ラブライブ! 虹ヶ咲Z   作:ベンジャー

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例のあれがやはり賛否両論みたいなので、アレを見て傷ついた人は少しでもこれが癒やしになればなと思い、更新しました。


第2話 『隊長の副業』

 

 

 

 

 

 

 

世界に1番のワンダーランド、そんな場所に、行けると思っていたのに・・・・・・。

 

 

 

 

 

 

 

数日前。

 

「かすみさん!! もっと振りを大きく!! 熱量が感じられません!!」

 

それはゼットが地球に降り立つ、数日前の出来事。

 

スクールアイドル同好会がまだ廃部にされていない時の話・・・・・・。

 

そこで同好会のメンバーであるかすみ、彼方、エマ、しずくが部長のせつ菜の指示の元、ライブに向けてダンスの練習を行っていたのだが・・・・・・。

 

せつ菜は少々、熱が入りすぎてしまっているようでみんな少しだけ休みたい気持ちでいっぱいなのに、せつ菜はそのことに気付かない。

 

特に、かすみはぜぇぜぇと先ほどから息を切らしており、そんな彼女の様子を見てから詰め込みすぎは良くないと彼方がせつ菜に注意するのだが・・・・・・。

 

「そんな時間はありません!! スクールアイドルが大好きなんでしょ? やりたいんでしょう!? こんなパフォーマンスではファンのみんなに大好きな気持ちは届きませんよ!?」

 

もうじき自分達のライブがある。

 

そのため、ここ最近のせつ菜はかなりの気合いを入れてスクールアイドルの練習に熱を持って打ち込んでいたのだ。

 

しかし、彼女は熱を入れすぎているせいで練習内容は日に日にハードなものにエスカレートしていき、かすみ達は彼女のペースについて行くのも大変で仕方がなかった。

 

それに気付かず、先ほどの発言をしたせつ菜に対し、ここ最近溜っていた彼女への鬱憤を晴らすかのように、かすみは自分のスカートの裾を握りしめながらつい叫んでしまったのだ。

 

「でも!! こんなの全然可愛くないです!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

現在、ストレイジ日本支部では・・・・・・。

 

「ゲネガーグの襲撃以来、地底で眠っていた大型怪獣達のバイタルをはじめとする生体反応が確実に大きくなってる。 これはベムラーが襲来した時の状況とよく似てる・・・・・・」

 

司令部に設置されたスクリーンの画面を見ながら璃奈はゲネガーグが地球に飛来したことを切っ掛けにベムラーが襲来した時のように地底に眠る多くの怪獣達に影響が出ていることをライ達に説明しているところだった。

 

元々、ベムラーの出現が切っ掛けで怪獣達が目覚めるようにはなったが、そこまで数が多い訳では無かった。

 

だが、ゲネガーグが襲来した影響で以前にも増して地底に眠る怪獣達が目覚める可能性が高まっており、薫子はゲネガーグの襲来が目覚まし時計にでもなったのだろうかと呟く。

 

「その辺はまだ調査中。 でも、休眠怪獣の監視は強化すべきだと思う。 それと、ライさん」

「押忍!!」

 

名前を呼ばれた為、元気よく返事をするライだったが、それに驚いた璃奈は一瞬目を見開き、ビクッと肩を震わせ、そんな風に彼女を驚かせたライの後頭部を軽く引っぱたく薫子。

 

「璃奈ちゃんを怖がらせないの!」

「べ、別に怖がらせてるつもりは・・・・・・。 まぁ、でも、脅かせたのはごめん。 それで、りなりー? どうしたの?」

 

ライは璃奈に驚かせてしまったのを謝りつつ、自分に何の用だったのかを尋ねる。

 

「あの、ライさんが言っていたウルトラマンゼット・・・・・・で良いのかな?」

「押忍」

「彼についても引き続き調査を続ける予定」

 

それで一通りの説明を璃奈は伝え終えると倉名は「あぁ、それともう1つ」と他にも報告することがあった為、それを各メンバーに伝える。

 

「最近、この辺りで女性を狙った通り魔事件が立て続けに起こっている事件が発生している」

「通り魔事件・・・・・・っすか?」

「あぁ、目撃者の証言によれば銀色の怪物が人を襲っていたそうだ。 璃奈、画像を」

 

倉名は璃奈に指示をすると彼女は無言で頷き、モニターにその人型の銀色の怪物の画像を映し出す。

 

その画像はボヤけていたものの、それでもそれが人間ではないことは誰が見ても明白だった。

 

「こちらも現在調査中だが、こいつに対しても注意が必要だ。 仮に遭遇したとしても1人で対処しようとするな。 一般市民の安全を優先し、基地に連絡を入れるように」

「了解!!」

「押忍!!」

「・・・・・・了解」

 

倉名から連絡を受け、一同は返事をするとそのまま倉名は隊員達に「話は以上だ」と告げて解散するように指示するのだった。

 

「あぁ、それとライ」

「はい?」

 

一瞬、倉名はライの腰の辺りに装着されているメダルホルダー辺りに視線を向けると、その場から去ろうとするライを制止し、こっちに来るように手招きする。

 

「あれから身体はなんともないか?」

「えっ? いや、特に問題はありませんけど」

「そうか。 なんせ死にかけたんだ。 異常があったらすぐに言えよ」

 

ライの返答を聞いて倉名は笑みを浮かべ、ライの肩をポンッと軽く叩くと・・・・・・その時。

 

突如としてストレイジ基地の警報が鳴り響いたのだ。

 

『30メートル級の怪獣出現! ストレイジに出動命令!!』

「早速怪獣様のお出ましか。 薫子! セブンガーで出れるな! ライは現場で薫子のサポート、璃奈はここで出現した怪獣のデータ収集!!」

「了解!!」

「・・・・・・了解」

「押忍!!」

 

倉名はそれぞれライ、薫子、璃奈に指示を出し、ライはストレイジが保有する特殊車両「ステッグ」に乗り込み、薫子はセブンガーへの搭乗準備。

 

ちなみにライは運転免許持ってます。

 

「薫子、お前が言ってたセブンガーのスタビライザーの0.25%の誤差、あれ直しといたぞ!」

 

セブンガーのいる格納庫に辿り着くと、整備班班長である男性、「イナバ・コジロー」こと「バコさん」が出撃しようとする薫子に以前彼女が感じていたセブンガーの異常を直しておいたと報告し、薫子はバコさんに笑みを浮かべて「ありがとうございます!」と頭を下げてお礼を述べつつ、セブンガーのコックピットへと乗り込む。

 

「良いかお前等、10分で出すぞぉ!!」

 

そこからバコさんの号令で整備班達は即座にセブンガーの整備を完了させ、薫子がセブンガーに乗り込むと早速出現した怪獣の元に向かう為、ブースターを起動させて飛行させ、基地から発進、セブンガーは現場へと飛び立つ。

 

 

 

 

 

 

 

 

『セブンガー、着陸します! ご注意ください!』

 

そしてセブンガーは岩山の多い山奥に降り立ち、市街地に進行しようとする足が三本の蜘蛛のような姿をしている怪獣、「合成獣 ダランビア」と対峙する。

 

「ギュウアアア!!」

「これ以上は進ませないよ!!」

 

セブンガーはダランビアに向かって殴りかかるが、ダランビアは素早くジャンプすることで回避し、そのまま3本の足を使った跳び蹴りをセブンガーに喰らわせる。

 

「うわっ!? この!!」

 

ダランビアの攻撃に僅かにたじろくセブンガーだが、ダランビアは続けざまに口から光線を放ち、セブンガーは直撃を受けてしまう。

 

「ぐっ!!?」

 

どうにかしてセブンガーはダランビアを捕まえようと手を伸ばすが、ダランビアは素早くジャンプして回避し、背後に回り込んで光線を吐き出し、セブンガーの背中に直撃させる。

 

「鬱陶しい、ちょこまか逃げるなぁ!!」

「先輩、援護します!」

 

そこで現場に到着したライが「20式レーザー小銃」という武器を構え、弾丸をダランビアに撃ち込むが、ダランビアにはあまり通じておらず、ダランビアはライを無視してセブンガーに攻撃を繰り出す。

 

「クソ、だったらこいつだ!!」

 

そう言いながらライは「ウルトラゼットライザー」を取り出し、変身するためにトリガーを押すのだが・・・・・・何も反応しない。

 

「えっ? なんで!? ゼット、今!! 今戦う時!!」

 

一方、基地でその戦いの様子を見ていた倉名はダランビアの姿を見つめながら怪訝な顔をしていた。

 

(アイツは・・・・・・)

「不味いかも・・・・・・隊長。 あの素早い怪獣とセブンガーだと相性が悪いかも・・・・・・」

「確かにそうかもしれねえな、璃奈? だが、防御力とパワーではセブンガーの方が上だ! 薫子! 聞こえるか? セブンガーの防御力を生かせ! 奴の攻撃はそこまで大したもんじゃない、肉を切らせて、骨を断て!!」

 

倉名からの指示を聞いた薫子は「そうか!」と何かを閃き、ダランビアが口から光線を放ってくると、セブンガーは両腕を交差して光線をガード。

 

両腕で攻撃をガードさせつつセブンガーは構わずそのまま突進し、一気にダランビアとの距離を詰めると両腕を振るうことで光線を弾き、拳をダランビアの顔面に直撃させて身体を貫き、ダランビアは粉々に爆発して砕け散るのだった。

 

「よぉし!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

その後、戦闘を終えた後、ライは学校に行く準備をして登校することになったのだが・・・・・・ライは学校に登校しながらどうして先ほどゼットに変身できなかったのかずっと疑問に思っていた。

 

「ゼット、なんで変身させてくれなかったんだろう」

 

ライがそうこうと考えていると、突如としてライの目の前に光の扉、「ヒーローズゲート」が出現。

 

「うおわ!!?」

 

突然のことに驚くものの、それがゼットライザーを通してゼットが自分に何か伝えたいことがあるのかもしれないと即座に理解し、ライは周りに人がいないのを確認しつつ、恐る恐るヒーローズゲートの中へと入る。

 

「お、お邪魔しま~す」

 

中に入ると、ヒーローズゲートは閉じられ、代わりに自分と同じくらいのサイズになったゼットが現れる。

 

『よぉ、赤間 ライ・・・・・・だっけ?』

「あっ、うん、そうだけど・・・・・・。 ってかゼット! さっきはなんで出てきてくれなかったんだ!!?」 

『それはな。 ちゃんとギリギリまで頑張って、ギリギリまで踏ん張って俺達の気持ちがぐっと出来上がってからじゃないとウルトラマンにはなれないんでございますよ!』

 

ゼットからの説明を受け、「そういうもんなの?」と思いつつも、取りあえずは先ほど変身できなかった理由は分かった。

 

「それじゃ、今度はアンタが何者なのか教えてくれないか?」

『おう、そう言えばちゃんとした説明はまだでございましたな。 なら、改めて自己紹介だ。 俺はウルトラマンゼット、M78星雲 光の国からやって来て、俺は宇宙の平和を守る、宇宙警備隊のメンバーなんだ』

 

ゼットが言うには、今宇宙のあちこちで「デビルスプリンター」と呼ばれる邪悪な因子を飲み込んだ怪獣が凶暴化して暴れ回る事件が続いているらしい。

 

また、先輩ウルトラマン達の力が宿ったウルトラメダル、「ニュージェネレーションヒーローズ」と呼ばれるウルトラマン達と共に戦った女性戦士達の力が宿った「ヒロインズメダル」はその対応策として開発されたのだが・・・・・・。

 

あのゲネガーグが突然光の国を襲撃してきてメダルやそれを使うためのアイテムを丸呑みしそのまま逃げ出したのだそうだ。

 

『それで俺は師匠のウルトラマンゼロと一緒に追いかけたんだが、師匠は異次元空間に飲み込まれちまって・・・・・・。 俺が1人で奴を追ってこの地球まで来たって訳』

「・・・・・・思ったより、スケールでかいな。 グレンラガンかよ」

 

正直、思ってたよりかなり大事になっているようで少し圧巻されてしまうライ。

 

『俺の言葉遣い、ここまでで変なところありまへん?』

「う、うーん、まぁ・・・・・・うん」

『よし、とにかく先ずは散らばったメダルを全部回収しないとな』

「お、押忍」

 

戸惑いつつもライは頷き、1つ気になったことがあったのでそのことについてライはゼットに問いかける。

 

「そう言えば、ゼットって歳幾つ? 大事でしょ? そういうの! これからは2人で1人って感じなんだろ?」

『えっ? あ、あぁ。 大体、5000歳だけど・・・・・・』

「えっ? マジで? めっちゃ年上じゃん! あっ、いや・・・・・・マジですか? 滅茶苦茶年上じゃないですかゼットさん! なんかここまでタメ口聞いてすいませんした!!」

 

ゼットが5000歳だと聞いて、ついつい頭を下げて敬語を使い出したライに「な、なんだその言葉遣い!?」とゼットは驚く。

 

『ウルトラ気持ち悪いぞ。 やめて、やめてぇ~』

「そういう訳にはいかないでしょ、ゼットさん!! その辺ちゃんとしないと!! 改めて、よろしくお願いします!!」

『えっ、図が、図が低い・・・・・・』

 

すると、ライはもう1つ気になったことを腰のゼットホルダーを指差しながらゼットに尋ねる。

 

「ところで、これ目立ちすぎじゃありません? みんなにバレませんかこれ?」

『いや、大丈夫。 それは地球人には見えない物質で出来ている。 全然見えてない、誰も気付かなかった。 そもそも目立ってない』

「えぇ・・・・・・。 いや、まぁ、ゼットさんがそう言うなら・・・・・・」

 

 

 

 

 

 

それからゼットとの会話を終え、学校の授業を全て受けた後の放課後、果林とライは生徒会室の前に訪れており、ライは果林の方向音痴っぷりに付き合わされ、溜め息を吐いているところだった。

 

ちなみに、果林は歩夢や侑とは会ったことないのだが、果林は彼女等2人とはまた別のライの幼馴染みだからである。

 

「果林、お前は何時になったら道を覚えるんだ?」

「だってしょうがないでしょ!? 生徒会室なんて全然行ったことないんだからそりゃ迷うわよ!」

 

そしてなぜ果林がライと一緒なのかと言うと・・・・・・果林は生徒会室に行きたかったのに持ち前の方向音痴っぷりのせいで人に道を聞いても全く辿り着けず、そんな時偶然通りかかったライを発見し、とっ捕まえてここまで案内して貰ったという訳なのだ。

 

「まぁ、取りあえず案内してくれてありがとう。 あなたも一緒に来る?」

「なんで俺も誘うの?」

「優木 せつ菜さんのことについて生徒会長に聞く為よ。 あなたあの娘のファンなんでしょ? なんでスクールアイドルを辞めたのか、知りたくない?」

 

果林からせつ菜の名が出たことに少しだけ目を見開き、驚くライ。

 

なぜ驚いたかというと果林とは最近あんまり会っていなかったが、今まであまりスクールアイドルになんて興味が無さそうな感じだったからだ。

 

なのになぜ、今になってせつ菜のことをワザワザ生徒会長に尋ねに来たのだろうかと首を傾げ、ライは不思議そうに思う。

 

思うのだが・・・・・・正直、果林の言う通りせつ菜がスクールアイドルを辞めた理由は凄く気になる為、果林がどうして彼女のことが気になったかどうかなんてことより、せつ菜のことの方が知りたいと思い、ライは即座に考えを切り替え、「知りたいです!!」と勢いよく返事をした。

 

という訳で、果林は早速、生徒会室の扉をノック。

 

「なんのご用です? ライフデザイン学科3年の朝香 果林さん? それに、赤間さんもご一緒で・・・・・・」

 

扉をノックして果林とライは生徒会室に入ると、そこでは椅子から立ち上がった菜々の姿が1人だけあり、彼女は前回と同じように一発でここの生徒である果林の名前を言い当て、それに思わず小さな笑いが零れる果林。

 

「フフ、生徒全員の名前を覚えてるって本当なのね? じゃあ、優木 せつ菜さんのことも知ってる?」

「えぇ」

「スクールアイドルに興味があって・・・・・・。 でも、誰に聞いても学科もクラスも分からないのよね?」

「単純に果林が方向音痴だから見つけられないだけで・・・・・・むぐぅ!?」

 

それは単に果林が方向音痴だからせつ菜を見つけられないだけではないかと言おうとしたライだったが、果林に顎を鷲掴みにされて強制的に黙らされることに。

 

「今度余計なことを言ったら口を縫い合わすわよ?」

「い、イエス、サー・・・・・・」

 

例の筋肉映画の台詞から引用したジョークだろうが、果林がちょっとだけ怒ったのと掴まれた顎が少し痛いのでこれ以上余計なことは言わないようにライは口を閉じておくことに。

 

「・・・・・・同好会は優木さんとの話し合いの結果、廃部となりました。 スクールアイドルの話なら、彼女は会わないと思いますよ?」

 

一瞬果林は生徒会のファイルなどが入った棚に視線をやると、彼女は「そう、残念」とだけ静かに呟く。

 

「じゃあ生徒会長はせつ菜ちゃんがアイドル辞めた理由とかって・・・・・・!」

 

そこでライは菜々にせつ菜がなぜスクールアイドルをやめたのか、彼女ならばその理由を知っているのではないかと尋ねようとしたその時・・・・・・。

 

「きゃー! 猫よ~!」

 

という誰かの声が聞こえ、「猫?」と不思議に思いつつも菜々は生徒会室の扉を開けて外を確認すると急に目の前に猫が顔に飛びかかり、それによって「むぐっ!?」と思わず倒れそうになるとそれを見たライは「危ない!!」と叫んで倒れそうになった彼女を腕に抱きかかえて倒れないようにキャッチ。

 

「大丈夫ですか生徒会長!?」

「うぅ、あっ、すいませ・・・・・・」

 

だが、ライと菜々は即座に今、お互いに抱きかかえ、抱きかかえられているという状況に気付き、2人は顔を真っ赤にして慌てて離れ、ライはすぐさま菜々に対して土下座を行う。

 

「す、すいませんでしたぁー!!!! 俺なんかが女の子の身体を気安く触ったりなんかして・・・・・・!!」

「いえ、その、助けて頂きましたし・・・・・・って言うか言い方!! ちょっと言い方がなんか・・・・・・って!!」

 

そんなやり取りをライとやっている内に、先ほど自分に飛びかかってきた猫が去って行くのを見て菜々は「待ちなさい!!」と慌てて猫を追いかけるのだった。

 

それから菜々が去った後、未だに土下座してるライを放っておいて果林は先ほど視線を向けたファイルの入った棚に向かい、そこから1つのファイルを取り出すと即座にそれを鞄に入れ、まだ土下座してるライの背中をバァンっと強く叩き、起き上がらせる。

 

「いったぁ!!?」

「何時までやってるのよ。 生徒会長もういないわよ? 用は済んだし、帰りましょう?」

「お、押忍・・・・・・」

 

結局自分が1番聞きたいことは聞けなかったなーと思いつつ、ライと果林は一緒にその場を去って行き、それと入れ替わるようにこっそりと生徒会室に忍び込む影が・・・・・・。

 

それはサングラスにマスクを装着した、シリーズ恒例の不審者スタイルとなったかすみであり、彼女は生徒会室に誰もいないことを確認するとしめしめと部屋に入りって生徒会長の机の引き出しを探り、目的の物を発見。

 

それは「スクールアイドル同好会」と書かれたプレートであり、目当ての物を手に入れたかすみは心の中でガッツポーズをしていると・・・・・・。

 

「なにをしているんですか?」

「ふぎ!?」

 

いつの間にか菜々が戻って来てかすみの背後に立っており、それにビクリと肩を震わせたかすみは全身から汗を流し、彼女は「ひゃあああ!!?」と大きな悲鳴をあげる。

 

「もう戻って来たんですかぁ!? しかし、目的は果たしました!! さらば!!」

 

そう言うとかすみはそそくさとプレートを手に持ってその場を素早く走り去って行く。

 

「あっ、お待ちなさい!!」

 

しかし、待てと言われて待つ奴なんている筈もなく、かすみは菜々の言葉を無視して舌を出して彼女に「べー!」とだけそのまま去るのだった。

 

「・・・・・・全く」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

その後、プレートを手に入れたかすみは「にひひ、大成功です!」と意気揚々として同好会のあった部室へと向かうことになったのだが・・・・・・。

 

以前あった同好会の部室は既に「ワンダーフォーゲル部」という全く別の部活のものになっており、その事実に頭を殴られたかのようなショックを受けたかすみは絶望に染まったかのような顔を浮かべ、彼女はプレートを落とし、その場に愕然と両膝を突いてしまうのだった。

 

「わ、私達の部室が・・・・・・うぅ」

 

その時、背後から「コツン」と足音が聞こえ、それにビクリと震えるかすみ。

 

「ひぃっ!?」

「普通科1年、中須 かすみさん? 何を言いたいかは、分かっていますよね?」

 

それはかすみが予想した通り、菜々がそこに立っており、メガネを光らせ、やたらと殺気だった威圧感を出す彼女にかすみは今にも泣き出しそうな顔となり、「あわわわ・・・・・・!」と恐る恐る後ろを振り返る。

 

「ガクッ」

 

そのまま菜々は「後で生徒会室に来るように」とだけ言って立ち去ると、それと入れ替わるようにして彼女の元に1人の男性が現れ、四つん這いになって落ち込む彼女に男性は話しかける。

 

「んっ? あれ? かすみん? どうしたんだ?」

「く、倉名先生ぇ・・・・・・!!」

 

それはストレイジの隊長でもある倉名だったのだ。

 

尚、なぜ彼がこのような場にいるのかと言うと・・・・・・実は彼、スクールアイドルにかなり詳しい人物でもあり、彼は副業としてアイドル同好会でコーチのようなものもしていたからだ。

 

ビルドファイターズトライのラルさんみたいなもんである。

 

ちなみにこのことはライや薫子は知らなかったりする。

 

本人が全く周りに言っていないし、同じ学校にいるライの場合は恐れ多くて1人では同好会に近づけなかったからだ。

 

最も、ストレイジの仕事が基本メインなのであまり学校の方に顔を出せない日があったりもするが。

 

「倉名先生!! 今までどこ行ってたんですかぁ!? 先生がいない間大変なことになってたんですよぉ!!?」

「どこってストレイジの隊長してたに決まって・・・・・・あれ? ワンダーフォーゲル部ってなんだこれ? ここスクールアイドル同好会だった筈じゃ・・・・・・」

「私達の同好会、無くなっちゃったんですよぉ!!」

「えっ・・・・・・? ハァ!!?」

 

 

 

 

 

 

 

そのあと、かすみはあれから菜々に改めて呼び出され、滅茶苦茶怒られたのか、そのことに対してかなり不機嫌そうにコッペパンを食堂で頬張るかすみの姿があり、そんな彼女を励ますように、隣の席に座ってかすみの頭を撫でながら励ますしずくの姿があるのだった。

 

「あの意地悪生徒会長!!」

「怖かったね~? でも生徒会長室に忍び込んだりするからだよ」

 

また彼女等の向かい側にはカレーパンを頬張る倉名の姿も。

 

「ストレスを食欲にぶつけると大変なことになりますよって海未ちゃんが言ってたぞかすみん?」

「海未ちゃんって誰ですか」

「しっかし、俺がいない間にこんなことになってるとはなぁ・・・・・・」

 

かすみと比べると、かなり落ち着いているように見えるものの正直、倉名は自分がいない間に同好会が潰れてしまっているなんてことに納得はできず、どうするべきかと考え込む。

 

(こいつ等には可能性があると思ったんだが・・・・・・見込み違いだったか? いや、逆境がある方がむしろ『らしい』かもしれねェなァ?)

「・・・・・・部室、無くなったんだ・・・・・・」

 

そこで部室が無くなってしまったことにしずくが悲しげに呟く。

 

「こうなったら徹底抗戦だよしず子!!」

「えっ?」

 

かすみの言う徹底抗戦というのは・・・・・・「会長の横暴を許すな!!」「部室を返せ!!」という言わばデモのようなもののことなのだが、これに関してはしずくは苦笑することはしかできなかった。

 

「あはは、でも気持ちは分かるよ」

「でしょー!?」

「・・・・・・せつ菜さんには相談した?」

「っ・・・・・・」

 

せつ菜の名前を聞いた瞬間、彼女はプイッとそっぽを向き、「する訳ないじゃん!!」としずくに返す。

 

「そもそも部室以外で会ったことなかったし!」

「そうだね・・・・・・」

「アイツ、俺にも連絡先頑なに教えなかったしな。 ったく、なんでそんなに教えたがらないんだか・・・・・・」

 

どうやらアイドル同好会のコーチをやっている倉名にもせつ菜はなぜか連絡先を教えていなかったようで・・・・・・こんなことなら無理矢理にでも聞いておけば良かったと後悔する。

 

「しずく、いこ?」

「あっ、はい!」

 

そこへ丁度、演劇部の部長であるしずくの先輩が現れ、部長はそろそろ演劇部の活動の時間だからとしずくを迎えに来たようだった。

 

「ごめんなさい、演劇部の稽古に行かなくちゃ! 後で連絡するね!」

「えっ? あっ、ちょっとー!!」

 

そのまま演劇部の稽古に行ってしまうしずくをかすみは「ぐぬぬぬ・・・・・・!」と睨み付け、その後彼女は場所を学園の外へと移し、今度はそこにあったベンチで苛立ちながらパンを頬張っていた。

 

「しず子の薄情者~!!」

「だからそういう苛立ち、ストレスを食欲にぶつけると大変なことになるって言ってるだろ? アイドルなら体型意地もしっかり保たないとな」

「だって、だってぇ~!」

 

倉名からストレスを食欲にぶつけると大変なことになると先ほどから忠告されているが、こうでもしないと溜ったストレスが発散できないとかすみは涙目で主張し、そんな彼女にやれやれといった様子の倉名。

 

「それに、エマ先輩や彼方先輩にも連絡が取れないし、こんな時にあの人達は一体なにしてるんですか!!」

 

また、かすみが苛立っているのはこんな時なのに他の同好会のメンバーと全く連絡が取れないことも苛立ちの理由の1つだった。

 

「彼方はああ見えて結構忙しい身らしいからまぁ、連絡が取れないのは分かるが・・・・・・エマまで連絡が取れないってのはなぁ・・・・・・」

「こうなったらぁ! かすみんが部長になって同好会を存続させるしか・・・・・・!!」

 

こうなればとかすみは立ち上がり、自らが部長になることでアイドル同好会を存続させようと考え、それを聞いた倉名は「えぇ~?」と物凄く不安そうな顔を浮かべる。

 

「なんですか! なんなんですかその嫌そうな顔は!?」

「かすみんが部長って不安しかねえんだけど・・・・・・」

「かすみんにだって部長くらい出来ますよ!! 可愛い溢れる、かすみんワンダーワールドを作っちゃいますよ~!!」

 

倉名の不安を余所にかすみは既にやる気満々で後に退く気はないようだった。

 

「まぁ、理論上、スクールアイドルは別に1人でも活動できるが・・・・・・」

 

別にスクールアイドルは1人でやっちゃいけないなんてルールは無いが、エマや彼方とも連絡がつかない以上、ここはかすみを優先的にアイドルとして育てるべきかと倉名は思ったが・・・・・・。

 

「この際ソロも悪くねえが、やはり仲間がいてくれた方がやりやすそうなんだよなぁ」

 

やはり出来れば一緒に活動してくれる仲間が欲しいし、部員が多くいれば部室を取り戻せるかもしれないし、そっちの方が同好会としても活動しやすくなるだろうと倉名は考え、先ずは部員の勧誘をすべきだとかすみに提案しようとしたその時・・・・・・。

 

「しかし、歩夢がスクールアイドルになりたいと聞いた時は驚いたなぁ。 でも、歩夢ならきっと人気出ると俺は思うぞ?」

「ありがとう、ライくん」

「でも、スクールアイドルってどうやってなるんだろう?」

「「えっ?」」

 

丁度、そこに帰宅途中の侑、歩夢、ライが通りかかり、スクールアイドルってどうやってなれば良いのだろうかと悩んでいる3人の姿が。

 

「スクールって言うくらいだから部に入らないとダメなんだろうけど・・・・・・ライくんは知らないの?」

「いや、俺は何時もせつ菜ちゃんを応援してるだけだったから・・・・・・どうやってなるのかまでは・・・・・・」

 

侑や歩夢よりも以前からスクールアイドルを知っている癖に、相変わらずこういう時に役に立たないなと呆れた視線を侑から送られてしまうライ。

 

「なんだよ、その目は」

「いや、別に・・・・・・」

「せんぱーい!」

「「うわっ!?」」

 

すると、そこへ侑や歩夢の肩に両手を乗せ、ニコニコした笑顔で早速勧誘してくるかすみの姿が。

 

「スクールアイドルに、ご興味あるんですかぁ?」

「俺達は怪しい者じゃない、大丈夫。 スクールアイドルに興味があるならちょっと俺達と話さないか? 大丈夫、悪いようにはしないからぁ~!」

 

かすみに続くように彼女と同じようにニコニコ笑顔の営業スマイルで倉名も早速歩夢や侑に話しかけて彼女等を勧誘するのだが・・・・・・正直、かすみだけならまだしも、倉名のニコニコ笑顔は怪しさの塊でしかなく、物凄く悪そうな人にしか見えないことから歩夢や侑は若干ドン引いていた。

 

「って隊長!? 何してんすか!?」

「あっ? ライ? なにお前、このお嬢さん方の知り合いなの?」

 

そこでライや倉名お互いの存在に気付き、ライはなぜ倉名がこんなところにいるのかと心底驚き、一同は詳しい話をするため、近くのベンチに3人を座らせることに。

 

「スクールアイドル同好会、2代目部長のかすみんこと中須 かすみでーす♪」

 

くるっと可愛らしく回ってぶりっ子のようなポーズを決めながらライ達に自己紹介を行うかすみ。

 

(あざとい)

(あざとい)

 

かすみの自己紹介にそんな感想を抱きつつ、倉名は咳払いし、彼もライ達になぜストレイジの隊長である自分がここにいるのかを説明する。

 

「俺、副業としてこいつ等アイドル同好会のコーチやってんの」

「えっ、俺、それ初耳なんですけど・・・・・・」

「だって言ってないもん、聞かれもしなかったし」

 

倉名は言ってないし、聞かれもしなかったからとライの質問にそう応え、そんな彼の言い分に若干不満げなライ。

 

「でも隊長、俺がスクールアイドル好きなの知ってましたよね!? コーチやってるってことは隊長も好きなんでしょ!? もっと早く知ってたら隊長と語り明かしてたのに・・・・・・!!」

「確かに俺はスクールアイドルについて詳しいがな、俺の場合はちょっと特殊なんだよ」

「特殊?」

 

てっきりコーチなんてやってるくらいだから倉名もスクールアイドルが好きなんだろうと思ったのだが、どうにもただ単純にスクールアイドルが好きという訳ではないようだった。

 

「理由の1つはストレイジの給料が松茸買えないくらい安いからってのがあるな。 他にも理由はあるが・・・・・・まぁ、その辺の話は後だ。 俺のここでの働き口潰さない為にも今はこちらのお嬢さん方を勧誘させろ。 ってことでお嬢さん方! お名前を伺ってもよろしいかな?」

「何故だろう、隊長が歩夢と侑に怪しい勧誘してるようにしか見えないのは・・・・・・」

「誰が怪しい勧誘だ」

 

どこかで闇のアイドル勧誘とか言われてそうである。

 

「えっと、私、高咲 侑です!」

「上原 歩夢です。 でも、同好会って廃部になったんじゃ・・・・・・」

 

同好会は確か廃部になった筈なのにと尤もな疑問を歩夢がかすみや倉名に尋ねると、倉名は苦い表情を浮かべながら「確かに1回潰れたが・・・・・・」とだけ応える。

 

「潰れてませんよ!! 諦めなければ同好会は永遠に続くのです!!」

 

しかし、即座に倉名の言葉を否定し、彼女は自分の中からコッペパンを「お近づきの印に」としてライ、歩夢、侑の3人に渡す。

 

「いいの?」

「はい♪」

 

ライ達はかすみから渡されたコッペパンを手に取り、包装紙を破ってパンを食べると、3人は目を輝かせる。

 

「「んっ!? 美味しい!!」」

「確かに美味い。 これ、あそこのお店のやつ?」

 

ライがよくニジガクの生徒達などが訪れるいきつけのパン屋のコッペパンの商品かと尋ねるが、かすみは「チッチッチ!」とドヤ顔で否定する。

 

「そのパンはかすみんの手作りですよ?」

「マジで!? 滅茶苦茶美味しいじゃん!」

「へぇー! 流石スクールアイドル! こんなに可愛いくて料理までできるんだ!!」

「へっ? 可愛い?」

 

侑の「可愛い」という言葉にかすみは頬を赤くし、「そんなぁ~!」と頬に両手を当てて身体をくねくねさせる。

 

「そりゃ確かにかすみんは可愛いに決まってますけど~! 侑先輩、見る目ありますね~!」

「へっ!?」

「そうかなぁ? 誰が見たって可愛いよ?」

「へえっ!?」

(さっきから歩夢の奴どうしたんだ・・・・・・)

 

間に挟まれながら、侑とかすみのやり取りを交互に見てなぜか驚くような声をあげる歩夢。

 

そんな歩夢をライは一体どうしたんだと不思議そうに見つめる。

 

「ホントですかぁ~!? じゃあ先輩方! そんな可愛いかすみんとスクールアイドルになりませんかぁ?」

「えっ?」

「大丈夫かなぁ?」

 

かすみはそのまま本題に入り、ここから本格的に歩夢や侑をスクールアイドルに勧誘しようとするが、歩夢はまだ不安なようで、侑の方を見ながら大丈夫だろうかと尋ねると、侑も「うーん」と唸る。

 

「大丈夫です! 信じてください!! かすみん、最強に可愛いスクールアイドル同好会にしてみせますから!!」

「っ、可愛い・・・・・・?」

 

かすみの「可愛い」という言葉に反応し、一瞬侑の方に視線を向けた歩夢は「だったら・・・・・・」と呟く。

 

「だったら、やろうかな?」

「入部決定ですね!!」

 

歩夢のその言葉を聞いた瞬間、かすみは嬉しそうに歩夢の両手を握りしめる。

 

「あっ、ちなみに私はアイドル志望って訳じゃないんだ。 歩夢を応援したくて!」

「なんだ、てっきり歩夢がやるんなら侑もやるかと思ったんだが・・・・・・」

「それって、専属マネージャーってことですか?」

 

侑は別にスクールアイドルをやるつもりはなく、ただスクールアイドルの歩夢を応援したいだけだとかすみに話し、つまりそれは彼女のマネージャーをやりたいということなのかとかすみは尋ねるが、侑はイマイチ、ピンッと来ていないようで「そうなのかなぁ?」と不思議そうな顔をしていた。

 

「ズルいです! それならかすみんのサポートもしてください!」

「へっ!?」

「スクールアイドルとしてはかすみんが先輩ですからね~? 部長には絶対服従ですよ?」

 

ウインクしながら侑に自分のサポートも侑にお願いするかすみ。

 

それに快く「分かったよ」と侑もそれを引き受ける。

 

「分かったよ、中須さん」

「もっと気軽に呼んでくださいよぉ!」

「だったら、『かすかす』だね!」

 

かすみが気軽に呼んで欲しいと頼んで来たので、歩夢は親しみを込めて「かすかす」というあだ名で呼ぼうとしたのだが、かすみは「かすみんです!!」と即座にそのあだ名を拒否。

 

「えっと、中須 かすみだからかすかすかなって」

「かすかすは悪口に聞こえるからちょっとやめとけ歩夢」

「でもかすみんは腹黒系スクールアイドルだからあながち間違ってないような気もするけどなぁ?」

 

「かすかす」はちょっと悪口に聞こえるという理由で、それはやめとけと言うライ。

 

だが、かすみはちょっと腹黒いところがあるのであながち間違ってないのではないかと倉名は主張。

 

「って誰が腹黒ですか!?」

「お前この前俺にタバスコ入りコッペパン食わせただろ」

 

誰が腹黒だと怒るかすみだったが、倉名は額に青筋を浮かべて以前タバスコ入りコッペパンを自分に食べさせたことを例に出し、それを受けてかすみは「あ、あれは材料を間違えて・・・・・・」と目を泳がせながら材料を間違えただけだと言い訳するが・・・・・・。

 

「嘘つけ!! せつ菜達にも振る舞ってたけど、アイツ等普通に食ってたし、俺のだけタバスコ入りって明らかにロシアンルーレット的なやつ狙ってただろ!?」

「うっ、うぅ・・・・・・。 もう!! かすみんって散々アピールしてるんだからそれでお願いしますよ歩夢先輩!」

「あっ、話無理矢理反らした」

 

倉名に追い詰められ、こうなればとかすみは無理矢理話を軌道修正させ、侑は先ほどから自分のことを「かすみん」と呼んでいたのはてっきり一人称なのだと思ったのだが、それがアピールだったことに少しだけ驚き、かすみは自分の鞄を持って「早速同好会の活動を始めますよ!」と宣言。

 

「ついて来てください!」

 

そのままかすみに連れられてライ達は彼女について行くことになるのだが、その途中、ライはかすみか倉名に先ほどからずっと聞きたかったことについて尋ねることに。

 

当然、それはせつ菜のことだ。

 

「隊長、隊長だったら、せつ菜ちゃんがどうしてアイドル辞めたのか、理由知ってたりします?」

「知らん、そんなことは俺の管轄街だ。 アイツが辞めた理由は誰も知らない。 せつ菜が勝手にいきなり辞めたんだ。 ったく、俺にも何も言わず、勝手に辞めるとかふざけんなっつの」

 

倉名はせつ菜がコーチである自分にも連絡を寄越さず、勝手にスクールアイドルを辞めたことをボソボソと愚痴る。

 

「ってかなんでお前もついて来てんだよ。 別に同好会入ってこいつ等のマネージャーするとかじゃねえんだろ?」

「まぁ、そんな時間ありませんからね。 でもここまで来たら気になるじゃないっすか。 幼馴染みがスクールアイドルやるって言うんだから!」

 

ストレイジのメンバーである以上、同好会や部活などに入ってる暇はないライになんでついて来るんだと倉名は尋ねるが、用は興味本位でついて来てるだけであり、倉名もついて来るだけなら別に問題はないかと納得し、ライの同行を許すのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

その後、一同はなぜか近くの公園で老人達とゲートボールしたり、ドリルの音が五月蠅い工事中の場所、子供が遊んでていっぱいの公園など色々な場所を廻ったのだが・・・・・・。

 

「これスクールアイドルとどういう関係があるの? ゾンビラ〇ドサガなら町の人達と交流しろって感じの内容だと思うけど」

 

実際、歩夢が老人達とゲートボールしたり、工事現場は音が五月蠅すぎて互いの声が全く聞こえなかったり、歩夢が子供達とパペットを両手につけて一緒に遊んだりするだけでスクールアイドルの活動と全く関係なさそうなことしかしていなかった。

 

「なんでワザワザ学園の外に?」

「かすみんは生徒会に睨まれてますから、校内での活動は厳しいのです」

 

子供を肩車し、頬を抓られながら同じように子供を肩車し、ツインテールを引っ張られる侑の質問に応えるかすみ。

 

「君なにしたの?」

「あっ、あそこなら!」

 

そこで侑はぴっかーんと何か閃いたようで一同は再び場所を移動。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そこは東京湾近くの臨海公園であり、周囲も静かで人通りも少ない。

 

「おぉ~! 広いです~!」

「ここなら、迷惑にならないでしょ? どうかな?」

「バッチリです! ここにしましょう!」

 

かすみもここなら同好会の活動に持ってこいだと彼女も納得し、目の前にある石造りのサークルベンチの上に鞄を置き、そこから取り出した同好会のプレートを鞄の上に置く。

 

「じゃーん!!」

 

しかし、そのネームプレートには「かすみんのスクールアイドル同好会」と書き足されてはいるが、それは紛れもなく、以前ライ、歩夢、侑の3人で同好会を訪れた時と同じネームプレートであり、そのことに気付いて首を傾げる侑。

 

「あれ? このネームプレートって・・・・・・」

「かすみんが生徒会室から取り返して来ました! 無断で・・・・・・」

 

最後にボソッと付け足すと、歩夢は「だから睨まれてるんだ・・・・・・」と呆れた視線をかすみに送りながら納得するが、逆に倉名はかすみの頭をポンポンっと軽く撫で、褒め称える。

 

「よくやったぞかすみん!! 流石だ!! 生徒会ざまぁ!!」

「いや、隊長これ褒め称えたらいけないやつっすよ!?」

 

立場的に倉名はかすみの行動を褒め称えてはいけない立場だろうとツッコミを入れるライだったが、倉名はそれを鼻で笑い、「知るか」と一蹴する。

 

「民衆や、メディアや、世界さえもそこを退けと言われたら・・・・・・真実の川の傍で木のように根を下ろし、こう言い返せ、『そっちが退け』ってやつだ」

「キャップの名台詞で誤魔化すのやめてください隊長」

 

尚、正確にはPS4のアベンジャーズでキャップの台詞を引用したカマラが言った台詞の模様。

 

「なにはともあれ! しばらくはここが虹ヶ咲学園スクールアイドル同好会の部室ですよ~!」

 

両手を広げて高らかに宣言するかすみ。

 

「ダンスや歌の練習は追々始めるとして先ずは部員をゲットです!」

「なんで部員募集からなの?」

「人がいっぱいいた方が可愛いかすみんが引き立つからです!」

 

侑からの問いかけからの返答に、苦笑する歩夢。

 

「いや、でもそれって下手したらかすみん逆に存在が霞む可能性もあるんじゃねえの? かすみだけに、フフ・・・・・・」

 

人がいっぱいいたら下手したら逆にかすみの存在が霞んでしまうのではないかと闇のオヤジギャグぶちかましながら危惧する倉名。

 

そんな倉名に冷ややかな視線を送るライ達。

 

「隊長、つまんないっす」

「えっ、そう?」

「ぷっ、ふふ、あははは!! いやいや! 隊長さんそのギャグ面白すぎだって!!」

 

ただ侑だけは受けたようで、彼女はお腹を抱えて大笑いしていたが。

 

「この娘には受けてるじゃねえか」

「侑は笑いのツボが赤ちゃんレベルなので」

「っていうかそもそも、霞んだりなんてしませんよ! 私を誰だと思ってるんですか!? 超絶可愛いかすみんが、ちょっとやそっとで存在が霞むことなんてありませんよ!」

 

そしてそんなかすみの自信は一体どこから来るのかと疑問に思うライ。

 

「自分に自信があるのは良いことだぜ? 自分を認めてやるのは大事なことだ。 自分を信じない奴は何をやってもヘマばかり・・・・・・」

 

だが倉名はかすみのそういうところを気に入っているようで、だからこそそういう奴はスクールアイドルに向いてるのだという。

 

「兎に角!! 手っ取り早く部員を集めるならこれでしょ!?」

 

そこからかすみは話を戻し、彼女は部員を集めるならこれだとスマホを取り出すと、それを「んんっ?」と不思議そうに見つめるライ達。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「やっほぉ~! みんなのアイドル! かすみんだよ~! かすみん、虹ヶ咲学園スクールアイドル同好会の部長になったんだけどぉ~? そんな大役が務まるかとっても不安~! でも、応援してくれるみんなの為に日本一可愛いスクールアイドル目指して頑張るよ♪」

 

かすみが部員を集める方法として取った行動、それはスクールアイドルの自己紹介動画を撮影するというもので、侑に自分のスマホを預け動画で撮影して貰い、かすみは先ずは自分がお手本を歩夢達に見せるのだった。

 

「・・・・・・はっ?」

「あざとい」

「あざとい。 だが、それが良い! 良いぞぉ!! かすみん!! そういうの刺さる奴には刺さるからな!!」

 

かすみの自己紹介シーンを見た歩夢は思わず間の抜けた声を出してしまい、ライはそんなかすみをあざといと評し、倉名もライと同じようにあざとさを感じたもののむしろそれが良いと彼女を褒め称える。

 

「うわああ~!! スクールアイドルの自己紹介初めて生で見たー!! ときめいたよ、かすみちゃん!!」

 

また侑は思わずスマホを投げ出してしまうほどかすみの自己紹介シーンが凄く可愛いと興奮し、歩夢は侑が投げたスマホを受け止めながらそんな風に興奮する彼女に「へっ!?」と引き攣った顔を浮かべる。

 

「えへへ~、侑先輩流石! 分かってますね! これを動画サイトに投稿して部員募集をします。 次は歩夢先輩ですよ、今みたいにお願いしますよ!」

 

歩夢からスマホを受け取りつつ、かすみは今度は歩夢もお願いしますと頼みながらスマホの動画アプリを起動させるが、それに対して歩夢は「えっ、ええええ!!?」と頬を赤くしていきなり話を振られたことに驚く。

 

「無理無理!! 無理だよ!! 恥ずかしいよぉ!」

「なにが恥ずかしいんですか! 自己紹介はスクールアイドルの第一歩ですよ!?」

「目が怖いよ、かすみちゃん・・・・・・」

 

物凄く真剣に、鋭い目つきで語るかすみを見てちょっとだけ恐怖を感じる歩夢。

 

「大丈夫です! かすみん程じゃないですけど、歩夢先輩も十分可愛いですから! 張り切っていきましょー!!」

「胸の大きさではボロ負けしてるけどな」

「フン!!」

 

なんて余計なことを口走ったせいで倉名はかすみに足を思いっきり踏まれてしまい、倉名は「いってえええ!!?」と悲鳴をあげながら踏まれた足を両手で押さえる。

 

「今のは隊長が悪い」

 

結局、そのまま歩夢の自己紹介動画は撮影されることとなり、かすみが撮影をスタートさせると歩夢は頬を赤らめ、モジモジしつつも自己紹介を行う。

 

可愛い。

 

「あっ、えっと、虹ヶ咲学園普通か2年の上原 歩夢です・・・・・・。 あ、あの、私・・・・・・す、スク・・・・・・!」

「声が小さいですよ!」

「あっ、ご、ごめん! 私、スクールアイドルになりたくてぇ!!」

 

かすみに声が小さいと注意されたため、大きな声を出す歩夢だが、今度は声が大きすぎると彼女はかすみから注意されてしまう。

 

「今度大きすぎです! ちゃんとファンを思い浮かべて!」

「・・・・・・ファン・・・・・・うぅ」

「不合格ですね!」

 

かすみは歩夢は自己紹介が全く上手くできていないと注意し、それに対して溜め息を吐き出す歩夢。

 

「なに言ってんだかすみん! 最初のやつとか、モジモジなのが、良いんだろうが!!」

「あっ、それはなんか分かります隊長!」

「なんなんですかこの2人は・・・・・・」

 

あそこの歩夢ちゃんのモジモジ可愛いよね!

 

「作者まで会話に参加しようとしてんじゃないですよ!!」

「それよりも! 急にいきなりは恥ずかしいよ!」

「仕方ありませんねぇ・・・・・・」

 

溜め息を吐きつつ、それならばとかすみは歩夢に両手を頭の上に置くように指示。

 

それに疑問に思いつつも言われた通りにする歩夢。

 

「こう?」

「語尾にぴょんを付けてみましょう!」

「ぴょん!?」

「ぴょん!!」

 

そのままかすみは歩夢に語尾に「ぴょん」をつけるように言い放ち、それに前回歩夢に断られたからか「うさぴょん!!」と興奮する侑。

 

「ええええ!!?」

 

だが、流石にそれは恥ずかしすぎると歩夢は顔を真っ赤にし、かすみは「さあ!」と目をギラつかせながらスマホを構える。

 

「さあ!!」

 

歩夢は大量の冷や汗を流し、「恥ずかしすぎるから無理!!」とは思うものの、侑が物凄く期待に溢れた眼差しを自分に向けてくる為、無碍にできないと断ることもできず・・・・・・。

 

「あ、歩夢だぴょん・・・・・・」

 

結果、うさぴょんをやることに。

 

しかし、あまりに小声だった為、「声が小さい!!」とかすみから注意されリテイク。

 

「歩夢だぴょん!!」

「もっとうさぴょんになりきって!!」

「うさぴょんだぴょん!!」

「ぴょんに気持ちが籠もってない!!」

「ぴょーーーーん!!!!」

 

半場涙目でヤケクソに気味に叫び、かすみから何度もやり直しを言い渡されるハメになる歩夢だった。

 

 

 

 

 

 

 

それから、歩夢は何度も自己紹介動画を撮影したのだが、彼女は恥ずかしがって中々良い動画を撮ることができず、今日はもう無理だと思い撮影は一旦中止。

 

そのまま一同は場所を移動し、木製ベンチのあるところに座って少しだけ休むことに。

 

「週末には動画をアップするのでちゃんと自主練しておいてくださいね?」

「可愛い怖い可愛い怖い可愛い怖い・・・・・・」

 

かすみからちゃんと自主練習をしておくように言い渡される歩夢だが、彼女は先ほどから「可愛い怖い」という言葉を繰り返しブツブツと呟いており、完全に「可愛い」という言葉が彼女のトラウマになっていた。

 

「トラウマになってるじゃねーか」

「さっきのモジモジ動画じゃダメなの?」

「多分歩夢先輩的にはこっちはこっちで恥ずかしいからヤダって言いそうですし、ああいうのは一部の人にしか受けなさそうですから」

 

ライはさっきの歩夢のモジモジ動画使えば良いんじゃないのと思ったが、出来れば老若男女受けるような動画をかすみは作りたいようでライの提案は却下された。

 

かすみのあの自己紹介やあゆぴょんは老若男女に受けるかどうかは微妙な気がするが。

 

「可愛いって大変なんだね?」

「アイドルの基本ですから!」

「でも、せつ菜ちゃんのは可愛いって言うよりはカッコイイって感じだったなぁ!」

 

かすみから返ってきた言葉に、侑は「でもせつ菜は可愛いというよりもカッコイイ感じ」だと返し、かすみはそんな侑を不思議そうに見つめながら「せつ菜先輩を知ってるんですか?」と問いかける。

 

「うん、一度遠くから見ただけなんだけどね!」

「ちなみに俺もせつ菜ちゃんのこと知ってるぞ、ファンだからな!!」

 

高らかにせつ菜のファンであることを公言するライに対し、ジトッとした視線を見つめるかすみ。

 

大方なんで自分じゃなくてせつ菜なんだみたいなことを思っているのかもしれない。

 

せつ菜の方がかすみより先にスクールアイドルやってたっぽいのだから仕方がない部分もあると思うが。

 

「そう言えば気になってたんだけど、同好会ってなんで廃部になったの?」

 

そこで侑はどうして同好会が廃部になったのかをかすみに尋ね、ライもそう言えばせつ菜がアイドルを引退した理由は知らないが、廃部になった理由も知らなかったなと思い、興味深そうな顔を浮かべる。

 

「俺も廃部になった理由知らねえ」

「隊長、コーチなんすよね?」

「しょうがねえだろ!! 久しぶりに顔出したら廃部になってたんだから!!」

 

なんでコーチやってる倉名が同好会が廃部になってた理由知らないんだとツッコむライに対し、そう反論する倉名。

 

「・・・・・・元はと言えば、せつ菜先輩がいけないんです」

「えっ?」

「グループを結成した時は結構良い感じだったのに・・・・・・。 お披露目ライブに目標決めた辺りから・・・・・・なんかピリピリして来て・・・・・・。 『こんなパフォーマンスではファンのみんなに大好きな気持ちは届きませんよーー!!』って!! だからかすみんもムッキーってなっちゃって、そのまま・・・・・・活動、中止に・・・・・・」

 

かすみの声は徐々にトーンが下がっていき、そのまま顔を俯かせる。

 

「熱が入りすぎて、空廻っちまったってことか」

「うーん、かすみちゃんもせつ菜ちゃんも、ファンに届けたいものがあるんだね!」

 

倉名はかすみの話を聞いて同好会が廃部になった最初の切っ掛けはそれかと理解し、侑もかすみの話を聞き終えてそう言うとかすみは「当たり前ですよ!」と言葉を返す。

 

「スクールアイドルにとって、応援してくれるみんなは1番大切なんですから!! より一層可愛い「うっ!?」アイドルである為に「うううう!!?」」

 

直後、かすみの「可愛い」という言葉を聞いた瞬間、隣に座っていた歩夢が頭を抱えて怯えだし、またもやトラウマが発症。

 

「可愛いってなに? 可愛いって難しい・・・・・・」

「この娘、今『可愛い』って言葉が頭の中でゲシュタルト崩壊起こしてそうだな」

「かすみちゃんのせいだぞ!! なんとかしろ!!」

 

倉名はきっと今歩夢の頭の中は「可愛い」という言葉に埋め尽くされているんだろうなと思い、ライはこうなってしまったのはかすみのせいだからなんとかしろと主張。

 

「いや、なんとかしろと言われましても・・・・・・。 もう、そんなんじゃ、ファンのみんなに可愛いは届きませんよ? あっ・・・・・・」

 

未だに「可愛い怖い」と呟き続ける歩夢にかすみはそんなんじゃダメだと言うが、そこでかすみははっとあることに気がつく。

 

それは、今、「自分がせつ菜と同じことをしているのではないか」ということに。

 

歩夢に「可愛い」を押しつけてしまっているのではないかということに。

 

「かすみちゃん?」

「もしかして・・・・・・かすみん、同じことしてる・・・・・・?」

 

顔を俯かせ、唖然とした表情を浮かべるかすみ。

 

「どうしたかすみん?」

「倉名先生、私・・・・・・!」

『フォフォフォフォフォ!!!!』

「「「「!!!!?」」」」

 

その時、ライ達の前に突然空中から銀色の人型の異星人、「分身宇宙人 フリップ星人」が現れたのだ。

 

『フォフォフォフォ・・・・・・!!』

「ひひゃああ!!? なんですかぁ!!?」

「宇宙人!?」

 

いきなりの出来事にかすみは驚きの声をあげ、ライや倉名は歩夢達を守るように突如として現れたフリップ星人の前に立ち塞がる。

 

「銀色の宇宙人・・・・・・そうか、お前が例の通り魔事件の銀色星人・・・・・・!!」

『フォフォフォフォフォ!!』

 

フリップ星人は視線をライや倉名の後ろにいる歩夢達に移し、ライ達を無視して彼女達を狙おうとするがそれよりも早くライはフリップ星人に蹴りを叩き込む。

 

「隊長!! ここは俺が足止めします!! 隊長は歩夢達を連れて逃げてください!!」

 

そう言うとライはそのままフリップ星人に戦いを挑み、倉名は「おい!!」と怒鳴りあげるが、ライの耳には全く入っていない。

 

「ったく、1人で対処するなって言ったのに・・・・・・。 いや、この場合俺がいるから1人じゃないのか?」

 

一応、一般市民を優先しろという命令は守っているので、倉名は言われた通り歩夢達をここから逃がそうとする。

 

「えっ、待って! ライを置いて行くの!?」

「アイツはあれでもストレイジの一員だ。 それにあくまで足止めだと言ったからそこまで無茶はしない筈だ」

 

侑はライだけを置いて行くことに懐疑的だったが、倉名はそこまでは無理はしない筈だと説明し、倉名は歩夢、侑、かすみの3人をなんとかその場から逃がそうとする。

 

「オラァ!!」

 

一方でライはフリップ星人に跳び蹴りを繰り出すのだが・・・・・・フリップ星人は2人に分身し、ライの蹴りは躱されてしまった。

 

「えっ、分裂した!?」

『フォフォフォフォ!!』

 

さらにフリップ星人は3人に増え、合計5人のフリップ星人がライの目の前に現れる。

 

分身するフリップ星人に戸惑うライだが、兎に角攻撃あるのみだとライはフリップ星人の1体に殴りかかる。

 

しかし・・・・・・。

 

拳はフリップ星人の身体をすり抜け、背後に迫り寄った別のフリップ星人に背中を殴りつけられてしまう。

 

「ぐあ!!?」

 

フリップ星人の攻撃を受け、フラつきながらもまたフリップ星人に拳を振るうライだが、やはり拳はフリップ星人の身体をすり抜けてしまい、真横からフリップ星人の跳び蹴りを受けてライは大きく蹴り飛ばされてしまう。

 

「うわあああ!!!?」

「えっ? きゃああ!!?」

 

しかも蹴り飛ばされたライはそのままこの場から逃げようとしていたかすみに激突し、2人ともその場に倒れ込んでしまったのだ。

 

「いった・・・・・・!」

「っ、かすみちゃん!! 俺・・・・・・」

「かすみちゃん、大丈夫!?」

 

その際にかすみは手の平を僅かに擦りむいてしまい、ライはそのことに目を見開き、彼女に傷を負わせてしまったことにショックを受ける。

 

しかし、そんなライのことなんてお構いなしに5人のフリップ星人がこちらに向かって駈け出して来ており、かすみに怪我を負わせてしまったことでショックを受けていたライは反応が遅れてしまい攻撃を喰らってしまうと覚悟したその瞬間・・・・・・。

 

「しまっ!」

「ッラァ!!」

 

向かって来た右端のフリップ星人を倉名は蹴り飛ばしたのだ。

 

『フォフォフォ!!?』

 

それによって他の分身達も消え去るが、すぐに体勢を立て直したフリップ星人は再び4人の分身を作り出し、倉名を惑わそうとする。

 

「フンッ!!」

 

だが、倉名はピンポイントで本体のフリップ星人の顔面を殴りつけ、さらにアッパーカットを炸裂させてフリップ星人を殴り飛ばしたのだ。

 

『フォフォフォォ!!?』

「す、すげぇ・・・・・・!」

 

フリップ星人の作り出す幻影に、全く惑わされず、ピンポイントで攻撃を当てる倉名に驚きを隠せないライ。

 

フリップ星人はどうにか立ち上がり、分身達と共に一斉に殴りかかって来るが、やはり倉名は本体の攻撃だけを右腕でガードして防ぎ、ニヤリと笑みを浮かべる。

 

「殺気を隠せてねえんだよ、お前ぇ?」

 

そのまま倉名はフリップ星人の腹部を殴りつけ、後ろ回し蹴りを喰らわせフリップ星人を蹴り飛ばし、フリップ星人は勝てないと判断したのか、そのまま姿をパッと消してその場を立ち去ってしまうのだった。

 

「チッ、逃げやがったか」

 

 

 

 

 

 

 

その後、ライは手を怪我させてしまったかすみに対し頭を地べたに強く擦りつけながら土下座して謝罪していた。

 

「すいません!! 俺が不甲斐ないばっかりにかすみちゃんに怪我をさせてしまって!!」

「い、いえ! 顔をあげてくださいよ! 先輩!! これくらい大したことありませんし!!」

 

むしろスクールアイドルの活動していたらこんな怪我くらいたまにする、気にしなくて良いとかすみはライに言うのだが、それでライが納得が出来るはずもない。

 

本人が良くても、仮入隊中とは言え人の命を守る仕事をしている以上、掠り傷だろうが守るべき人々を怪我させるなどあってはならないとライは自分を強く責め、自分を許すことができなかった。

 

「かすみちゃんが良くても、俺が良くないんです!! 何度謝っても足りません!!」

「ウザい」

 

そこで流石にいい加減ウザったく感じ始めた倉名がライの尻を蹴っ飛ばし、ライは「ふぎゃ!?」と悲鳴をあげながら地面を転がる。

 

「何時まで謝ってる? 話が進まねえだろ」

「そうだよ、ライくん。 そういう責任感が強いところはライくんの良いところだけど、同時に悪いところだよ?」

 

倉名と歩夢から注意され、ライは「お、押忍」と返事を返しながら倉名は「今回の失敗を次に生かせ」と注意され、倉名は彼の肩にポンッと手を置くと今回反省すべきだった点を倉名はライに教える。

 

「相手を足止めし、かすみん達を非難させるってのは良かったが、あそこは俺に任せるべきだったな」

「お、押忍・・・・・・。 あっ、でもどうして隊長あの異星人の分身能力を見破ることができたんですか?」

 

そこでライはなぜ、フリップ星人の分身能力を倉名はあんな風に見破ることが出来たのか、先ほどからそれが気になっており、どうしてそんなことがと尋ねるが、倉名は薄く笑い、ライに耳打ちする。

 

「今日の夜、ストレイジに設置されてる道場に来い」

「えっ? なんで道場? それ答えになってな・・・・・・」

「良いから絶対来いよ。 そしたら教えてやる」

 

取りあえず、今日はフリップ星人も無事に撃退できたこともあり、解散。

 

ライは歩夢と侑と一緒に帰宅し、今日のこともあり倉名はかすみを家まで送り届け、ライは自分の家で少し休んだ後、倉名に言われた通りストレイジに設置された道場へと向かうのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

柔道着に着替えたライは道場へと辿り着くとそこでは既にライと同じように柔道着を着てる倉名が立っており、彼はライに「よぉ」と軽く挨拶する。

 

「押忍! こんばんわっす!! 隊長!! それで、これからなにを・・・・・・?」

「フッ、お互い道場来て、柔道着着てやることって言ったら決まってんだろ?」

 

倉名にそう言われ、ライはこういう場面なんだかアニメとかでよく見たことあるぞ思うと、頭にピンッと何か閃き、倉名が何を言いたいのかを理解した。

 

「成程、つまり、戦いの中で教えると・・・・・・」

「そういうことだ」

「お願いします!! 隊長!!」

 

そうして、倉名とライは互いに向き合い、組み手を開始。

 

「自分のタイミングでかかってきな」

「押忍!!」

 

ライは早速倉名に殴りかかって来るが、倉名はその腕を掴んで相手の勢いを利用し、背負い投げを繰り出す。

 

「おわっ!?」

「こんなもんか?」

「まだまだぁ!!」

 

ライは何度も何度も倉名に殴りかかるが、倉名はその都度ライの攻撃を受け流して捌き、一瞬倉名の姿が消える。

 

「あ、あれ!? どこに・・・・・・」

「よぉ」

 

すると、ライの肩に倉名はいつの間にか顔を乗せており、それに「わあ!!?」と驚きの声をあげるライだったが・・・・・・。

 

その隙を突かれて倉名の蹴りを腹部に喰らってしまい、畳に倒れ込んでしまう。

 

「うわああ!!? うぅ・・・・・・まだだぁ!!」

 

負けじとライは立ち上がり、その後も何度も何度も倉名に挑むものの倉名には軽くあしらわれ、反撃を喰らい、それでもフラフラになりながらもライは立ち上がり、倉名に攻撃を仕掛ける。

 

「もう1度、お願いします!! チェストォ!!」

 

再びライは倉名に殴りかかるものの頭を屈ませることでライの拳を避け、カウンターの拳をライの腹部に叩き込むとそれがツボに入ったのか、かなり苦しそうな声を出す。

 

「ぐっ・・・・・・うぅ・・・・・・」

 

だが、そのおかげで感覚が研ぎ澄まされたのか、後ろから来る気配に感づいたライは振り返りざまに拳を倉名の腹部に叩き込む。

 

それを受けて、倉名は動じなかったものの、倉名はライの耳元に顔近づけ・・・・・・。

 

「そういうことだよ」

 

それだけを言うと、倉名はライに背負い投げを繰り出して畳に叩き伏せるのだった。

 

「おわああ!!?」

「目に見えるものだけを信じるな」

 

倉名はそれだけをライに言い残すと、その場を立ち去って行き、ライは稽古をつけてくれた倉名にお礼を述べるのだった。

 

「稽古つけてくれて、ありがとうございました!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

一方で、かすみは自分の部屋でベッドに寝転がり、枕に顔を埋めていた。

 

枕に埋めながら、頭に思い浮かぶのはせつ菜のやり方に反発した時のこと。

 

『こんなの全然可愛くないです!! 熱いとかじゃなくって、かすみんは可愛い感じでやりたいんです!!』

 

目尻に涙を浮かべながら叫ぶかすみの言葉を聞いて、せつ菜は「あっ・・・・・・」と小さく声を漏らし、顔を俯かせていた。

 

それは本人もかすみに言われて「押しつけがましかったかもしれない」と思ったからか。

 

そのまませつ菜とは喧嘩別れするような形となってしまい、かすみはベッドの上で足をバタバタさせながら唸るのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

翌日、学校の中庭で・・・・・・。

 

愛と璃奈は2人一緒に昨日菜々の顔に飛びついてきた子猫の「はんぺん」に猫用の缶詰を食べさせており、愛は缶詰を食べる猫を「美味しいかい?」と笑みを向けながら写メをパシパシ撮っていた。

 

「運動部の助っ人は良いの?」

「このあと行くよ?」

「お家の人、どうだった?」

 

はんぺんはいつの間にかこの学校に住み着いていた野良猫であり、学校では愛と璃奈はこのように甲斐甲斐しく世話していたのだが・・・・・・出来ればこのような形ではなく、ちゃんと飼ってあげたいと思い、璃奈は愛の家なら飼えないかと尋ねるのだが・・・・・・。

 

「やっぱダメだった~、飲食店だしね」

 

残念ながら愛の家は飲食店、つまりペットはダメ。

 

「ウチのマンションもペット禁止・・・・・・」

 

璃奈の家もペット禁止のマンションなのではんぺんを飼うことは出来ず、愛や璃奈はライに飼えるかどうか尋ねようと一瞬思ったが・・・・・・民間協力者という立場である璃奈は比較的時間の都合がつくが、ライはストレイジに仮とは言え入隊中の身。

 

さらにライの家もマンションなことを考えると、ペットを飼うのは負担になるかもしれないし、ライの住んでいるマンションもペット禁止かもしれないという考えを考慮してライに頼む案は無しにすることに。

 

「八方塞がり・・・・・・」

「「はぁ~・・・・・・」」

 

愛と璃奈は同時に深い溜め息をつくと、そこで璃奈は石段ベンチに座るかすみの姿に気付く。

 

「昨日、はんぺん連れて行った人だ」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

石段ベンチに座るかすみはどこか思い詰めた顔をしており、「いつでもみんなが戻って来れるように頑張っていたのに・・・・・・」と大きな溜め息を吐くと、彼女は自分の頭をポカポカと殴り始めた。

 

「はぁぁぁ~・・・・・・! どうしたら良いんですかぁ!? かすみん困っちゃいますぅ~!!」

「困ってるの?」

 

両手で頭を抱えてかすみは頭を左右に振り、そのように嘆いていると不意に隣から聞き覚えのある声が聞こえ、声のした方に顔を向けるとそこには侑がいた。

 

「俺もいるぜ☆」

 

ついでに反対側には倉名がラムネを飲みながら座っており、かすみは「うぇ!?」と声を間抜けな声を出し、あたふたと驚きの声をあげる。

 

「うわああああ!!? 2人ともいつの間にぃ!!?」

「なんか様子おかしかったから」

 

昨日の様子から侑はかすみに何かあったのではないかと思い、何か力になれないかと彼女の元を訪れたようでそれは倉名も同様のようだった。

 

最も、倉名の場合はそれだけではないのだが。

 

「んっ? あの歩夢って娘とは一緒じゃないのか?」

「もう少し練習してから公園行くって!」

 

すると、かすみは今にも泣き出しそうな顔で「侑せんぱーい!!」と彼女に抱きつき、押し倒すのだった。

 

「おわああ!!?」

「あらあら、お盛んだね~。 ところで、先にちょっと俺から話良いか?」

 

グスグスと泣きながらも、指で涙を拭い、侑から離れて起き上がるかすみ。

 

侑も起き上がり、倉名に「なんですか?」と尋ねると倉名は昨日のフリップ星人の件について話し始めた。

 

「昨日のあの異星人、アイツが誰を狙って来たのかは分からなかったが少なくともかすみん、侑、歩夢の誰かを狙ってきた。 昨日は撃退できたが、あくまで撤退させただけに過ぎねえ。 また襲いかかってくる可能性がある。 だから今日は俺達ストレイジがお前達を警護することになったんだよ」

「昨日の・・・・・・」

 

つまり、フリップ星人がまた歩夢、侑、かすみの誰かを襲いにかかるかもしれないということでかすみと侑の傍では倉名、薫子はフリップ星人が巨大化する可能性を考慮して基地で待機させている。

 

璃奈にも一応警戒するようには伝えており、学園内で不審者などがいれば即基地に連絡を入れるように指示している。

 

「えっ、だったら歩夢にも・・・・・・」

「その点は心配いらねえよ、歩夢にはライが警護についてる」

「でも、ライには悪いけど、ライって昨日あの異星人に・・・・・・」

 

ライは昨日、フリップ星人にいいようにあしらわれ圧倒されていた。

 

言い方は悪いが、もしフリップ星人が再び現れ、ライと戦うことになった場合、そんなライが歩夢を守ることができるのか、ライが殺されたりしないかと心配になる侑。

 

しかし、倉名は「大丈夫だ」と侑に伝える。

 

「今のアイツなら、あの異星人を倒せる。 隊長の俺が保証する。 ライの奴を信じてやってくれねーか?」

 

倉名は頭を下げ、侑にライのことを信じてやって欲しい、今の彼なら絶対に歩夢を守れるし、あの異星人も倒せると言い切り、そんな彼の姿に侑はまだ少し心配な気持ちは残るものの「分かりました」と頷く。

 

「友達を信じるのは、当然のことだしね?」

「感謝する。 それで、取りあえず、歩夢やライとはあとで合流するとして、今はかすみんの話を聞いてやらねえか?」

「えっ、この状況で・・・・・・?」

 

流石にこの状況で相談するのは・・・・・・と思うかすみだったが、侑はにっこりと優しい笑顔を見せ、「話して良いよ?」と言うと、かすみは戸惑いつつも、「そ、それじゃお言葉に甘えて・・・・・・」と彼女は今自分が抱えている悩みについて侑に話し始める。

 

 

 

 

 

 

 

 

一方その頃、学校の人気のない場所にて歩夢はいた・・・・・・。

 

歩夢は息を大きく吸い、後ろにある窓ガラスに振り返ると、スクールアイドルの自己紹介の練習を行う。

 

「新人スクールアイドルの~、歩夢だぴょん!! 臆病だから、寂しいと泣いちゃう~! ぴょーん! 温かく・・・・・・」

 

うさ耳ポーズをしながら、昨日のかすみの自己紹介などを参考にしつつ自分自身の自己紹介動画の練習をしていると、不意に右方向から誰かの視線を感じ、大量の冷や汗を流し、顔を真っ赤にして恐る恐る視線の感じる方へと顔を向けると・・・・・・。

 

そこには果林とライが立っていた。

 

「フフ」

「良いじゃん良いじゃん!! 歩夢、可愛いじゃん!! 今の!!」

 

果林はそんな歩夢に微笑みを向け、ライはニヤニヤした顔を浮かべており、ライは事情を知っているが、果林には今すぐ弁明しなくてはとあたふたしながらもスクールアイドルの練習をしてただけだと説明しようとする。

 

「あ、あの! こ、これはその練習をしてて・・・・・・す、すく・・・・・・」

「スクールアイドル?」

「うんうんうん!!」

 

歩夢は必死に首を縦に振り、果林の言葉を肯定し、果林も「そういうこと」と納得したようだった。

 

「ごめんなさいね? とっておきの可愛いところ見ちゃって。 あっ、ライは今すぐ忘れなさい」

「なんで!!?」

「ところで・・・・・・さっきのやつだけど、あれはあなたの言葉?」

 

話を戻し、果林は先ほどのやつは歩夢自身の言葉なのかと問いかけ、それに「えっ?」と不思議そうな顔を浮かべる歩夢。

 

「もっと伝える相手のことを意識した方が良いわよ?」

「頭では分かってるんですけど、今の私にファンなんていませんし・・・・・・あっ」

 

そこで歩夢は脳裏に侑の顔が過ぎる。

 

「応援してくれる人なら、います・・・・・・!」

(それは一体なに咲なに侑なんだろうな・・・・・・)

 

その「応援してくれる人」なのが大体察するライ。

 

また歩夢の返答を聞いて果林も微笑みを向け、「お節介終わり」とだけ言うと歩夢に一度手を振ってからその場を去って行くのだった。

 

「じゃあ、ライもまた」

「おう、迷子になるなよ」

「うるさいわよ」

 

果林が去った後、ライは「侑達のところ行くか?」と歩夢に尋ねると歩夢はコクリと頷くのだった。

 

「それにしてもライくん、さっきの人と知り合いだったの?」

「あぁ、歩夢達とはまた別の幼馴染み」

 

以前は愛や璃奈とも知り合いだったようだし、意外と顔が広いんだなぁと思いつつ、歩夢はライと一緒に侑達の元に向かいながら、自己紹介動画のことを考えるのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

その頃、海の見えるとある公園で・・・・・・かすみは侑や倉名に自分の悩みを聞いて貰っていた。

 

「かすみんには1番大切にしたいものがあって・・・・・・だからスクールアイドルがやりたくて・・・・・・。 それはきっと、みんなもそうなんですけど・・・・・・。 やりたいことは、やりたいんです。 けど、人にやりたいことを押しつけるのは嫌なんですよぉ。 なのに、かすみん歩夢先輩にそれをしちゃって・・・・・・」

「成程なぁ。 お前が悩んでるのはそういう・・・・・・」

「うーん、つまり、それぞれやりたいことが違ってたってことでしょ? それで喧嘩しちゃうのは、仕方ないことだと思うけどなー?」

 

倉名や侑はかすみが何に悩んでいたのか納得し、侑はやりたいことがそれぞれ違って衝突してしまうのは仕方がないことなのかもしれないと言うが、かすみはそれでは納得はできない。

 

「仕方ないじゃ困るんです!! このままじゃ、また同好会が上手く行かなくなっちゃいますぅ!!」

「ふふ、悩んでるかすみんも可愛いよ?」

 

頭を抱えて、悩むかすみを見て「可愛い」と評する侑。

 

そんな侑を見て倉名は「えっ? なに? タラシ?」と思ったが、取りあえず黙っておくことに。

 

「むぅ、先輩! こんな時にからかわないでくださいよぉ!」

「からかってないよ~」

 

かすみはポカポカと侑を叩き、倉名も侑なりにかすみを励まそうとしたんだろうと思い、かすみを侑から引き離し、「まぁまぁ」と落ち着かせる。

 

「まぁ、自分の間違いに気づけたなら、良かったじゃねえか。 もうやらなきゃ良いだけだ」

「確かに、間違いに気づけたのは良かったですけどぉ・・・・・・」

「遅れてごめんなさーい!!」

「おまたせいたしました!」

 

そこへ丁度、歩夢とライがやって来ると、歩夢は早速自己紹介動画を撮って貰おうとかすみにお願いしてきたのだ。

 

だが、かすみとしては昨日のあれを無理にやる必要なんてないと言おうとしたのだが、歩夢は昨日とは違い、自信に満ちた表情で「今、撮って貰って良い?」と言って来た。

 

「どうやらここに来るまでに、良いやつが思い浮かんだみたいでね。 動画の撮影、頼むよかすみちゃん」

 

かすみは一瞬、侑や倉名の方に顔を向けると侑は微笑みを向け、倉名は「やれ」とだけ一言。

 

「あっ、はい」

 

少し戸惑いつつもスマホを取り出して動画撮影の準備が完了すると、歩夢は鞄を置き、一呼吸して自分も心の準備を完了させる。

 

「じゃあ行くね!」

「・・・・・・どうぞ」

 

かすみの合図で動画撮影を起動させると歩夢はぺこりと頭を下げ、自己紹介を開始。

 

「虹ヶ咲学園普通科2年、上原 歩夢です!! 自分の好きなこと、やりたいことを表現したくて、スクールアイドル同好会に入りました! まだまだ出来ないこともあるけど、一歩一歩頑張る私を見守ってくれたら嬉しいです! よろしくね、えへ♪」

 

最後に両手を頭の上に置き、「あゆぴょん」のポーズを決め、動画撮影を終了。

 

「・・・・・・っ」

 

歩夢の自己紹介を見て、何か感じるものがあったのか、倉名も今のは中々良いのではと思い、「良かったんじゃねえか?」とかすみの隣に立ちながら問いかけると、かすみも言葉にしはなかったが、納得した様子だった。

 

「わぁ~! すっごく可愛い!! ときめいちゃった~!!」

 

また侑はというと歩夢の自己紹介にときめいたと抱きついていた。

 

「ゴホン! かすみんの考えてたのとはちょっと違いますけど~、可愛いから合格です!」

「ほんと? 良かった~!」

 

かすみからも認められ、安堵の笑みを浮かべる歩夢。

 

そんな歩夢を見て昨日の後ろめたさもあるせいか、複雑そうな表情をするかすみ。

 

「多分、やりたいことが違っても、大丈夫だよ!」

「えっ?」

 

それに気付いた侑がやりたいことがそれぞれ違っても大丈夫だろうと伝える。

 

「上手く言えないけどさぁ。 自分なりの1番をそれぞれ叶えるやり方って、きっとあると思うんだよね!」

「・・・・・・そうでしょうか?」

「探してみようよ!」

 

自分なりの1番をそれぞれ叶えるやり方・・・・・・そんな方法が上手く行くのか、少し疑問に思ってしまうかすみ。

 

だからこそ、侑は「探してみよう」とかすみに提案し、「それに」とさらに言葉を付け加える。

 

「その方が楽しくない?」

「っ・・・・・・」

 

かすみは一度、歩夢と顔を見合わせ、歩夢は静かに小さく頷くとかすみは口元に笑みを浮かべる。

 

「楽しいし、可愛いと思います! 先生も、そうですよね!」

「んっ? おう。 良いんじゃねえの? 歩夢もスクールアイドルの素質はありそうだし、侑も良いマネージャーになりそうだ。 ライの身近にこんな逸材がいたとはなぁ・・・・・・」

「アハハハ、なんか照れますね!」

「誰もオメーのことは褒めてねえよ」

 

侑と歩夢のことを褒めてんだよと、ツッコミを入れると、かすみはこれで悩みが吹っ飛んだからか、「アハハハ!!」と急に笑い出すし、彼女は「先輩、見ててください!!」とだけ侑に言うと、後ろにあった煉瓦造りのオブジェに走っていき、塀の上をよじ登る。

 

(色んな可愛いもカッコイイも一緒にいられる・・・・・・。 そんな場所が本当に作れるなら・・・・・・!)

 

かすみは胸の前で両手を合わせた後、歩夢に一差し指を向け・・・・・・。

 

「でも!! 歩夢先輩!! どんなに素敵な同好会でも、世界で1番可愛いのは・・・・・・かすみんですからね!!」

 

という風に歩夢に向けた一差し指を天に向け、彼女は歩夢に宣戦布告するのだった。

 

挿入歌「Poppin' Up!」

 

(色んな可愛いもカッコイイも一緒にいられる、そんな場所が本当に作れるなら・・・・・・そこは絶対、世界で1番のワンダーランドです!)

 

新しい決意を胸に、これから頑張って行こうとかすみが思ったその瞬間、にゅっとかすみの背後から顔を出すフリップ星人の姿が。

 

『フォフォフォフォ!!』

「にっぎゃあああああああ!!!!?」

 

それに思わず飛び退くように塀を飛び降り、そのまま侑に抱きつくかすみ。

 

「あの宇宙人って昨日の・・・・・・!」

『フン、心配するな、小娘共。 今日の狙いは貴様等ではない。 俺の今日の狙いは、お前だ!!』

 

フリップ星人は倉名を指差し、今まで女性をターゲットにしてきたというのになぜか急に男性の倉名を指名し、頭に疑問符を浮かべるライ達。

 

「はっ、まさか・・・・・・隊長って実は女性・・・・・・」

「ちげーよ。 正真正銘の男子!! 大方昨日やられた仕返しに来たんだろうよ」

 

フリップ星人に狙われるということはもしかして実は倉名は女性だったのかと思ったライだったが、倉名は全否定し、昨日の仕返しだろうと言うとフリップ星人は「その通りだ!!」と応えた。

 

『ちっぽけな狩られるだけの虫けらが、よくも!! お前を踏み潰してくれる!!』

 

すると、フリップ星人は突如として巨大化し、ライ達を見下ろす。

 

倉名には分身が通じないので、フリップ星人は巨大化。

 

言葉の通り倉名を踏み潰しそうとしているようだった。

 

「隊長に勝てないからって巨大化するとかセコ!」

『五月蠅い!!』

 

ライから的確なツッコミを受けるフリップ星人だが、そんなことは気にせず、問答無用でフリップ星人は倉名を踏み潰そうとしてくる。

 

「ライ!! お前はかすみん達を非難させろ!!」

「えっ、でも隊長が・・・・・・!!」

「だからだよ、奴の狙いは俺だ! ここは俺に任せろ!!」

 

そう言うと倉名はその場を走り去って行き、ライは仕方がないと思い歩夢達を早急に避難させることに。

 

「あとで絶対助けに行きます! 隊長!! みんなこっち!!」

「えっ、でも・・・・・・!」

 

倉名のことが心配なのはライ達だけではない、かすみ達だってそうだ。

 

「隊長なら、きっと大丈夫! 俺は隊長を信じる!! 兎に角、先ずは避難を!」

「・・・・・・分かったよ」

 

ライの言葉に侑が頷くと、一同はその場から移動し、安全な場所への避難を開始するのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『フォフォフォフォ!!』

 

フリップ星人は倉名を何度も踏み潰そうとしてくるが、それらを倉名は逃げながら巧みに回避し、フリップ星人の攻撃をことごとく躱していた。

 

「チッ、バルタン星人さんみてーな声出しやがってよ」

 

すると今度はフリップ星人は拳を倉名に向かって振り下ろし、倉名はそれすらも躱すのだが・・・・・・その時の衝撃で吹き飛ばされてしまい、倉名は地面を転がってしまう。

 

(ぐおっ!? あー、クソ。 出来たらまだ『変身』はしたくなかったんだがなぁ・・・・・・)

 

既に薫子に連絡を入れてセブンガーが今こちらに向かって出撃して来ている。

 

セブンガーがくるまでの間を耐えれば良いと思っていた倉名だったが、思いの外キツく、地面に倒れ込みながらも、そんなことを考えていると・・・・・・フリップ星人の背中から当然小さな火花が上がり、フリップ星人が振り返るとそこには20式レーザー小銃を構えているライの姿が。

 

「ライ!! お前なんで・・・・・・!」

「歩夢達は避難させました!!」

「まぁ、正直ちょっと助かった」

 

そう言いながらライはレーザー小銃からレーザーを発射し、フリップ星人の顔に直撃させる。

 

それに僅かにもダメージを負ったフリップ星人は怒り、ライに拳を振り下ろす。

 

「おわああ!!?」

 

ライは直撃こそ避けたものの、先ほどの倉名と同じように衝撃で吹っ飛んでしまい、地面に倒れ込んでしまう。

 

ライが倒れているその隙にフリップ星人は倉名の方へと向き直り、襲いかかろうとしてくる。

 

「あっ、やべ」

「こんのぉ!! 隊長に手ぇ出すな!!」

 

倉名は背を向いて再びフリップ星人から逃れる為に走り出し、それを見たライは「ウルトラゼットライザー」を取り出し、トリガーを押す。

 

すると目の前に光の扉、「ヒーローズゲート」が出現し、その中に飛び込む。

 

インナースペース内に入るとライは「ウルトラアクセスカード」を手に取り、ゼットライザーの中央部分にセット。

 

『ライ、アクセスグランテッド!』

 

メダルホルダーを開き、ライはそこから3枚のメダルを取り出す。

 

『宇宙拳法、秘伝の神業!!』

 

ライはゼロ、セブン、レオのメダルをそれぞれライザーのスリットにセット。

 

「ゼロ師匠!! セブン師匠!! レオ師匠!!」

 

ブレード部分をスライドさせ、3枚のメダルを読み込ませる。

 

『ゼロ・セブン・レオ!』

「押忍!!」

 

するとライの後ろに「ウルトラマンゼット オリジナル」が現れ、ゼットは両腕を広げる。

 

『ご唱和ください! 我の名を! ウルトラマンゼーット!!』

「ウルトラマンゼエエエエエット!!!!」

 

最後にライザーを掲げてトリガーをもう1度押すと眩い光が走る。

 

するとメダルに描かれた戦士、「ウルトラマンゼロ」「ウルトラセブン」「ウルトラマンレオ」の3人が空間を飛び交う。

 

『ハアッ!』

『デュア!!』

『イヤァーッ!!』

 

するとライは上半身は青、下半身は赤で身体に胸部と両肩に銀色の鎧のようなプロテクターを装着し、頭部のトサカのような部分が3つに増えた姿となった「ウルトラマンゼット アルファエッジ」へと変身。

 

『ウルトラマンゼット! アルファエッジ!』

 

そのままゼットは現れると同時に足に炎を纏わせ放つ跳び蹴り「アルファバーンキック」をフリップ星人に炸裂させ、蹴り飛ばして倉名から引き離す。

 

『アルファバーンキック!!』

「おっ、やっと来たなぁ? ウルトラマンゼット・・・・・・」

 

戦闘BGM「アルファエッジのテーマ」

 

『邪魔をするなァ!!』

 

フリップ星人は高く跳び上がってゼットに向かって来るが、ゼットはフリップ星人の腕を掴んで背負い投げを繰り出し、フリップ星人は背中から地面に激突。

 

フリップ星人は小さな悲鳴をあげ、自分の腕を掴むゼットの手を振り払うと立ち上がり、ゼットに向かって殴りかかる。

 

しかし、ゼットはそれをゆらりと後ろに回り込むように受け流し、フリップ星人の背中に肘打ちを叩きこむ。

 

『っ・・・・・・!!』

 

フリップ星人はその攻撃を受けてフラつくが、すぐさまゼットの方へと振り返り、ジッと立ったままゼットの様子を伺う。

 

『ジュア!!』

 

動かないのなら、フリップ星人に攻撃するチャンスだと思ったゼットはフリップ星人に向かって駈け出し、拳を振るうが・・・・・・フリップ星人はそこで3体に分身し、ゼットの拳は空を切ってしまう。

 

『なに!?』

 

さらに分身を2体増やし、合計5体のフリップ星人がゼットを囲む。

 

『っ、どれが本物なんだ・・・・・・?』

 

ゼットは目の前にいるフリップ星人を殴りつけるが、そのフリップ星人は幻影で拳はすり抜けてしまい、代わりに背後からフリップ星人に殴られ、膝を突くゼット。

 

『ウアアッ!?』

 

攻撃して来た奴が本体だと思ったゼットは足を後ろに伸ばしてフリップ星人を蹴りつけようとするが、いつの間にか本物と入れ替わっていたようで・・・・・・それも幻影のフリップ星人だった。

 

すると今度は右方向からフリップ星人が蹴りを繰り出し、ゼットは蹴りを受けて倒れ込んでしまう。

 

『グゥ!?』

『フォフォフォフォフォ!!』

『くっ、あんなのウルトラズルいぜ・・・・・・』

『っ、そうだ!』

 

ゼットは5体に分身するフリップ星人に文句を言い、そこでライは昨夜行った倉名の稽古の時の『見えるものだけ信じるな』という言葉を思い出す。

 

 

『・・・・・・ゼットさん!! 目を閉じて!』

『えっ?』

『早く!!』

 

ライに言われ、ゼットは戸惑いつつも「分かった!」と頷くとライとゼットは目を閉じ、周りの気配を感じる。

 

(感じろ。 耳を、感覚を研ぎ澄ませ! 風の音を、気配を・・・・・・!)

 

次の瞬間、ゼットは自分に背後から攻撃を仕掛けようとしたフリップ星人本体を振り返りざまに蹴りを繰り出すことで攻撃し、フリップ星人は地面に倒れ込む。

 

『フォォ!!?』

『ウルトラヒットォ!!』

『よし! これでお前の技は通じないぞ!! 銀色星人!!』

 

本体を攻撃した影響で他の分身フリップ星人達は消え、そこからゼットはさらに正拳突きをフリップ星人の顔面に喰らわせ、さらなる追撃をしようとするゼットだったが・・・・・・その時・・・・・・。

 

『な、なんだ!?』

 

突如として地響きが鳴り、地中から四足歩行の怪獣、「マグマ怪地底獣 ギール」が出現したのだ。

 

「ガアアアアア!!!!」

『怪獣!? こんな時にでございますか!?』

『っ・・・・・・!』

 

ゼットやライ、フリップ星人すらも突然のギールの出現に驚くが、ライはすぐにギールが出現した理由に思い当たる節があった。

 

それは、昨日のミーティングで璃奈から報告があった「ゲネガーグが地球に飛来したことを切っ掛けにベムラーが襲来した時のように地底に眠る多くの怪獣達に影響が出ている」という話。

 

さらに、ゲネガーグが襲来した影響で以前にも増して地底に眠る怪獣達が目覚める可能性が高まっていたと璃奈は説明してくれていた。

 

考えられるに、ギールもゲネガーグの影響を受けた怪獣の1体。

 

恐らく、この辺りにギールは眠っており、ゲネガーグの襲来の影響で眠りが浅くなっていたところ、この場所でゼットとフリップ星人が激しく戦った影響で目を覚ましたのだろうとライは予測し、ギールは見たところどうやら興奮状態であることからライは敵が増えたかもしれないと警戒する。

 

するとギールは立ち上がって腹部の第2の口を開くとそこから「マグマ弾」を発射し、ゼットに直撃させる。

 

『オアアアッ!!?』

 

さらにゼットはフリップ星人の跳び蹴りを受け、地面を転がる。

 

そこから倒れ込んだゼットに向かってギールがジャンプして飛びがかかり、ゼットの肩に噛みついて来たのだ。

 

『グオオッ!!?』

『フォフォフォフォ!!』

 

フリップ星人もゼットに攻撃を加えようと近づいて来るが・・・・・・直後、顔面にいきなり現れたセブンガーの拳を受け、殴り飛ばされるフリップ星人。

 

『フォフォフォ!!!?』

「アンタの相手は私がしてやるよ!」

 

一方でゼットもギールの腹部を蹴りつけて自分から引き離し、ギールはゼットと距離を取ると再び腹部からマグマ弾を連続発射。

 

だが、ゼットはそれを頭部のトサカの横にあるスラッガー状の部位から三日月状の光刃「ゼットスラッガー」を作り出し、ゼットスラッガーを稲妻状のエネルギーで連結させ、ヌンチャクのように振るう「アルファチェインブレード」でギールが連射してくるマグマ弾を全て切り裂く。

 

そのままギールに近づいてブレードで何度もギールを斬りつけるゼット。

 

『ジィィヤ!!』

「ガアアアア!!!?」

 

またフリップ星人と戦うセブンガーはフリップ星人が放って来た右拳を受け止め、逆に左拳をフリップ星人に叩き込んで怯ませる。

 

『フォフォ!?』

 

それを受け、こうなればとフリップ星人は又もや5体に分身。

 

「なっ!? 分身した!?」

 

薫子はどれが本物か分からず、困惑するが兎に角攻撃あるのみだと思った彼女はセブンガーを動かし、目の前にいるフリップ星人を先ずは殴るか・・・・・・。

 

スカッとフリップ星人の身体はすり抜け、セブンガーは背中に本物のフリップ星人のドロップキックを受けてしまう。

 

「わああ!!? なんだよもう、あんなのズルじゃんかよ!」

『落ち着いて薫子さん』

「璃奈ちゃん!?」

 

その時、いきなりセブンガーに璃奈から通信が入り、驚きの声をあげる薫子。

 

『こっちでも戦闘の様子は確認できてる。 見たところ、あの宇宙人が作り出す分身は全て幻で本体は1体。 つまり、本体には熱がある』

「・・・・・・そうか!」

 

実は、フリップ星人はセブンガーとは相性がすこぶる悪かった。

 

それはなぜか?

 

セブンガーにはこんなこともあろうかと「熱センサー」が搭載されているからだ。

 

薫子はセブンガーを立ち上がらせると早速カメラを熱センサーのものに切り替え、すぐさまフリップ星人の本体を発見。

 

真っ直ぐフリップ星人に向かって行き、顔面を殴りつける。

 

『フォフォ!!?』

 

それと同じ頃、ギールと戦うゼットはギールの突進に弾かれて吹き飛ばされ、地面に叩き落とされていたのだった。

 

「グルアアアア!!!」

 

そのままギールはマグマ弾をゼットに連射し、ゼットは片膝を突きながらも両腕を交差し、なんとかギールの攻撃に耐える。

 

『ぐううう!? ライ!! ここはエプシロンワイルドにウルトラフュージョンだ!』

『押忍!!』

 

ゼットに言われ、インナースペース内のライはホルダーから新たに3枚のメダルを取り出す。

 

『困難を打ち砕く、魂の一撃!!』

 

そのままライはゼットライザーのブレードの位置を戻し、メダルを3枚入れ替える。

 

『響さん! 夕立さん! 友奈さん!』

 

そのままライはブレードをスライドさせ、3枚のメダルをスキャン。

 

『響・夕立・友奈!』

 

するとインナースペース内にいるライの後ろにゼット オリジナルが現れ、両腕を広げる。

 

『ご唱和ください! 我の名を! ウルトラマンゼーット!!』

『ウルトラマンゼエエエエット!!!!』

 

そしてゼットライザーを掲げ、トリガーを押すライ。

 

するとその空間で3枚のメダルが飛び交い、姿を変え、下半身は黒、上半身はオレンジで両手に桃色の手甲のようなものが装着され、プロテクターが無くなり、ゼット オリジナルにも近い状態の姿・・・・・・「ウルトラマンゼット エプシロンワイルド」となったゼットが現れる。

 

『ウルトラマンゼット! エプシロンワイルド!』

『ゼスティウムクロー!!』

 

ゼットは両腕に光のエネルギーで作った鉤爪型の武器「ゼスティウムクロー」を出現させるとギールの放つマグマ弾を切り裂きながら突き進み、すれ違いざまにクローでギールを斬りつける。

 

「グルアアアアア!!!!?」

 

クローを仕舞い、ゼットはギールの背中に飛び乗るとそのまま何度も拳をギールに叩き込んで攻撃する。

 

『ウオオオオ!!!』

「ギシャアアア!!!!」

 

だが、ギールは身体を激しく揺らしてゼットを振り落とし、ゼットは一度ギールから離れる。

 

「グルル・・・・・・!!」

 

ギールはゼットを睨み付けながら、ゼットに突進を繰り出してくるが・・・・・・その直後、セブンガーが持ち上げて投げ飛ばして来たフリップ星人がギールと激突し、2体は倒れ込む。

 

『フォフォフォ!!?』

「ガアアアア!!!!?」

『今だ!!』

 

ゼットは再びゼスティウムクローを出現させ、両足にエネルギーを溜めると、両足に溜めたエネルギーを一気に放出することで一時的に加速し、一気にフリップ星人とギールに詰めよってすれ違いざまに相手をクローで切り裂く「ゼスティウムソニック」を繰り出し、フリップ星人とギールの2体を切り裂き、斬りつけられた2体は火花を散らして爆発するのだった。

 

『ゼスティウムソニック!!』

『フォフォフォフォ!!!!?』

「グルアアアアアアア!!!!!?」

 

ゼットはギールとフリップ星人が倒されたのを確認すると、ゼットは空へと飛び立ち、空中に『Z』の文字を描きながら飛び去るのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「隊長!? 無事ですか!」

 

戦いが終わり、変身解除したライはすぐさま倉名の安全を確認する為、彼の元に駆け寄るのだが、倉名はベンチに座って呑気に缶コーヒーを飲みながらくつろいでおり、見たところ怪我などもなさそうだった。

 

「よぉ。 まっ、お前さんとゼットが手助けしてくれたからなぁ? ピンピンしてるぜ?」

「あぁ~、良かった~」

 

全く無傷な様子の倉名の姿を見てライはホッと一安心し、その場にへたり込んでしまうのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

その頃、生徒会室にて。

 

そこでは果林、エマ、しずく、彼方の4人が生徒会室に訪れており、果林は以前生徒会室に訪れた際にこっそりと持ち出していた生徒名簿を菜々に返しに来ていた。

 

「返すわ、生徒名簿。 勝手に借りちゃってごめんなさいね?」

 

借りていた生徒名簿を生徒会長の机にコトリと置く果林。

 

「優木 せつ菜という名前はどこにも見つけられなかったわ」

 

果林が生徒名簿を持ち出した理由、それは生徒名簿でせつ菜の名前を確認する為だった。

 

しかし、生徒名簿に「優木 せつ菜」という人物が存在しない、つまりそれは・・・・・・この学園には「優木 せつ菜」なんて人物が存在していないことを意味しており、果林は鋭い視線を菜々へと向ける。

 

「いない筈のせつ菜と、どうやって廃部のやり取りができたのかしらね?」

 

未だに鋭い視線で菜々を見つめながら、果林はなぜ存在しない筈のせつ菜と、菜々が同好会の廃部のやり取りが出来たのかと問い詰め、それに徐々に険しい表情となっていく菜々。

 

「教えてくれる? 優木 せつ菜さん?」

 

なぜ菜々の表情がどんどん曇っていたのか、その理由はただ1つ、それは、生徒会長である中川 菜々こそが・・・・・優木 せつ菜であることを意味していたからだった。

 

 

 

 

 

 

 

同時刻、以前のセブンガーとの戦いで回収されたダランビアの砕け散った身体の破片が保管してあるとある研究施設。

 

そこにあるダランビアの身体の破片はカプセルに入れられ、保存されていたのだが、突如としてダランビアの破片は跡形もなく消え去ってしまったのだった。




倉名の副業も無理のある設定だとは思いますけど、どうしてもやりかたかった。
なんかかすみんと意気投合してそうなイメージあったから余計に・・・・・・。

ギールを出したのは「なんかガイアと状況似てるな」と思ったのと地球産怪獣今回出した方が良いよなと思ったからです。
ギールの登場は唐突感ありましたが、ムルチもエースであんな風に登場しましたし。
要するにガイアとエースオマージュ。

セブンガーVSフリップ星人という構図にしたのはりなりーが活躍できそうだったからです。
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