ベル・クラネルの復讐記   作:花野拓海

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ティオネさんの人間性が一番よくわからない。
団長大好きで、切れたら凄い人って印象しかない。
初対面の人との最初の会話が全くわからない。
これからちゃんとティオネさんのことも書くと思うから今回だけはティオネさん適当でいいかな?


ティオネさんを表現するのが一番難しいと思う………

結局アイズとの模擬戦は木剣がぶつかり合う音を聞いたリヴェリアによって中断された。

その際にアイズは入ったばかりの新人をボッコボコにしたという理由で拳骨をくらっていた。

ちなみにベルも朝っぱらからアイズと全力で模擬戦していたという事で「大怪我をしたらどうするんだ!」とリヴェリアに怒られた。

説教が終わった後、ベルは部屋に戻りリヴェリアにもらった高位回復薬(ハイ・ポーション)を飲んで体の傷と疲れを癒し、朝食を食べるために食堂に向かった。

 

「ふぁぁ〜」

 

ベルは欠伸をしながら朝食を食べる。

ベルは入ったばかりの新人だが、少し態度が悪く、【ロキ・ファミリア】幹部のアイズに訓練してもらってるという理由でファミリアの人達からはあんまり好かれていない。

何よりベルから発せられるオーラが他人を拒絶する雰囲気があり誰も近づこうとしなかった。

 

「あ、兎君じゃん!」

 

ティオナ・ヒリュテただ一人を除いて。

 

「………【大切断(アマゾン)】か。なんだ?朝から」

 

ベルのその一言を聞いた人がベルに殺気を向けた。

それはそうだろう。

ファミリアのムードメーカーであるティオナに対してぞんざいな態度をとったのだ。

そりゃ殺気の一つ放つだろう。

その殺気はベルに向けられたものなのでティオナは気付かず、ベルはそれを無視した。

 

「ねえ、一緒にご飯食べようよ!」

 

距離の詰め方が凄いなとベルは思った。

さて、ここはどう返事しようかとベルが考えていると

 

「何やってるのよティオナ」

 

また一人増えた。

 

「あ、ティオネ!ねぇねぇ兎君も一緒でいいかな?」

 

まだいいと返事していないのにもうティオナとベルが朝食を共にすることが決定している。

これが第一級冒険者!

ベル的には別に一人でもいいし誰と一緒に食べてもいいので余り反応しなかったのだが。

 

「私はいいわよ?でも一応アイズとレフィーヤにも聞いときなさいよ?」

 

「わかってるって!」

 

ティオナはそう言いながら歩いて行った。

今ここにはティオネとベルだけの空間になってる。

 

(気まずいな)

 

流石に殺気は無視できてもこの空気を無視することは出来なかった。

 

「ねえ」

 

ふと、目の前の席に座ったティオネに話しかけられた。

 

「………なんだ?」

 

「私と団長ってどう思う?」

 

ベルは何を聞かれたのかよくわからなかった。

どうって二人ともこのファミリアの首脳人としか言えないベル。

 

「私と団長ってお似合いだと思う?」

 

色恋沙汰か、っとベルは思った。

正直ベルはこの一年間黒龍を殺すために修行していたので恋とか愛とかはよくわからない。

あの竜がいなかったら多少は興味を持ったかもしれないが、今はそうではない。

IFの世界など存在しないのだから。

 

「お似合いのカップルになるんじゃないか?」

 

だからとりあえずそう答えておく。

ティオネはLv.5でフィンはLv.6。

どちらも第一級冒険者で、こと二人が付き合ったとしてもなんの問題もない。

そう思ったベルはティオネにそう答えた。

 

「そう。ありがとう」

 

そう言ったティオネは機嫌が良さそうだった。

 

「ティオネー。アイズとレフィーヤ連れてきたよー」

 

ティオナが帰ってきた。

一緒に来たのはアイズとレフィーヤ。

アイズとベルは軽い挨拶を交わす。

ベルがふとレフィーヤを見てみると、多少不満そうな表情だが、何か言う気は無いみたいだ。

ベルは昨日レフィーヤらしき人物がアイズとの会話中に魔法の詠唱をしていた気がするので、何か心境の変化でもあったのか?と思った。

 

「連れてきたって。そこの二人は俺と朝食を共にすることを許可したのか?」

 

ベルは一応確認を取る。

ベルは勿論ここで断らればすぐに別の場所に移るつもりだった。

 

「あ、そう言えばちゃんと聞いてなかったや。アイズとレフィーヤ、兎くんとご飯食べよ!」

 

それはもう質問じゃなくて決定事項の連絡のようなものだった。

 

「私は、いいよ」

 

アイズがそう返事をする。

レフィーヤは何か言いたそうな表情をしていたが、異論は無いようだ。

結局ベルはアイズ達と朝食を共にすることになった。

席はアイズとレフィーヤが並んで座って、アイズの横にベルが座ってる。

そしてアイズの正面にはティオナが。レフィーヤの正面にはティオネが座ってる。

 

「ねぇねぇ兎くん」

 

好奇心旺盛ガール、ティオナ・ヒリュテがベルに話しかけた。

 

「なんだ?」

 

「兎くんはさ、どうして強くなりたいの?」

 

ティオナが思った純粋な疑問。

ティオナにはベルが強くなりたがってるように見えた。

そしてその意思は自分たちよりも、アイズよりも強いって思ってしまった。

だからティオナは確かめたくなった。

なぜベルが強さを求めるのか。

気付いたらアイズもレフィーヤもティオネも耳を傾けていた。

だからベルは答える。

 

「俺が強くなるのは殺したいやつがいるからだ」

 

「そうなんだー。ちなみに殺したいやつって?」

 

「三大クエストの一柱。黒竜だ」

 

ベルは正直答えた。

 

「黒竜………」

 

レフィーヤが呟く。

だってそれは【ゼウス・ファミリア】と【ヘラ・ファミリア】が倒せなかった存在。

Lv.9とLv.8がいるファミリアが殺せなかった存在。

それを殺そうとしているのだから。

 

「なんで、殺したいの?」

 

アイズの質問。

アイズも黒竜を殺したいのは一緒だっから。

だから気になった。

何故この子は黒竜を殺したいのか。

 

「それは、家族を奪われたからだ」

 

それはアイズにも覚えがあった。

アイズも家族を失った。

黒竜のせいで。

 

「村の人が、全員殺された」

「村も崩壊した」

「だから必ず殺す」

 

アイズは家族を失った。

ベルは大切にしていた全てを失った。

 

「随分正直に話すのね」

 

ティオネはそう言う。

実際ティオネは疑問に思った。

無口な少年が自分が強くなりたい理由を正直に話したのだから。

 

「喋った方がいいと思ったから。それに、隠すような事でもないから」

 

そう言って、ベルはご馳走様っと言って食器を片付けたあと食堂を出ていった。

食堂を出た後、ベルはリヴェリアの部屋に向かう。

理由は単純で、リヴェリアに呼び出されたから。

ベルはリヴェリアの部屋の前に着くと、ドアにノックをして「失礼します」とだけ言って中に入った。

中に入ると何やら書類を見ながら何かをしているリヴェリアの姿が。

 

「………後にした方が良かったか?」

 

「ベルか。いや、あと五分以内に終わるから少し待っていてくれ」

 

そしてリヴェリアの書類仕事が終わると、ベルはリヴェリアにダンジョンのノウハウや、ダンジョン上層の地形、モンスターの種類や弱点を教えこまれた。

リヴェリアの教義は誰も初回クリア出来た人物はいないのだが、

 

「一回のテストで全問正解とはな………」

 

リヴェリアはそれなりに難しい問題を制作し、ベルに渡したのだが、それを全問正解で返してきたのだ。

ベルはこれで上層全ての知識が頭の中に入ったと言える。

 

「?何か問題でもあったのか?」

 

「いや。それなりに難しい問題を出したつもりなんだが、こうもあっさりの全問正解されると少し自信を無くすなと思ってな」

 

「あー。なんか俺って一度見たらすぐ覚えられるんだよな」

 

リヴェリアは中層の事でも教えようかと思ったが、ベルはまだ駆け出し冒険者。

神の恩恵(ファルナ)』を授かってからまだ一日の少年だ。

そんな少年に中層の知識を与えるのははやすぎると思った。

 

「個人的にはもうダンジョン進出の許可を出してもいいんだがな」

 

リヴェリアはそう呟くも、

 

「いや、まだダンジョンにはいかない」

 

その選択をベル自身が拒否した。

 

「なぜだ?」

 

アイズもそうだが、強くなりたいのならダンジョンだ。

ダンジョンでモンスターを倒して質のいい『経験値(エクセリア)』を稼ぐ。

それが強くなるのに一番いいのだが。

 

「次のダンジョン遠征って来週だろ?」

 

「そうだが?」

 

「じゃあ、遠征前日までアイズと特訓する」

 

ベルはダンジョンではなく、第一級冒険者と特訓して『経験値』を稼ぐと言ったのだ。

まあアイズが許可したのならそれでもいいのだが。

なんなら死ぬ確率がない分リヴェリア的にはそっちの方がありがたかった。

 

「じゃあ部屋に戻るわ」

 

そう言ってベルは部屋を出ていく。

手間のかかる子が増えた。

リヴェリアはそう思ってたが、あの子はアイズよりは手間がかからないと思った。

アイズは何かあればすぐにダンジョンに向かったが、ベルは強くなるための効率を考え、ダンジョンの知識を身につけ、確実に強くなろうとしている。

はやく強くなるためにいつかは『冒険』をしに行くだろうが、今はまだ安心だとそう思った。

 

□■

 

ダンジョン遠征前日。

ベルは昼まで続いたアイズとの訓練終了後、街を歩いていた。

ファミリアの人達が遠征に出かけてからベルはついにダンジョン探索に出かけることになった。

この一週間、ティオナと友好を深めたり、ティオネと世間話をしたり、アイズに特訓に付き合ってもらい、色々な話をして、レフィーヤとも少し話した。

ベルと話すのはこの三人を除けばフィンとリヴェリア、ロキだけだ。

未だにベルの事をよく思ってない人物もいるが、ベルとアイズの過酷な特訓を見て、同情の視線が増えてきた。

正直、ベル的には全く嬉しくなかった。

ちなみに一度もステイタス更新はしていない。

さて、現在ベルは何をしてるかと言うと、買い物に出かけていた。

レフィーヤに教えて貰った【ディアンケヒト・ファミリア】の回復薬(ポーション)を購入しに言ってたのだ。

 

「結構金にも余裕があるな」

 

ラキア王国で稼いだ金があるのでまだまだ金欠になる事は無さそうだ。

ベルがホームに向かって歩いていると、路地裏から物音がした。

気になって路地裏に入ってみると、誰かがベルに向かって走ってきた。

 

「はぁはぁはぁ。あっ」

 

走ってきた人物はベルにぶつかり、尻もちをつく。

 

「はぁ。大丈夫か?」

 

そう言ってそのぶつかってきた人物に手を差し伸べる。

 

「あ、ありがとうございます」

 

そう言ってそのぶつかってきた人物を立たせた。

その際にその人物が被っていたフードが取れて中が見える。

その人物、少女はしばし、こちらを見て………。

 

「見つけたぞ。このクソ小人族(パルゥム)が!」

 

後ろから走ってきた男が剣を抜いてその少女に襲いかかった。

そしてその剣は少女に当たることはなく、ベルが自衛用に持ってきていた剣に受け止められた。

 

「な!?」

 

ベルは驚く(ザコ)を無視しながら少女に話しかける。

 

「おい」

 

「は、はい」

 

「ここはいいからはやく逃げろ」

 

「で、でも」

 

少女は渋る。

普通の人ならこう言ったら逃げると思ったのだが。

 

「俺を無視してんじゃねえ!」

 

無視され続けた(ゴミ)が再度剣を振るう。

ベルはもう少女を無視して目の前の(クズ)が振るった剣を受け流し、がら空きになった(アホ)の胴体と、顔面を殴って最後に首を手刀で攻撃して意識を狩りとる。

 

「怪我してないか?」

 

「え、あ………はい」

 

「そうか」

 

それだけの会話を終え、ベルは少女とわかれる。

次の日、アイズ達を見送った後、ベルもダンジョンに向かう準備を進める。

ちなみにギルドの冒険者登録は既に済ませてある。

いざ、ダンジョンに向かおうとすると、ロキに呼び止められた。

 

「なあベル」

 

「なんだ?ロキ」

 

「ホンマにステイタス更新せんでいいん?」

 

そう。ベルはこの一週間の特訓の分の『経験値』をステイタスに還元していなかった。

理由としてはダンジョンに潜ってより高位の『経験値』を得るために、全てのステイタス数値が0の方が都合がいいと思ったから。

 

「しなくていい」

 

「そっか」

 

ベルの思惑を知って知らずか、ロキはそれ以上何も言ってこなかった。

 

「なあベル」

 

「なんだ?」

 

「生きて、帰ってきいや」

 

「………当たり前だ」

 

そう言ってベルはダンジョンに向かった。

バベルの塔の前。

遂に冒険者としてダンジョン探索に赴く第一歩。

それをベルも踏み出そうとして

 

「お兄さんお兄さん。白い髪のお兄さん」

 

後ろから誰かに話しかけられた。

 

「………誰だ?」

 

振り返ると、昨日(マヌケ)から助けた少女がいて………。

 

「サポーターを探していませんか?」




はい。
今回長かったですねー。
どうしてもここまで書きたかったんです。
というわけでこれにて序章は終了です!

次章【始まりの物語】
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