読者の大半はヒロキの祖父が誰であるか分かっていると思います。
また、分かる人は今回の話に出てきたヒロキの祖父の友人が誰なのかも分かる筈です。
用心棒怪獣『ブラックキング』登場
ヒロキ達は地鳴りのしたあの倉庫に辿り着いた。3人は周りを見渡して小田の姿を探す。
「小田さん、一体何処にいるんだろう・・・・。」
「ヒロキさん、小田さんがいましたよ‼︎」
ランの言葉と彼女が指差す方を見ると確かに小田の姿が見えた。ヒロキ達は彼に駆け寄る。小田の方もヒロキ達に気付いたみたいで3人に声を掛ける。
「ヒロキ君にランちゃんに・・・確かナミちゃん‼︎どうしたんだ、こんなところで。」
その後、改めて倉庫の階段に腰を掛けた4人。ヒロキは先程のGIRLSの調査の結果を話す。
「実は先程、GIRLSの調査でこの倉庫から怪獣の呻き声のような音がしたんです。」
「怪獣?はははは、こりゃ傑作だな、世界中の怪獣か?」
「話を逸らさないで下さい‼︎GIRLSの調査で分かった確かな事なんです‼︎」
「このまま隠し切れる訳がない・・・小田さん、何か力になれる事があるなら僕達は力になります‼︎だから、正直に話して下さい‼︎」
「怪獣なんて知らんよ。話はここまでだ。じゃあな。」
ランとヒロキの説得を聞いても何も知らないと言い続ける小田はその場を去ろうとする。
「待ってください‼︎せめて」
「しつこいぞ‼︎」
ヒロキは小田の肩を掴んで制止するも、しつこく感じたのか苛立った表情でヒロキを振り払う小田。その時、感情が高ぶったのか小田はナックル星人としての姿が一瞬だが現してしまう。ヒロキとランとナミはそれを見て固まってしまう。そこにタイガが話しかけてきた。
「小田さん・・・今・・・・。」
「一瞬だったけど・・・・姿が・・・・。」
「私達の・・・・見間違いでなければ・・・・。」
『ヒロキ、この人は人間じゃない‼︎』
「ヒロキ君・・・今、声が・・・。」
ヒロキの中にいるタイガの声を聞いた小田は目を見開いた。今、彼の中にブラックキングの鼓動が聞こえてきたからだ。
倉庫では霧崎がブラックキングの卵を見つめ、トレギアアイを取り出した。そしてトレギアアイを開いて目にかざす。
「さぁ、開幕の時間だ‼︎」
霧崎はトレギアに変身して、倉庫の近くの地面に両手から光線を出しながら着地する。突然現れたトレギアにランとナミは驚いていた。2人はヒロキの言葉で目を覚ます。
「ランさん‼︎ナミさん‼︎小田さんを連れて安全な場所に‼︎」
「・・・はっ、そうか。小田さん、あたし達と一緒に行きましょう‼︎」
ランとナミは小田を連れてその場を去ろうと走る。その前でトレギアは両手から光線を放ち、回りを破壊していた。その後ろ姿を見たヒロキは建物の影に隠れてタイガスパークを右腕に出現させる。
〈カモン!〉
「光の勇者、タイガ!!」
『はあーっ!ふっ!』
「バディィィゴーーーー!!!」
〈ウルトラマンタイガ!〉
タイガが着地してトレギアに戦闘態勢をとる。その姿を見て小田は思わず呟いた。
「ウルトラマン・・・‼︎」
トレギアはタイガを確認すると腕を伸ばして指でタイガを挑発する。タイガは真っ直ぐトレギアに向かっていった。
『せいぜい期待を裏切らない奴らだ‼︎』
タイガはジャンプしてパンチを放とうとするも動きを読まれ、トレギアの蹴りを腹に喰らう。そのままタイガとトレギアは格闘戦を続ける。タイガは膝蹴りからの肘撃ちを放つもトレギアに受け止められた。トレギアと戦うタイガの姿に小田の心が更に高鳴る。そして倉庫のブラックキングの卵は黄色く光りながらその心臓の鼓動が大きくなる。そして小田が叫ぶと同時に卵に封印された用心棒怪獣『ブラックキング』が目覚めてその咆哮を辺りに響かせる。
「うわああああああぁぁぁぁ!!」
「グオオオオォォォ‼︎」
「嘘、あの倉庫に怪獣が‼︎・・・しかもアレって‼︎」
「私のカイジューソウルの怪獣・・・用心棒怪獣ブラックキング‼︎」
ランとナミは本物のブラックキングに驚きを隠せない。タイガとヒロキも突然現れた怪獣に驚いていた。
(何だ⁉︎一体⁉︎)
『嘘だろ⁉︎何でブラックキングが⁉︎』
『おやおや・・・。』
ブラックキングは目の前にいるタイガとトレギアに口からのマグマ光線『ヘルマグマ』を放つ。トレギアはタイガを盾にしてその一撃を避ける。
『おっと、危ない‼︎』
『うわあっ⁉︎』
ブラックキングはタイガに向かって突進する。ブラックキングは両腕でタイガを殴ろうとした。タイガはブラックキングの腕を受け止めるも、パワーに長けた怪獣の腕力に苦戦していた。
『ぐっ、ぐうううう‼︎』
『おやおや・・・。』
ブラックキングの腕力に苦戦するタイガを横にトレギアは小田に接近した。彼の横でソウルライザーを構えながらトレギアを睨むランとナミを無視してトレギアは小田に向かって一言言い放った後、姿を消した。
『本当に相棒に忠実な怪獣だなぁ・・・。じゃあ、後は任せたよ。』
「相棒に忠実・・・・ってあのブラックキングの事⁉︎一体どういう・・・。」
「小田さん、もしかしてあなたは・・・。」
「話は後だ・・・。」
ブラックキングの腕力に押され始めるタイガ。ここでタイタスが声を掛けてきた。
『あいつ、何がしたいんだ⁉︎』
(このブラックキングと関係が・・・・ってこのままじゃヤバい‼︎)
『このままでは危険だ‼︎私が行こう‼︎』
『頼んだ‼︎』
ヒロキはタイガスパークのレバーを引いた。
〈カモン!〉
「力の賢者、タイタス!!」
『うおおおおおっ!ふんっ!』
「バディィィゴーーーー!!!」
〈ウルトラマンタイタス!〉
「ふん‼︎」
「グオオオオォォォ‼︎」
タイタスがブラックキングに右手でアッパーを決める。ブラックキングは怯むもすぐに体勢を立て直して尻尾でタイタスを攻撃する。しかし、タイタスは肩でブラックキングの攻撃を受け止めた。小田は必死にブラックキングを制止する。
「止めろ‼︎ブラックキングーーッ‼︎俺はそんな事望んじゃいない‼︎」
ブラックキングはヘルマグマでタイタスを攻撃するもタイタスは怯まずブラックキングに自身の拳をぶつける。後退するブラックキングを前にタイタスはヒロキに指示を出す。
『ヒロキ、電撃をお見舞いしてやれ‼︎』
(ああ‼︎)
ヒロキはタイガスパークのレバーを引き、左腕に意識を集中させる。
〈カモン!〉
〈エックスレット、コネクトオン!〉
エックスレットをタイガスパークに読み込ませてエックスの力を宿した必殺技を繰り出した。
『(エレクトロバスター‼︎)』
電撃を浴びた破壊光弾が直撃したブラックキングはその場で大爆発する。相棒である怪獣の最後を見て小田は叫んでいた。
「ブラックキングーーッ‼︎」
そして小田はその場で膝をつき崩れ落ちる。そんな小田を心配そうな目でがランとナミは見ていた。そしてタイタスは光に収縮する。その光は地面に着くと同時に光はヒロキの姿へと変わる。ウルトラマンの変身を解除したヒロキに話しかけてきたのは小田だった。
「ヒロキ君・・・。」
「小田さん⁉︎」
「小田さーん‼︎」
その後ろからランとナミが走ってきた。2人はヒロキと小田を見つけると彼らに駆け寄る。その顔を見て小田はもう隠しきれないと悟り、3人に話す。
「君達、いつも俺が絵を描いているあの公園に来てくれないか・・・。そこで全てを話す。」
場所が変わっていつも小田が絵を描いている公園にヒロキ達は来ていた。その横にはランとナミの姿もある。小田が口を開いた。
「君達も察していると思うが・・・俺は地球人じゃない・・・。俺はナックル星人だ・・・。本当の名前はオデッサ。」
「ナックル星人って・・・・・確か‼︎」
「私のカイジューソウルの怪獣であるブラックキングと共に『ウルトラマンジャック』と戦った宇宙人・・・。GIRLSの記録でもとても残虐な宇宙人だったとありました。」
「ちょっ⁉︎それ、あくまでデータですよね⁉︎小田さん本人は」
「いや、彼女の言う通りだ。俺も若い頃は戦いで多くの命を奪った・・。夕映えの戦士なんて呼ばれてその名が誇らしかったよ・・・。けど、俺は戦いに敗れた。」
「小田さん・・・・。」
小田の思わぬ過去に驚きを隠せないラン。小田は続けて話す。
「けど・・・ある惑星で俺は夕焼けの中、夕焼けに雄々しく立つ光の巨人に敗れた。・・・。美しかったな・・・ああいうのを本当の夕映えと言うんだろうな・・・。俺はその戦いで今までの自分が虚しくなったブラックキングを卵に封印してこの星で暮らすことにした。」
「・・・・小田さんが地球に来た理由は分かりました。しかし、どうしてあのブラックキングは現れたんですか?」
「・・・・アイツは俺の・・・心なんだ。」
「・・・・・まさかまた戦いたくなったんですか⁉︎」
ナミとヒロキの質問に小田は答えずそのまま立ち去ろうとする。思わずヒロキは大声で叫んでいた。
「違うと言ってください‼︎僕の知ってる小田さんは絵を描くのが好きでいつも笑顔で笑っていて親父ギャグを言ってくれる心の優しい人なんです!!」
しかし、小田はヒロキの声を全て聞くと3人に何も言わず立ち去ってしまった。その様子をヒロキ達はただ見ているだけしか出来なかった。
その後、ヒロキはGIRLSの休憩スペースでお茶を飲みながら小田の事を考えていた。ヒロキはポケットから古びた手帳を取り出す。それを見たフーマがヒロキに声をかける。
『なぁ、そのやけに古い手帳は何なんだ?』
「ああ、これ?お爺ちゃんが残した物さ。この手帳には過去に地球に出現した怪獣に関する記録や写真が残ってるんだ。」
『ほう、あるウルトラマンを実の兄のように慕っていたという君の祖父が残した物か・・・。怪獣とそのウルトラマンの戦いを見ていたからその記録を残せたのだな。』
ヒロキは頷くと手帳のページをめくる。そしてページをめくっていく内に赤い目に体に赤く丸い結晶が幾つも付いた宇宙人の写真が載っていた。小田の本来の姿であるナックル星人と先程現れたブラックキングの写真だ。
『ナックル星人の写真か、それ。』
「うん、僕のお爺ちゃんの友達に坂田次郎という人がいてナックル星人とかジャックが戦った怪獣の事を聞いてこの手帳に記したんだって。」
『へぇ〜。でも、その友達よくジャックが戦った怪獣や宇宙人の事、知ってたな。』
「何でも、ナックル星人に家族を殺されたらしいからナックル星人の事はよく知ってたらしいよ。」
『ナックル星人に家族を⁉︎マジかよ・・・・。』
「うん。けど、地球人にも色々な人がいるじゃん。小田さんみたいに戦いを止めて平和に暮らしているナックル星人もいたって不思議じゃないかなって思って・・・。小田さん、大丈夫だよね?」
『俺達からは何も言えないな〜。基本的にナックル星人はかなり好戦的だと聞いてるし・・・しかし何で昔現れたナックル星人はその坂田次郎って人の家族を殺したんだ?』
タイガの言葉に黙ってしまうヒロキ。タイタスが声を掛けるとヒロキは一言告げてから話す。
「ヒロキ、何かあったのか・・・。もし君が」
「大丈夫。けど・・・少し長くなるけどいい?」
『ああ、大丈夫だぜ。』
タイガの言葉でヒロキは祖父から聞いた当時の事を話し始める。
「その友人の姉の恋人が当時兄の様に慕っていた防衛チームのお兄さんだったらしいんだ。しかも、そのお兄さんが当時地球を守っていたウルトラマンであるウルトラマンジャックだったらしくてさ。」
『なっ⁉︎その話、マジかよ⁉︎』
『そういえばそんな話を聞いた事がある‼︎ジャックの心を弱らせるためにジャックの大切な人を殺したって‼︎』
「うん、大切な人を奪われたジャックはナックル星人とブラックキングとの戦いに敗れたけど、再び立ち上がってナックル星人とブラックキングに勝った・・・。お爺ちゃんは自分と同じように怪獣に家族を殺された子供達を助けるボランティア活動をした際に知り合って自分と同じ経験をしていた事からすぐに意気投合したんだってさ。」
『その友人はその後、ジャックとは会えたのか?』
「確か・・・会えずに末期癌で亡くなったと日記にあったよ・・・。」
ヒロキの祖父の友人の話に驚くトライスクワッド。そしてタイタスは前から気になっていた疑問をヒロキにぶつける。
『ヒロキ、その・・・前から気になっていたんだが・・・君の祖父が慕っていたウルトラマンは一体誰なんだ?』
「あれ、タイタスとフーマに言ってなかった?ウルトラマンタロウだよ。」
『ああ・・・成る程な・・・ウルトラマンタロウ・・・って・・・えっ⁉︎』
『君の祖父が慕っていたウルトラマンがウルトラマンタロウ⁉︎本当なのか⁉︎』
「本当だよ。手帳にも描いてあるよ。ほら。」
ヒロキが見せた手帳のあるページにはタロウについて詳しく書かれていた。フーマとタイタスはそれを読んで驚きを隠せない。
『マジかよ・・・。ウルトラマンタロウのページだけ滅茶苦茶書いてあるじゃねぇか・・・。』
『『当時の防衛チーム『ZAT』に所属していた『東光太郎』、ウルトラバッジでウルトラマンタロウに変身し、数多くの怪獣と戦ってきた僕の永遠のヒーロー』・・・・どうやら本当のようだな・・・。』
『その話はいいだろ!!今はあのナックル星人だろ!!』
タイガが話を遮る。ヒロキもその事を感じたのかナックル星人の写真を見て思いつめたような表情になる。その横でトライスクワッドは神妙な表情でヒロキに聞こえない大きさの声で話をしていた。
『まさか、ヒロキがタロウを兄のように慕っていた地球人の少年の孫だったとはな・・・。タイガは知っていたのか?』
『ああ、前にな・・・。俺だってまさかヒロキの爺ちゃんが親父と深く関係があったなんて思わなかったよ・・・。』
『成程・・・ようやく君がヒロキに父親の事を話さなかった理由が分かったよ・・・。』
『・・・・お前ら、ヒロキに俺の親父の事だけは絶対に話すなよ・・・。』
『おいおい、いいのかよ・・・いつまでも隠し通せる訳ねえだろうが!!』
『分かってる!!・・・けど、この星でもタロウの息子って呼ばれたくないんだよ・・・。』
『タイガ・・・。』
その頃、小田はブラックキングの卵があった倉庫にいた。彼は空になったブラックキングの卵を触る。そして1枚の絵を取り出した。その絵はヒロキ達と一緒に見た夕焼けの絵だった。小田はその絵を手で破ると何かを決意した目になった。
今回の話を読んだ人達は何となく察していると思いますが『Memory Of Grandfather Message For Taro』の内容はタロウの後日談と帰マンの後日談的なエピソードになる予定です。