仮面ライダーメレフ   作:辰ノ命

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皆さんご無沙汰しております。少々遅れました。
それではどうぞご覧ください。


第6解「我は突風、我が飛翔」

 デモンティア2体が合体したエフルニという存在。

 本来は各隊長クラスのデモンティア達が、その位の者たちを使役して力を一時的に頂戴する事によって属性の効果を増幅させることができる。

 しかし、どの隊長たちでも合体という悪魔と悪魔の同種族同士での融合は不可能であり、先代の頃からもそのような前例はない。

 

 

「相手が悪かったようだな」

 

「ちっ…!」

 

 

 だからといってどうという事はない。

 先程からエフルニから衝撃波で攻撃されているが、それをメレフは周辺にばら撒いた水を凍らせて、その上をスケートのように滑り躱していた。

 悪魔同士が合体して2つの力を使えるとしても、相手と今のメレフとでは相性が悪過ぎる。

 奴の火力源でもある火属性がスタンドティニーマの水属性攻撃によって掻き消され、本来の能力が潰されてしまっているのだ。

 

 

「相方の能力を封じられたお前は、その衝撃波の能力しか使う事はできない。更に言えば、衝撃波を打つためにほんの一瞬溜めができる。その隙さえわかればこのスピードで十分対処は可能だ」

 

「1つ封じたからと言って僕を上回った? それは大きな勘違いだよ王」

 

「何をだ?」

 

「僕の力は2人分。つまり属性関係なしに元のスペックが大幅にパワーアップしているんだ。だから肉弾戦に持ち込めばこちらの────っ!!?」

 

 

 メレフは氷の上を滑りながら杖を構えて、先端から氷の弾丸を何十発もエフルニに撃ち放つ。

 その弾丸は追尾式である為、エフルニが何度も避けようとどこに居ようが捉えてみせる。速度も彼が全力で逃げたとしても追いついてしまうほどであり、やがて避け続けた代償か四方八方に弾丸が散らばり逃げ道がなくなる。

 

 

「終わりだなエフルニ」

 

「そんな…僕が……!!」

 

 

 そしてメレフが杖をクイッと傾けると、全ての弾丸はエフルニに向かって突き刺さり彼らの肉体は大爆発を引き起こす。

 今回は勝利したがティッツが力を貸してくれなければ、敗北も考えられたかもしれない。相性が有利で助かった。

 

 

「さて、封印するとしよう」

 

 

 エフルニが倒れた所へと近づき、封印しようと鍵を手に持った。

 

 

「んっ───!!? な、何だこの風は…!?」

 

 

 その瞬間、強烈な風がメレフは包み込み、視界が遮られてエフルニが何処にいるのかわからなくなってしまった。

 それからメレフはぐるっと回転して、水を周囲に撒き散らせてから弾けさせる。周囲の風を止めて視界を確保するが、そこにはすでにエフルニの姿は無くなっていた。

 

 

「何だったんだ今の風は……」

 

「今のは自然に起きた風ではありません…… まさかっ」

 

 

 エイルが何かに気づくと先程の風だろうか、メレフの前に小規模な竜巻が起こると、その中からスラリとした高身長の男が姿を現した。

 どう見ても人間ではないそれを見たエイルは、この上なく、今まで見た事がないほど嫌な顔をしている。

 実際には一つなっているので見えないが、そんな気がする。

 

 

「やぁやぁ我が王。お久しぶりだね!!」

 

「…… 誰だ貴様は」

 

「おっと… どうやら僕のことを知らないらしいね。まぁ無理もないさ。今の王は前の王とは違うのだから。では、まず自己紹介といこうじゃないか。僕はデモンティアナンバー30の数字を持つ悪魔『エミー・オン』。デモンティア内じゃ言わずと知れたクールな男さ。君の中にいるエイルちゃんやティッツちゃんも僕にメロメロになってしまっていたんだが、それより今君の中には────」

 

 

 長い。うざい。黙れ。失せろ。

 そんな感情がメレフの身体からひしひしと伝わってくる。これは恭也ではない。どう考えてもエイルだ。

 そんな事よりこのエミーという悪魔には聞きたい事があった。

 

 

「おい、お前の言いたい事はよくわかった。だが、これだけは答えろ。エフルニを何処へやった?」

 

「え? えふるに…? それはどういう料理なんだい? この時代はかなり進歩しているようだから、この僕に相応しいイケてる物だといいんだけど───」

 

「違う。そこにいたデモンティアだ」

 

「そこにいた?…… あぁ、あのセンスがない姿をした奴だろう?」

 

「アレをどうした? お前が風を吹かせた後、奴の姿は消えていた」

 

「その事なんだけど、何故か身体が勝手に動いて、彼を何処かに飛ばしてしまったようなんだ」

 

「は?」

 

「いや、待って欲しい。僕も本当にわからないんだ。気がついたら身体が勝手に動いてしまっていた。何処にいるのかすらもわからない。なんだろう… 誰かに操られていたというか……」

 

「…… とにかくお前にはもっと詳しく経緯を話してもらう必要があるな。ここら一帯を整理してから家に戻るぞ。話はそれからだ」

 

 

 メレフたちは変身を解除する前に倒壊したビルや周りの瓦礫をまとめようと動く。

 そのどこかの建物の陰から彼らを見据える男が1人────。

 

 

 

 

 >>>>>>>>>>>>>>>>>>

 

 それから家に帰宅した恭也たちは、エミーにいくつか質問をしたが何度聞いても特に不可解な点はないし、彼が嘘を言っているように見えなかった。

 だが、不可解というか気になったのは彼が言った「操られている様な」という言葉だ。

 自分以外にデモンティアを操れる人物がいるのか?恭也は何か引っかかりつつも今はエミーの事を迎え入れた。

 

 

「エミー、これからよろしく頼む」

 

「新しい王は話が早くて助かるよ。君なら僕の力も簡単に使いこなしてくれると信じてるよ」

 

「期待には応えよう…… それよりエイル。その顔をやめろ」

 

 

 エイルは誰が見てもそれはそれは素晴らしい美貌を持っておりスタイルも抜群。もし彼女がアイドルやらモデルやらやっていたら秒で売れている事間違いなしと言わしめるほどなのだが、エミーを前にした彼女の顔はそれはそれは般若のような……。

 

 

「エイル」

 

「で、ですが恭也様!! 奴は気持ちが悪いです!!キモいです!! 不快です!!」

 

「わ、わかった。だが、これから一緒にやっていく仲間だ。それに昔からの付き合いだろう…?」

 

 

 エイルはエミーの方にバッと向き直ると、彼はエイルにウィンクする。

 もちろんエイルは発狂する。

 

 

「はっはっはっはっ!! 昔からエミーは女悪魔からの評価が悪かったからな!!」

 

「うんうん… でも、私は別に嫌いではないけどね〜」

 

 

 結局のところジェイクにも言われているが、昔からこういう男なのだろう。キザというタイプだ。

 女性陣からの評価は著しく低いようだが、ティッツはそうでもないらしい。まぁあまり興味がないだけとも取れる。

 そんな事をしていると、エイルが急に表情を変えた。

 

 

「デモンティアか」

 

「はい。ですが、エフルニではないようです」

 

「全く、次から次へと休む暇もなく来るものだ」

 

 

 既に外は暗くなっていたが王に休みはなし。

 その日はデモンティアを封印する為に寝る暇を惜しんで戦う事となった────。

 

 

 

 

 >>>>>>>>>>>>>>>>>>

 

 そして数日が経ったある日、疲れて寝ていた恭也は突然エイルに起こされる。

 

 

「んん…… どうしたエイル?」

 

「睡眠の最中に申し訳ございません。どうやらエフルニが現れたようです」

 

「…… そうか、ようやくか。すぐに向かうぞ」

 

「承知しました」

 

 

 ここ最近デモンティアとの連戦で疲れが溜まっていたが、エフルニが出たとなればあの被害をもう一度出すわけにはいかない。

 恭也は重い身体に鞭を打ってエイルにその場所を案内させる────。

 

 ──── 現場に着くと、比較的街の被害は軽かったが、人々はエフルニに魂を吸い取られているようだった。

 そこら中に人が倒れており、前のビル倒壊よりも被害が大きいのは見てわかる。

 

 

「エフルニッッ!!!」

 

「………」

 

 

 そして恭也はエフルニに対して違和感を覚える。というのも声を掛けても返答しない。夢中になっているだけかと思いきやそうではない。

 

 

「様子がおかしい… 一体何が……」

 

「嫌な予感がします。恭也様、変身を」

 

「わかっている。行くぞエイル─── 変身ッ!!!」

《開錠!!》《憑依!!》

《悪魔の名はエイル・ワン!!1の数字を持ち、その力の全てを王に捧げる者!!》

《スタンドエイワン!!》

 

 

 それから恭也は開錠して仮面ライダーメレフへと変身すると、メレフキーブレードを取り出してエフルニに斬りかかる。

 エフルニはそれに即座に反応し、避けるのではなく両手から炎を放出して視界を奪う。

 

 

「ちっ…!」

 

 

 この程度でメレフは怯まず、剣で炎を斬り払い視界を確保する。

 だが、視界が開けた同時にメレフの身体は突如として吹き飛ばされた。忘れていたわけではないが、衝撃波を打つ能力持ちである彼に対しての警戒を怠ってしまったのは事実。

 メレフは剣を地面に突き刺し態勢を立て直し、エフルニに向けて再度剣を構える。

 

 

「………」

 

「なんだ… 何かが……」

 

 

 まるで人形と戦っているような感覚だ。中身がただの綿で敷き詰められた人形。

 そんな人形のようになってしまったエフルニは両手を広げ、メレフの周りに炎の壁を出現させて閉じ込めてしまう。

 

 

「この姿なら苦戦を強いられるだろう…… だが、相性有利な属性は既に確保している!! ティッツ!!」

《ティニーマ!!》

 

「はいは〜い」

 

 

 デモンドライバーに装着していた鍵を引き抜き、新たにティニーマティアイズキーをセットし、開錠してスタンドティニーマへと姿を変える。

 水と氷の力を宿したその力は、無属性があるにしても、相性有利な火属性を無効化する事ができる。

 

 

「残念だが悠長にお前と戯れている時間はない… ここで終わらせる!!」

 

 

 メレフは剣から変化させた杖を使い、巨大な水の球を作り出して、それを破裂させて辺りの炎の壁を鎮火させる。

 そして視界が再び開けたと同時に先程同様にエフルニが突っ込んできた。

 

 

「2度も同じ技を受けはしない!!」

 

 

 今度はメレフが水の壁を作り出し、エフルニを一瞬だが動きを鈍くした後、その隙を見逃さず、ドライバーの鍵を捻って、全エネルギーを一点に集中させた水球を打ち出す。

 

 

「─── 眠れ、悲しき悪魔よ」

《ティニーマ!!シャットアウト!!》

 

 

 エフルニは必殺技をその身に受け、爆発を引き起こし、抵抗する力もないまま倒れる。

 それからメレフは安堵のため息を吐くと、2人が1人となったエフルニに対して鍵を2つ分取り出して封印しようとする。

 その時、エフルニはそこで初めて口を開き、驚いたメレフは思わず杖で引っ叩く。

 

 

「いったいなっ…!!」

 

「いや、急に喋り出すお前が悪い… それよりもお前、なぜ今になって喋り始めた? 何かの作戦だったのか?」

 

「作戦…? 僕が気づいた時にはこうなってたよ。なんで負けたのかなって…… そしたら急に君が殴って来たんだ」

 

「気づいた時には… 待て、エミーもそう言っていたがもしかして……──っ!!?」

 

 

 突然、あの時と同じように風が吹き荒れた。これはエミーのものかと思ったがそうではない。今度ははっきりと視認できた。

 どうやらエミーの部下であろう別の悪魔がぐったりとしているエフルニを抱えて飛び去ろうとしているのが見える。

 

 

「貴様、待てッ!!」

 

 

 メレフは即座にその悪魔に飛んで追いかけたが、さすが風の悪魔と言って良いか。

 奴のスピードもそうだが、なにより不規則に飛び回るのが厄介だ。いくら飛べると言っても空中での戦闘は彼の方に軍配が上がる。

 

 

「このままだと逃げられる…!!」

 

「── そんな時こそ僕の力じゃないかな? 王」

 

 

 すると、隣でエミーがメレフを馬鹿にするかのようにクルクルと周りを回って見せた。

 なにかとイラッとさせる奴だが、彼の動きを見てこれならいけると確信が持てる。今必要なのは風だ。空を牛耳る王の力。

 

 

「ほら、受け取って。王に無礼を働いたままでいるのは癪だからね」

 

「感謝するぞエミー。この力、使わせてもらう!!」

《エミオン!!》

 

 

 エミーから受け取った「エミオンティアイズキー」を起動して、ドライバーの鍵と入れ替え、即座に開錠する。

 

 

《開錠!!》《憑依!!》

《悪魔の名はエミー・オン!!30の数字を持ち、その突風は全てを吹き飛ばす!!》

《スタンドエミオン!!》

 

 

 緑色の風がメレフの両腕を包み込み、そこから徐々に新たな装甲を装着していく。

 前3つのフォームと比べると細っそりとしているが、専用武器の双剣を持てばこの装甲の薄さも頷けるだろう。

 他にも風の抵抗を極力減らすように作られたこの装甲であるなら、不規則に動く悪魔にも追いつくことができる。

 

 

「はぁっ!!」

 

 

 そしてメレフは悪魔の後ろにベッタリとついて行き、周囲の風の力を操って悪魔の飛ぶ方向を制御する。

 本来なら抵抗できるのだが、エフルニを抱えたままの彼ではこちらの攻撃に対して集中できない。

 

 

「これで本当に眠ってもらう!!」

 

 

 メレフはドライバーの鍵を捻り両腕に風のエネルギーを集中させ、更に双剣を片手で高速に回転させる。

 すると、その行為によって風のエネルギーは増幅され、両腕を大きく振り上げると巨大な竜巻が悪魔を包み込み逃げ場をなくす。

 

 

「はぁぁぁ…───はぁッ!!!」

《エミオン!!シャットアウト!!》

 

「ぐぎゃあぁぁぁぁぁぁぁぁッッ…!!!」

 

 

 最後に風の檻の中へと閉じ込められた悪魔に双剣でX状に斬りつけると、更にそこへ無数の風の刃が襲い掛かり、遂には悪魔の身体はボロボロとなって爆発を引き起こした。

 

 

「見事だ王。僕の次に凄いよ」

 

「そうか…… だが、助かった。礼を言う」

 

「王の為ですので」

 

 

 エミーのわざとらしい言い方にまたもイラッとさせられるメレフであったが、これに構うよりもさっさと3体封印した方が良さそうだ。

 それからメレフは対応する鍵を3本取り出して、今度は誰にも邪魔される事なく全員封印する。

 

 

「これでようやく9体か…… 先は遠いな」

 

「恭也様なら必ず全てのデモンティアを支配下に置けることでしょう。何故なら王に相応しいお方なのだから… そして私の愛しき人… つまり夫……」

 

「いや何が『つまり』なのかよくわからないんだが… エイル?」

 

 

 エイル達を抜いて残り59体。恭也の王としての役目はまだ始まったばかりである────。

 

 

 

 

 >>>>>>>>>>>>>>>>>>

 

 ── 夜中の0時を過ぎた頃、誰もいない静まり返った街の中をコツコツと歩く男が1人。

 その男の首飾りには十字架… いや、どちらかといえば()に近いだろうものがぶら下がっていた。

 

 

「… 全くかわい子ちゃんとお話しする為には金だ金だ。おまけに金払っても触るなだと? ふざけやがってよ」

 

 

 男がフラフラと街を歩いていると、男の前にデモンティアが現れた。

 

 

「あーん…?」

 

「お前の願いを叶えてやる。俺と契約しなよ」

 

「断る」

 

「いいの? でも、勿体ないな〜… もし俺と契約できたら女の子と好きなだけイチャイチャできるぞ〜」

 

「断ると言ったんだ」

 

「全くお堅いな───」

 

「───…… お前をやれば好きなだけイチャつけるんでな」

 

「えっ…… お前まさかッ─────ッ!!!?」

 

 

 翌日、街のとある場所が何者かによって荒らされていたとの情報が恭也の耳に入るが、彼と出会うのはまた次の話。




結構詰めてやってしまった事を反省。

さて次回、第7解「我の敵か、我の味方か」

次回もよろしくお願いします!!
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