それではどうぞご覧ください。
「─── という事であり、専門家たちは彼らを『悪魔』と判断した様です」
「… まぁ信じられない話しだが、あんな大規模な破壊活動を行われれば当然信じなきゃいけないわけでしてな」
「我々も悪魔の誘惑には気をつけないといけませんね」
恭也は母の後ろからテレビ番組を見ていた。
彼らが言う悪魔というのはデモンティアの事だろう。一応、神話とかそう言った類の話なので、その部類の専門家達からすればすぐに特定できる。
更にはデモンティアの生態すらも把握されている様で、専門家達から彼らについての注意喚起が行われていた。
「もし皆さんも悪魔に甘い誘惑をされてたとしても、絶対に!くれぐれも!その誘惑に乗ってはいけません。自分の身は自分で守りましょう!」
デモンティアに対して無視という選択肢を取れば、そのまま襲いかかる可能性もあるんだよなと恭也が思っていると、専門家であろう人物が恭也の胸を貫く一言を吐いた。
「── 悪魔の王。仮面ライダーにも注意した方がいい」
悪魔の王。仮面ライダー。
それは恭也本人に言っている訳ではないが、思わず背後を向いて確認してしまう。
恭也の母も思わず「えっ」という声を漏らす。
「悪魔の王…?」
「はい、悪魔の王はそのままの通り、復活した彼らの王です。参考資料をお配りしたでしょう? どうやら1匹ずつ着実に封印している様ですが、元はと言えば彼が蒔いた種を回収しているだけに過ぎないのです。封印が解かれたのも彼の力が弱まったからでしょう」
「では、その悪魔の王がもし全ての悪魔を封印することができたとしたら…」
「その力を使い、この世界を支配するでしょう」
何というデタラメなんだろう。何を根拠に言ってるんだ。
恭也はその専門家に対して怒りが湧き、拳に力が入るが、彼よりも激怒していたのがエイルであった。
「この男!!! 恭也様を何だと思っているの!!? 許さない…!! 許さんっ…!!!」
「…… 落ち着けエイル」
「我らが王を! 愛しき貴方様を侮辱するこの男を許せるわけがありません!!!!」
「お前の気持ちはよくわかった… 待て、他にも何か…」
騒ぐエイルの口を人差し指で抑え、恭也は再び専門家の話しを聞き始める。
「ですが、ご安心ください。彼ら悪魔に対抗する為にこちらも手を打たせていただきました」
「もしやそれは例の…」
「そう、我々専門家と研究員の皆様のご協力もあり── 悪魔達を封印するのではなく倒すことのできる 『デモンハンター』達を揃える事ができました」
実はここ最近デモンティア達がやけに大人しいと思っていたら、どうやらこのデモンハンターと呼ばれる精鋭達が関係しているよだった。
だが、驚くべき所はそこではなかった。専門家は続ける。
「しかし… ただの人間があれほどの被害を出す悪魔に勝てるんですか? そのおかげで被害者数は減っているとは言えど…」
「えぇ、
「それは?」
「もちろん──── 仮面ライダーです」
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──── 数時間後、恭也と一行はデモンティアの出現を感知して現場に向かう。
そこにたどり着く間、エイル達に例の自分達以外で悪魔と対峙する仮面ライダーについての話題を振る。
「皆、先程の仮面ライダー… デモンハンターについて詳しく知ってるか?」
「いえ、私や他の者たちも詳しくは… ただ最近デモンティアの反応が薄れているのは彼らが原因かと」
「…… つまり、どうなる?」
「どうなるとは…?」
「俺たちは封印してデモンティア達の力を抑えることができる。が、彼らが倒しているとすれば… 今まで感知できず仕舞いだったデモンティアは死んでしまったという事になるのか?」
「はい、そこは問題ありません。デモンティアは命ではなく肉体が消えてしまうだけで魂は残留するんです。今の私の力では魂の状態となったデモンティアを見つけ出すことはできませんが…」
「そうか… よかった」
どうやら他のデモンティア達も彼らについては何も知らないらしく、昔に同じ様な組織がいたか?という質問を投げても、その様な組織すらないとの事で、デモンハンターという組織は現在で作られたものだとわかった。
当時は完全に初代王が支配し、そもそも一般人では彼らに太刀打ちすることなど不可能。
つまりデモンハンターは何らかの技術を使い、メレフ同様の力を手にして悪魔に対抗している。
「デモンティアの魂が残留するなら復活もあり得る。魂はお前達で感知できないなら、被害は知らず知らずに広がって対処が難しくなる筈だ。奴らよりも先に手を打つぞ」
「承知しました」
暫くして恭也達はエイルが示した場所へと辿り着く。
そこは道路を挟んで建物が並ぶ特に目立った所もないごく普通の場所だった。目立った所はないが、ここで戦えば多くの人に見られる事は間違いない。
「この短い期間の中でデモンティア達も大胆になって来たな…」
そんな事を言っていると地面から水が湧き始め、やがてそこからスーッとデモンティアが現れる。
この水の力はティッツの位の者で間違い無いだろう。
「何かをする前に止めに来たぞ」
「それはいいけど人目を気にせず変身できる?」
女性のデモンティアは冷静にそう返す。
確かにここで変身すると大勢の人から見られる事となる。そもそも恭也はメレフの姿としてであるならテレビで取り上げられており、もしここで正体がバレれば両親や親戚に迷惑をかけ、今後の動きを制限される可能性が出て来る。
「そう簡単にはできないが、俺には部下がいる事を忘れるな」
「忘れてないわよ。でも、私もこのまま捕まるのは嫌だし抵抗させてもらうわ」
悪魔はちょうど近くを通ろうとした女性を掴み上げ、あり得ないことにその女性の中へと入っていく。
「強制契約ッ!!?」
「エイル、どういうことだ。その強制契約とは……」
「はい、強制契約は依代の密かな願いを契約とし、強制的に憑依する事を可能としたものです…… ですが、本来なら我々のような位を持つデモンティアでなければできない筈です」
「前回の融合といい、今回も…… 一体何が起こってるんだ」
そうして憑依された女性はやがて異形の姿へと変貌し、周囲の水を自分に纏わせて戦闘体制に入る。
その姿を見た人々は次々に悲鳴を上げて逃げ始める。こうなれば変身可能だ。
「態々変身できる機会を与えるとは、お前もまだまだのようだな」
「ふふふっ、最初からそのつもりだっただけの話よ」
「そうか… 後悔するな」
《エイワン!!》
《解錠!!》《憑依!!》
「変身」の掛け声と共にドライバーに差し込んだキーを回し、恭也は仮面ライダーメレフへと姿を変える。
《スタンドエイワン!!》
「ハァッ!!」
メレフはメレフキーブレードを取り出し、瞬時に水の悪魔の背後を取って斬りかかる。
が、先程周囲の水をその身に纏った事により、それがクッションのように剣を受け止めてしまう。奴の身体に刃が届かないではないか。
「なんだこれは…!?」
「残念ね。水はこういう使い方もあるのよ」
そんな水があってたまるかと再び剣で切りつけるが、やはり刃は悪魔の体には届かない。
「なら、他の悪魔を……っ!!?」
物理攻撃の意味がないなら別の悪魔の力を使う。
そう思ってキーを変更しようとしたものの、悪魔が素早くそれに反応し、水を操りメレフをシャボン玉の様な水の空間に閉じ込めてしまった。
「ティッツ。これの破り方はわかるか?」
「うーん…… あいつがいれば容易に破壊することはできるけど… 私でもこれ壊すの時間かかると思うよ」
ティッツが言うあいつとは多分ここにいない悪魔だろう。
ならば、他の方法を取るしかないがジェイクの炎では相性最悪。エミーの風でもそもそもここに空気はあるのか?段々と薄くなっている気がする。
「何か… 何かないか…」
「ふふっ、そのまま酸素を取り込めないまま苦しんで死になさい。悪魔の王……… ん?」
そんな絶体絶命の中、遠くの方からゆらりと歩く人影がこちらに向かってきている。
ただの人間の男性であるようだが、こんな場所に一体なんの用だ。余りに危険すぎる。
「─── おーおー、ようやく見つけたぜ悪魔ちゃん。どうやら今回は女の子か。いいねぇ〜〜…… 仲間には悪いが1人で遊ばせてもらうますかね」
「…… あんた何者?」
「あ? 俺か? 俺はそうだなー…『デモンハンター』と言った所か?」
そう言うと彼は見たこともないドライバーを取り出す。それを腰に装着すると、指先を口に当てて悪魔に投げキッスを送る。
それに対して悪魔はブルリと身体を震わせた。
「おーい、そこの奴!お前見たことあるぞ!悪魔の王だろ!?」
「…… お前はデモンハンターか?」
「あぁ、まぁあんたには後で用があるからそのままでいてくれ。さて─── 仕事の時間だ」
《プレイドライバー!!》
それから男── 「深尾源次」はデモンティアイズキーとよく似た「プリーストライズキー」を取り出し、キーについているボタンを押して起動させる。
《プリースト!!》
相手にキーを向けてから横に薙ぎ払うようにするにして、ドライバーにセットすると、先ほどの彼のチャラついた態度とは異なる神聖な場所にいるかのような待機音が鳴り響く。
「変身!!」
《アンロック!!》
《祈る!!願う!!導きのままに!!プリースト!!》
ドライバーにセットした鍵をメレフのものと同様に捻ると、身体にアーマーを形成し、その上から牧師が着るような服が装着される。
まるで神に仕えるその人のような見た目をしたデモンハンター、またの名を仮面ライダープリーストへの変身が完了する。
「── 懺悔しな。しなけりゃ金にでもなりな」
「懺悔? 私は悔いる事なんてした覚えはないわ!!」
そして悪魔は辺りにシャボン玉を生成すると、それらを隙間のないようにプリーストの周りへと配置する。
このまま押し潰すのだろうかと言えばそうではない。狙いはやはりメレフ同様に窒息だろう。あのシャボン玉自体に攻撃力はさほどないが、防御力性能はかなり高いようだ。
だが、そんな状況でもこの男は余裕そうだ。
「… いーや、お嬢さん。あんたは悔いる事になるぜ。最近流行りの男による天誅を喰らわせてやるよ」
「何を馬鹿な…… ん?」
プリーストは冷静に目の前に手を翳すと、そこに身の丈ほどの杖が召喚される。
その杖「プレイストウォンド」を空に掲げると、先端から光が漏れ出し、シャボン玉がその光を反射して悪魔の視界を奪う。
「ぐっ… 目、目がぁ…!!?」
次の瞬間、悪魔の背中が焼ける。
どうやって脱出できたのかそれはわからないが、プリーストは既に悪魔の背後に周り、杖から光弾を発射して吹き飛ばした。
「まだまだこの程度じゃ終わらないわ」
続いて悪魔はシャボン玉を両手を1つに圧縮すると、それをプリーストに向けて一気に弾き出す。
先ほどの防御力に優れたものではなく、今度は1つに圧縮する事によって生まれた爆発力で、圧倒的な攻撃力を誇る水の球を作り出したのだ。
「悪いが俺はちゃっちゃと終わらせてもらうぜ〜。こんな女の子に暴力はしたくねぇが、まぁ俺の愛だと思って受け取ってくれ」
そしてプリーストはドライバーの鍵を捻り、全身から集められた光のエネルギーを杖の先端に集中させる。
「あばよ!」
「なっ…!!?」
最大まで溜めた光弾を発射すると、圧縮された水の球は無惨にも弾け飛び、そのまま悪魔の元に光のエネルギーが飛んでいき、悪魔の身体にポッカリと穴を開ける。
「そ、そんな… 私がやられるなんて……────」
それから悪魔は光と共に爆発し、跡形もなく消え去ってしまった。
悪魔がいなくなった事により、メレフを捕らえていたシャボン玉は破裂し、新鮮な空気を吸えるようになる。危うく窒息死してしまう所であった。
「はぁ… はぁ…… なんとか助かった。礼を言っ────」
しかし、メレフが安心するのも束の間、プリーストは杖を彼に向けて来た。
「安心してる所悪いが… 俺はあんたに言ったよな? わかるだろ?」
「………」
「ちょっとここで倒させてもらうからよー… 悪魔の王様」
逃げることは不可能。聞こえないはずのゴングが鳴り響いた気がした。
お久しぶりです。ごめんなさい!!
次回はもうちょっと早めにやります!!
では次回、第8解「我は雷撃、我の天罰」
次回もよろしくお願いします!!