地味子が悪役令嬢を破滅させる逆転物語   作:日本のスターリン

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27章 クリスマス

 今日は待ちに待ったクリスマス。12月25日だ。日本人ならキリスト教徒でなくとも誰もがお待ちかねの日だ。それは慈美子たちも一緒であった。慈美子たちE組は教室でクリスマスの飾りつけをしていた。今日は各教室でクリスマス会があるのである。

 慈美子は歌いながらノリノリでクリスマスツリーを飾りつけしていた。

 

「クリスマスと言えばやっぱりクリスマスツリーは欠かせないわよね~!」

 

 そこに城之内がやってきた。城之内は偉そうに飾りつけを見て回っているのである。城之内は慈美子の手に持っているものに気が付いた。

 

「ガイジンさん。それ短冊じゃありあませんこと?外国じゃあクリスマスはやらないのかしら?」

「クリスマスツリーに短冊を付けちゃ駄目かしら?」

「ほっほっほっほっほ!常識外れにも程がありますの!」

「やっぱりそうかしら…」

 

 慈美子は短冊を強く握りしめた。七夕のリベンジのつもりだったのである。中身は「関都くんと恋人に成れますように 慈美子」と書かれていた。今度は名前も書き忘れなかった。しかし、それを吊るして関都に見せるわけにはやはりいかなったようだ。

慈美子は短冊をくしゃくしゃにしてゴミ箱に捨てた。

 

「さぁ気を取り直して飾りつけの続きよ続き!」

「ほっほっほっほっほ!せいぜいお頑張りになって!」

 

 城之内は見下す様にツリーの飾りを散らかした。そして、髪の毛を掻き揚げ、長い後ろ髪サラサラと大きく靡かせながらその場を去って行った。慈美子は散らかった飾りをかき集め、一生懸命ツリーの飾りつけを続けた。

 そこに関都がやってきた。手に沢山持っているのは綺麗な飾りだ。

 

「僕もクリスマスツリー手伝うよ」

 

 その言葉を地獄耳の城之内か聞きつけ、飛ぶようにやってきた。まるでトリか飛行機か、いやスーパーマンかのようである。

 

「ほほほほほ!わたくしもちょうどクリスマスツリーの飾りつけを手伝う所でしたの」

 

 そんな城之内に、慈美子はとても不満そうである。城之内の虫が良い手のひら返しに納得が行かなかったのだ。

 

(あなたは手伝う気なんてこれっぽっちも無かったじゃな~い!)

 

 なにはともあれ、3人はツリーの飾りつけをした。そうこうしている内に教室は外も中もクリスマス模様一色になった。いよいよクリスマス会の始まりである。

 城之内は三バカトリオにクリスマス用の衣装を見せつけていた。

 

「ほほほ!どうですのこのセクシーなサンタの衣装!」

 

 城之内は超ミニのミニスカのサンタビキニを派手に着飾っていた。冬に着るにはとても寒そうである。暖かい室内だからこそ着こなせる服装だ。城之内の真っ赤なサンタビキニは真っ赤な長い髪の毛に凄く映えていた。

 三バカトリオは城之内を褒めちぎった。

 

「すてきだわ~!」

「本当よね~!」

「かわいいわね~!これは錦上添花だわ~」

「ほほほほ!当然ですの!一流ブランドの商品ですのよ~!」

 

 城之内が調子に乗っていると、好事魔多し。そこに慈美子がノコノコとやってきた。その姿に城之内たち一同は釘付けになった。

 

「あら?城之内さんも私と同じ衣装なのね!ぐうぜ~ん!」

 

 なんと慈美子も城之内と全く同じ衣装を着ていたのである。もちろん同じブランド品である。城之内はすごくバツが悪かった。三バカトリオの間にも気まずそうな空気が流れる。しかし、慈美子はそんな事全く気が付いていなかった。

 

「どっちの方が似合うか皆に見せてきましょうよ~!」

 

 慈美子はノリノリである。しかし、城之内は違った。慈美子とのペアルックなんて誰にも見られたくない。城之内にある名案が過った。城之内は早速それを実行に移す。

 

「あ~ら!地味子さん!こぉ~んな所にゴミが付いてますわよ~?」

 

 わざとらしく、そう言いながら城之内は慈美子のコスチュームに触れる。

次の瞬間!城之内は慈美子の服を思いっきり引っ張った。

 

ビリビリビリ!

 

城之内は慈美子の服を力いっぱい破きはじめたのである。さらに城之内は三バカトリオにも目で合図を送った。「あなたたちもやりなさい」と。

 

「なにをするの!?」

「あらら!足が滑ったわ!」

「手もすべっちゃったわ!」

「おっとっとっと!躓いちゃったわぁ!」

 

 三バカトリオも慈美子の衣装をビリビリに引き千切った。残ったのはサンタの帽子だけである。慈美子は突然の出来事に、パニックになり涙目である。

 

「どうしてこんな事を…!」

「心配なさらないで!ちゃんと弁償は致しますわ!」

 

 そう言うと、城之内は慈美子にお札を投げつけた。全て1万円札である。慈美子はなよなよとお札を拾った。しかし、慈美子の気持ちは収まらない。

 

「そういう問題じゃ…!」

「ほほほほほ!あなたにはトナカイのコスプレでもした方がお似合いですわ!学校の近くのお店にトナカイの衣装が売ってましたから、そのお金で買ってきたらいかが?ほほほ!」

 

 慈美子はお金を全て拾い終えると、敗走するようにその場を去って行った。これで邪魔者は居なくなった。城之内はそう確信した。

 城之内は堂々とクラスメイトの前に現れた。気分は晴れ舞台である。

 

「みなさま~!わたくしの超ミニスカサンタ衣装をご覧になって~!」

「おおおおお!!!!」

 

 城之内のその姿にクラス中が虜になった。城之内は髪を掻き揚げ、セクシーポーズを決めている。さらに挑発的なポーズをいくつもとり続けた。

 いろんな悩殺ポーズをとり、城之内が自慢のうなじを見せつけていると、そこに慈美子が現れた。

 

「私もコスプレしてきたのだけれど…」

 

 慈美子はトナカイのコスプレをしていた。城之内に言われた通り、トナカイの衣装を買って来たのだった。その姿を見た城之内はここぞとばかりに慈美子を揶揄い、笑いものにしようとする。

 

「ほほほほほほ!なんてみすぼらしい格好なのかしら!」

 

 城之内は馬鹿にしたように慈美子を指差して嘲笑した。クラスの皆もつられて笑いだした。

 しかし、次の一言で場は一転する。

 

「赤鼻のトナカイならぬ赤髪のトナカイじゃないか!」

 

 その声の主は関都である。そうするとクラスの空気ががらりと変わった。まさに鶴の一声である。クラス中が慈美子に釘付けになった。

 

「本当だ!赤髪のトナカイだ!」

「ピカピカの真っ赤な髪がサンタの役に立ちそうだな!」

「赤髪のトナカイなんて素敵だわ!」

 

 それを聞いた慈美子は「赤鼻のトナカイ」の替え歌の「赤髪のトナカイ」をアドリブで歌いだした。慈美子のプロ顔負けの綺麗な美声で教室は包まれた。

 

「赤髪のトナカイとは考えたな!」

「トナカイの恰好が歌詞にマッチしてて素敵!」

「歌声もそのアイディアも最高だわ!」

 

 その歌声を聞きつけて、他のクラスメイトたちも慈美子を見にやってきた。慈美子はまるでアイドルスターのようである。もう城之内の事なんか誰も眼中に無かった。

 

(いい~!計算外ですわ!まさかトナカイのコスチュームがこんなにウケるだなんて!こんな事ならペアルックで我慢しておくんでしたわ!)

 

 そう思ってももはや後の祭りである。クラスはアンコールの声に包まれた。慈美子は要望に応え、歌を歌い続けた。

 そんな歌声を聴いて居てもちっとも楽しくない城之内は悔しそうに敗走した。

 

「いいぞいいぞいいぞ!赤髪のトナカイ!!」

「きゃあああ!素敵よジミーさん!」

 

 クラス中から熱応の声が沸く。慈美子はさらに、トナカイの衣装と一緒に買っていたソリを取り出した。そして、関都の方に手を振った。

 

「関都くん乗って!」

 

 慈美子は関都にサンタの帽子を被せた。そして、ソリに乗せ、歌いながら校内中を走り回った。

三バカトリオたちもソリを引くのを手伝っている。三バカトリオたちも城之内サンタを引き立てさせるために、城之内にトナカイの角のカチューシャを付けさせられていたのだ。城之内が居なくなり、解放された三バカトリオは慈美子を手伝った。この3人も慈美子の歌声に魅了されたのだ。

関都はソリに乗りながら、ノリノリで大歓声を上げた。

 

「はははは!いいぞ~赤髪のトナカイ!夜道にはぴったりだ!」

 

 校内中が赤髪のトナカイの虜になった。関都サンタも大喜びである。帽子しか被っていないが、まるで本物のサンタクロースの様であった。

トナカイの三バカトリオもまんざらでもなかった。

 

「たまには善人になってみるのも良い事ね」

「そうね。善人も悪くないわね」

「普段は悪役だものね」

 

 こうして慈美子たちはクリスマスを楽しく謳歌するのであった。

 

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