VAーヴァリアス・アビリティ   作:VA

2 / 15
第二話です。
読みにくい、誤字脱字があるかもしれませんが、極力減らすようにがんばります。
読んでくださる皆様には感謝します。


第二話 模擬戦の決着

「当麻くん、久しぶりに楽しめそうな相手に出会えたのかな」

 

体育館の二階から二人の模擬戦を一人の女子生徒が頬杖をついて見物していた。女子生徒は誰がどう見ても美人、可愛いというほどのレベルでファッション誌の読者モデルのような整った容姿を持っている。

 

「ここで見物ですか? 漣岬先輩」

 

男子生徒が二階へと続く階段を上ってくる。男子生徒の方は制服をピシッと着こなし、いかにもザ・優等生と言わんばかりの容姿だ。

 

「そのしゃべり方からして東雲兄弟の聖くんの方かな?」

 

「そうです。僕です。よくわかりましたね」

 

当たったことを喜び笑顔で聖の方を向く。ちゃんと顔を確認すると再び顔を模擬戦に向ける。聖は歩いて漣の方まで行くと隣に立った。

 

「どうしてここにいるんです?」

 

「うん? 冥人くんが面白いものが見れるっていうから会議抜け出して来ちゃった」

 

「会議を抜け出したんですか!? 怒るんじゃないですか。ルールとかに厳しいあの人が」

 

「まぁ、なんとかなるでしょ。フフフ」

 

「そうなんですか」

 

聖は呆れた顔をした。

 

「君はここに何しに来たのかな」

 

「僕は最上級ランクの能力者と当麻くんが模擬戦してるっていうから見に来ました」

 

「フフ、結局は私と一緒の理由って訳ね。でも、最上級ランクの能力を持っていても使い手が使い手だと勿体ないよねぇ。それに相手は黄道の水瓶だし」

 

漣岬は防戦一方の少年を見て皮肉っぽく言った。いや、皮肉を込めて言ったのかもしれない。

 

「まっ、まだ一年生ですから」

 

聖が少年をフォローした。

 

「まぁね。これからあの子がどんな感じに強くなるのか楽しみだな」

 

少年を見ながら漣岬は笑った。その顔は何かを期待しているかのような顔だった。

 

 

「勝負はここからだよ、新入生くん」

 

息を切らせている俺を嘲笑うかのように余裕のある顔をする。そして、しゃがみこみ右手を体育館の床に当てる。

 

氷結監獄(プリズンフリージング)

 

「うわぁ」

 

俺の足元から巨大な氷柱(つらら)が数本せり出てきた。そして俺を閉じ込めるように氷柱(つらら)同士が合体し一つの巨大な檻となった。現在俺はその檻の中にいる。

 

「ふむ、この中にいる君は罪を犯した囚人みたいだね。いや、待てよ。動物園の……猿か」

 

なぜ少し間を開けたんだよ。それに何で猿。他にも何か例えがあっただろ。

 

「言いたい放題言ってくれますね」

 

囚人とか猿とか宇宙人とか言われて腹が立たない訳がない。今、俺は猛烈に腹が立っている。お返しをしなければ腹の虫がおさまらない。やられたらやり返す、やられてなくてもやり返す三百倍返しだ。

 

檻を形成している一本の柱に手のひらをくっつけた。そして、劫火を解放する。高熱に当てられた氷柱はわずか数秒で溶け始める。また数秒で水蒸気となり目に見えなくなった。支えが一本無くなった氷結監獄は巨大な音を立てて崩れ落ちた。

 

「大変だぁ。囚人が逃げ出したぞ。何てね」

 

檻から抜け出した俺は先輩にドヤ顔をして見せた。さっきのお返しだ。ハッハー。

 

「中々に能力を使いこなしているじゃないか」

 

先輩が笑いながら拍手で賞賛する。そこまでやられたらちょっと照れる。

 

「だが、それもここまでだよ」

 

その刹那、先輩の顔から笑みが消える。場の空気が一変した。

 

「踊り狂え! 氷両掌(ヘイル・ボス・パーム)氷槍雨(アイシクルレイン)

 

両手から冷気を発し再び空気中の水分を凍らせる。空中で数え切れない程の槍が出来ていた。これが一斉に降ってきたら絶対防御は発動しても意味がない。

 

「さぁ、どうする新入生。これで黒炎の盾は使えない」

 

戦いを始めてわずか数分、もう俺の炎の盾の弱点を見抜いてしまった。なんという観察眼を持っているんだこの人は。

 

「突撃」

 

低く重たい声で発声する。先輩の号令に合わせて俺を囲っている氷槍が一斉に降ってきた。ただ、傘をさせば防げるとかいう問題じゃない。避けるかどうにかしなければ串刺しという最悪な結末をたどるだろう。

 

「おらぁ、熔けろぉ」

 

手のひらから炎を噴出する。炎に巻き込まれた氷槍は水に帰った。しかし、数は一向に減る気配はない。休むことなく降り続いている。もはや単発の炎では防ぐことが出来ない量の槍が俺を貫くのを今か今かと待っている。

 

(どうする、どうする。ビームは形を変えられる)

 

ふと、先輩の相手をしていた人の「ビームは実体を持たない物質だ。どんな形にでも作り替えることが出来る」という言葉を思い出した。

 

「炎も形を持たない。故に形を変えられる。炎幕(フレイムカーテン)

 

手のひらから発した炎を粘土をこねるように扱い。薄く広げる。これで大量の氷槍雨を防ぐことが出来るだろう。

 

「おい」

 

寒気が背後でしたかと思うといつの間にか背後に先輩が立っていた。そして、首もとに何かヒヤリとするものが突きつけられていた。首もとを見ると氷で出来たナイフが突きつけられていた。そこで全てが先輩の作戦、俺は先輩の手のひらで踊らされていたことに気がついた。

 

「はぁ、ま、参りました」

 

降参という意味の両手を上げた。無数の氷槍が囮だったとは。

 

「まだまだだねぇ。でも楽しめたよ」

 

氷のナイフを水蒸気に戻すと俺を解放した。今回の模擬戦の敗因は俺の注意不足、油断。それと相性。これに限るだろう。

 

相性というものはそれぞれの属性に対し、影響で強まるか、悪い影響で相殺しあうかといったものだ。誰もが氷と炎となら炎が勝利すると思うはずだ。

 

しかし先輩のように相性を補うための戦い方があるということを教えられた。この敗けは俺にとっていい経験だったのかもしれない。

こう色々考察出来たが、結果は敗北。ものすごく悔しかった。次は負けない絶対に。

 

「俺は尾乃影当麻。よかったら君の名前を教えてくれないか」

 

「俺は紫乃原葵。次こそは勝って見せるっ!」

 

「紫乃…原…葵くんね。次は勝っておくれよ。俺は勝ち逃げは嫌いなんだ」

 

嫌みを言われたのは分かった。次は絶対に勝ってやるぜ。劫火(ワールドデストラクト)を完全に扱えるようになってあいつを見返してやる。この俺がVAと出会ったのは一年前だった。

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。