね。
「運命か?」
「運命じゃない?」
「なら、答えは1つだな」
「僕らで変えるとしよう。僕らの
「それもこれも封印を解いた奴のお陰だ。契約者見つけて魂大量に食らってデモンティア界で最強になろうや」
「いいね… じゃあやるよ。君の無と僕の火を…────」
その夜、無に火が灯った────。
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あの後、恭也、エイル、ジェイク、そしてティッツの4人は街へと出向いた。
4人で歩くと流石に窮屈だなとは思うが、友人が0に等しい恭也にとっては嬉しいことなのかもしれない。仮に彼自身が多いと思っていたとしても、側から見たら1人で歩いているに過ぎない。
「エイル。もう少し離れろ」
「どうしてですか恭也様?」
「歩き難い。それに他から見たら怪しく思われる」
「私たちは見えませんのでご安心ください」
「わかっている。でも、そうじゃない。側から見たら俺が変人だと思われる歩き方をしているんだ」
エイルはわかっていないが、彼女が恭也の腕に絡みついて非常に歩き難いのだ。体重も掛かっている為か、恭也の体は常時斜めになっている。
これでは誰がどう見ても歩き方は可笑しく変な奴だと思われても仕方がないと言えよう。
ティッツもこの光景を見て笑っている。
「…… ティッツ。笑っていないでコレを離せ」
「え〜でもでも、エイルがそうしたいって言うならそうさせてあげたいし〜後面白いよね!」
「俺は面白くないんだが…」
ただのんびりと散歩しているだけだった彼らに終わりが来たようだ。
このまま帰るまで絶対に離れないだろうと思っていたエイルが、突然離れて辺りを見渡し始めた。
「エイル… そうか、場所は?」
「はい…───っ!!? 目の前です!!」
「何っ…!!?」
すると突然、目の前のビルが大きな爆発した。
この時、昼だったという事もあり、街中は人が多く集まっていた。割れたガラスやコンクリートの塊等が人々に降り注ぐ。
更に最悪な事態は続く。ビルがバキバキと音を立て、恭也達のいる方へと崩れ始めていた。
「ますい!! このままだと人がっ……!!」
メレフに変身したとしても助けられるのは数名。ジェイクの力を借りたとしても塊が増えるだけ。
そんな時、ティッツが恭也の横に立ち、彼の手を掴んでその手に鍵を握らせる。
「… なら、私を使ってよ」
「ティッツ?」
「私ならジェイクみたいに被害を増やすことはないよ。安心安全!」
「そうか… よしっ!!」
《ティニーマ!!》
デモンドライバーを装着した後、恭也はティッツから貰った「ティニーマティアイズキー」を起動させ、そのままドライバーに突き刺して
「変身ッ!!!」
《開錠!!》《憑依!!》
《悪魔の名はティッツ・ニーマル!!20の数字を持ち、その荒波は全てを包み込む!!》
《スタンドティニーマ!!》
本来の姿となったティッツの両腕から水が湧き出ると、メレフへと変身した彼の左腕を中心に装甲が形成されていく。
そして変身完了すると共にメレフキーブレードにアタッチメントが装着されて杖のような形状へと変化する。
「はっ!!」
そしてメレフは倒壊するビルに杖の先を向けると、その先端に水の玉が生成し始めた。玉は徐々に大きくなり、やがてメレフを包み込めるほどの大きさになったと同時に玉は弾け飛び、そこから水がレーザーのように勢いよく射出される。
この勢いのままに水圧で弾き飛ばすというわけではない。水はメレフの意のままに操れる。途中で何十本も枝分かれをし、ビルや瓦礫を水の枝が全て受け止めた。
「そしてここから…!!」
メレフはドライバーの鍵を捻り、ドライバーから送られるエネルギーを左腕から杖に渡らせる。それから全エネルギーを一点に集め、大量の水を氷のエネルギーに変換させた。
すると、ビルを包んでいた水は凍り、目の前に降り注いでいた瓦礫類は全て空中でピタリと止まった。
この日限定で二度とできて欲しくない氷のオブジェクトの完成だ。
「……… ふぅ、間に合ったようだな」
「私も結構やるでしょ〜?」
「あぁ、助かった。素晴らしい能力だ」
「ねぇねぇ、その口調いつまでやるの?」
「……」
とにかくアレだけの事態になったが、幸い市民は怪我人が複数人出ただけで皆無事のようだ。
このまますんなり終わってくれればいいのだが、このビルを倒壊させて真犯人の顔をまだ拝んではいない。
「エイル。場所はわかるか?」
「先程と同様にあのビルの中から反応が…」
メレフが再びビルの方に向き直ると、受け止めていた筈の氷が徐々に溶け始めているのを認識した。
どうやら今回のデモンティアも火属性、ジェイクの部下らしい。
そのデモンティアは氷を全て溶かさず、自分が出れる程の穴を開けると、そこからメレフに向かってフワリと飛んできた。
「… 犯人はお前か」
「あぁ、
「僕たち…?」
この悪魔は不思議なことを言う。メレフの目の前には火属性のデモンティアが1人いるだけ。わざわざ複数形するのは明らかに不自然。
この被害をメレフの際にも責任があると言いたいのか?と思われたがどうやらそういうふざけた事ではない。
「恭也様…」
「なんだ? エイル」
「私の勘違いだったら申し訳ございません。あのデモンティア──── 2人います」
「2人だと? まぁ確かにまだ出てきてな───」
「奴が
「さっきから何が言いたい?」
「あのデモンティアからエフックスとエルニの気配が感じられるんです…!!」
「そんな馬鹿なッ…!?」
その気配にジェイクも「エルニがいる」と言い、1人のデモンティアにもう1人のデモンティアが重なっている事が確定した。
大体のデモンティアが属性通りの色をしているが、素体はエフックスで色や装飾品等はエルニの物のようだ。彼らの色はお互い混ざり切っていないような、浸透しきっていない印象を受けるグチャグチャの色合いであり、より一層悪魔の気味の悪さが目立っている。
「そうさ。僕たちは更なる力を手に入れるために1つとなった。そうだな……『エフルニ』なんてどうかな?」
「そんな事はどうでもいい。お前を封印することに変わりはない」
「やってみなよ」
エフルニは両手を突き出すと、そこから炎を勢いよく吹き出した。
しかし、今のメレフは水と氷の力を持つ形態。炎、つまり火属性の攻撃は相性的にこちらが有利である。
そしてメレフはその火炎放射に向かって杖を向け、先程同様に水のレーザーを放出し炎をかき消した。
これは思った通りの展開と言えるが、エフルニはやっぱりなと思っているのか余裕そうな表情を見せている。わかっているのなら引けばいいものを、彼は全く引く事はなくそれどころか直進してきたのだ。
「来るかッ!!」
「火属性だけだと思わない方がいい。言っただろう?」
「くっ…!!?」
エフルニは掌をメレフに向け、グッと力を入れて突き出した。
そうするとメレフは身体の表面上に強い衝撃を感じ、次の瞬間、後方へ大きく吹き飛ばされたのだ。見えない大きな壁が迫ってきたような大きな衝撃に態勢をすぐに立て直す事ができずに地面を転がる。
「ちょっと王様っ…!?」
「な、何が…」
ティッツも今の衝撃に驚いたようだが、その衝撃は一体何なのか、立ち上がろうとした時、エイルはメレフを心配しながらも奴の力について話す。
「恭也様、エフックス自体の能力は衝撃波です」
「なるほど… 通りで内側まで攻撃が響いたわけだ…」
「こちらも形態を変えて応戦しましょう。貴方様ならきっとできます!」
「エイル…… いいだろう。力を貸してもらうぞお前たち。2人だろうと関係ない。王の力をその身に刻め!!」
1万文字書ける人ってホント凄いよね(涙
さて次回、「我は突風、我は飛翔」
次回もよろしくお願いします!!