僕は見たこともないような部屋で目を覚ました。最初は何が何だが分からなかったけど..マスターという人が懇切丁寧に説明してくれたので大体の状況は把握する事が出来た。だけどまさか死んでもなお、闘う羽目になるとは.....。
最初にこのカルデアというところに来た時に僕の弟子のような顔が見えたんだけど気の性だったのかな。マスターに一応、
ここに居て考え事をしたとしてもきりがないし食堂にでも行ってみるか。英霊に食事はいらないけどやはり人間だった頃の習慣は簡単に抜けるものではなくて...一週間たった今でも一日に行ける時は三度ぐらい食堂で食事を取っている。料理を作って貰っているエミヤという英霊は「一人分ぐらい多くなかったとしても変わらないから大丈夫だ」と言って快く料理を作ってくれている。だけどいつまでもお世話になるのも悪いからそろそろ自分で作れるようにしないといけないかもしれないな。
食堂へと向かう途中で僕は前から来る人影に気付いた。最初は..知らない英霊だと思っていたけど距離が近くなってくるとその顔に見覚えがある事に気付いた。相手も僕に気付いたのか一瞬..驚いたような顔をした。
「間違っていたら悪いんだけど君は
「違いますよ。人違いじゃないですか」
僕は彼女の腰に差してある刀を見て確信を持った。
「いや、君は
僕が死ぬ五年ほど前に死期を悟った僕は懐刀を誰かに託すことにした。弟子はたくさんいたけどこれを託して大丈夫なのは僕の中では
そして彼女もさすがに言い逃れが出来ないと思ったのか深呼吸をして僕に目線を合わせることなく言った。
「.....師匠は私の事を恨んでいるじゃないですか....」
「恨んでいる?」
「..だって私は師匠から大事な剣を託してもらったのに..裏切ってしまった」
裏切られた.....僕が忘れているだけかな。物覚えは決して悪い方ではないと自負しているんだけどな。
「
「師匠は最後まで私が武士として生きる事に反対していた。なのに私はそれに耳を貸すことなく武士になってしまった」
なんだ...そんな事か。僕はもっと重大な事かと思っていた。
「な~んだ。そんな事か。僕は確かに君に武士にならない方が良いと言った。だけど君の性格上そう言ったところで止まらないのは分かっていたことだよ。それに僕の一言だけで止めるようならそれは自分の意志が弱すぎるしね。まあ、武士として生きて欲しくなかったのは本当だけど..僕は君が思うほどその事を重大には考えていないよ」
あんな..何でも笑い飛ばしていた
「...師匠...死んじゃったし...もしかしたら私の事を恨んでたかもと思ってたから」
「はぁ~そんな事を気にしなくて良い。大丈夫だから。僕は君の事を弟子として認めてるし恨んでいないから」
僕は彼女を抱き寄せ頭を撫でてあげながら言った。子供の頃はこうすると喜んでいたがさすがに大人になっている今は嫌がられると思ったがどうやらそうでもないらしい。
その後、正確には分からないけど何分かの間この体勢が続いた。