仮面ライダーメレフ   作:辰ノ命

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皆さんご無沙汰しております。
今回からちょっと文体変わってると思いますが気にせず。
それではどうぞご覧ください。


第8解「我は雷撃、我の天罰」

 この状況下でメレフができる事といえば、プリーストに「見逃してくれ」「助けてくれ」と命乞いをするしかないだろう。

 プリーストの持つ杖「プレイストウォンド」という武器からは光属性の攻撃が可能と思われるエネルギーを操る力がある。これが彼の能力なのかは知らないが、何にしろこの至近距離から狙われているのだから、どの能力だろうと結局逃げられない。

 

「…… 俺を倒してお前に何の利点がある?」

「利点か… 利点ではなく利益って言った方が正しいなー。まぁ、お前がただの人間として普通の生活を送っているならテレビを観るはずで、俺のことを知っていたから観た前提で話をさせてもらうぜ」

 

 すると、プリーストは杖をメレフに向けたまま自分の名前と目的を話し始めた。

 

「俺は仮面ライダープリーストで名前は深尾源次。年齢は20代と言いたいところだが、30超えてんだ。ま、そう見えないのはよーーーくわかってるがな。そんな俺はデモンハンターって職に就いてる訳で、お前という元凶を潰すことで大量の報酬が手に入る。デモンティアとかいう悪魔だけでも結構入るが、悪魔の王となったら報酬爆上がりするのは当然って思えるだろ?」

「だから俺を倒すと?」

「当たり前の当たり前」

「なら、さっさとその杖から攻撃すればいいのではないか? 俺から聞いたことだが、お前からしたらこの話をする必要もないだろう」

 

 プリーストは確かにという様な顔で首を縦に振る。

 それから杖を握り直してメレフの顎を掬うように上げさせる。マスク越しではあるものの顔をよく見ているようだ。

 

「… ちっ、なーんか見にくいなーこの仮面はよ」

「先ほどからお前は何がしたいんだ…」

「んー? 絶体絶命な悪魔の王様の素顔を拝見するいいチャンスかなと思ったんだが… 見えやしねぇ」

「そうか。俺もこのまま死ぬのも悪魔たちに示しがつかない。この姿から変えよう」

「ほう? 変身解除でもしてくれるのか?」

 

 そうしてメレフはデモンドライバーのキーに手を掛ける。だが、これは変身を解除する為に触れたのではなく、この状況を打開する為の一手。この男が油断したこの瞬間が狙い目だった。

 キーを捻ってドライバーからエネルギーを右脚に集中させ、顎で杖を弾き、身体をグルリと回転させてエネルギーを収束させた蹴りを浴びせる。

 いきなりの事でガードもできなかったプリーストは堪らず吹き飛ばされてしまった。

 

「くっ! この野郎!?」

「油断したお前が悪い。お前の悪いところだろうなそこが。そこに救われた訳だ」

 

 そしてメレフは後退し、そのまま逃げようとした。

 

「おいおい逃げられるとでも思ってるのかー?」

 

 プリーストは体勢を立て直し杖を構えると、その先端から光弾を発射する。光弾は追尾式である為、逃げる事は不可能。

 案の定、光弾はメレフの背中に直撃した。彼もこうなる事はわかってはいたが、実際に受けると中々に威力が高い。地面に転がってしまった。

 

「残念だったな。もう少し脚が早ければ逃げられたと思うぜ?」

「………!!」

 

 せっかく作ったチャンスさえ意味がない。

 このプリーストという仮面ライダーは悪魔と戦う為にそれなりの力を有しているようで、本当の力を取り戻していないメレフ自身とエイルでは歯が立たないらしい。

 もしかしたら他の悪魔の力を使えば逃げられるところだろうが、メレフに変身した時点で悪魔達はキーに戻ってしまう。つまり命令したとしても背後からの奇襲や逃げる為の隙を作るといった数で押すことが不可能なのだ。

 そしてこの状況では他のフォームへの変身もできそうにない。先ほど同様に隙を作れる状態にまで持っていく事は難しいだろう。

 

「さぁて、仕上げだ。安心しろよ。貰った報酬でいい墓を立てといてやるぜ!」

 

 必死に打開策を練っていたその瞬間だった。

 プリーストは肌にピリピリとした違和感を感じる。杖にエネルギーを溜めている時に発せられる振動かと思ったが、まだその段階ではないのでそれはない。

 

「何だよこの痺れは…?」

「ん…?」

 

 メレフは気づいた。プリーストの背後に、全身に電気を纏っている悪魔が現れたのだ。

 その光に流石のプリーストも背後を取られていたが気がついて振り向いた。が、振り向くと同時に彼の身体を電気ショックが襲う。

 

「あばばばばばばばばばっ!!?」

 

 黒焦げになった彼を無視し近づいてくる悪魔はメレフに向けて一言だけ言う。

 

「…… 逃げるぞ」

「わかった…」

 

 悪魔はその場に雷を呼び起こすと、その雷鳴と共にメレフを連れてその場から消えた─────。

 

 

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 どうやら恭也たちを救い出してくれた悪魔の名は「ゼフォー・ゼロウ」というらしい。らしいという曖昧な感じだが、この男、ゼフォーはあまり喋らない無口な悪魔なようで、名前はエイルから聞いたのだ。

 恭也達はその後、なんとか自宅へと帰れた。あの時、彼が来てくれなかったらと思うとゾッとする。

 

「ゼフォー、お前今までどこほっつき歩いていたんだ?」

 

 ジェイクがそう聞くと、ゼフォーは溜めて、やがて押し出すように言った。

 

「─── 迷っていた」

「おいおい… 相変わらずで安心はしたが…」

「偶然、王を見つけた…… とりあえず助けた」

 

 本当になんというか無口というより喋るのが苦手なんじゃないか?と、思うほどに一言一言それ以上でもそれ以下でもなく、皆に向けてそう告げていく。

 そういえばこのゼフォーといい、他の悪魔達はやはり幹部達の場所を知らないのだろうか。

 気になった恭也は早速ゼフォーに質問する。

 

「ゼフォー、お前が俺を見つけるまでに他の悪魔達と会ったか?」

「いや…… さっきの悪魔が初めてだ……」

「そうか… 他に変わった事はあるか?」

「他に変わった事か…… いや特にっ───」

 

 その時、ゼフォーは何か思い当たる節があったのか言葉が詰まる。

 ゼフォーは王を見つめながら、言葉数は先ほどと同じだが、本人は真剣にその何かについて話し始めた。

 

「… 融合した悪魔がいる」

「お前もそれを知っているのか… 待て、お前はさっき誰にも会ってないと言ったがどうしてそれを知ってるんだ? 情報を仕入れようにもどうやって…」

「…… 俺はその悪魔を見た事はない… だが、記憶はある」

「なに?」

「俺に何故この記憶があるのかはわからない… それにこの融合した悪魔といい…… 俺の予想では、いや、これは予想というか妄想に近い… 何故ならあり得るはずがないからだ…… しかし、どうか考えてもこのような有り得ない事ができる奴は1人しかいない…」

「それはつまり…?」

「─── 先代の王が復活した可能性がある」

 

 その言葉にエイルは声を荒げて否定する。

 

「ゼフォー、あなたふざけているの!? そんなはずはない!! 先代の王はあの時、我々を完全に封印した後に命を落としたはずでしょう!!? 仮に生きていらしたとして1000年の時を生きられる人間なんて……」

「いない… だが、そうとしか考えられない…」

「根拠は?」

「…… 根拠も何も悪魔の力を融合させる、なんて芸当1人しかいないだろう… 逆に… そのようなことができる人間が王以外にいると思うか?」

 

 この言葉に流石のエイルも口が閉じる。

 そして恭也はこの場を借りて、その先代の事について触れてみる事にした。

 

「この場を借りて聞かせてもらう。エイル」

「はい…」

「俺はお前について深く追求しないと言ったな。ただ、これだけは答えてほしい。1000年前に命を落としたというのは一体どういう事だ?」

「それは…」

「何故、先代はお前達を封印した後に命を落とした? 自らが死を望んでそうした訳ではないだろう? 落としたという言葉は何者かによって殺されたという事なのか?」

「………… 申し訳ございません恭也様… その事については……」

 

 先代について聞けば聞くほどエイルの顔が歪んでいく。どうやら彼女にとって相当重大なことがあったらしい。

 他のメンバーもその事に気づいており、ゼフォーが口を開こうとしたが、それをジェイクが止める。

 この事について深堀はよそう。そうしないといけない気がする。今は。

 

「… そうか。すまない、深く聞かないと言っていたが、俺とした事が」

「いえ、恭也様のせいではッ!! アレは私が───…… っ!」

 

 その時、エイルが気になる事を言おうとしたが何かを察知し、土下座をしそうになった所でピタリと止まる。

 この状態になったのなら何が起こったのかすぐにわかる。デモンティアが出現した。

 

「では、向かうぞ。奴らに先を越させるな」

「承知しました」

 

 それから恭也はメレフへと変身し、空を飛んで現地へと向かう────。

 

 

 -------------------------------

 

 

 やはり先ほどの水の悪魔が復活している。魂がそこらを彷徨ってるなら容易に復活できるだろうと思うが、魂だけの状態では流石の彼らも数日と時間を掛けなければならない。

 しかし、今メレフ達の目の前にいる悪魔は紛れもなく先ほどの水の悪魔だ。

 それと隣にいらない奴もいるようだが…。

 

「よう悪魔の王。元気かー?」

「… 貴様、邪魔をするなら失せるがいい。我々は奴を封印する為にここにいる。貴様らのように倒してばかりでは埒が明かない。現に復活している悪魔がいるのだからわかるだろう?」

「あー…… まぁそうだな。確かにそうだ。だけどよー王様。こいつらが復活したとしてもあんたのせいじゃないのか? 実はこれも演技だったりして───」

「お前を封印する」

「ちょ、待てよ!!?」

 

 メレフは源次を無視して水の悪魔に突っ込んだ。

 水の悪魔── ブイセカードは22番目の悪魔。水をシャボン玉にして操ることができる力を有している。

 だが、今回のブイセカードは何かが違った。たった1つのメレフの顔くらいの大きさのシャボン玉が割れると、メレフの身体は後方へと吹き飛ばされた。

 

「な、なんだこの威力…!? さっきとはまるで違うだと…!?」

 

 その威力にメレフは無様に地面を転がる。

 源次はやれやれと首を横に振り、ドライバーを装着してキーを差し込んでプリーストへと変身する。

 

《祈る!!願う!!導きのままに!!プリースト!!》

「よう可愛い嬢ちゃん。あんまり悪さしてると俺みたいな奴に狩られちまうぜ」

「それはどうかしらね」

 

 ブイセカードはそう言って指を鳴らすと、辺りからボコボコッと黒い影のようなものが生えてきた。その影達はやがて人型となり、まるでゾンビのようにメレフ達に襲いかかってきた。

 

「な、なんだぁこりゃ!!?」

「雑魚か… こいつらは封印する意味もないって事でいいな」

 

 メレフはこいつらに魂がないと感覚だがわかった。

 封印する必要がないこの影達はゾンビル。自らの力で何度でも呼び出せる使い捨ての怪人だ。

 次々に切り伏せていくが、流石にこの数は分が悪すぎる。

 

「これじゃあ近づくこともできないわね」

「そうか。なら─── 俺に近づかせなければいい訳だ」

《ゼフゼロ!!》

 

 そしてメレフはドライバーの鍵をゼフォーの力、雷の力を宿したゼフゼロティアイズキーを差し替える。

 それを捻ると雷のエネルギーが溢れ出し、メレフの両肩と背中を中心にアーマーが形成されていく。

 

《解錠!!》《憑依!!》

《悪魔の名はゼフォー・ゼロウ!!40の数字を持ち、その雷撃は全てを痺れさせる!!》

《スタンドゼフゼロ!!》

「ハァッ!!」

 

 仮面ライダーメレフ スタンドゼフゼロ

 この形態となったメレフはメレフキーブレードを変形させて槍にし、それを思いっきり振り回す。それは槍なのでリーチが長いこともそうだが、雷を纏った事で1人に触れるだけでまた1人また1人と感電し、大きく広がっていく。

 

「おいおい!! それ振り回すな危ねーな!!? 俺に当たったらどうするつもッ──」

「この雑魚は頼んだぞ」

「あ? おいちょ、待っ…!!」

 

 プリーストがゾンビル達に囲まれている隙に、メレフはブイセカードの元へと走る。

 ただ真っ直ぐに走ってくるだけなので、それは隙だらけで馬鹿のやる事である。シャボン玉をそのまま真っ直ぐに飛ばせば確実に仕留められよう。

 

「馬鹿めッ!!」

「── 馬鹿は貴様だ。愚か者が」

 

 ブイセカードが飛ばしたシャボン玉はメレフの槍の一振りで粉々になった。

 このシャボンの威力は上がったとしても、属性有利でメレフの方が有利。更に言えば既にメレフはドライバーのキーを捻り、雷のエネルギーを槍に集中させていた所だ。

 

「ま、まずい…!! 逃げないとッ…!!」

 

 そしてブイセカードはシャボン玉を辺り一面に撒き散らし逃走を図った。が、飛んで逃げた所でもうメレフの射程範囲内だ。

 メレフは地面を思いっきり踏みしめ、身を大きく仰け反らせ、全身を使って槍を投げる。

 

「ひぃっ───」

「── 眠れ、悲しき悪魔よ」

 

 雷を纏った槍はブイセカードの身体を貫通し、彼女は空中で大きな爆発と共に崩れ落ちる。

 メレフはすぐさま鍵を取り出して彼女を封印する。

 ようやく終わったのだが、あちらも終わったようで背後からゆっくりと迫るプリースト。

 

「…… やる気なのか?」

「勿論だ。やられてダサいままで終われるか。せっかく可愛いあの子とまた喋れたってのに邪魔しやがって」

「そうか… だが、俺はやるつもりはない。また会おう。できれば会いたくはないがな」

「…ッ!!? 待ちやがれこのッ!!───」

 

 そしてメレフが手元に戻ってきた槍を地面に突き刺すと、雷が辺りに降り注いで視界を遮ったかと思うと、そこには既にメレフの姿はなかった。

 

「あ、あのやろぉ…… 今度会ったら絶対に倒してやるからなぁおぉぉぉぉい!!!────」

 

 

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「おい、エイルやめろ」

「はい」

「『はい』ではない、わかっていないから言っている。命令だ、離れろ」

「承知しました」

「言葉を変えただけでは意味がないんだが!?」

 

 先ほどの反省?という事でエイルは恭也にひっついている。説明しろと言われても反省らしい。反省とはなんの反省かは知らんが、そんな事はどーでも良く、これが反省だと?犬用にするのがか?男としては本望だろうが、今の恭也のプライドは鼻の下を伸ばす事を許さない。

 

「と、とにかくこれで5人揃った訳だ」

「そうですね。これも恭也様の圧倒的なお力のお陰であります」

「この先、どんな悪魔が待ち構えているかはわからないが、俺は俺なりに王としての責務を全うする。皆、力を貸してくれ。俺が本当の王になるその日まで」

 

 その言葉にジェイクは「何を今更」と言う。他の悪魔達も笑っている。

 エイルが、いや他の悪魔も隠している事がある。だが、それでいい。今はそれで構わない。

 いつかわかった時があったとしても王として戦うだけなのだ。メレフとして、どんな苦難にも────。

 

 

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「─── 現王よ。真実はすぐそこまで迫っているぞ。お前が思うほど悪魔は単純ではない。悪は悪なのだよ」

 

 ── 恭也の知らないどこかで何かが動いていた。




文体リニューアルしましたが如何でした?
抜けてる部分とかありますがご愛嬌。当たり前だよなぁ?

次回、第9解「我は頑固、我は鉄壁」

次回もよろしくお願いします!!
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