【瀬人キサ】剥かせて!龍笠キサラさん   作:生徒会副長

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・1章はこれで完結です。2章のことはまだ考えていません。
・瀬人≒セト解釈。DSODや原作闘いの儀の1シーンと微妙に矛盾しているように思われる独自解釈があります。
・要望でも質問でも批判でも、ドシドシ気軽にコメント頂けたら嬉しいです。


1章・下「竜の中の恋(In dracone amor)」

 

 

WINNER! 海馬瀬人!!

 

瀬人「ふぅん、他愛ない。それにしても、攻撃力10000となり、ブルーアイズ達の力と、『ガーディアンの力』の魔力を宿したブルーアイズは、実に美しい……」

 

瀬人「さて、キサラよ。いま助けてやる」

 

キサラ「ありがとうございます。それにしても、本当にブルーアイズがお好きなんですね」

 

瀬人「あぁ。俺の命ともいえるカードだ。お前の抜け殻もブルーアイズ同様に愛でてやるつもりだ。デュエルには使えんがな」

 

キサラ「抜け殻を……愛でる!? やっぱりただの変態じゃないですか……おっとっと」

 

瀬人「立てないのか? 仕方ない、車まで抱いていってやる」

 

キサラ(えぇ……。これ、お姫様抱っこじゃないですか……)

 

キサラ「海馬さん、どうしてここが?」

 

瀬人「今日の日中は会社から離れられなくてな。帰り道のお前を、前に話していたVIPルームに招待しようと思って探していたのだが……。まあ今日はもう遅い。日を改めるしかあるまい」

 

キサラ「あの例の、脱皮に最適なお部屋に? そのこと、なんですけどね、海馬さん。私の抜け殻、やっぱり貴方にあげ──」

 

瀬人「ふぅん。吊り橋理論か」

 

キサラ「えっ?」

 

 吊り橋理論とは、カナダの心理学者であるダットンとアロンによって1974年に発表された「生理・認知説の吊り橋実験」によって実証された感情の生起に関する学説。吊り橋効果、恋の吊り橋理論とも呼ばれる(wikipediaより引用)

 

瀬人「そんなもので取引を有利に進めるつもりはない」

 

キサラ「……大喜びで食い付くと思っていたのですが」

 

瀬人「理不尽な手段で得たものは、理不尽な災いを受けるものだ。もういい加減懲りた」

 

瀬人「突然のハプニングで、お前は気が動転しているのだろう。数日頭を落ち着けてから、その申し出をしてみせるがいい」

 

キサラ「……はい」

 

キサラ(たぶん気が変わることないと思うんですけどね。お礼のつもりで抜け殻を渡したいんですし、本当にブルーアイズが好きなのは分かりましたし)

 

キサラ(でも、何だか頭がズキズキするし……。とりあえず今晩はちゃんと寝ようかな……)

 

──※──

 

キサラの夢・暗黒の闘技場

 

囚人A「なんだぁ? あの白い女も囚人かぁ?」

 

囚人B「どうでもいいぜ、女なら何でもよ。一時休戦にしようぜぇ」

 

龍笠キサラ(……今日は夢見悪いですね)

 

囚人A「俺の魔物(カー)よ! 女を押さえつけろ!」

 

キサラ(誘拐された日の夜に、魔物に食い殺される夢を見るなんて)

 

キサラ(まあ、いっか。食い殺されたら、流石に目が覚めると思いますし……)

 

瀬人?「精霊デュオス! キサラを守れ!」

 

キサラ「えっ!? 海馬さん!?」

 

キサラ(いや、違う! 顔はそっくりだけど、服装が全然違うし、肌もエジプトの人みたいに黒い!)

 

瀬人?「それ以上の狼藉を働くなら、この神官セトが相手になってやる!」

 

囚人A「何言ってやがる! 俺たちをここに閉じ込めた張本人が!」

 

囚人B「この恨み、俺たちの魔物(カー)で晴らしてやるぜ! 攻撃だァ!」

 

神官セト「くっ……!」

 

キサラ(海馬さんに似た人が押されてる!)

 

キサラ(この人は海馬さんじゃないから、ブルーアイズを持ってないの!?)

 

キサラ(ブルーアイズ! この人を守って!)

 

ブルーアイズ「グォォオオオオ!!」

 

神官セト「なっ! これは──白き龍!?」

 

キサラ(えっ……。なん、で……)

 

キサラ(私の身体から、ブルーアイズが……?)

 

──※──

 

翌日。童実野高校・昼休みの教室

 

キサラ(昨日は変な夢見たな……。頭痛薬飲んだけど、頭痛は治まらないし)

 

モブ女子A「キサラちゃん顔色悪いね。また低血圧?」

 

モブ女子B「あっ! その手首のアザどうしたの!?」

 

キサラ「あぁ、アザ残ってたんだ。これは昨日の放課後、かくかくしかじかで……」

 

モブ女子A「へぇ~。まるまるウマウマってことなんだ──じゃないよ! すっごい危なかったじゃん!」

 

キサラ「うん。でも、海馬さんに助けてもらったから大丈夫よ?」

 

モブ女子B「……キサラちゃん。それ、海馬の自作自演じゃないの?」

 

キサラ「…………えっ?」

 

モブ女子A「あいつヤバイよね……。前に話したマフィアを動かせるってのもそうだけど……。アイツの前の海馬コーポレーション社長で、海馬の育ての父親にあたる人がいたらしいんだけど……」

 

モブ女子A「海馬に殺されたって噂があるみたい。決定的な証拠はないみたいだけど」

 

モブ女子B「父親殺しといて証拠残してないとかマジやばいじゃん……。キサラちゃん、海馬のこと信用しない方がいいよ……」

 

キサラ「──うん……」

 

モブ女子A「……あっ、ごめん! やっぱり体調悪いの? 体調悪いときにこんな話なんかしてごめん!」

 

モブ女子B「保健室行く?」

 

キサラ「いや……。大丈夫……。ちょっと、屋上で……日向ぼっこしてくる……」

 

モブ女子A「キサラちゃんの日向ぼっこはいつものことだけど、本当に大丈夫? やっぱり保健室行った方がいいんじゃない?」

 

キサラ「ごめんね。ちょっと、1人になりたい気分なの……」

 

モブ女子B「うーん。わかった! 昼休み終わっても帰ってこなかったら迎えに行くからね!」

 

キサラ「──うん……。ありがとう……」

 

──※──

 

童実野高校・屋上

 

キサラ(あたま、いたい……)

 

キサラ(言い返せなかった……。海馬さんは……。セト様は……。本当は、そんな人じゃ……ないのに……)

 

キサラ(あれ? セト様って……誰だっけ……?)

 

キサラ(あたま、いたい……。ケータイのタイマーをセットして……。ちょっと……寝ようかな……)

 

──※──

 

キサラの夢・古代エジプトの神殿

 

神官セト「キサラよ。白き龍よ」

 

キサラ?(あ……。セト様……。また、会いに来て下さったのですね……。もう言葉を交わすことも、肌を触れ合うことも出来ないのに……)

 

神官セト「もうすぐ、この都に大軍勢が攻め入ってくる。私を、王を殺し、父親を殺した背徳者として糾弾する者たちの軍勢だ。相手は新たなファラオを名乗っている」

 

キサラ?(違う……。先代のファラオと、貴方様の父親にして闇の大神官であるアクナディンは、激しい戦いの末に相討ちになった……。セト様は何も悪くありませんのに……。闇の戦いで傷ついた王国を建て直す為に、寝る間も惜しんで働いておられたのに……)

 

神官セト「私は、無駄な抵抗はせずに降伏しようと思っている。これ以上内乱が続けば、民は持ちこたえられぬ」

 

キサラ?(そん、な……)

 

神官セト「降伏した後の私は、おそらくミイラにはされず、墓も作られず、葬儀もされないだろう。つまり冥界には逝けないということだ」

 

神官セト「キサラよ、お前は生前に故郷の話をしていたな。お前の故郷では、現世で死んだ者は、記憶を失い、新たな命を授かって、もう一度この世界に再誕すると、考えられていると」

 

神官セト「この砂漠の国にはなかった死生観だ。その考えに基づくなら、冥界に逝けず滅びる私の魂にも、希望はあるのだな……」

 

神官セト「不憫なのはお前のことだ。私はファラオが千年パズルから復活なされるまで、千年宝物を墓守の一族に預けて封印することにした。お前を含め、石版の精霊たちは、誰にも使われることなく、この石版に封印されたまま、幾千年の時を過ごすことになるやもしれぬ」

 

神官セト「せめて──。お前に、自由を与えてやりたい。お前が生きていた頃にやろうと思っていたのとは、まるで仕組みが違うがな」

 

神官セト「この宝石を見よ」

 

キサラ?(丸くて、白く、キラキラしていますね……)

 

神官セト「千年錫杖の力にて、お前の魂(バー)の一部を、この『伝説の白石(ホワイト・オブ・レジェンド)』に移す。するとこの『伝説の白石』は卵のように胎動をはじめ、やがて中から1人の娘が生まれることだろう」

 

神官セト「記憶と白き龍の魔力は持っていないが、それが新しいお前だ。『伝説の白石』と、その中から再誕したお前の世話は、墓守の一族に任せる。白き民への偏見が無くなった頃には、墓守の一族からも離れ、自由に生きられるようになるだろう。それまでは、親から子へ、子から孫へ、墓守と共にお前の血脈を残していけ」

 

キサラ?(……い、や、です……)

 

神官セト「この魔力の反応は……嫌だと? そう悲観するな。記憶は失っても、想いは残るというのが、お前の故郷の死生観だろう? それに、私の記憶は千年錫杖に、お前の記憶は白き龍の石版に、わずかながら残る」

 

キサラ?(嫌です! 私は! 片時も! 貴方を忘れたくない! 何千年、砂に埋もれてもいい! 私の記憶を消さないで下さい!!)

 

神官セト「記憶が無くとも構わぬ。数千年後にまた会おう、キサラ。記憶を失くした私が、もう一度白き龍の石版を手に入れた頃に。ファラオが、千年パズルから復活なされた頃に……」

 

キサラ?(いやぁぁああああああ──!!)

 

神官セト「千年錫杖の力によりて、キサラの魂(バー)を『伝説の白石』に封印!」

 

──※──

 

昼休みの終わり前・童実野高校の屋上

 

キサラ「いやぁぁああああああ──!!」

 

キサラ「ハァ! ハァ! ハァ!」

 

キサラ「何だったの、いまの、夢……」

 

キサラ「夢に、しては──。あまりに、リアルだった──! まるで、一度、体験、したような……!」

 

キサラ「あれは、私の、ご先祖様の、記憶なの? 前世の、私の、記憶なの?」

 

キサラ「あの人は、誰なの!? 神官セト? 海馬瀬人? セト様? 海馬さん?」

 

キサラ「私は、誰なの!? キサラ? 龍笠キサラ? 白き龍? ブルーアイズ? ヒト? ドラゴン? ばけもの?」

 

キサラ「わからない……! あたまが いたい……! わからない……! からだ あつい……!」

 

キサラ「あ、あぁ…………!」

 

キサラ「ああああアアアアァァ──!」

 

 この世界には、亜人種と呼ばれる動物の性質を持って生まれた者が、ごく少数だが存在する──。

 更に、その亜人種の中にはごく稀に──。

 姿形まで完全に動物と化す者もいる──!!

 

キサラ(龍態)「グルルルル……」

 

キサラ(そん、な……! 今までも、尻尾が出ることぐらいは、あったけど……)

 

キサラ(全身、全部、ドラゴンになるなんて……!)

 

キサラ(見た目は……『青眼の白龍』にそっくり……。大きさは……廊下は危なげなく通れそう……)

 

キサラ(翼はあるけど、飛べそうにない……)

 

キサラ(とにかく落ち着こう。お医者さんが言ってたはず。こういう事例では、リラックスして、体調が整えば、人間の姿に戻れるって──)

 

モブ女子A「うわ! なにアレ!」

 

キサラ(!?)

 

モブ女子B「えっ! ブルーアイズじゃない!? 海馬社長の! なになに? ソリッドヴィジョン?」

 

モブ女子A「にしてはリアル過ぎない? 周りにデュエルディスク無いし。ちょっと小石投げてみるね! ソリッドヴィジョンならすり抜けると思うし!」

 

モブ女子B「おー、投げてみ投げてみ」

 

キサラ(やめて!)

 

コツン☆

 

キサラ(龍態)「グルル……!」

 

キサラ(い、痛い……)

 

モブ女子A「ほ……」

 

A・B「「本物だぁぁああああ──っ!!」」

 

モブ女子A「ヤバイよヤバイよ! 怒らせちゃったかも! 早く逃げよ!」

 

モブ女子B「皆に知らせなきゃ!」

 

キサラ(皆!? 人がここに集まるの!?)

 

キサラ(どうしよう どうしよう どうしよう……!)

 

キサラ(とにかく、逃げないと……!)

 

ズシ、ズシ、ズシ……。

 

──数分後の屋上。

 

瀬人「ちっ。会社を出るのが遅かったか。もうキサラは教室に戻ったかもしれん」

 

瀬人「まあ今日は放課後まで高校に居られるからな。昼の最初の授業の後なり、放課後なりに会えればそれでいいか」

 

瀬人「うん……? 何やら下が騒がしいな……」

 

──※──

 

モブ学生「うわーーーーっ! ブルーアイズだーーーーっ!」

 

モブ学生「マジマジ? 本物?」

 

モブ学生「どっから来たんだコイツ?」

 

モブ学生「写真撮ってネットに上げようぜーっ!」

 

モブ学生「俺が投げた消しゴムが当たったぞ! あれソリッドヴィジョンじゃねぇ!」

 

モブ教師「こら! 早く席に戻りなさい!」

 

モブ教師「勝手な行動を取るな、バカ生徒どもが!!」

 

モブ教師「おい! いまシャーペン投げたバカはどいつだ!」

 

キサラ(龍態)「グルルルル……」

 

キサラ(──初めて、じゃ、ない……)

 

キサラ(奇異な目で見られるのも。物を投げつけられるのも。誰にも声が届かないのも……)

 

モブ「こうして見ると、ブルーアイズってマジ化け物だな……」

 

モブ「怖ぇ……マジ怖ぇ……!」

 

キサラ(化け物と、呼ばれるのも……!)

 

キサラ(この記憶は、誰の記憶なの? 私は誰なの? 何処へ行けばいいの?)

 

キサラ(誰か……)

 

キサラ(龍態)「ギャォォオオオオ!!」

 

キサラ(誰か、助けて……!)

 

──※──

 

モブ「おい城之内! お前バトルシティーのベスト4ならよー! ブルーアイズにダイレクトアタックしてこいよ!」

 

城之内「はぁ!? なんで俺が……」

 

モブ「度胸試しだー!」

 

モブ「根性見せろー!」

 

表遊戯「城之内くん、やめときなよ!」

 

杏子「そうよ! 海馬くんに怒られても知らないわよ!」

 

モブ「カタイこと言うなよ真崎ーっ!」

 

モブ「今日、海馬は来てねーだろー! だからあのブルーアイズは、海馬と関係ないはずだぜー!」

 

城之内「よっしゃあ! だったら俺が行ってやる!」

 

表遊戯「城之内くん!! 童実野美術館でのこと、忘れたの!? あのブルーアイズは、もしかしたら──!」

 

城之内「心配要らねぇぜ、遊戯!……小声で、こっそり、言わせてもらうんだがよ……」

 

表遊戯「うん……」

 

城之内「俺がわざと派手に立ち回って、時間稼いだ方がマシな気がするんだよな……。写真撮ったり物を投げつけたりっていうのも、止められるかもしれねぇしよ……」

 

表遊戯「そこまで考えてたんだね……! じゃあ止めないよ。お願い、城之内くん!」

 

城之内「おう! 行ってくるぜー!」

 

──※──

 

城之内「やいブルーアイズ! この燃える炎のデュエリスト! 決闘者の王国準優勝! バトルシティーベスト4の! 城之内克也様が相手になってやるぜー!」

 

青眼「グルル……!」

 

モブ「行け行けー! 城之内ー!」

 

モブ「ちょっとぉ! 城之内が邪魔でブルーアイズが撮れないー!」

 

城之内「うるせぇ! 俺を撮れ、俺の勇姿を!」

 

城之内「あとよー! デュエルに外野の横槍は要らねぇ! 物を投げつけるのはやめやがれ!」

 

城之内「あー、えー。俺の、攻撃は、だな!」

 

青眼「グゥ……!」

 

杏子「もうネタ切れなの、城之内! もうちょっと時間稼ぎなさいよ……!」

 

城之内「デュエルでは、いきなり切り札のモンスターで攻撃しないのが、セオリーってもんだ。だから今回も、いきなりぶん殴ったりはしねぇ」

 

モブ「つまんねーぞ城之内!」

 

モブ「やる気あんのか城之内!」

 

城之内「ぐぅ……! 最後はきっちり殴り飛ばすっての! まずはデコピン! デコピンで様子を────」

 

??「この馬の骨にも劣る犬畜生めが!!」

 

ボゴォ!

 

城之内「グヘェ! か、海馬てめぇ! 本気で殴りやがったな!?」

 

瀬人「そういう貴様らは──城之内に限らず、その取り巻き共は──俺のブルーアイズに何をした……?」

 

モブ「ひぇっ……」

 

モブ「いや、その……」

 

モブ「そもそもこのブルーアイズは何なんだよ、海馬ーっ!」

 

瀬人「このブルーアイズは、我が社で開発中の『質量を持ったソリッドヴィジョン』の実験によって実体化したブルーアイズだ。実験中のトラブルによって童実野高校にワープしてしまったようだ……」

 

瀬人「好奇心ごときで俺のブルーアイズに物を投げつけるなら──」

 

瀬人「俺の憂さ晴らしの為に、貴様らの身体に鉛玉をぶち込んでやろうか!!」

 

表遊戯「あれ……? この言い回し……」

 

杏子「海馬くんはブルーアイズを庇って嘘を言ってるのか、本当にそういう実験があったのかは、まだちょっと分からないけど……」

 

瀬人「また、この実験は本来、企業秘密であるが故、撮影した画像・動画をネットにアップロードすることは厳禁とする! 既にアップロードした者は即刻削除せよ! この命令を守らなかった者は……。どうなるか分かっているんだろうな……?」

 

モブ「ひぃぃ……」

 

モブ「やべぇよ、やべぇよ……!」

 

瀬人「それにしても見損なったぞ、城之内。デュエルで俺に勝てないからといって、肉弾戦で俺のブルーアイズに襲いかかるとはな……」

 

城之内「くっ……!(こいつ、人の気も知らねぇで……!)」

 

瀬人「一度は凡骨デュエリストに格上げしてやった貴様だが……。たった今から、負け犬に格下げだ! 言い返せず、立ち上がることも出来ないなら、この紙クズでせいぜい悔し涙を拭っているがいい!」

 

ポイ☆

 

瀬人「俺は今から体育館にて、ブルーアイズのデータを取る。誰も近付くな!」

 

城之内「くっ……! 海馬のヤロー……! ん? 海馬が投げつけた紙クズに、何か書いてあるぜ……」

 

紙クズ『貴様程度の思惑と三文芝居を、俺が読みきれないとでも思ったか、凡骨。詫びや謝礼を入れて欲しいなら、多少の端金ぐらいは恵んでやってもいいぞ、貧乏人』

 

城之内「……あのDEATH-Tやら死の体感やらを作っていた外道が……。よくもまぁここまで人間らしく育ちやがって……! くぅ……! 泣けてくるぜ……!」

 

モブ「城之内が悔し泣きしてるー」

 

モブ「だっせー!」

 

瀬人「……もう大丈夫だ、キサラ」

 

キサラ(えっ……?)

 

瀬人「誰にもお前を、傷つけさせはしない──」

 

──※──

 

童実野高校・体育倉庫

 

キサラ「保健室の先生が、体操服を持ってきてくれて助かりましたね」

 

瀬人「あぁ。お前の制服は、お前がドラゴンの姿になったときに四散したようだな」

 

キサラ「……海馬さん。なんであの姿でも、私だと気がついたんですか……?」

 

瀬人「俺の、ブルーアイズへの思い入れを侮るなよ、キサラ」

 

瀬人「『青眼の白龍』は世界に3枚存在する──いや、4枚存在していたが──。ソリッドヴィジョンでは、1枚1枚に微妙な差異がある」

 

瀬人「簡単に見分けがつくのは、眼だ。お前の眼は、俺が持つ3枚のいずれとも違っていた。強いていえば──」

 

瀬人「俺が最も欲し、ついぞ手に入らなかった、4枚目のブルーアイズに似ていた。人間の姿のときも、龍の姿のときも」

 

瀬人「そうだ。俺は──お前の眼が欲しいと思った」

 

キサラ「えっ……」

 

瀬人「しかし手に入らないものであるから、眼以外の全てを、抜け殻を、欲しいと思ったのかもしれない」

 

瀬人「……こんな話を、人にするのは初めてだ。遊戯にも、アテムにも、モクバにも、ブルーアイズの眼の話などしたことがない」

 

キサラ「……海馬さん」

 

キサラ「貴方が欲しいのなら……。ちょっと恥ずかしいですけど……。全部、あげても、いいですよ。眼も、抜け殻も、心も」

 

瀬人「いや、それはただの、吊り橋理論──」

 

 そのとき、二人の唇と唇が重ねられた──。

 

キサラ「……もう待ちません。引き返しません。まずはファーストキスをあげます」

 

瀬人「……ふむ。俺にはファーストキスの価値などよく分からんが……」

 

瀬人「それは貴重なものをもらった。ありがとう」

 

──※──

 

翌日・童実野高校の教室

 

モブ女子A「キサラちゃん、昨日早退したんだよね! 大丈夫だった?」

 

キサラ「うん、大丈夫!」

 

モブ女子B「じゃあ昨日、屋上に出たブルーアイズのことは知らないんだー」

 

キサラ「へ、ぇ……。昨日の昼休みは、屋上には行かずに保健室に行ったから知らないナー」

 

モブ女子A「海馬コーポレーションの実験中の事故でー、質量を持ったソリッドヴィジョンのブルーアイズが、うちの校舎に召喚されたらしいよ。はた迷惑な話だよねー」

 

モブ女子B「あ、噂をすれば海馬居るじゃん。よーし! 私らが、また見事にディフェンスして……」

 

キサラ「あ、あの!」

 

モブ女子「ん? どうしたのキサラちゃん?」

 

キサラ「私! 海馬さんの過去なんて、知らないから!」

 

キサラ「昔話を掘り起こしてっ、悪い人って決めつけるのっ、良くないと思うの!」

 

キサラ「海馬さんのっ、悪口はっ! 私の前ではっ、言わないで欲しいのっ!」

 

キサラ「私のっ……。そのっ……。好きな……人、だから……」

 

モブ女子AB「「……。」」

 

キサラ「だ、ダメかな……?」

 

モブ女子AB「「お……」」

 

キサラ「えっ……?」

 

モブ女子AB「「おめでとうーーっ!!」」

 

キサラ「えっ? えっ?」

 

モブ女子A「いやー。キサラちゃんはやる女だと思ってたよ、まぢで。アオハルじゃーん。コイバナじゃーん」

 

モブ女子B「そこまで覚悟を決めたんなら、外野の私らは邪魔なんてしないよー! 今まで嫌なこと言ってゴメンね!」

 

モブ女子A「じゃあ私らは席を外すよ。草葉の陰から海馬とキサラちゃんを見守ってるからね……」

 

キサラ「草葉の陰だったら、Aちゃん死んじゃってるよ……?」

 

モブ女子B「ごゆっくりぃ、キサラちゃん。そして一緒にいってあげるよ、A。独りぼっちは寂しいもんね……」

 

スタスタスタ……。

 

瀬人「なんだ。今日はあの二人は邪魔してこないのか?」

 

キサラ「むしろ私たちの応援をしてくれるそうですよー。場所、変えます?」

 

瀬人「あぁ」

 

──※──

 

童実野高校・校舎裏

 

キサラ「次の脱皮は1週間後なので、その日は海馬さんのお宅にお邪魔しますね」

 

瀬人「あぁ、脱皮の日が待ち遠しいものだ。何なら今日にでも、お前の為に作らせた部屋の、下見に来るといい。居候になっても構わんぞ」

 

キサラ「居候っていうより、同居じゃないです?」

 

瀬人「ところで、1つ聞きたいのだが」

 

キサラ「なんでしょう?」

 

瀬人「あの美しいドラゴンの姿には、自分の意志で変身出来るのか? お前の過去を洗っても、あの姿になったという話は出てこなかったのだが」

 

キサラ「昨日変身したのが初めてです。けれどまあ、慣れれば自分の意志で変身と解除が出来るって話も、亜人種のコミュニティでは聞いたことがありますね」

 

瀬人「あぁ、そうなのか……。是非ともそのメカニズムを解明し、何度でもあの姿を見てみたいものだ……。夏までに準備が整えば、あの姿のお前と共に、青い海と白い砂浜が広がるビーチへと出掛けたいものだな……」

 

キサラ「────はい?」

 

瀬人「秋の紅葉、冬の白いゲレンデも捨てがたい……。あの美しい白の鱗は、何処へ連れていってもさぞや映えることだろうな……。あとは他のブルーアイズ達と共に並べて……」

 

キサラ「バカ!! 変態!! ドラゴンフェチ!!」

 

瀬人「な、なんだキサラ!? 何を怒っている!?」

 

キサラ「ビーチも! 紅葉も! ゲレンデも! 人間態の私と一緒に行けばいいじゃないですかぁ!! なんでドラゴン形態の話ばっかりしてるんですか!!」

 

瀬人「人間の女と一緒にビーチに行って、何をしろと言うのだ……?」

 

キサラ「いや貴方こそ何を言ってるんですか……? ほら。水着を着て泳いだりとか、スイカ割りをしたりとか……」

 

瀬人「なるほど。そういうことであれば、今から準備を始めねばなるまいな」

 

瀬人「海馬コーポレーションの総力を挙げて、ブルーアイズ用・ドラゴン態のキサラ用の、水着制作を!」

 

キサラ「バカぁ──────っ!!!」

 

 

 





【あとがき】

 どうも、生徒会副長です。初の台本形式での執筆となりましたが、いかがだったでしょうか。感想欄に是非を書いて頂ければ幸いです。
 神官セトについてですが、闘いの儀を終えたアテムが冥界に帰るシーンでセトが冥界側にいるため、今回の解釈は矛盾しているように思われるかもしれません。また、古代エジプトの死生観では、死者は輪廻転生をしません。
 私の解釈としては、アテムが冥界に帰るシーンでマハードやアクナディンまで冥界側に居るため、あれは単なるイメージ映像だったのではないかと解釈しました。また、神官セトがアテムの後を継いで立派なファラオになったという解釈も多いのですが、それだとアクナディン(闇の大神官)の三千年の妄執の説明がつかないように感じるため、私は今回の作品や 「いつか、友としてディアハを」のように「即位はしたが長続きしなかった」と解釈しています(他の方の解釈を否定するつもりは無いです)。
 最後までお読み頂きありがとうございました。次回作をゆっくりお待ちいただければ幸いです。
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