「──はぁ、はぁ、はぁ、っ……!」
襲い掛かる雷を刀を使って振り払う。この時点で人間業ではないことをやってのけている。しかし、襲い掛かる雷は一切、止むことはない。あらゆる角度、速度を以て少年を貫かんとしている。
「フッ──ハァァァァァ!!」
一斉に襲い掛かる雷を切り払うと、少年は膝をついた。彼にはもはや立てる体力など残っておらず、突き立てた刀を杖代わりにして、その体勢を維持するので精一杯だった。
「ハッハッハ、やはりお前さんはこれを切り抜けられたか。爛よ」
腰に刀を携え、暗い青を基調とした着物を着こなしている老人が現れた。
少年の名前は宮坂爛。総合武術・宮坂流を伝授している宮坂家の長男であり、既に師範代の資格を持っている。
「流石に、《
肩で息をしながら、なんとか立ち上がる。
老人の名前は葛城雅。《雷神》という異名で知られており、第二次世界大戦にて黒鉄龍馬と南郷寅次郎と共に日本を戦勝国へと導いた男。
「伐刀者としての才能はあまりないが、戦闘に関しては天才的じゃな」
伐刀者。
千人に一人が持つと言われる特異体質。異能の力を操り、自身の魂を形にして戦う者であり、この力を持つ者は重い社会的責任がある。
力を持つ者は、正しくそれを振るわなければ一般人を虐殺し、場合によっては国ひとつ滅ぼすことが出来る。
それ故に国はそれを管理する必要があり、伐刀者によるテロを防ぐためにも伐刀者の育成をしなければならない。
二人もまた伐刀者であり、力をつけるための鍛練をしていたのだ。
「……いえ、俺はまだまだです。少なくとも、手が届く限りの人を守れるようにならないと」
「そのストイックさは、誠一郎譲りじゃの」
「否定はしませんよ」
爛には「ストイックだ」と言われても否定しない。元より、可笑しいくらいストイックなのは祖父も父も変わらない。親から子に受け継がれるものとはよく言ったものだ。
曾祖父の宮坂誠一郎は伐刀者ではない。それなのにも関わらず、誠一郎は第二次世界大戦にて非伐刀者でありながら刀一本で複数の伐刀者を相手にし、傷一つすら負わずに勝利したことから《剣神》と恐れられた。
「この様子なら、誠一郎に次ぐ《剣神》になれるじゃろうな。あやつも嬉しいじゃろうて」
「父と祖父を差し置いて《剣神》とは……まあ、父さんは異能が強すぎるところもありますが」
父だけは怒らせてはならないと思っている。異能が強すぎることも相まって、怒らせたら母以外では諌めることはできないだろう。
「……六花を頼むぞ」
「分かっています」