VAーヴァリアス・アビリティ   作:VA

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第十二話 二次予選来る!?

「一次予選は残った。次は二次予選。私は何がなんでも本戦への出場者を勝ち取って見せる。あのクソ忌々(いまいま)しい犬野郎を見返してやるために」

葵たちが住む寮から少し離れた場所にポツンと(たたず)む別荘があった。その別荘には猿橋と書かれた表札が掲げられていた。その別荘の中の自室にベランダがあった。そのベランダにはめられているガラスを通して夜景を見ながら七獣(セブンビースト)猿橋家代表、猿橋紗矢香(さるはしさやか)が握りこぶしを作っていた。その拳の力の入れ具合から相当な怒りがこもっているようだった。

「コラァ、起きろぉ~」

俺の耳元で雑音が聞こえる。あぁ、悪い夢でも見てるのか。昨日の疲れだな。

「コラァ~起きろぉ~葵~」

何だ? うるさいな。ほんと現実味のある夢だ。正夢になりそうなほどハッキリした夢だ。これから起こることを予期した…はっ、未来予知!? とうとう俺にも未来予知が身に付いたのぎゃ。

「ん? 朝か」

何かの衝撃で目を覚ました俺は周りを確認する。カーテンから光が漏れていることから朝を想定した。

「な~にが朝かじゃあ」

寝起き早々、(ほお)にビンタを食らう。おかげでスッキリ起きられた。

「起きたかぁ、葵!!」

ぼやけた視界にピントが合い八橋紅葉(やつはしもみじ)が仁王立ちしているのが見えた。また寮監のえ~と…鳳先生が勝手に。ちゃんと仕事しろよ。何のための寮監なのか。

「何してんの?」

「はぁ!? 誰が暇人じゃあ。ごらぁあ」

もう一発ビンタを喰らう。誰も暇人とは一言も言ってない。ただ何をしているのか聞いただけなのだが。何でビンタをされたんだろう。しかも紅葉さんキャラ変わってません??

「起きたか葵!」

「あぁ、起きた」

そりゃ、何発もビンタを受けたら頭も起きるわ。

脳がフル活動になるには起きてから四時間ほどかかるらしいがこうもビンタを受けたら三分で起きるわ。三分とかウルトラマンかっ俺は。

「それで俺をビンタまでして起こした理由は何? 俺、二次予選は明日なんだけど」

二次予選は一次予選のようにグループに分けられ行われる。その内容は(えい)(しゃ)(そう)のトライアスロン、監督官が出現させた獣退治、もう一つは監督官との一体一の戦闘だ。この三つの内一つが選ばれる。トライアスロンの泳は水泳。車は自転車。走はランをそれぞれ意味している。そして監督官たちの攻撃をかわしながらゴールを目指す。

ちなみに難易度で言えば

トライアスロンく獣退治く監督官戦

となる。

 

「葵が明日なのは知ってる。私も明日だから。今日は霙が二次予選に挑戦なの!」

何でそれを早く言わないんだこいつは。活性化した脳を更に活性化させ、数秒で着替えを済ませ、食堂で食パンを一枚もらい一口噛み付いた状態で玄関へ向かう。

「遅いぞ、何分待ったと思っている」

玄関の外で待っていたのは海賊風の男、瀬戸市丸だった。車に乗り運転席の窓を開けそこから右腕を出していた。ハードボイルドな感じでさすがにタバコは吸っていなかった。結構しっかりした人だった。

「さっ、早く行くよ。乗って乗って」

紅葉がなんの気なしに市丸先輩の車に乗車する。未だ状況が整理できていないが紅葉があまりにも諭すため取り敢えず車に乗った。何で紅葉と市丸先輩が一緒にいるんだ?

「なぁ、紅葉。お前、市丸先輩とどういう繋がりがあるんだよ」

 

会場に向かっているあいだに俺の疑問を一つ解消しておこうと思う。

 

「え~と、今日ね、霙が二次予選だったでしょ。多分、忘れてると思って葵を迎えに行こうとしたら、市丸先輩に会って、話ししたら連れて行ってくれるって言ったから」

 

「そういうことだ。緋月戦は学期に一度、名のある能力者が一斉に集まる大会だからな」

 

運転席で運転している市丸先輩がミラーで様子を見ながら言ってきた。

 

「緋月戦で名のある能力者って誰なんです?」

 

後部座席から身を乗り出して聞いてみた。市丸先輩ほどの能力者が気にかける者とは一体誰なのか興味が湧いたからだった。

 

「この大会には出場出来ないが岬が所属している黄道の十三人、空間の貴公子、無傷(むしょう)の豪傑、星を操りし天帝。そして……地獄の」

 

「見てみて! 何か見えたっ!」

 

窓から見える何か興奮している様子の紅葉が話を遮るように言ってきた。

 

何かを言いかけた市丸先輩はこれを機のように話を終えた。俺は、それにの後の地獄のという市丸先輩の言葉が気がかりだった。

 

紅葉の言う通りに窓の外を見るとコロッセオみたいな建物がそびえ立っていた。

 

「さぁ、着いたぞ。二次予選の会場、トライコロシアムだ」

車から降りた俺たち三人は早速会場の中へと入った。

 

会場は中世の決闘場コロッセオを思わせるかのような作りだ。会場は他方から来た観客で埋まっており、その付近では商店街の店主たちが競い合うように商品を売り合っている。

 

市丸先輩に連れられ選手控え室とかかれた部屋に入った。今日出場する予定の選手がいた。そこには深石霙の姿もあった。

 

「あっ、葵。……と紅葉」

 

気づいた霙が俺たちに気づいて手を振って来た。なんか霙が俺を見て頬を赤く染めていた。熱とかじゃなきゃいいが。

 

「えっ、私はついでなの?」

 

ガーンとしょぼくれている状態の紅葉を無視して霙と会話をする。こういうのはよく見慣れていたから別にどうってことはなかった。

 

「よっ、調子はどうだ」

 

「うん、バッチリ!」

 

コンディションが良いことを両手でのガッツポーズで訴える。そこまで良いのなら心配する必要はなさそうだ。

 

「絶対、葵のために三次予選、勝ち残ってみせるから」

 

霙の意気込みがこちらまで伝わってきた。ぜひ勝ち残って欲しいものだ。それにしても俺のためとはどう言うことだろうか。

 

「おう。応援してるからな。頑張れよ」

 

「頑張ってね、霙」

 

霙にエールを送った俺たちは、一旦、市丸先輩と別れ、俺たち二人は指定された座席に着く。

 

座席にはカップホルダー、机、選手たちの様子をリアルタイムで見るためのモニターが備え付けられていた。この備品はほとんどの席に取り付けられている。

 

「みんな~。お待たせお待たせ」

 

ステージ中央に穴が空き、そこから小型の円盤が飛び立った。もちろんそこに乗っているのは緋月戦司会進行、桃柿りんごだ。

相変わらずすごい人気だ。このくらいの人気ぶりが俺にもあればと羨ましくなる。

 

「それでは二次予選を開催したいと思います。第一ブロックの種目は……かわせ!トライアスロン。ということで説明をするね」

 

コロシアムに設置されている巨大な電光掲示板に光が灯る。そして、かわせトライアスロンの説明が映された。

 

「かわせトライアスロン。最初は(えい)ー水泳だよ。緋月海岸から第二地点まで攻撃をかわしながら泳いでもらいます。次に第二地点から(しゃ)ー自転車です。自転車に乗り緋月海岸から第三地点まで転がしていただきます。そして、第三地点にたどり着いたら最後は(そう)ーラン。ゴールまで走って行ってもらいます。ルールは無し、思う存分能力を使っちゃってください。なお、所々に監督官がいるので攻撃に当たらないように気をつけてね」

 

結局は能力でゴールしろ。こう言うことだな。しっかし、ルールは無しとなると相当難しいぞ。

 

「それでは第一ブロック行ってみよぉ」

 

モニターには緋月海岸に集まった出場者が映し出されている。ちなみにここから海岸までは目と鼻の先だ。

 

「さぁ、監督官たちの攻撃をかわし続け一位でゴールをするのは果たして誰なのか。ヨーイ」

 

桃柿りんごの発砲により二次予選がスタートした。各員一斉に海へ飛び込み様々な泳ぎで島一周にチャレンジする。

 

これから先誰かが立ちはだかろうが霙は切り抜けるだろう。ここは霙の力にかけよう。

 

俺と紅葉はモニターにかじりつくように視線を集中させ、霙の動向を見ていた。

 

NEXT 第十三話 二度あったことが三度あってたまるかっ!!

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