はじめてなので読みにくい、誤字脱字があるかもしれませんが、とりあえず読んで頂ければ嬉しいです。
第一話 VAーヴァリアス・アビリティ
「当麻、日頃の借りをここで返してやるぜ」
一人の生徒が手のひらから相手に向けビームを放つ。
「遅いなっ!」
ビームの軌道を見抜いた当麻と呼ばれる生徒は華麗にかわす。ビームは当麻少年の背の壁に突き刺さった。穴が開いた壁から煙が上がっていた。超高熱のビームだったらしい。
「ふぅ。当たるとやばかったな」
風穴が空いた壁を見ると振り返って余裕気な表情を見せる。
「嘘つけっ!」
ビームを放った少年が腹立たしそうな表情をする。
「いやぁ、危なかったさ。軌道を読めなきゃ身体に穴が空いてた。まぁ、その結果、体育館の壁に穴が空いたわけだけど。だからさぁ、冥人。次は俺がお前をピンチにしてやるよ」
当麻が冥人に右手の手のひらを向ける。その手のひらを中心に空気中がキラキラ輝き始めた。
「吹き荒れよ。
当麻少年の手のひらから氷の柱が放たれる。長さはだいたい野球バットと同じくらいで案外大きい。それが何発も
「おいおい、そりゃないぜ」
冥人少年が驚きに満ちた表情を見せる。そして、ビームで氷柱を破壊していくが数が多すぎるため全てを相殺するのは不可能だと判断した。
「腹いせにやりすぎだぜ。でも、これで負ける俺じゃねぇ。知ってるかビームは実体を持たない物質だ。ということはどんな形にも作り替えることが出来るってわけだ」
「
ビームが薄く広がり、向こう側が見えるほどまでに薄くなった。その薄くなった光幕を羽織るように纏わせる。
氷柱はビームを纏った冥人に向かっていく。その中の一発が光幕に当たる。焼き肉が焼けるような音がしたかと思うとバット大の氷柱が一瞬で水蒸気に戻った。
「へへへ、さすがにビームの幕には氷柱も届かなかったな」
「そうでなければつまらないだろ」
お互いが微笑みながらにらみを利かしあう。それはまるでお互いが相手を認めている証拠だった。
そうしてまた二人は戦いを始めた。
その様子を体育館の入り口で一人の少年が見ていた。少年はいっぱいいっぱい入った重そうなリュックを背負っている。
●
ここは戦場か? 第一にそう思った。なぜなら、体育館の中でビームが放たれたり、氷柱が飛び交ったりしていたからだ。
俺は学園の体育館らしき建物の入り口に立っていた。先程の戦闘は今もなお俺のことはお構いなしに続けられている。というか、俺がいることなど気づいていない様子だった。
次々と爆音がなり、体育館のあらゆる箇所が破壊されていく。この体育館がつぶれるんじゃないかと思わせるほど激しい戦闘だ。
この体育館を半壊状態にした能力を
そんなVAを学ぶための教育機関が緋月島、別名VA島と呼ばれる人工島にある。名を緋月学園といった。唯一VAを学ぶことができる教育機関であり、入学するためにはある条件があった。
また、島内の島民は今は人工島だが、自然島だった頃の住人で、人工島に変わる際に自然の景観が損なわれるなどの反対運動を起こしていたが、日本政府が出した条件により今はなんの不自由もなく生活している。
俺が体育館に立っている理由。それは入学式に参加するためだ。今年からこの学園に入学することとなっていた。
しかし、肝心な新入生の姿は俺以外どこにも見当たらない。みんなどこかに隠れているのだろうか。それとも入学式はここではなく他の場所なのだろうか。
緋月学園は島内の約七割ほどを占めている。研究所、式用の講堂、体育館、寮などが一挙にまとめられている。そのため、モノレールが通っているが広い敷地の中から式場を探しだすのは一苦労だろう。
「あれ? 君、新入生?」
俺に声をかけてきたのは氷を手のひらから出していた方の生徒だった。額から汗がだくだくだった。大層な戦闘をしていた証拠だろう。しかし、大量の汗をかいたまま触られるのは正直嫌だ。
「は、はい。入学式の会場ってここであってます? ここ広すぎて分かんなくて。ハハハ」
「あぁ、入学式かぁ。入学式は明日だぞ」
やっぱりこういう時には先輩に聞くの……が。明日ぁ!? そんなバカな入学のしおりにはちゃんと四月七日と。腕時計に組み込まれている日付を確認する。今日は四月六日。何度見ても四月六日だった。OH、NO! 今日は六日じゃないか。なんてバカなことをしたんだ俺は。
「あのさ、ちょっといいかな」
自暴自棄になっている俺を見兼ねたのか、どうか定かではないが心配してくれているらしい。
「はい、このバカになんですか?」
「バカって……あのさ、俺とVAで模擬戦しないか」
「それ、俺に言ってます?」
「君の他に誰がいるんだい? いるのは俺の友達の冥人だけだが」
「………」
一応VAは知っているし、技もそこそこ使えるけど。だけど結果は分かりきってないか。
「返事がないってことはオッケーってことだな」
先輩に背中を押されて体育館中央へと連れていかれる。その間、俺は無抵抗だった。理由は簡単。抵抗しても無駄だとわかっていたからだ。
「それじゃあ、始めようか。
先輩がVAを解放した。それと同時に空気中の水分が凍り始め槍の形を成した。そして、能力で作った槍を握る。そしてその槍の切っ先を俺に向ける。かかってこいとでもアピールしているようだ。
先輩の解放に倣い俺もVAを解放する。俺はまだ能力を完璧に扱いきれていない。だから火力には気を付けないとな。
「
俺の周りを真っ黒な炎が囲う。劫火とは世界を焼き尽くすほどの火力を持つそうで扱いには注意が必要だ。
「ほう、最上級ランクの能力か。ますます戦いが楽しくなってきた」
なんか分からないけど。最上級ランクという俺の能力。相当いい能力らしい。でなければあんなに興味満々な瞳はしないだろう。
「さて、お互いに能力を解放したから始めようかっ!」
その一言と同時に氷の槍を
「いっ!? いきなりっすか」
氷の槍がものすごい速さで俺めがけて飛んでくる。刺さったら痛そう。おまけに冷えそうだ。てか逃げなきゃ。氷槍は尚勢いを増してターゲットを変えることなく、逃げ惑う俺の回りのあらゆる障害物を突き抜け破壊しつくしている。槍は追尾機能がついているらしい。そうなったら逃げるのは不可能に等しい。
「ヤバい、ここまでか」
体育館の中を逃げ惑ったが遂に角に追いやられた。氷槍は俺の気持ちなど理解するはずもなく真っ直ぐ突きやすい角度で迫ってくる。
(やばい、死…)
氷槍が俺の心臓に突き刺さる。しかし、心臓からは出血していない。その代わりに突き刺さったと思われていた氷槍が溶け始める。
「そんな、柔な氷で俺が突けると思ったんですか」
俺の前にゆらゆらと黒い炎が出現する。これは俺の能力の一つ、絶対防御という自動防壁だ。危機が迫った時に発動する。これによって氷槍は高熱に耐えられなくなり、水蒸気になると空気中に戻ったということだ。便利な盾だが一つだけ欠点がある。この炎の盾は一方向しか発動できない。ということは周りを囲まれての攻撃は一方向しか防げない。つまり、大勢が相手の場合には自力で何とかしなくてはならないのだ。いい能力なのか、意味のない能力なのかは未だに分からない。が、いざというときには役に立ってくれると信じている。
「へぇ~、炎の盾かぁ。こりゃあ攻略するのに時間がかかりそうだ」
先輩が炎の盾の威力に関心を見せた。そして、舌舐めずりをすると何かを企んでいる表情を見せる。俺はその表情を見てゾクッと背筋が凍るような雰囲気を感じた。