ヒロキは気がつくと暗闇の中にいた。その目の前には不気味な鏡があった。
「⁉︎」
ヒロキは鏡に写る自分を見て驚いていた。鏡に写った自分は見覚えのないピエロの仮面をつけていたのだ。
「はっ⁉︎誰だ⁉︎お前は‼︎」
ヒロキは鏡に写る自分が自分でない事に気付き大声で問い掛ける。すると鏡に写る自分が仮面を外した。しかし、その顔はヒロキではなく霧崎の顔だった。
「うわあああぁぁぁぁ⁉︎・・・・何だ・・・夢か・・・。」
ヒロキは目を覚ますとGIRLSの休憩室にいた。今日は怪獣娘達のスパーリングの計測に付き合っていたヒロキだが、それが終わると休憩室でいつの間にか眠ってしまったらしい。
「何なんだ・・・今の夢は・・・。」
「ヒロキ、どうしまシタ?」
そこにシャワーを浴びてクララ達がやってきた。ヒロキは彼女達に妙な夢を見た事は誤魔化して答える。
「いや・・・何でもない。」
「本当に大丈夫?ヒロキさん、魘されてたよ。」
「えっ、僕、魘されてたの?」
「うん、なんか『ここはどこだ』とか『誰だ』とか悪夢を見ているようだった・・・。」
「ヒロ、何か1人で抱え込んでない?いざという時はここにいる皆、ヒロの力になるよ。あんまり1人で抱えると前のわたしみたいな事になっちゃうよ。」
「いや・・・大丈夫。僕は・・・何ともないから。」
ヒロキの寝言を聞いていたアキとミコはヒロキに心配と気遣いの言葉を掛ける。ヒロキは以前から感じている不吉な騒めきを押し隠して彼女達に大丈夫だと告げた。そこにミカヅキが明るく誘ってきた。
「ねぇ、これから皆で遊びに行こうよ‼︎レッドちゃん、ミクちゃんは大怪獣ファイトの練習で、エレちゃん、ピグちゃん、ダム子は怪獣騒動の調査をしてるから来れないけど、わたし達だけで遊びに行こうと思ってたんだ‼︎」
「えっ・・・ザンドリアスとノイズラーとマガバッサーさんとマガジャッパさんも来るの?」
「何よ、悪い⁉︎」
「アタシ達だって皆と遊びに行く事あるぜ‼︎新しい音楽のCD探しにも付き合ってくれるしな‼︎」
「ねぇ、ヒロキさんも一緒にゲームしませんか‼︎ゲーセンにも行くみたいですから‼︎」
「あの・・・ヒロキさんが今日は都合が悪いって言うなら来なくても大丈夫ですけど・・・。」
「いや・・・この後は・・・大丈夫‼︎・・・・だと思う・・・。」
サチコ、ミサオ、ヨウ、ユカの言葉を断言できずに少し小さい声で暫定的に話すヒロキ。そこにクララが手を握ってきた。ヒロキの手を握ったクララは明るく話しかける。
「何か難しい事を考え続けていたら身が持ちまセンヨ‼︎ヒロキも一緒に楽しみまショウ‼︎」
「う・・・うん・・・分かった。」
明るいクララの雰囲気に何処か乗り切れずにヒロキはクララに手を引っ張られていく。そしてGIRLS東京支部のドアを出るとそこに少し小太りした小学生くらいの少年がいた。雰囲気から5〜6年生くらいの少年はGIRLSを出てきたヒロキ達に話しかける。
「こんにちは、GIRLSの建物から来たって事はお姉さん達怪獣娘だよね?」
「こんにちは、そうだよ‼︎わたし達は怪獣娘‼︎君は?」
「僕、カン太って言います‼︎あの・・・怪獣娘の皆さんにお願いがあります‼︎」
「お願い?」
「僕の友達のモコを探して欲しいんです‼︎」
『モコ⁉︎』
そう言ってカン太はランドセルから一枚の切り離されたスケッチブックを取り出した。するとそこには猫を思わせる耳とボールに毛玉が生えたような何かが描かれていた。その姿に思わずクララ達は固まってしまう。
「・・・何コレ・・・。」
「モコです‼︎」
「えっと・・・コレって何かの生き物なのかな・・・。」
「悪いけど・・・GIRLSじゃペット探しはやってないんだ・・・。お母さんに頼んで専門の業者に頼んで貰ったら?」
「モコはペットじゃない‼︎僕のかけがえの無い親友なんだ‼︎」
「‼︎」
カン太の言葉を聞いたヒロキの脳裏に思わずチビスケがレキューム人に連れ去られた時の事やトレギアによってチビスケがトレギアに殺された時の事が頭によぎった。ヒロキは思わずカン太の前に立って宣言した。
「カン太君、僕はこの後OFFなんだ。君の友達探し付き合うよ。」
「ちょっ⁉︎ちょっとヒロキ⁉︎アンタ何考えてんのよ⁉︎」
「御免、僕はそういう訳だからキャンセルで頼む。」
するとミカヅキとサチコとミサオが苦情を立ててきた。するとヒロキの頭にその声が耳障りに聞こえてきてきた。ヒロキは思わず頭を抱えてしまう。
「えー⁉︎ヒロちゃんってば遊びに行かないの⁉︎」
「ちょっと⁉︎あたし達に付き合うんじゃないの⁉︎」
「そうだよ‼︎アタシ達との約束の方が先だっただろ‼︎」
3人の声にアキとクララが苦言を立てる。するとその声さえも耳障りに聞こえたヒロキは頭を抱えてしまった。
「ちょっと、3人とも・・・その子本当に困ってるようだし・・・。」
「ヒロキは優しいデスから困ったあの子を見捨てられまセン‼︎それにワタシも友達を失いマシタ‼︎そんな事言うのハ‼︎」
「けど、そいつのモコとかいう奴の問題はそいつ自身が解決しなきゃならないじゃないですか⁉︎」
「そうですよ‼︎それに女の子との約束を破るなんて男の子としてどうかと思いませんか⁉︎」
「煩い‼︎煩い‼︎煩いんだよ‼︎」
その時、ヒロキが突然怒鳴り出した。思わぬヒロキの怒鳴り声にクララ達は固まってしまう。ヒロキはそんな自分に気付かずにクララ達に怒鳴り続けた。
「モコは・・・ただのペットじゃない‼︎その子の・・・大切な友達なんだろ‼︎困ってる人達を助けるのもGIRLSの役割じゃないのか⁉︎GIRLSの仕事じゃなかったのかよ‼︎」
「ふえええええぇぇぇぇぇ⁉︎」
ヒロキの思わぬ怒鳴り声に少し内気なユカは怯えてヨウの後ろに隠れてしまう。ミカヅキが思わずヒロキに言葉を掛ける。
「ヒロちゃん・・・そんなに怒鳴る事ないじゃん・・・。」
「そうですよ、見て下さい‼︎お陰でジャッパが怖がっちゃったじゃないですか‼︎」
ヒロキはミカヅキとヨウの言葉とヨウの後ろに隠れるユカの様子に我に返る。そして少し頭を冷やすとクララ達に謝罪の言葉を告げて自分を気遣うカン太に感謝の言葉を告げてその場を後にした。
「御免なさい・・・。コレに関しては僕は見過ごせない。モコ探しをさせてくれ。」
「お兄さん・・・大丈夫?」
「ああ、僕は大丈夫だ・・・・・カン太君、行こう。」
「うん。」
その後、ヒロキとカン太は川辺でカン太が何処でモコと出会ったか聞かされていた。ヒロキは川辺の土手に腰をかけながら同じく隣で腰をかけるカン太の言葉を聞いていた。
「モコとはこの川辺で出会ったんだ。」
「ここで・・・。」
「モコはいつだって僕のそばにいてくれた・・・。僕にはモコの言ってる事が分かるんだ。モコは嬉しい時は時は一緒に喜んでくれるし・・・一緒に辛い時や・・・人生に疲れた時はいつも励ましてくれたんだ。」
「人生に疲れたって・・・君幾つだよ・・・。」
「子供だって疲れるんだよ、お兄さん。」
すると突然、カン太が立ち上がった。立ち上がったカン太は大声を上げる。
「今、モコの声が聞こえた気がした‼︎」
「えっ⁉︎」
「モコが呼んでる‼︎『助けて』と叫んでる‼︎」
「ちょっ‼︎ちょっと待って‼︎」
立ち上がったあのカン太は突然走り出した。ヒロキは戸惑いながらカンタ太を追って走っていった。
「ヒロヒロがですか⁉︎」
「ええ・・・あんなヒロキは初めて見まシタ・・・。」
「そういえばキングジョーさんってヒロキと幼馴染なんですよね・・・。そのキングジョーさんでも見た事ないんですか・・・。」
「エエ・・・そもそもヒロキは心優しい性格で怒ると怖い一面もありマス・・・。でも基本的には優しい性格なのであんなに怒鳴る姿は見たことありまセン。」
「ヒロキ・・・どうしちゃったのかな・・・。」
その頃、GIRLS本部ではトモミ、ベニオ、ミク、ラン、レイカがヒロキの異変をクララ達から聞いていた。普段は温厚なヒロキがあんなに激情したことには幼馴染であるクララも戸惑いを隠せないようだ。そんな中、ミコがヒロキの異変について自身の意見を告げる。
「ねぇ、ヒロってばシャドウミストに取り憑かれてるんじゃないかな?以前のわたしみたいにさ。」
シャドウミストとは実体を持たずに人間に憑依して活動するシャドウの一種である。シャドウミストに取り憑かれた人物は凶暴化したり攻撃的になったりする。しかし、シャドウミストに取り憑かれた人間は気絶させると大人しくさせる事が出来る。そのため、シャドウミストに取り憑かれた人を見つけた場合は手加減した攻撃でなるべく傷つけないようにする必要があるのだ。
「シャドウミストに取り憑かれると攻撃的な性格になる・・・確かに今のヒロキさんの異変と同じだね・・・。」
「その可能性は低いと思う・・・。」
かつてシャドウミストに取り憑かれたキングジョーのファンの1人とミコに起こった事を整理してアキもその可能性を推測する。するとそこにゼットンとマコが入ってきた。今の言葉はゼットンが放ったものだ。そのまま2人は会話に入っていく。
「訳あってヒロキがシャドウミストに取り憑かれているか検査をした・・・しかしヒロキからは何の反応も無かった。」
「本当ですか、ゼットンさん⁉︎」
ゼットンは首を縦に振りながらアギラの言葉に答えた。続いてマコも発言する。
「さっき見た時にはアイツからシャドウミストの気配は感じられなかったわ。わたしにはそれがよく分かる。」
「そうか・・・マコは・・・。」
もう1人のガッツ星人の怪獣娘である印南マコはシャドウミストに取り憑かれたミコの分身がシャドウミストごと切り離されて生まれた存在である。そのため、彼女は生まれながらにシャドウミストの反応を感知する能力が出来ていた。
「マコマコが言うのなら間違いないでしょうが・・・なら何故ヒロヒロは・・・。」
その言葉にゼットンはヒロキにシャドウミストに取り憑かれているかの検査を行った事を思い出す。
「どうですか、ゼットンさん?」
ヒロキは検査室から出てきて自身の容体を聞く。ゼットンは何も表情を変えずに答えた。
「今のところは・・・シャドウミストの反応は無し。」
「そうですか・・・タイガ、取り敢えずは大丈夫だってさ。」
『そうか・。良かったぜ・・・。』
「でも・・・油断は出来ない・・・。」
ゼットンは少し考えるとヒロキとタイガ達に向かって自身の推測を交えながら話した。
「ヒロキ・・・貴方の中にいる3人のウルトラマンがシャドウミストの浸食を抑えている可能性もある・・・。」
「ええっ⁉︎本当ですか⁉︎」
「・・・シャドウやシャドウミストは闇に近い物・・・光を宿すウルトラマン・・・それも3人も宿している貴方は普通の人に比べるとシャドウミストに浸食される可能性が低いのかもしれない・・・。」
『つまり・・・私達の持つ光エネルギーはシャドウにとって天敵であると言う事か?」
「有り得ない事じゃないと思う。」
ゼットンの言う通り、シャドウは闇に近い存在である。彼女はその一種であるシャドウミストがヒロキに取り憑いた場合、タイガ達の光エネルギーがシャドウミストの浸食を妨げている可能性があると推測した。
「でも・・・ウルトラマンでも心に隙を見せればシャドウミストにつけ入られる可能性は否定出来ない・・・もしかしたら貴方の中のウルトラマンに警戒してヒロキの中で気付かれないように潜伏している可能性もある・・・・・充分気をつけて欲しい。」
「分かりました、ゼットンさん。」
『分かったぜ、ゼットンの姉ちゃん‼︎』
「ゼットンさん、どうしたんですか⁉︎」
「アギラ・・・何でもない・・・少し考え方をしていただけ・・・心配する事は無い。」
そして時は今に遡る。考え事をしていたゼットンの様子に異変を感じたのかアキが彼女に呼びかける。ゼットンはアキの言葉に気付くと表情を変えずに彼女の問いに答えた。
「一応検査では・・・ヒロキに異変は無かったけど・・・もしかしたらまだ気付かれない範囲でヒロキの中に潜伏している可能性もある・・・皆、気を付けて・・・。」
「ゼットン・・・分かりました。」
ゼットンの言葉にトモミが頷いた。するとトモミのソウルライザーに着信が掛かってくる。
「御免なさい、少し席を外しますね。」
「大丈夫ですよ。」
トモミは皆から離れて電話に出る。そして暫くして戻ってくると少し焦ったような表情になる。その異変に最初に気付いたベニオがトモミに話しかけた。
「ピグモン、どうしたんだ⁉︎」
「今、叔父から連絡があって・・・ここ数日、宇宙生物が市民に目撃されているようです!」
「宇宙生物が⁉︎」
「はい‼︎映像も送られてきました‼︎映像を出します‼︎」
トモミは叔父から送られてきた映像を写し出す。皆がその映像を確認した。するとその映像にはクララ達を驚かせるものが写っていた。
「こ、コレって・・・⁉︎」
「さっきの子の絵の‼︎」
その映像には先程の少年『カン太』が描いた絵の生物と瓜二つの生物が写っていた。
お盆休みの連続投稿は今日で終了です。
また金曜日の夜から日曜日にかけての投稿に戻ります。