VAーヴァリアス・アビリティ   作:VA

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ここから学校生活が始まりましたが、更に登場人物が現れたりする予定です。

引き続き読んでくださる皆様に感謝しながら続きを書いていきたいと思います。


第四話 入学式

現在の時刻、午前七時半。入学式は午前八時半に開式される予定だ。

出会いと別れの季節、四月。満開の桜を背景に新入生たちが続々と学園に集まって来ていた。あちこちで、記念に写真を撮りあっている。

昨日、一日早く来てしまい模擬戦を行なった半壊状態の体育館はものの見事に修復され、数百のパイプイスが並べてある。俺は今日も船に乗船し片道四時間かけて緋月島(ひつきじま)にやって来た。今朝は三時起きだ。

(入学式までまだ時間はあるな)

入学式まで一時間ほどあった。式場の雰囲気が俺は嫌いだ。かしこまった感じがするし何故か眠くなるからだ。俺は式場の外で時間を潰すことにした。

ここ緋月学園(ひつきがくえん)は島にある唯一の学校で東京ドーム三十個分ほどの巨大な学校だ。だいたい皇居と同じぐらいらしい。なぜ人工島にあるかというと、もしもだが、事故が起こったときに一般人が被害に遭うことを防ぐことが理由らしい。

ここには、実技専用の体育館や入学式、終業式などの式だけのための式場、生徒寮、VA研究の施設や大浴場など他の学校には無いものが完備されている。さらに卒業すれば普通高校より優先的に就職先が紹介されるという利点がある。

VAを使える者にしたら恵まれた学園生活なのは間違いない。また、施設が多数建造出来るほど馬鹿でかい学園なため移動は徒歩ではなく、専用のモノレールで移動する。

学園までは船が一般的だ。飛行機など特殊なもので訪れる学生は金持ちくらいである。

また馬鹿でかい敷地を持つ学園であるのに生徒は一年生から三年生を合わせて四百人ほどしか在籍していない。なんとまぁバランスの悪い学園だ。その理由としてVAの適正がある人が少ないことが大まかな理由と言える。

(さて、時間まで、何しようか。やりかけのゲームでもするか)

式場のすぐ側にあるベンチに腰掛け(ふところ)からスマートフォンを取り出しインストールしているゲーム、ダンジョン&モンスターズを開く。

「お前、新入生か?」

頭上から声がした。頭を上げると先輩らしき(※先輩です)人が同じような仲間を二、三人引き連れて立っていた。

「何か用ですか?」

「今、時間あるだろ。ちょいと俺が先輩として無料でVAを教えてやるよ。特別レッスンだぞ」

何で俺はこうも面倒臭いのに絡まれるんだろ。

ふん!|腕力向上(アームレスリング)

名も知らぬ、知りたくもない先輩がVAを解放した。すると両腕が肥大化した。それが腕力向上の能力だろう。腕相撲では強そうな能力だが、なんとまぁ役に立ちにくい能力なんだ。

仕方ない、俺も解放しなければいけないのか。はぁ。

「さぁ、お前も能力をだ……」

パキッ。

と何かが弾けるような音がしたかと思うと先輩が喋るのをやめた。というか止めさせられたと言った方がいいかもしれない。先輩とその他が氷漬けにされていた。

「やー、ごめんごめん。こいつら毎年、新入生を痛ぶって遊ぶのが好きでね。困っていたんだよ。だから、こうして俺が粛正しに来たんだけど」

氷漬けになった先輩たちの間を通って来たのは見覚えのある顔だった。

「余計なお世話だったかな」

「いえ、助かりました。当麻先輩」

 

見覚えのある顔は昨日模擬戦を行い初負けを期した当麻先輩だった。昨日はジャージだったのに対して今日は制服を着ている。そして襟元には輝くバッジがついている。星の上に水瓶が刻まれたバッジだ。

そのようなバッジは一年生には配られてはいない。ましてや在学生でも付けている生徒は少ない。何かの印なのだろう。

 

初日から問題を起こさずに済んだ俺はお礼の意を込めて頭を下げた。

「お礼なんて、いらないよ」

手を前にしていらないと言うジェスチャーをしてはいるが、喜びを隠せていない顔は嬉しそうだ。

「おっと、もう式が始まる時間だね。また、後でね」

そう言われスマホに表示されている時刻を確認した。八時十五分。いつの間にか一時間が経っていた。はぁ、俺の大事なゲームの時間がパァだ。

当麻先輩は氷漬けになった先輩たちをそのままに手を振って校舎の中へと入って行った。

「はぁ、大変な一日になりそうだ」

軽いつもりで言ったこの一言が現実になることを俺は知るよしもなかった。

 

初日から変な連中に絡まれたおかげで一時間前に来たにも関わらず、開式十分前に式場に入った。俺が座っていた付近は俺のイスを除いて全て埋まっていた。先に席を取っておいて良かったと思う。

「すいません」

先に席を取っていたのに先に座っていた女子に一言いい座席に座る。隣の女子は何も言わずお辞儀した。

俺が席に座って数分後、眠気が襲ってきた。どうにもこの雰囲気になると小学校にしろ中学校にしろ眠気が襲ってくる。それに朝三時起きだったからだろうか。強力な眠気で意識が遠のいて行く。

あぁ…やばい…意識が…

「あの…」

俺の意識を呼び戻したのは隣の女子生徒だった。アクビをしながら彼女の方を向くと彼女と目が合った。

「私深石霙(ふかいしみぞれ)って言います。こうしてお隣に座ったのも何かの縁。よろしくお願いしますね」

突然、自己紹介が始まり(みぞれ)という女の子は微笑んだ。急な自己紹介で俺は少し戸惑った。

 

「俺は紫乃原葵。こちらこそよろしく」

 

「紫乃原くんかぁ」

 

深石霙の隣の席から声がした。深石さんのお友達だろうか。

 

「私、狭霧要(さぎりかなめ)。よろしくね」

 

「こちらこそ、よろしく」

 

「紫乃原くんはなぜこの学園へ来たのです?」

 

間髪入れずに深石霙が入ってきた。式中なのだが。よくしゃべる女の子だ。

 

「なぜって、母親がここの卒業生で、行けって言われたからだよ。それにお金の事もちょっとね。まぁ、ちょっとVAには興味あったからOKかな」

「そうですか…母親に」

(みぞれ)はうつむいてしまった。何か(かん)に障ることを言ってしまったのだろうか。

「ごめん、気に入らないことを言ってしまったのなら謝るよ」

「い、いえ。そういう事ではないので」

彼女のそういう事ではないという発言からして何か理由があるのは確かだ。しかし、今そこに踏み込むのは止めておいた方が良さそうだ。

学園長の長い祝辞も終わり、入学式は幕を閉じた。これから新入生はクラスを発表される。俺は発表がされる式場の入口前へと移動した。

「え~と俺は」

掲示されているクラス別名簿に目を通す。今期の新入生の数は百五十人。豊作の年と言われている。そして掲示されているクラス数は五クラス。一クラス三十人計算だ。

だが、そのクラスを確認しようと掲示板を除くが人集(ひとだかり)で見えない。百五十人が一斉に見に来るのだから見えないのは当たり前だった。

「一組だよっ」

俺の背後で声がした。振り向くと幼馴染の八橋紅葉が立っていた。小柄な体型を生かし生徒と生徒の間を縫うように通り確認したのだろう。俺の名前まで探しているとはどれだけ俺と同じがいいのか、やれやれだぜ。

「私も一組だよ。へへっ」

紅葉が腕にしがみついて言ってくる。しがみつくのは小学校からのことだが、高校生にまでなってしがみつくのはどうかと思うんだが。

「あっ、紫乃原くんも一組なんですね」

 

「やっほ~」

 

人垣を抜けて深石霙と狭霧要が歩いてきた。狭霧の方はどうにかならないのか。やっほ~って小学生かよ。

「こちらの方は?」

そう言って俺から視線を紅葉(もみじ)に移す(みぞれ)

「あぁ、こいつは俺の幼馴染、八橋紅葉(やつはしもみじ)だよ」

しがみついている紅葉を引き剥がし霙に紹介する。

「はじめましてだね。八橋紅葉だよ」

「私は深石霙です、よろしくお願いしますね。八橋さん」

 

「私は狭霧要。よろしくね。紅葉ちゃん」

「紅葉でいいよ、霙ちゃん。よっろしく~、要」

「はい、ではそう呼ばせてもらいますね。紅葉」

なんというか互いに名前で呼び合うようになったから三人の第一印象は良好だったと思う。

「じゃあ、葵! 霙! 要! 一組に行こうか」

紅葉がその場をしきり俺たち四人は教室へと向かった。

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