【瀬人キサ】剥かせて!龍笠キサラさん   作:生徒会副長

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第1章「抜け殻の所有権」編
1章・上「リザードマンの転入生」


 

 

童実野高校・休み時間。

 

瀬人「龍笠キサラ。お前の抜け殻1枚と、このカード全部を交換してくれ!!」

 

キサラ「変態!!」ズゴーン

 

──※──

 

城之内「海馬のヤロー。高校3年生が始まってからよく学校に来るようになった上に、別クラスの転入生の龍笠キサラさんに、変なアタックしまくってるよな。キサラさんの何が欲しいかまでは聞き取れなかったけどよー。アテムが冥界に帰ったから壊れたのか?」

 

表遊戯「案外、前世の記憶や想いがあるのかもしれないよ。海馬くんは神官セトにそっくりだし、龍笠キサラさんに似た人だって、アテムの記憶の世界に居たじゃないか」

 

杏子「あの海馬くんが、そんなロマンチックな運命に巻き込まれるなんてねー。まあもしかしたら、単に龍笠キサラさんが亜人種のリザードマンで珍しいから、興味があるってだけかもしれないけど……」

 

城之内「杏子ー。亜人種ってなんだ?」

 

杏子「動物の特性を持った人間? らしいんだけど、クラス違うし、亜人種なんて滅多にいないから分かんないよー。爬虫類の特性をキサラさんは持ってるらしけど、クラスでは勉強もスポーツも万能な普通の女の子らしいし……。」

 

杏子「屋上でよく1人で日光浴してるって聞いたことあるけど。それも、ねぇ……?」

 

表遊戯「1人で日光浴ぐらいなら、別におかしいことでもないよね……」

 

──※──

 

後日。童実野高校屋上・昼休み

 

キサラ「はぁぁぁ……。あの海馬瀬人って人は……。何で私の抜け殻なんて欲しいんでしょう……」

 

──ババババババ……

 

キサラ「えっ!? ヘリコプター!?」

 

瀬人「ふぅん! その問いに答えてやろう! ヘァッ!」シュタッ

 

キサラ「貴方はいつもヘリコプターから屋上に飛び降りて登校してるんですか!? いや既に昼休みですけど!」

 

瀬人「流石にそれはない。今日は仕事のスケジュールの都合と、お前が屋上で日光浴をしていそうな春の陽気だから、この方法を採ったまでだ」

 

瀬人「それよりキサラよ。俺がお前の抜け殻を求める理由を聞いたな? 答えてやろう」

 

キサラ「いや、あれ、只の独り言なんですが」

 

瀬人「俺は欲しいものはどんな手を使ってでも手に入れる主義でな。特に『青眼の白龍』にまつわるものは、ブルーアイズを一目見たときから形振り構わぬ。動くブルーアイズを見る為にM&Wとソリッドヴィジョンを融合させ、この世に存在しないブルーアイズ・ジェットについては、海馬コーポレーションの総力を挙げて一から作り上げ……」

 

キサラ「そんなことに総力挙げて大丈夫なんですか。海馬コーポレーションって」

 

瀬人「そして! ブルーアイズと同じ肌と髪の色! ブルーアイズと同じ色の眼を持ち! ブルーアイズと同じように脱皮するお前の抜け殻! 何としても欲しい!」

 

キサラ「ブルーアイズって脱皮するんですか?」

 

瀬人「脱皮なくしてブルーアイズの不死身の生命力と雄大さと鱗の光沢は説明つかぬわ! そういう訳だから、お前の抜け殻を寄越すがいい!」

 

キサラ「前にも言いましたが、お断りします! ただのドラゴンフェチじゃないですか! 変態! 変態!」

 

瀬人「その程度の罵詈雑言で動じる俺ではない。お前が抜け殻を渡したくなるように、謝礼は十分用意してある。まず、このアタッシュケースに入ったカードの数々!」

 

ドン☆

 

瀬人「『ホーリー・ナイト・ドラゴン』『コスモブレイン』『シャッフル・リボーン』『神風のバリア─エアーフォース』をはじめとしたレアカード満載で、時価200万円相当!」

 

キサラ「金額の問題じゃありません! 自分の身体から出たものをお金で売ったりしません!」

 

瀬人「もちろんこの程度ではないわ! お前に神を見せてやる……」

 

シャカッ☆

 

瀬人「携帯型電子カイロだ! お前が日光浴を好むのは、ビタミンD3の生成と、爬虫類の特性によって不安定な体温を上昇させるためだな?」

 

キサラ「うっ……。詳しいですね……」

 

瀬人「朝は体温が上がっていないせいで、半分寝ぼけていることも調査済みだ」

 

キサラ「クラスの皆には、低血圧で誤魔化してるのに……」

 

瀬人「そんなお前にとって、この電子カイロは神とも言える存在だろう。軍事用・デュエルディスク用の高性能バッテリーを搭載し、1回の充電で4日はフル稼働する。付属のベルトとカバーを用いれば、大血管の近くを効率的に温め、素早く体温を上昇させることが可能!」

 

キサラ(正直めちゃくちゃ欲しい……)

 

瀬人「さらに!」

 

ドン☆

 

瀬人「お前が最高の環境で脱皮できるよう、室温・湿度・紫外線を最適にチューニングしたVIPルームを、我が邸宅に用意している! 食事付きでなぁ! お前が表向きに好きだと公言しているチョコレートは、ベルギー産の最高級品を揃え、お前の隠れた好物であるイナゴの佃煮は、本場信州から取り寄せた! 食いたいものを好きなだけ食いながら、俺の邸宅にて脱皮するがいい!!」

 

キサラ「……貴方は引かないんですか? イナゴの佃煮が好物の女の子って……」

 

瀬人「食事の好き嫌いごときを槍玉に挙げる俺ではないぞ。虫の一匹二匹程度で喚く輩の方が煩わしいわ。いっそイナゴ如きではなく、サソリぐらい頬張るしたたかさがあっても良いかもしれん」

 

キーンコーン☆カーンコーン

 

瀬人「ふぅん、もう予鈴か。それで? 抜け殻は俺にくれるのだな?」

 

キサラ「……お断りします」

 

瀬人「これだけ手間を掛けてもダメか……。次の脱皮はいつだ?」

 

キサラ「言ったら、暴漢を雇って強引に盗み取ろうとするかもしれないじゃないですか。教えません」

 

瀬人「バカめ。暴漢などに抜け殻を扱わせたら、抜け殻がボロボロになるではないか。そんな手段には訴えないから、その点は安心しておけ。俺は会社に戻る」

 

キサラ「道理でヘリコプターが空に残ってたんですね……。私に会うためだけに会社を抜けてきたんですか……?」

 

海馬「この高校には、『高校生社長』の肩書きと、高校の卒業証明と、遊戯とお前以外に価値あるものなどない。また来るぞ。脱皮不全に気を付けろよ。この電子カイロはくれてやる」

 

バッ☆

 

キサラ「危なっ! これ高いんでしょう? カッコつけて投げ渡したりしないで下さいよ」

 

瀬人「落とした程度の衝撃で壊れるほど、ヤワな作りにはなっていない」

 

キサラ「まだ抜け殻を渡してないのに、カイロはくれるんですか?」

 

瀬人「前払いだ。どうせお前は、俺に抜け殻を渡すことになるのだからな。また会おう、キサラ」

 

──ババババババ……

 

【7年前、某小学校】

 

モブ小学生女子A『うわー! キサラちゃんの弁当に虫入ってるうううううう!!』

 

モブ小学生女子B『気持ち悪いいいいいい!!』

 

モブ小学生男子A『うっわー! それ人が食べるもんじゃないだろー!』

 

モブ小学生男子B『考えてみれば、銀色の髪と青い眼も、なんかオバケみたいだよなー』

 

モブ小学生男子C『人でなし! 化け物!』

 

──ババババババ……

 

キサラ「いじめられるよりは、ドラゴンフェチの方がマシかもしれませんね……」

 

キサラ「……カイロ、あったかい……」

 

──※──

 

モブ女子高生A「キサラちゃん、海馬社長に言い寄られてるんだって?」

 

キサラ「えっ? う、うん……(抜け殻を渡せって言われてるだけだけど)」

 

モブ女子高生A「アイツだけは止めた方がいいよ……。お金目当てなら最高の相手だけど、プライベートな付き合いをする相手じゃない、よねぇ……?」

 

モブ女子高生B「そーそー。ブルーアイズ? だっけ? あれを手に入れるために、マフィアを動かしたとか、武藤くんのお爺さんを病院送りにしたとか!」

 

モブ女子A「自分が社長になったとき、前の社長が雇ってた人をクビにしまくったらしいし。独裁者っていうか、悪の帝王って感じがするよね!」

 

モブ女子B「ねー。次に海馬社長がキサラちゃんに言い寄ってきたら、私らで追い返さない?」

 

モブ女子A「いいじゃんいいじゃん! あの傲慢な社長に一泡吹かせようよ!」

 

キサラ「あ、あの……。海馬さんは別に……」

 

瀬人「おい、キサラ。例の話だが、考え直してくれたか?」

 

モブ女子A「おっ、きたきた。いざとなったらマフィアも動かす犯罪企業の社長がさー!」

 

瀬人「……なんだ貴様らは」

 

モブ女子B「キサラちゃんに近寄らないでくれる? クラス違うんだし。 金持ちの独裁者だからって、女の子の身体や心まで好き勝手出来ると思ってんの?」

 

瀬人「……おいキサラ。これはどういう風の吹き回しだ?」

 

キサラ「あ、いえ! これは、その……」

 

モブ女子A「ちょい! これ以上キサラちゃんに付きまといたいんなら、私を病院送りにして、マスコミに傷害事件として大騒ぎされてからにしなよ!」

 

モブ女子B「金と暴力と権力で何でも好き勝手するような奴が、キサラちゃんに近づくなっての!」

 

瀬人「ふぅん。これでも俺は、至って紳士的にキサラと交渉していたつもりだったのだがな。キサラやお前たちの目には、そのように映っていたのだな」

 

キサラ「え、ちょ、違……」

 

瀬人「まあこんな壁モンスターの相手などしていても仕方がないな。時を改めるとしよう。失礼する」

 

スタスタスタ……。

 

モブ女子A「やったやった。海馬社長を追い返してやったよ」

 

モブ女子B「これからは私たちがキサラちゃんを守るからね! 安心して!」

 

キサラ「う、うん。ありが、とう……」

 

モブ女子A「でも酷いよねー! 人のこと壁モンスターだって!」

 

モブ女子B「私たちがモンスターなら、あっちは人でなしだっての!」

 

ヒュン☆

 

モブ女子A「うん? うわっ! 窓からバッタ入ってきた!」

 

モブ女子B「気持ち悪っ! ぶっちゃけ海馬社長より怖い!」

 

キサラ「あのー。私が、逃がそうか?」

 

モブ女子A「えっ? キサラちゃんバッタ触れるの? スゴいね!」

 

モブ女子B「お願いー! 私ムシ全般ホント無理でさー!」

 

キサラ「う、うん……」

 

キサラ(二人の前で、このバッタを食べたりしたら、私も『人でなし』とか言われちゃうのかな……)

 

キサラ(海馬さんには悪いことしちゃったな……。抜け殻を渡すのは恥ずかしいけど、カイロのお金払って、お礼も言いたかったのに……)

 

──※──

 

数週間後、放課後の帰り道──。

 

キサラ「結局。あれからずっと二人にブロックされて、海馬さんとお話出来なかった……」

 

???「ケケーッ! お前、龍笠キサラだよなぁ?」

 

キサラ「はい?」

 

鯨田「ボク様のペットが見たいかぁ~? ボク様の優秀なペットをさぁ~!」

 

キサラ「……いや。全然興味ないんですけど」

 

ビリッ!

 

キサラ「うっ……!?」

 

蛭谷「よし! キサラを押さえろ!」

 

百済木「これより、儀式を始めるゥ……!」

 

名蜘蛛「ハハハー! 儲かる儲かるーっ!」

 

──※──

 

童実野町郊外・廃工場

 

キサラ「う、うん……? ここはいったい……? なんで私、縛られて……」

 

蛭谷「フフ……。なかなかいい眺めだぜ、龍笠キサラ。お前にも見せたかったぜ城之内……」

 

百済木「キサラぁ……。お前ほんと可愛いなぁ……。お前を、世界の人気者にしてやるよ……」

 

鯨田「まあ、ボク様のペットほどじゃないけど」

 

名蜘蛛「ハハハー! 儲かる儲かるーっ!」

 

キサラ「な、何なんですか貴方達は!」

 

蛭谷「名蜘蛛から、珍しい亜人種の転入生が童実野高校に来たって聞いてな。しかも海馬社長に言い寄られてるんだとか?」

 

名蜘蛛「映像を撮ってもヨシ。皮をちょろっと剥いて売ってもヨシ。オレって商売の才能があるぜ……」

 

鯨田「喜べーっ! ボク様の小遣いの一部になれるんだぞー、ケケケー!」

 

百済木「蛭谷グループと百済木軍団の、スペシャル・コラボだぜぇ……? ちょいと訳あってオレと蛭谷の舎弟はのびちまってるから、その間の繋ぎとしてのなぁ……!」

 

『『ハーッハッハッハ!!』』

 

キサラ「皮を、ちょろっと、って……」

 

キサラ(もしかして、これ……。海馬さんが……!?)

 

???「そこまでだ!!」

 

一同「!?」

 

瀬人「俺の所有物に手を出すとは、良い度胸だクズ共! 俺が粉砕してくれる!!」

 

キサラ「海馬さん!?」

 

名蜘蛛「ひ……! ひ……! 海馬瀬人!!」

 

蛭谷「落ち着け名蜘蛛。コイツは商売相手だ」

 

キサラ(やっぱり……。商売相手、だったんだ……)

 

鯨田「海馬ー! ボク様たちの動画を拝見したいか~? ケケ。ボク様たちの優秀な動画をさぁ~!」

 

百済木「海馬ぁ……。これからキサラを、世界の人気者にする動画を撮るが……。それより前に動画を売ってやってもいいんだぜぇ~? 金を積んでくれるなら、キサラごと持っていってもいいんだぜぇ~?」

 

瀬人「ふぅん。断る」

 

キサラ「えっ!?」

 

4人『『なにィ!?』』

 

瀬人「貴様らの所業! むしろ貴様らがキャッシュで1億積むのなら許してやってもいいが……。俺が貴様らに出す金など、1ジンバブエドルとて無いわ!」

 

瀬人「キサラをここへ連れ込む為に使ったのは薬物か? それともスタンガンか? 拳か? いずれにせよ、抜け殻に傷が付いたり、脱皮不全を起こしたりしたら、どうしてくれる!!」

 

瀬人「いま現在キサラを縛り上げているロープも論外だ! 脱皮前の肌は、もっと丁寧に扱えボケ共が!!」

 

キサラ「海馬さん……。」

 

キサラ(──さっきから抜け殻の話しかしてない!!)

 

瀬人「あとは何だ。キサラの動画を売るなどとぬかしていたが……。俺は哺乳類のメスの痴態になど、何の興味もないわ!!」

 

キサラ(やっぱり抜け殻目当てだったー!!)

 

蛭谷「こんな上玉を相手に『何の興味もない』なんて言い方は、悲しいなぁ~」

 

キサラ(……いや、まあ? こんな人たちに可愛いとか上玉とか言われるよりは、海馬さんに抜け殻扱いされた方がまだマシですけど……)

 

蛭谷「デュエルで海馬を押さえろ! 意識改革のための処刑デュエルを行う!!」

 

瀬人「ほう……。俺にデュエルを挑むか」

 

名蜘蛛「ほらよ、受け取れ海馬!」

 

ヒュッ☆

 

瀬人「なんだ、このカードは」

 

名蜘蛛「改造魔法カード『スタンガン』! デュエル開始前に、デュエルディスクに読み込ませることで発動! その後敗北すると、ディスクの中のバッテリーが暴走して、20万ボルトの電流が流れる! 記憶が飛ぶなんざ通り越して、昇天しちまうかもしれねぇぜ!」

 

鯨田(でも実際は違う! LPが半分になっただけで20万ボルトの電流が流れる優秀なカードだ! ケケーっ!)

 

百済木「電撃プレイでお前を、世界の人気者にしてやるよ……。だが俺たちが負けたら、俺たちが電撃プレイで、世界の人気者になってやるよ……」

 

蛭谷(まあ俺たちの『スタンガン』カードは違うがな。LPが-1000になるオーバーキルを受けたときに、20万ボルトの電流が流れるだけだ!)

 

鯨田「さらに海馬! お前は優秀なデュエリストな上に、優秀なペットがいるんだから、ハンデ無しだ! 4VS1で闘ろうぜ!」

 

名蜘蛛「優秀 つってもよー! もう奴のデッキにはオベリスクが居ない! 対するオレのデッキは、以前海馬からもらったカードのお陰で最強だぜ! 百パーセント負けはねぇ!!」

 

キサラ「無茶苦茶です! そんな不利な条件でのデュエルなんて……」

 

瀬人「良かろう」

 

キサラ「ええっ!?」

 

瀬人「その代わり、俺のターンからデュエルを開始させてもらうぞ」

 

蛭谷「お前が最初のターンにドローしないんなら、お前の先行からでいいぜ」

 

瀬人「中々の交渉人だな。まあドロー1枚ぐらい良かろう」

 

『『デュエル!!』』

 

海馬瀬人

≪VS≫

名蜘蛛・百済木・蛭谷・鯨田

 

 

 

 




1章・中「初期のカズキングダム」は、デュエルpartとなります。デュエルに全く興味のない方は飛ばしてもらうのも手だと思います。
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