(ウルトラマンタロウ・・・写真で見た通りだ・・・そうか・・・僕は・・・やっと・・・お爺ちゃんが・・・憧れていた・・・あの人に・・・。)
『ハッハッハ、待っていたよ‼︎我が友よ・・・。』
ヒロキが感激した気持ちになる中、トレギアはタロウの姿を見て不気味そうに笑う。タロウはタイガの姿を見ると彼に歩み寄り手を差し伸べる。タイガは思わずその手を掴むと戸惑いながら言葉を口にする。
『あの・・・父さん・・・俺・・・。』
「グギャアアアアアアア‼︎」
グリムドは再び唸り声を上げてタロウを睨む。タロウはグリムドに目を向けるとファイティングポーズを構えた。そして大きくジャンプして空中で体を捻りながら一回転し、得意技のスワローキックを放つ。それを受けたグリムドは思わず後退する。
「ギャアアアアアア‼︎」
グリムドは目にエネルギーを溜めて光線を放とうとする。その間を突いたタロウはグリムドに接近し、魔獣の体に何十発ものパンチを連続で撃ち込む。そして最後に力を込めて必殺のアトミックパンチをお見舞いした。かつてメフィラス星人の体に風穴を開ける程の威力の拳にはグリムドも怯みながら後退する。
(す・・・凄い・・・。)
かつて祖父が憧れたタロウの戦いぶりを見てヒロキは思わず呟くしかなかった。その時、グリムドが再びエネルギーを目に溜めて光線を放つ。その光線はタロウに向かって真っ直ぐ放たれるがタロウは左腕に備わったキングブレスレットを翳してバリアを張り、グリムドの光線を防ぐ。
「グギャ⁉︎」
「凄え・・・。」
「資料で見た事はあったけど・・・ここまで強いなんて・・・。」
「ああ・・・ウルトラ兄弟の1人なだけはあるな・・・。」
その戦いを見ているレッドキングとエレキングが感想を述べている中、トレギアはタロウと交戦するグリムドに視線を向けながら彼女達に話し始めた。
『今、タロウと戦っているあの怪獣の一部はまだ私の中に残っているんだよ・・・。』
「何⁉︎」
『引き裂かれた同士2つは1つになろうとする・・・だからグリムドは地球に姿を現したのさ。』
「トレギア‼︎まさかてめえ・・・。」
「地球を滅ぼすつもり⁉︎」
『そんな大層な事に興味はない・・・私の狙いはただ1人・・・ウルトラマンタロウ・・・タイガの父親さ。』
「何だと⁉︎」
彼女達がトレギアの言葉を聞いて思わずタロウの方に視線を向ける。その頃、タロウは自身のウルトラホーンにエネルギーを溜める。そしてウルトラホーンから鏃状の光弾『アロー光線』が放たれた。グリムドはアロー光線を受けて爆炎を起こす。3人のウルトラマンは思わずグリムドとタロウの戦いを観戦するがロッソの言葉で思わず我に帰る。
『タイガ!ヒロキ君‼︎見ている場合じゃないぞ‼︎』
『俺達も行くぜ‼︎』
『・・・‼︎そうだった・・・ヒロキ‼︎』
(ああ‼︎タロウさん、僕達も援護します‼︎)
『駄目だ‼︎』
自身の元に駆け出そうとする3人の若いウルトラマンをタロウは制止する。タロウは3人に向かって力強く言い放った。
『グリムドは私自らの手で必ず葬り去る‼︎』
そしてタロウが力を溜めると彼の体が炎に包まれていく。ヒロキとタイガはタロウが何をしようとしているのかを察する。
『そ、その技は・・・‼︎』
(ウルトラダイナマイト・・・‼︎)
『ウルトラダイナマイト』全身に炎を纏って敵に突撃し、自爆する最大の技である。自爆するだけあって計り知れない威力を持っているが自爆した分、かなりの体力を消耗するデメリットも抱えている。全身に炎を纏って燃え上がるタロウを見たトレギアはレッドキングの拳を避けると嬉しそうな声を上げた。
『そうだ・・・いいぞ・・・いいぞ・・・派手に燃え尽きろ‼︎』
そして至るところが炎に包まれたタロウはグリムドに突撃した。全身に炎を纏わせながら自分に組み付くタロウを振り払おうとするグリムドだがタロウの炎がその体力を奪う。グリムドはその様子を見て体から黒いオーラを放つ。その時、タロウはグリムドと共に大爆発した。煙が晴れていくとカラータイマーが赤くなったタロウがいた。ふらつくも何とかその足で大地を立つ父に思わずタイガが駆け寄った。
『父さん‼︎やりましたね‼︎』
嬉しそうに声を掛けるタイガだがタロウは一向にタイガの言葉に反応しない。そんな事も知らずにタイガは言葉を続ける。
『俺達を助けるために光の国からわざわざ来てくれたんですね‼︎』
(・・・タロウさん・・・?)
『・・・・・・。』
『そうだ‼︎父さんに紹介しなきゃいけない人がいるんです‼︎父さん、実は俺と一体化している地球人は父さんが』
(‼︎待って、タイガ‼︎)
タロウの様子を怪しんでいたヒロキが異変を察知してタイガに呼び掛ける。しかし、時は既に遅くかった。なんとタロウは自身の息子を前蹴りで吹っ飛ばしたのだ。これには後ろで見ていたロッソとブルも驚きを隠せない。
『タイガ‼︎』
『どういう事⁉︎』
ロッソとブルは困惑しながらもタイガを助けに向かう。するとタロウは無言で頭のウルトラホーンにエネルギーを集め、それを雷にして飛ばす。兄弟ウルトラマンはそれをまともに受けてしまった。そして2人の変身は解除され地面に投げ出される。
「ぐあっ⁉︎」
「ぐうう・・・‼︎」
『と・・・父さん‼︎』
吹っ飛ばされたタイガは背中に地面を付けて倒れている。そしてタロウは駄目押しとばかりにタイガの腹を踏み付けた。
『ぐっ・・・ああ・・・!』
「見て‼︎タロウさんのカラータイマーが‼︎」
「赤いまま・・・点滅していない⁉︎」
アギラとガッツ星人(ミコ)がタロウのカラータイマーの異変に気付く。トレギアと戦闘を交戦しながらその光景を見ていたレッドキングとエレキングもその事に気付き、タロウに視線を向ける。
「おい、どうなってんだ・・・⁉︎」
『ハッハッハッハ・・・・ハーッハッハッハ‼︎』
突然笑い出したトレギアに思わず2人は目を向ける。トレギアは笑いながら今の光景を見て愉快そうな声を上げる。
『ハッハッハッハ・・・ようやく私のものになったな・・・友よ・・・。』
「はっ・・・どういう意味だ⁉︎・・・まさか‼︎」
「貴方・・・最初からこれを狙っていたというの⁉︎」
その一方でヒロキ達も動揺を隠さずにいた。ヒロキはタロウを説得するが全く聞く耳を持たないタロウに顔を顰める。
(止めてください‼︎タロウさん!タロウさん‼︎)
タロウは更に足に力を入れてタイガを踏みつける。ヒロキは今のタロウの姿に疑念を抱いた。
(タイタス!フーマ‼︎タロウさんの身に一体何が起こってるんだよ⁉︎)
『恐らく奴は爆発のエネルギーと融合しそれを逆流させてタロウの体内に入り込んだのだろう‼︎』
(って事は‼︎)
『ああ、今のタロウを操ってるのはグリムドって事だよ‼︎』
『闇の世界へようこそ・・・。』
タロウはタイガの首を掴むと力の限り握り締める。タイガは父に首を締められながら空中に浮かび上がる。
『がっ・・・う・・・・あっ・・・・・・‼︎』
「止めてください、タロウさん‼︎」
「今、目の前にいるのはアンタの息子なんだぞ‼︎」
「タイガの事が分からないの⁉︎」
その光景を見ていた怪獣娘達が必死にタロウに呼び掛けるが彼女達の声はタロウに届かず、タイガの首はタロウに締められる。その光景を愉快そうに見るトレギアを見てレッドキングが体を震わせて怒りを露わにしながら殴り掛かる。
『フフフ・・・いいねぇ・・・実にいい・・・最高の気分だよ‼︎』
「トレギアァァ‼︎てめえぇぇぇぇ‼︎」
しかし、レッドキングの拳は簡単に受け止められ、逆に発勁による反撃を受けて彼女の体は吹っ飛ばされる。その時、エレキングが自身の鞭をトレギアの右腕に巻き付けて電撃を流し込む。
『ぐっ・・・‼︎』
トレギアはエレキングから流れる電撃に耐えながら自身の右腕に巻き付いた鞭を掴む。そして鞭をたぐり寄せてエレキングに近付くと再び発勁を放ちエレキングを吹き飛ばす。
「くっ⁉︎」
エレキングが大きくコンクリートを引き摺りトレギアを睨み付ける。するとトレギアは両手にエネルギーを溜めて光線を放つ。エレキングは光線を自身の盾で防いた。
「くっ・・・ぐぐ・・・‼︎」
しかし、彼女の盾もウルトラマンの光線に耐え切れる程頑丈ではなく光線の威力に次第に後ずさっていく。そしてトレギアが光線の威力を上げるともはや防ぎ切れる強度を超えていた。エレキングは光線をまともに浴びてしまう。
「きゃあああああああ‼︎」
「エレ‼︎」
ウルトラマンの光線をまともに受けたエレキングは大きく吹っ飛んで柵に激突し、地面に倒れる。レッドキングが彼女に駆け寄るとトレギアを睨み付けて拳を構えて殴りかかる。
「この野郎ぉぉぉぉ‼︎」
『フッ・・・。』
トレギアは両手にエネルギーを溜めてこちらに向かってくるレッドキングに目を向ける。そして彼女が自身の顔面に拳を浴びせようと近付いてきたタイミングで光線を放った。彼女はトレギアの顔面に拳を叩き込めるまで近づいていた故、至近距離からの光線を避けきれずその体が大きく吹っ飛ばされる。
「ぐあああああああああ‼︎」
レッドキングも大きく吹っ飛び、柵に激突するとエレキングの隣に倒れる。2人は目の前で余裕の仕草を見せるトレギアを強く睨み付けるがダメージを受け過ぎて立たずにいた。トレギアは彼女達にトドメを刺すため再び両手に力を溜め始める。2人は力の限り踏ん張って立ち上がろうとするが傷付いた2人の体は思うように動かなかった。思わず2人が自身の最期を覚悟した時、何者かがトレギアに飛び蹴りを仕掛ける。
「トレギアァァ‼︎」
『‼︎』
トレギアはその蹴りをかわすとそこにオレンジ色の隊員服を着た青年が着地していた。2人は思わずその青年に視線を向ける。その時、彼と同じ隊員服を着用した青年が隣に現れトレギアに掌から念動波を放った。トレギアはすぐさまその場から消えて念動波を避ける。トレギアが消えたことを確認した2人はレッドキングとエレキングに駆け寄った。
「2人とも大丈夫か?」
「あ・・・ああ。」
「お前達が怪獣娘だな?」
「貴方達は?」
「俺は礼堂ヒカル。こっちはショウ。地底の民、ビクトリアンの民だ。」
「ビクトリアン?」
エレキングは聴き慣れない単語に思わず疑問を受ける。その時、上から声が聞こえてきた。
「そう・・・そして・・・またの名をウルトラマンギンガ・・・ウルトラマンビクトリー・・・。」
「「「「⁉︎」」」」
彼らが声がした方向に目を向けるとそこにはトレギアが人間に擬態した姿である霧崎がいた。ヒカルとショウはトレギアを睨む中、レッドキングとエレキングは目の前の青年達を見て驚きの表情を見せる。
「う、ウルトラマンギンガに・・・ウルトラマンビクトリー⁉︎」
「確か・・・タイガ達に力を与えたウルトラマン・・・・・・そう・・・貴方達が。」
「やはり黒幕は貴様か‼︎」
「お前はこれが狙いだったんだな‼︎」
2人のウルトラマンの変身者が霧崎を睨む中、タロウはタイガを持ち上げるとその胸を2度殴りつけ、前蹴りで吹っ飛ばす。さらに角から電撃でタイガを追い詰めると両腕を上げて頭上に合わせ両腕を引き絞りエネルギーを集める。必殺技であるストリウム光線を放つ構えに入ったのだ。
『父さん‼︎もう止めてくれ‼︎』
タイガも必殺技であるストリウムブラスターを放つ構えに入った。そして2人のウルトラマンの必殺光線がぶつかり合う。
『ストリウムブラスター‼︎』
タイガは力を振り絞って迎え撃つもタロウのストリウム光線に押される。やがてタイガが力負けし、タロウの必殺光線が直撃した。
『ぐあああああああ‼︎』
タイガはストリウム光線をまともに浴び、大爆発を起こした。それを見て霧崎は両腕を広げて愉快そうな声を放つ。
「最高のショーが・・・開幕したぞ・・・。」
霧崎はそう言い残してその場から消える。その時、空中で変身が解除されたヒロキはそのまま地面に落ちていこうとしていた。それを見たレッドキングはヒロキを助けようと飛び上がろうとする。だが彼女がヒロキを支える前にショウがヒロキの体を支えていた。ショウはヒロキを受け止め地面に着地するとヒロキを下ろす。レッドキングとエレキングはヒロキに駆け寄った。
「ヒロキ‼︎大丈夫か⁉︎」
「は、はい‼︎・・・あの・・・この人達は?」
「礼堂ヒカルにショウ・・・タイガ達に力を渡したウルトラマンらしいわ。」
「こいつらがギンガとビクトリーらしいぜ。」
「えっ⁉︎」
思わずヒロキは2人の青年に目を向ける。その時、ヒカルとショウは白くなった短剣のようなアイテムと槍のようなアイテムを取り出した。
「早速だけど・・・俺達の力を返してもらうぜ。」
「は、はい‼︎」
ヒロキはタイガスパークからギンガレットとビクトリーレットを出現させる。それはヒカルが持つ『ギンガスパーク』、ショウが持つ『ビクトリーランサー』に流れていった。その時、2つのアイテムが色を取り戻す。そしてヒカルが語り出した。
「俺達はトレギアから抜け出したアイツの動きを封じるために結界を張った。その時、力を使い果たして変身が出来なくなっていたんだ。」
「トレギアから・・・アイツが・・・。」
「グリムドはトレギアが体内に封じ込めていた。」
「アイツこそがトレギアの強さ・・・力の源だ。」
「あの怪獣が・・・。」
「トレギアの力・・・。」
思わずヒロキと2人の怪獣娘は先程戦闘があった場所に目を向ける。ヒカルとショウもその方向に目を向けながら語り出す。
「タロウは息子を守るために犠牲になったんだろう・・・。」
「結果、トレギアの狙い通り2人は戦う事に・・・どこまで拗らせた野郎なんだよ。」
「トレギアは俺達が倒す・・・親友だった相手とタロウを戦わせたくない。」
ヒロキ達はヒカルとショウの言葉を聞きながら先程戦闘があった場所を見つめるしかなかった。
次回は怪獣娘とニュージェネレーションヒーローズの変身者と怪獣娘の絡みを中心にしたいと思います。