● トゥスクル 城の場内
自室で正座をしながら私は外を眺めている。
あの方が支え今ではそれを私たちが変わって支えているこのトゥスクルという圀は今や豊かで治安も安定している。誰もがあの人の温もりに助けられていた。各故、私もその一人である。あの人に会わなければ今の私はなかったでしょう。だからあの人の眠りを妨げるものを私たちが許す訳にはいかない。ヤマトが交渉にきた時もそれを受け入れることは無かった。もし、強引にでもあの方の眠りを妨げればこの圀、全土の民や私たちがそれを許さずそのものや圀を滅ぼしてしまうかもしれない。
だがそれも今日で終わる。何故ならあの方がお目覚めになったからである。そして今日中にもこのトゥスクルの城に着くでしょう。それを自分でも驚くぐらいに楽しみに待っている。こんな気持ち生まれて初めてかもしれない。自分でも身内以外にここまで想いを寄せるのは初めてだから分からないけどこの気持ちには嘘を付けない。あの方は気付いていないのかもしれないけど私はあの方の事を愛しているのだから。私以外にもあの方に想いを寄せている人はいる。トゥスクルの幹部と呼ばれる人たちはほとんどがあの方と友に戦乱の世を生きてきた人たち、あの方の凄さや優しさに取りつかれたから私たちはあの方に忠誠を誓い生涯どんなことが起こったとしても着いて行くと決めたんだと思います。
正直、他国に比べてトゥスクルの幹部はそれなりに個性たっぷりな人達だと私は思いますけどその人たちを心酔させるなんて普通の人には出来ないでしょう。
他国の中にはハクオロ様の事を悪く言う人もいますが…そういう人たちはあの方に会った事がないからそんなことが言えるのでしょう。優しすぎるが故に誰よりも人の死に苦しみ嘆いたお方を。
「ウルトリィ様~~~~~~~~~」
廊下から叫びながら私を探している声が聞こえてくる。一体、何でしょうか?そんな急ぎな用は無かったと思いますが。
自室の扉が勢いよく開かれた。
「サクヤ様が今、トゥスクルに到着し。ヤマトでハクオロ様らしく人物と会ったと言っています!!」
「….それは本当なのですか?」
「…本当かどうかに関しては分かりませんがハクオロ様とお親しかった方々は集まっておられます。それに詳細については全員が集まってから話になるそうです」
「では、すぐに向かいます」
エルルゥが付いているんですからハクオロ様が勝手な行動をする事がないと思っていたんですけどね…….。よりにもよってヤマトに行っておられるとは…。
急いで皆が集まっているところに足を進めた。
その場所に行くとまず驚いたのは普段は来ないアルルゥとカミュが来ていたことだった。全員とは言っていたけどこの二人まで来ているとは思っていなかった。でも、ハクオロ様の話となれば来るのも当たり前の事かもしれませんね。
そんなことを思いながらいつもの定位置についた。
私が定位置に着いたのを確認すると皇の座についているオボロが重い口を開けサクヤに問うた。
「それで兄者がヤマト行きの船に乗っていたというのは本当なのか?」
「はい。本当でございます」
その言葉にこの部屋にいる全員が口を閉じ頑張って理解しようと頑張っている。
「皆様、大丈夫でしょうか?」
後ろに控えていた兵が私たちに駆け付けながら言った。確かに声を掛けてしまうのも仕方なかったのかもしれない。だってこの時、全員が天を見上げ固まってしまっていただろうから。
「おいおいおいおいおいおいおい、本当何だろうな!??????????」
オボロ様が取り乱しながら言った。こんな取り乱しているオボロ様を見るのは初めてだ。
「…..はい。確かでございます」
「何で分かるのだ!!我々でさえ兄者の素顔を見た事はないのだぞ。それに兄者はまだあそこにいるんじゃ…」
「これでも私はここにいる人たちと友に戦乱の世を生きてきました。先代の事に関しては分かっているつもりです。何でヤマトに居るのかについては分かりませんが私は先代だと断言できます」
確かにあの時代を生き抜いてきたものならハクオロ様と断言出来てもおかしくない。あの時代はまだ子供だったものも今は立派な大人になっている。だからハクオロ様と会ったことがない人も兵の中には居たりする。
「兄者はもうあそこから出たのか…………….だとしたら何でトゥスクルに帰って来なかったんだ…皆、兄者に会いたがっている事を兄者も分かっていると思うのだが….」
「おと~さん」
「どうしますか?急いでヤマトまでお迎えに上がりますか?」
「確かに今すぐにでも行きたいですが..最終決定をするのは聖上ですから」
一人一人が思い想いの言葉を口にした。ここにいる幹部とも呼ばれている人たちが同じ意見を持つことはまずない。こんなにいれば意見が食い違うのは仕方のないことですしたくさんの意見が出るのは良い事だけどやっぱり最後までまとまらない事もある。だけど今回は満場一致だった。全員があの方の帰りを待っていた….やっと会える時が来たのにハクオロ様はトゥスクルに帰る事無く隣国のヤマトに行ってしまったのだから。
他の何を置いてでもあの方を助けに行く。それがここにいるものの満場一致の意見だった。
「…急いでヤマトへと船を手配しろ!!!!!!!俺が行く。お前らは大人しくここで報告を待ってろ!」
オボロは立ち上がり全員に命令した。
普通ならそれでもいいが今回はそれで収まるはずがない。
「私もいく~おと~さんに会いたい!!」
「聖上。先代を心配する気持ちはお察ししますがあなたがここを離れるのはまずいです。何かあった時のためにもここにいてくださった方が良いと思います。なのでここは私とクロウで行ってまいります」
「兄者が危険な目に会っているというのにのんびりと待っていられる訳ないだろ!!!!唯一、俺が兄として認めた男の命が危機に晒されているのだから行かずにいられるか」
オボロが凄い剣幕で言った。でも、ただの人間に戻ったハクオロ様の体力が心配ですね。エルルゥが近くにいる間は大丈夫だと思いますがそれでも心配してしまう。
勿論、それから議論は続き決まったころには…日が沈みかけていた。