ようこそ葛城康平に補佐がいる教室へ   作:地支 辰巳

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ヒロインは今の所未定です。


第1巻
入学 疑いだらけの学校


 

 世界は平等に出来ているのだろうか、いやそんな事はない。

 そんな事をふと考えている下関涼禅(しものせきりょうぜん)はバスの中にいた。

 

 

 俺は今、高度育成高等学校という学校へ向かうためのバスに乗っている。結構中は混んでいて、同じ制服の学生もギリギリ俺と隣にいる同中である葛城康平が座るのでやっとのところだ。

 

「結構、中は混んでいるな。涼禅、お前席は狭くないか? なんだったら俺は立つから席を使ってもいいぞ」

 

 康平はこんなことをさらりと言うが、普通はこんな混んでいるバスの中で人の席が狭いかどうか気にするなんてない。康平ぐらいだろう。こんな誠実でちょっとズレている所は高校生になっても変わらないなぁとしみじみ思う。

 

「いや、大丈夫よ。もうちょっとで着くみたいだからいまさらでしょ。それに康平は俺なんかの気を使うよりも、他の新入生の気を使う方がこれからの縁を作る上のきっかけとして良いと思うけどな」

 

「うむ。確かにそんな意見もあるな。しかし見たところ立っていて困っているご老人や怪我人はいらっしゃらないようだったし、ここで誰かを選ぶにしても見知らぬ他人ばかりだと、譲る相手の判断材料がないので誰か一人を選ぶのもちょっとな」

 

 まぁ確かにそんな意見もあるよな。俺は康平の意見に頷きながら、康平の頭をチラチラ見てくる相手を少し睨んだりしていた。

 

 そんな事をしていると学校に着いたようで、続々と生徒達が降りて行ったので、俺と康平もそれに伴ってバスを降りた。バスを降りると校門があり、そこに多くの生徒が入っていく。それから少し進むと校舎の玄関が見えてきて、そこに中学で見たような感じで、紙が四枚貼られていてそこにクラスと名前が書いてあった。俗に言う新学年のクラス分けってやつだ。

 

「おい、涼禅名前あったぞ。俺とお前の名前Aクラスにしっかりと書いてあったぞ」

 

 あーはいはい。確かにAクラスに葛城康平と下関涼禅って書いてあるな。うん、また康平と一緒か〜良い奴なんだけどな。真面目が過ぎるんだよな。まぁ康平は普通に頼りになるしAクラスでもクラスの中心となって引っ張って行ってくれると思うから安心感は抜群だな。俺と康平はクラスの紙を見ると、自分達の教室Aクラスへと向かった。

 

「康平と一緒なのは嬉しかったけど、にしてもA.B.C.Dっていう分け方か。あんまり好きじゃないんだよなー」

 

「うん? そんなに気になるかこの分け方が。確かに俺達の中学では一組.二組などの分け方だったが…」

 

「そこの所で言ってるんじゃなくて、何かこの分け方にすると4つのクラスで優劣をつけてるみたいに思えて好きじゃないんだよね。まぁそれだったら俺と康平はAクラスになったという事だから優秀と評されたということで嬉しいんだけどね」

 

「そんな事は無いとは思うが…。だがもし仮にそうだったとしても何で優劣がつけられているか分からぬ以上誇れる物ではないな」

 

「確かにね。ほらほらあったよ教室さっそく入ろうか」

 

 俺達が教室に入るとそこにはそれなりの人数が揃っていて、それぞれがそれなりの存在感を放っているなと感じていた。杖を持っている少女や金髪の胡散臭い奴、如何にもないかつい顔の奴もいた。俺の席はあー同中の康平から離れたかー。まぁ俺も康平が近くに居なくてもしっかり友達ぐらい出来るし。近くの目つきの鋭い女子から冷たい目線を向けられているが、大丈夫だ問題ない。

 もう気にすることなく、ゆっくりとパンフレットでも読もうかなと思ったが、全員の生徒が教室に来て担任と思わしき男が入ってきたので、俺はカバンから手を出し話を聞く姿勢をとった。

 

「全員揃っているようだな。俺はAクラスの担任をすることになった真嶋智也だ。俺は普段英語を担当している。この学校には学年ごとのクラス替えがない

三年間俺が担任だ。よろしく頼む。それから一時間後に体育館で入学式があるが、それまでにこの学校特有のシステムについて説明しようと思う」

 

 事前に聞いていたこの学校のシステムと真嶋先生の話から、この学校のことについて考えをまとめていた。

 

 まずこの学校の生徒は例外なく寮生活をおくることを義務付けていて、外部との連絡をすることも禁止されている。しかも学校の敷地内から出ることも禁止されていて俺達は否が応でも三年間はこの学校の敷地内で暮らすことになる。だけど、学生たるもの娯楽が必要なことは学校も分かっているのか、カラオケや映画館、カフェや服屋などが存在する巨大なショッピングモールがあるらしい。

 

 そして、そんな学校内で完結する生活の中で考案されたシステムがSシステムだ。Sシステムとは現金の代わりとなる物で、学生証カードにそれに入っているポイントを使い学校のあるゆる施設が利用出来たり、学校にある物を何でも買うことが出来るらしい。これが事前に配られたパンフレットと今聞いていた真嶋先生の話をまとめたもだ。だけど、次に真嶋先生が述べられた内容で、今まで静かに聞いていた俺を含めた教室の生徒のほとんどが驚愕することとなる。

 

「ポイントは毎月1日に自動的に振り込まれることになっている。そして今、君たちに配った学生証には既に10万ポイントが振り込まれている。ポイントは1ポイントで一円の価値となっているので、君たちは10万円を持っているのと同義ということだ」

 

 これには俺も素直に驚いた。事前に公表されていた内容ではポイントが何円の価値かも発表されてなく。しかも入学そうそういきなり10万ポイントも貰えるなんて思ってもみなかった。いくら国が運営してると言っても10万円相当もタダで貰えるなんて怪しさ満点じゃないか? あとで、先生に聞いてみるかな?

 

「振り込まれた額に驚きを隠せないようだな。だが安心してほしい、この学校は実力で生徒を測る。この額は入学した君たちへのご褒美だと思って素直に受け取ってほしい。念の為言っておくが、このポイントは卒業と同時に回収するから現金化は出来ない注意してくれ」

 

なんか安心させるように言っているがよりこのポイントが胡散臭くなってきたな。このポイントがご褒美だと言うのなら、この一回、あってももう一回ぐらいしか10万ポイントは貰えないだろう。ましてや卒業までなんてありえない。

 

「話はこれにて以上だ。質問がある者は遠慮なく言ってくれ」

 

康平はこの学校でも生徒会に入ると言っていた。

ならば、中学も同じ生徒会に入っていた俺としても入るべきだろう。

そこでだ、聞きたいこともあるし、俺が生徒会に入って違和感のない頭の回るやつだと周りの奴に思わせる良い機会なので、俺は質問することにした。

 

「手を挙げて質問か下関?」

 

「はい。質問ですが、この10万ポイントはこのクラス以外の他のクラス。

そしてこれまで入学して来られた先輩方も最初に貰っているのですか?」

 

これは質問をしているという意味が重要なので、俺は気になっていたもう一つの質問をすることにした。あとの一つはあまりにも直接的過ぎて、はぶらかされると思ったからだ。まぁ気になるから後でみんなが見ていない時に個人的に聞くがな。

 

「ああ、このクラス以外の三クラスも貰っている。そして先輩方も貰っている。これは断言出来ることだ」

 

「ありがとうございます。また気になることが出来たら質問させてもらいます」

 

「他に質問は……無いようだな」

 

先生はその言葉を言い終えると黒板前から少し移動した。入学式まで待っているのかな?

 

そんな先生の様子を見て康平が椅子から立ち上がり、みんなの様子をぐるりと見回すと教室中に聞こえる大きめの声で提案をした。

 

「みんな聞いてくれ。このクラスの仲間とは、三年間一緒になることになる。

なので、ここらで自己紹介をして置くというはどうだろうか?」

 

「はい。私もこのクラスのリーダーとなる人物として賛成します。私も皆さんも早くお友達を作りたいと思いますから」

 

その康平の提案を聞いて立ち上がった杖を持った女子は自身をリーダーと評した上で、その人を惹きつけるような声で高らかに賛成した。

 

ここで行動出来る人物は人の中心となる人物だ。それが分かっていたので康平も自己紹介を提案したのだろう。

そこにリーダーになると言っている女子が、

出てくると言うことは康平と張り合うというのを案に言っているようなものだろう。しかもこの女子にはそれを言えるだけの存在感と適度な威圧感がある。

その証拠に誰もリーダーと聞いて笑うことなく、杖を持った少女のように自己紹介に賛成していった。

 

「俺の名前は葛城康平。中学では生徒会会長を務めていた。この学校でも生徒会に入るつもりだ。これからよろしく頼む」

 

それからどんどん席順で自己紹介が進んでいき、リーダーと宣言した女子の番が回ってきた。

 

「私の名前は坂柳有栖です。さっき言った通りこのクラスのリーダーになるつもりです。見ての通り運動は全く出来ませんが、チェスは得意なので自信がある方はどんどん勝負に来てくださいね」

 

その内容も中々のものだったが、やはりリーダーとなると言っているだけの自信が溢れる声。しかも弱みを見せた上で文句があるならチェスで勝負をつけようとする攻撃的な感じ、これはやべー逸材だよ。康平はリーダー争い勝てるかな?何か不安になってきたな。

 

そんな事を考えいる内に俺の番が回ってきたようだ。俺は質問をしたからあの二人の次ぐらいには注目されているだろうが、まぁ自己紹介はこれからの学校生活を決めるって言うし頑張りますかな。

 

「俺は下関涼禅です。俺も生徒会に入ろうかなと思っているので、頑張っていきたいです。部活は弓道もやってました。趣味は料理にトランプ、ボードゲームかな?これからよろしく」

 

う〜ん、普通だな。無難から出ない程度の自己紹介になってしまった。

それに今更だが、生徒会って部活と兼任出来るのかな?弓道部があれば入りたいとも思ってるしなぁー。まぁ兼任出来なければポイントで兼任出来る権利を買えばいいや。真嶋先生も学校内で買えないものはないっていってたし。まぁこれから取り戻せばいいや。うん。

 

 

♠︎ ♠︎ ♠︎

 

 

クラスの自己紹介が全員終わって入学式に行くことになった。

入学式は特に面白い物もなく理事長の話が長い何というか普通でありきたりな物だった。

 

そして昼前になると一通りの施設案内をされると、解散となった。

教室内の生徒の半分くらいは寮に行くようで、教室から出て行く。

それ以外の生徒はある程度塊になってグループになっているようで、俺はその中で康平とその周りにいる人がいる塊に向かった。

 

「よぉ、康平。いきなり人気者だな」

 

俺が来たことに対して康平は少し笑みを浮かべるが、他の周りの連中は少し俺のことを警戒するような視線を向けてきていた。大方俺のような質問をした上に生徒会に入ると康平と張り合うような真似した事によって、俺が康平をライバル視しているリーダー志望の奴だと思われたのだろう。

 

「おいおいなんだ下関じゃないか?葛城さんに何か用でもあるのかよ?」

 

こいつは確か…戸塚弥彦だったかな?そんな知り合い康平にいたことはないし、多分だがさっきの態度などからさっきから康平を尊敬し始めたのだろう。

康平はリーダー候補になるために自身の支持者を増やす必要がある。もう一人のリーダー候補となる坂柳がいればなおさらだろう。その初日としては良い滑り出しだな。

 

「おい弥彦、この涼禅はな俺と同じ中学でな、この学校でも俺と一緒に頑張っていくことを約束した仲だ。あんまりみんな警戒しないでくれ」

 

おお、康平が庇ってくれたわ。康平っていつも寡黙な事が多いからあんまりこう正面切って庇われることがないから素直に嬉しいな。康平の言葉に納得したのか周りの連中からの俺に対する視線は優しくなった。

 

「うんうんそうなんだよ。康平と同じ中学でさ、まぁ俺は康平の横にいるだけだから普通に接してくれていいから」

 

俺はそんな事を言いながらこのグループ以外のグループのことを見回していた。もちろん坂柳の周りにもこちらと同じくらい人が多くいた。大体どのグループが誰と誰がいるかを見た俺は康平に向き直り、話している内容に耳を傾けた。

 

 

♠︎ ♠︎ ♠︎

 

 

康平からの提案により、葛城グループは現在総勢八人ぐらいの人数で、食堂に昼食を食べに行っていた。

食堂には新入生もちらほらいてその上、上級生とも思える人も多くいたが、幸いにも混んでいなくて席も空いてる所が多かったので、そのまま食券機に向かった。

食券機には想像よりも多くメニューが多くて感動してしまった。メニューと値段をじっくり見ながら決めおうとしていると、一番下の方に『山菜定食』という無料のメニューがあった。これはあれかなポイントが無くなった生徒への配慮かな?餓死されては困るしね。康平もそれを訝しんだのか「ん、」と少し唸っていた。

今の所食べる機会は無いだろうと思い、俺はみんなが決めて行く中最後まで悩んで結局中華定食にした。

その後席に座りみんなが食べ進める中、康平がゆっくりと口を開いた。

 

「みんな気づいていたと思うが、この食堂には山菜定食なる無料のメニューがあった。それに真島先生の言っていた言葉の中には来月振り込まれるポイントは何ポイントとは言っていなかった。この事からみんなには来月含まれるポイントが不明な以上出来るだけポイントを残して貰いたいと思う。涼禅はどう思った?」

 

おっと流石は康平だな。確かな証拠と根拠を出しながらも、いまだ不明瞭なことなので注意程度に済ませておいたんだな。俺の役割としてはこの推理に根拠を足していくことかな。

 

「うん。それに多分どの先生に聞いてもはぐらかされる可能性が高いから、用心しておくに越したことは無いとは思っているよ」

 

俺の言葉にも納得のいったようで戸塚を含めた他の六人は頷いた。

その後も世間話や好きな食べ物など自己紹介の続きをしたりして、昼食の時間は終わった。

 

 

その後はそのメンバーのまま、寮の方へ向かった。寮に着いてからはフロントで色々と渡されてエレベーターに乗った、そしてそれぞれの部屋がある階で降りて別れた。

 

俺の部屋は467のようだったので、フロントでもらった鍵を使い玄関を開けた。部屋に入ってみると、リビングとキッチンそれにトイレと風呂というまぁありがちな普通の部屋で設備もそれなりに揃っているようだった。

少し物寂しい感は否めない殺風景な部屋なのでこれから自分色に染められると思うと心がワクワクしていた。

それから寝るまで俺はずっと少しテンションが上がっていた。

 

 




弓道をやっていた設定は個人的に好きなあの生徒との接点を作るためです。




「下関涼禅」      7月1日時点

クラス 1年A組

学籍番号 S01T004705

部活動 弓道部

誕生日 9月25日

【学力】   C+
【知力】   B
【判断能力】 A
【身体能力】 B
【協調性】  C

面接官からのコメント

中学では生徒会総務を担当して手際がいいことで評価されており、面接時でも高い点数を記録している。
勉強に関しては平均以上の成績を出しておりの入試結果でもそれなりの点数を満遍なく取っている。
身体能力に関しても運動神経が良く、弓道でも全国に進む程の実力があり優れていることが分かる。
教養があり非常に頭が回って良い意見を出すことが多かったようだ。
小学校での友人は不明瞭だが、中学時点では多くの友人がいてコミュケーション能力の向上が見られる。
以上のことからAクラスへの配属とする

担当メモ

事前評価通りの優秀な人物で授業中の居眠りは多いようだが、すでにAクラスの中心人物の一人となっており今後ともこの調子で励んで欲しいと思う。







この小説のヒロイン候補

  • 坂柳有栖
  • 神室真澄
  • 他のクラス
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