皆様あけましておめでとうございます!
今年ものんびりゆっくり投稿していこうと思います。
なかなか話が進まないのですが、最後までお付き合いいただけたらと思います。
再び大きな音がして、ダドリーは飛び起きた。バーノンは、ライフル銃を持ち、ペチュニアは、恐怖の色をした目を扉の方に向けている。ソフィアは、自分の睡眠を邪魔する音に不快感を覚え、しかめっ面で扉の方を睨んでいた。
「誰だ。そこにいるのは。言っておくが、こっちには銃があるぞ!!」
バーノンが叫んでから、一拍置いて
蝶番も吹っ飛ぶほどの力でドアが開けられ、扉が轟音を立てて床に落ちた。戸口には、ボウボウと長い髪に、モジャモジャの荒々しい髭で、顔がほとんど見えない大男がたっていた。この大男にとって、この小屋は狭すぎ、外れた扉を片手で治してしまった。
「茶でも入れてくれんかね?いやはや、ここまで来るのは骨だったぞ…」
大男は大股でソファーに近づき、ハリーを見つけて喜んだ。ダドリーは、ソファーから離れペチュニアとバーノンの後ろに隠れた。
「おー!ハリーだ!最後におまえさんを見た時にゃ、まだほんの赤ん坊だったなぁ。あんた父さんにそっくりだ。でも、目は母さんだなぁ」
「今すぐお引き取り願いたい。家宅侵入罪ですぞ!」
「黙れ、ダーズリー。腐ったおおすももめ」
そういった大男は、バーノンから銃をひったくり、まるでゴム細工のように易々と丸めて部屋の隅に放り投げてしまった。大男は、ハリーの誕生日を祝い、コートからひしゃげた箱を出した。ハリーがそれを開けると、中には大きなチョコレートケーキが入っていて上には色付けされた砂糖で【ハリー お誕生日おめでとう】と書いてあった。
「あなたは誰?」
「あぁまだ自己紹介をしとらんかったな。俺はルビウス・ハグリット。ホグワーツの鍵と領地を守る番人だ。」
自己紹介を終えた大男は、火の気のない暖炉を見て、暖炉に向けて傘を降った。次の瞬間、暖炉にはゴウゴウと火が起っていて、湿った小屋を明かりで見たし、小屋中を暖めていた。大男は、コートのポケットからヤカンやソーセージ、ティーポットにマグカップと次々にいろいろなものを取り出していった。ソーセージがやける頃になると、ダドリーがソワソワしだした。それを見たバーノンがダドリーを一喝したが、大男はハリー用だといいあしらった。
「あの、僕、まだあなたが誰だかわからないんですけど…」
「ハグリッドって呼んでおくれ。みんなそう呼ぶんだ。さっき言ったように、ホグワーツの番人だ。───ホグワーツのことはもちろん知っとうな?」
「あの、……いいえ……ごめんなさい」
「ごめんなさいだと?─ごめんなさいはこいつらのセリフだ。お前さんが手紙を受け取ってないのは知っとったが、まさかホグワーツも知らんとは、思ってもみなかったぞ。なんてこった!お前の両親が一体どこであんなに色んなことを学んだか、不思議に思わんかったのか?」
ハグリッドは、吠えるような音声をだし、バーノン達を睨みつけた。ハグリッドは、ハリーが"いろんなこと"を知らないことに、激怒した。ダーズリー親子に詰め寄っている。ハリーが、算数などは知っていると言ったら、爆発寸前の形相になり、バーノンは、真っ青な顔でムニャムニャと言葉を濁すばかりである。
「お前は自分が何者なのか知らんのだな?」
「やめろ客人!今すぐ止めろ!その子にこれ以上何も言ってはならん!」
ダンブルドアという人が残した手紙を隠していたという事実が明らかになり、バーノン達は何かをハリーに隠していたのである。そしてそれは、決してハリーに言ってはいけないことなんだと、バーノンは狂ったように叫んだ。
「ハリー───おまえは
大男は、ハリーの両親も魔法使いであり、訓練さえ受ければそこら辺の魔法使いよりすごくなるという。そして、黄色味がかかった羊皮紙の封筒をハリーに渡した。
岩の上の小屋
床
ハリー・ポッター様
許可されましたこと、心よりお喜び申し上げます。教科書並びに必要な教材リストを同封致します。
新学期は九月一日に始まります。七月三十一日必着でフクロウ便にてのお返事をお待ちしております。
ハリーがハグリッドに手紙の意味を問いかけるとしまったというふうにおでこを手でたたき、コートのポケットからふくろうを引っ張り出した。少しもみくちゃになってはいたが、それは生きている本物のフクロウだった。それから、長い羽根ペンに羊皮紙の巻紙を取りだし、走り書きをしだした。書いた手紙を、クルクルと丸めフクロウの嘴にくわえさせると、戸を開けて嵐の中に放った。
「ハリーは行かせんぞ!」
「お前のようなコチコチのマグルに、この子を引き止められるもんなら拝見しようじゃないか」
ハグリッド言わく、マグルとは魔法族では無いものを指すようで、ハリーがマグルの中でも最悪なダーズリー家で育てられたことを不運と言った。
「ハリーを引き取ったとき、くだらんごちゃごちゃはお終いにするとわしらは誓ったんだ!このこの中からそんなものは叩き出してやると誓ったんだ!魔法使いなんてまったく!」
「知ってたの?おじさん、僕があの魔法使いだってこと、知ってたの?」
「知ってたかですって?ああ、知ってましたとも!あの癪な妹がそうだったんだから!お前もそうに決まってる!妹にもちょうどこれと同じような手紙が来て、さっさと行っちまった…その学校とやらにね!休みで帰ってくる時にゃ、ポケットをかえるの卵でいっぱいにして、コップをネズミに変えちまうし。私だけは、妹の本当の姿を見てたんだよ……奇人だって。」
その後ペチュニアは、何年も我慢してきたものを吐き出すように一気にまくしたてて、妹が自業自得で吹っ飛び、ハリーを押し付けて死んでいったと言ったのだ。しかし、ハリーはこれまで自分の両親は自動車事故で死んだと聞かされていた。そのことを追求したら、ハグリッドがいきなりソファから立ち上がり、怒りの唸り声を上げた。ハリーの両親であるリリーとジェームズが自動車事故などで死ぬはずがないこと、また、魔法界の子達は一人残らずハリーポッターについて知っているのに、当の本人が自分自身のことをなんにも知らないことに腹を立てているのだ。
ハグリッドが言うに、ダンブルドアという人はこうなることを予想していたみたいだったが、自分のことを何も知らないままホグワーツに通うわけにはいかないらしい。しかし、ハグリッドの口から伝えるには少し荷が重く、まだ、謎に包まれた部分もあるのだ。ことの起こりから語り出したハグリッドは、魔法界では誰もが知る名を言うの躊躇 していた。ハリーが、綴りを書くように進めたが、綴りが分からないらしい。
「いうぞ、それっ!ヴォルデモート!!」
勢いで言いきったハグリッドは、顔を青くさせながら続きを話し出した。この魔法使いは、20年前から仲間を集め始め、魔法界を支配するようになったという。同意見を持ち入るものも、恐怖ゆえに付き従うものも、おこぼれにあずかろうとした者もいた。当然立ち向かおうとしたものも現れたが、みんな殺されて行ったと言う。残された数少ない安全な場所としてホグワーツがあり、ダンブルドアがいる限り『
力のあった魔法使いや魔女が何人も殺された中、ハリーだけが生き残った理由は誰にも分からないという。ハリーは、あの時見た目もくらむような緑色の閃光と共に部屋に響いた冷たい残忍な高笑いを思い出した。その後もハグリッドの過去話は続き、ハリーは自分の身の回りで起きた不思議なことを一つ一つと思い出した。そんな時、部屋の隅で固まり黙り込んでいたバーノンが声を上げた。
「イカれたマヌケじじいが小僧に魔法を教えるのに、わしは金なんか払わんぞ!」
「絶対に…俺の前で……アルバス…ダンブルドアを……侮辱するな!!」
すぎた言葉を発したバーノンに、ハグリッドは傘を掴みグルグルと頭の上で回し、ヒューと振り下ろした傘の先端をダドリーに向けた。一瞬、紫の光が走り、爆竹のような音がしたと思うと、鋭い悲鳴をあげながらダドリーが太ったお尻を両手でおさえながら、痛みで喚きながら床の上を飛び跳ねた。後ろを向いたダドリーを見ると、クルリと丸まった豚の尻尾が生えていた。それを見たバーノンとペチュニアは、ダドリーを隣の部屋に引っ張って行った。
「癇癪を起こすんじゃなかった……豚にしてやろうと思ったんだが…上手くいかんかった…ところでお前さんは…」
髭を撫でつけながら、ボソボソとハグリッドは、そう言って、一人がけ用のソファで、膝をおりながらすやすやと眠るソフィアを横目で見た。
「肝が座っちょる……こいつぁ、リリーにそっくりだ。本当にあの太っちょの妹か?」
「ソフィーは、興味無いことに関してはスルーだから……でも、さすがにこの状況で寝れるのはすごいよ…」
ハグリッドは、分厚いコートをハリーに渡し、魔法を使ったことを口止めして、明日は買い物へ行くと言い横になった。
───────
ハリーが、ハグリッドに連れられて必要な教材を買ってから、数日ーーーダーズリー家は、不思議な空気が流れている。バーノンもペチュニアもハリーを物置に閉じ込めようとはしないものの、一切口をきかないのである。それは、ダドリーも同じだった。いつものように、ハリーをサンドバックにすることも無く、ハリーをいないものとして振舞っていた。
「なんであんたが!!」
つい先程呼び鈴がなり、客人かと確認しに行ったペチュニアの怒鳴る声が、リビングまで届いた。どうやら、玄関先で客人と口論をしているようだった。フラフラとリビングに戻ってくると、ハリーとダドリーに各自部屋に戻るように言った。ティーカップと本を持ち自室に戻ろうとしたソフィアには、残るように言い、2人を急かした。
2人が自室に戻り、水を飲み一息ついたペチュニアは、先程口論してたであろう客人をリビングに通した。リビングに現れたのは、黒髪に鉤鼻の男で、
「なんで今更来たの?」
苛立ちを込めた声で、追求するペチュニアを軽くあしらうように男は答えた。いや、答えとしてソフィアに向かって1枚の手紙を差し出したのである。それは、ハリーが貰っていたものと同じで、薄ら黄色みがかった羊皮紙に紋章入りの紫色の蝋で封がされ、宛名はエメラルドで書かれていた。
「嘘でしょう!この子が!」
男が手渡した手紙を見てペチュニアは、声を荒らげ、気が動転したかのように焦っている。それも当たり前で、まさか、自分の子供があの妹のように
「これって、行かなくてもいいんですよね?私は行きません。もうほかの学校に入学が決まっています。わざわざ御足労ありがとうございました。」
「魔法の制御が出来なければ、己だけでなく周りまで巻き込むが、それでもいいと言うのであれば断ってくれても構わないだろう。」
「っ………タチが悪い」
元々面倒くさがりで、自分以外に興味を持たないソフィアは、面倒事に巻き込まれるのも人一倍嫌うので、ほぼ強制と言っても過言ではないこの仕打ちに、苛立ちが隠せないのである。ペチュニアは、バーノンに支えられながらソファーに座っている。2人の顔色は青くなっていて、見るに堪えないものであった。
「それが………それが、今後良い方向に進むなら……家族を傷つけずに済むのなら…………私は……入学しましょう……」
「ああ、ソフィアちゃん。」
ソフィアの決断を聞き、ペチュニアは、勢いよくソフィアを抱きしめた。そして男は、入学まで時間が無いことを説明し、これから教材を揃えに行くことを伝えた。もちろん、断ることなど出来ないので、ソフィアはそれに頷き、出かける準備を始めた。
「つかまりたまえ」
数分後、男は、着替えを終えたソフィアへ、片腕を出しそう言った。頭にクエスチョンマークを浮かべながら、ソフィアは、その腕をとった。次の瞬間、ポンと音がし、ソフィアと男の姿はなくなっていた。
いきなり姿を消した愛娘を心配し、ペチュニアとバーノンは、慌てていた。
───────
同時刻ーー
ソフィアは、胃がねじれるような不快な感覚に襲われていた。男の腕をとった瞬間、拗られ縮められるような感覚に襲われ、気がついたら壁に囲まれた中庭にいた。男は、涼し気な顔をしながら、レンガの壁を木の棒のようなもので叩いていた。男が壁を叩き終わると、叩かれたレンガが震え、揺れだした。そして、レンガが動きだし、真ん中に大きなアーチ型の入口ができた。
「ここは、ダイアゴン横丁だ。」
淡々と告げ男は歩き出した。2人がアーチをくぐり抜け終わるとアーチはみるみる縮み、硬いレンガの壁に戻っていた。石畳の通りが曲がりくねっていて、先が見えなくなるまでつながっていた。
「あの、Mr、ここでは私たちの貨幣が使えるのですか?」
「いや、使えん。が、グリンゴッツで両替ができる。それから、吾輩の名はセブルス・スネイプ。ホグワーツの教授だ。 」
教授によると、グリンゴッツとは
欲の報いを 知るが良い
奪うばかりで 稼がぬものは
やがてはつけを 払うべし
おのれのものに あらざる宝
我が床下に 求める者よ
盗人よ 気をつけよ
宝のほかに 潜むものあり
中に入ると、ソフィアより頭一つ小さい小鬼たちが奥のカウンターの中で、帳簿の書き込みをしたり、片眼強で宝石を吟味したりしていた。床は大理石でできており、広々としたホールになっていた。
「マグルの通貨との両替をしたい」
教授は、カウンターに座っていた一人の子鬼に声をかけ、要件を手短に伝えると、後ろでキョロキョロと周りを見回していたソフィアを小鬼の前に出した。教授言わく、これからは全て自分でやるのだから、今のうちに覚えておけとの事だ。
「お名前と歳を」
「ソフィア・ダーズリー、11歳」
「口座はつくりますか?」
ソフィアは、どうするのかいまいちよく分からず、助けを求めるように教授を見た。そうすると教授は、まだ要らないといい首を振った。その後、親から預かった貨幣を小鬼に渡し、代わりに金貨と銀貨と銅貨が返ってきた。金貨がガリオン、銀貨がシックル、銅貨がクヌートらしい。
1ガリオン=17シックル=493クヌート
1シックル=29クヌート
グリンゴッツをでて、最初に制服の採寸をするのがいいと言われ、ソフィアは、教授に連れられ洋裁店には行った。店に行く途中、ソフィアは、魔法界やホグワーツについて教授から説明を受けていた。ホグワーツには、四つの寮がありそれぞれの寮にモチーフとなっている動物がいるらしい。手紙の蝋封に書いてあると言われ、ソフィアが確認すると、ヘビ、穴熊、ライオン、鷲がいた。それぞれ、ヘビはスリザリン、穴熊はハッフルパフ、鷲はレイブンクロー、ライオンはグリフィンドールという寮で、ホグワーツを創設した4人の魔法使いと魔女の名から来ているという。人間界でサッカーにあたるクディッチというものがあり、年終わりには各得点が最も多い寮に優勝杯が渡されるらしく、教授が寮監をしているスリザリンは、長年優勝杯を取っているらしい。クディッチだけでなく、日頃の授業でも加点減点されるので、気をつけるようにとの事だった。
そうこう話しているうちに店に着いた。
──普段着から式服まで──
店内は色々な色の布が置いてあり、色だけでなく質感や材質までも様々な布ばかりだった。店員であるマダム・マルキンは、愛想のよい、ずんぐりした女性でソフィアを踏台にのせると、頭から長いローブを着せ掛け、丈に合わせてピンで留め始めた。時期外れなのか、ソフィア以外に客は見当たらず、ものの数分で終わってしまった。その店には、勝手にはかるメジャーやひとりでに服を縫う針、マネキンにかかっている服を勝手に綺麗にするブラシなど、ソフィアの興味を引くにはもってこいのものばかりだった。マダム・マルキンも、とても人が良い人で、魔法について何も知らないソフィアに、軽い生活魔法を教えてくれたのだ。
採寸が終わり、出来上がるまでに残りの教材を買った。錫製の大鍋や望遠鏡、秤に薬瓶のセット、羽根ペンや羊皮紙、教科書類途中でバッグを買ったものの、ソフィアが持つには重すぎて、教授に助けて貰っていた。
「杖を買うなら、この店が1番だろう。」
──紀元前三八二年創業 高級杖メーカー
目の前の店は、剥がれかかった金の文字でこう書いてあり、埃っぽいショーウィンドウの、色あせた紫色のクッションの上に、杖が1本置かれているだけだった。教授は、他に用事があるとのことで、ソフィアは、1人で店内に入った。店内に入ると、天井近くまで整然と積み重ねられた何千という細長い箱の山があった。あたりを見回したところで店主や店員と思われる人影はなかった。
「いらっしゃいませ」
誰も居ないはずのカウンターの方から、いきなり声がかかり、ソフィアはビクッと肩を震わせた。声のした方を見ると、老人がいて、店の薄明かりの中で、大きな薄い黄色い目が、ふたつの月のように輝いていた。
「こ、こんにちは」
「おお、叔母であるあの子によく似てらっしゃる。あの子がここに来て最初の杖を買って行ったのがつい昨日ようじゃ。あの杖は、二十六センチ、柳の木で出来ていて振りやすい、妖精の呪文にはピッタリの杖じゃった。」
「叔母…ですか……」
赤毛に菫色の目をしたソフィアは、両親であるペチュニアとバーノンどちらにも似なかったので、隔世遺伝だろうと言われている。しかし、ソフィアは、叔母にも叔父にもあったことがないので、よく分からない。
「さて、お嬢さん、どちらが杖腕ですかな?」
「つ、杖腕?えっと…私は、一応両利きなのですが…」
「うーむ、普段どちらの手をお使いになられますかな?」
「左です」
左利きを矯正し、両利きになったソフィアは、普段使っている左手を伸ばした。すると老人は、ソフィアの肩から指先、手首から肘、肩から床、膝から脇下、頭の周り、と寸法を採った。杖を決めるのに、頭の周りが必要なのかとソフィアは、首を傾げた。
「お嬢さん、オリバンダーの杖は、1本1本、強力な魔力を持ったものを芯に使っております。一角獣のたてがみ、不死鳥の尾羽、ドラゴンの心臓の琴線。一角獣も不死鳥もドラゴンも、みなそれぞれに違うのじゃから、オリバンダーの杖には一つとして同じものがない。もちろんほかの魔法使いの杖を使っても、決して自分の杖ほどの力が出せないわけじゃ」
ソフィアにとって、ドラゴンや一角獣、不死鳥というものは御伽噺やファンタジーの中だけのものだった。なので、杖がどうやら、素材がどうなど言われてもよく分からないのである。老人が、手を下ろすようにいい、巻尺が独りでに丸まるのを眺めていた。
「こちらはどうですかな?楓に一角獣のたてがみ。21センチ、気まぐれ」
ソフィアが渡された杖を持ち、マジマジと見つめていると、老人に振ってみなされと言われ、ヒュと軽く振り下ろすと、近くにあった置物が粉々に割れた。あまりの出来事にソフィアは、すぐに杖を老人へと返した。
「むむ、では、桜の木にドラゴンの心臓の琴線。19センチ、しなやか」
ソフィアが続けて振ってみるも、次は、窓ガラスが割れ、その杖も直ぐに返した。その後、十数の杖を試すものの、一向に決まる様子はなく、次々に壊れている置物や窓を見て、ソフィアは少し顔色を悪くした。
「では、これは?ヒノキにセストラルのたてがみ。30センチ、固く、忠誠心が深い」
ソフィアが恐る恐る杖を手にし、軽く振り下ろすと、杖先から、雪の結晶と花が飛び出し、店中に降り注いだ。老人は、ブラボーと叫びながら手を叩き、杖を箱に戻し茶色の紙で包み始めた。その後老人にお金を払い、店の外に出ると教授が立っていて、ペットの有無を聞かれたので、とりあえず見てみるとソフィアは返し、魔法動物ペットショップに行った。
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ペットショップには、猫やネズミ、フクロウにヒキガエルと、様々な動物がいた。教授は、フクロウか猫あたりがいいとアドバイスをし、好きに選んでこいと、ソフィアを店の中に入れた。
「おや?いらっしゃい、お嬢さん。何をお探しで?」
「学校に持っていけるペットなんですけど…」
「家族とも連絡取れるから、フクロウ当たりがオススメね」
とりあえずと、店内をぐるりと回ってみることにした。動物園にもいるような一般的な動物に始まり、モグラのようだが光るものが好きな二フラーや、ふわふわとした球体のパフスケインなどソフィアが今まで目にしてこなかった生物までいた。そんな店の一角から、キィキィと小さい鳴き声が聞こえてきた。気になってよってみると、真っ黒の毛玉があった。
「あの、これは?」
「あぁ、これは黒猫だよ。どうにも人に懐かなくてね、売れなかったんだ。」
店員に断りを入れて、触ろうとするとシャーと毛を逆立てて、ソフィアの手を噛んだ。甘噛みではなく、しっかりと力を入れて噛んでいるので、ソフィアの手からは血が出てきて、店員が焦りだしたが、ソフィアは気にせず、その黒猫を持ち上げた。
「私この子にします」
店員は驚いていた。無理もないだろう、今も尚自分の手をかみ続けている気性の荒い猫を、易々と持ち上げ、挙句には、自分のペットにすると言い出す客など珍しいどころの話では無いのだ。
「本当にその子でいいんだね?」
「ええ、この子以外考えられない」
売れ残りなのもあり、比較的安いと思われる値段で、黒猫を買い、ゲージと餌、飼い方の本などを持ちソフィアは、店員に一礼してから、店から出た。
そしてそこで店員は摩訶不思議なものを見たのだ。
抱えられた猫から、なにか不気味な執着心のような黒いものが小さな魔女に巻きついているような不思議な感覚になり、こちらを向いた猫がニヤリと笑っているような、なにか企んでいるような笑みを残したような、そんな寒気に襲われ、店員はブルりと肩を震わせた。そして店の中に戻ると、店の中にいたゲージの中の動物たちが皆揃って、今しがた少女が出ていった方を穴が空くほどに見つめていた。自分の目を疑い、瞬きを何回かし、目をこすって改めて見ると、フクロウは今まで通り餌をつつき、二フラーは金貨をお腹の袋に詰めていて、きっとなにかの見間違えだったのだろうとその出来事を忘れるように頭を振り記憶から飛ばした。
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店を出て買い忘れがないかを確認し終わり、ソフィアは、また、胃が契れるような吐き気を抑えながら、自宅の玄関の前にいた。
「猫にしたのか?」
「はい、可愛かったので」
「そうか、始業式は、九月一日で、これは、ホグワーツ行きの切符だ。キングクロス駅発、9と4分の3番線から、11時発だ。次は、学校で」
簡潔に切符の説明を終えると、ポンと音を立てて、ソフィアの目の前から教授が消えた。自分の家に、教授が乗り込んでくるところから始まり、やっと長い一日が終わったのだ。ソフィアは、なにか引っ掛かりを覚えながら、家を扉を開け、リビングに行く前に、自室へ荷物を運び込んだ。
ソフィアは、数分後に、ソフィアの身を心配したペチュニアとバーノン、ダドリーの質問攻めに会い、ハリーに不思議そうな目を向けられることをまだ知らない。
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