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一年全体に担任からの目撃者を募る話があった日の放課後に俺は生徒会室で仕事をしていた。今ここにいるのは堀北会長と橘書記だけで、俺を合わせて三人が生徒会室にいる。
だけど生徒会のメンバーだからと言っても仕事中に話をすることはほとんどなく、中でも堀北会長や桐山副会長から話されることはいままで無い、たまに南雲副会長や橘書記が話しかけてくれることがあるぐらいだ。俺からも話しかけることが無いので生徒会室は静かになることが多い。
だから今日も同じように特に会話も無く終わるんだろうなと思っていたのだが、今日は本当に珍しく堀北会長が俺に対して話を振ってくれた。
「下関。今日担任から聞いて、お前の事だからもう全容を把握しているであろう今回のC.Dの事件についてどう考える?」
珍しく堀北会長が話を振ってくれたと思ったら今回の事件に聞かれた。確かこういう事件とかって生徒会が判断することになるんだったかな。だから俺がここで録音取ってますよなんて言ったら、生徒会独自の情報網とか言って確実にDクラスが勝利する結末になるだろうな。
だけどそれでは俺が望む展開では無い、俺が望むのは両成敗という結末だ。しかも俺がポイントを稼げてからが一番望ましい。だからここでは堀北会長には黙って俺の主観での考察を述べるべきだろう。
「堀北会長は俺を高く買いすぎですよ」
「そんなことは無い。俺は人を見る目にはそれなりの自信を持っているからな。だが把握はもうしているんだろう?」
「そうですね全容はもう把握をしています。だから俺の主観を交えて考えると、今回の事件はDクラスの生徒が一方的に殴ったと聞いていますが、Cクラスの生徒は三人いたとも聞いています。流石に三体一ではお互いは無傷ではいかないと思います。でも、ボロボロになったのはCクラスの生徒だけ。これは意図的にCクラスの生徒が手を出さなかったということです。Cクラスの生徒は喧嘩が強い奴が多いと俺は聞いていたにも関わらずです。このことからこの事件はCクラス側が仕掛けた事件ということだと思います。Cクラスのリーダーは狡賢いとも聞きますから」
俺が考察を話している間の堀北会長は黙って聞いていて、俺が話し終わった後でも少し考えているように黙ったままだった。
「堀北会長大丈夫ですか?」
「ああ問題ない。よく出来た推理だな。大方下関の言う通りの推理がこの事件の真相だろうな」
「じゃあ今回生徒会として審議をする時はCクラスに対してペナルティを与えるということですか?」
「いや、これはあくまでも推理だからな。生徒会として審判する場合は公平を期すために審議の場で出た両方の集めた情報だけを元に判断していく」
それが公平かはともかくあくまでも生徒会長は今回の事件は中立で判断してくれるようだ。これでCクラスだけにペナルティを与えられたら西野に何て言われるか分からないからな。
「そういえば生徒会の審議には誰が出る予定なんですか?俺とか一之瀬は出ることは出来るんですか?」
俺が堀北会長に少し気になったので質問をしてみたら、ちょっと遠くで仕事をしていた橘書記が質問に答えてくれた。
「いえ、原則として同じ学年の問題の審議には出ることは出来ません。それに関連して生徒会長に聞きたいのですが、今回の審議はいつものように私が出ましょうか?今回の一年Dクラスといえば生徒会長の妹さんもいらっしゃいますし……」
そうかやっぱり出ることは出来ないか……まぁ一之瀬が参加してDクラスに味方する可能性があったから結果的には良かったかな。俺も今回の事件は生徒会で参加するのはやりたいことがあるから遠慮したいし。
それよりも堀北会長には妹がいたのか……しかもDクラスとはな。全く話に聞かなかったから知らなかったな。後日にどんな人間なのか知るために接触だけでもしようかな?優秀な人間だった場合はしっかりマークしておかないとな、なにせ堀北会長の妹だからな。
「いや今回は俺も参加しよう。これも生徒会長の務めだから、偶には参加しないといけないからな」
「了解しました。そのように手配しておきます」
それからの生徒会では特に事件の話にはならずに通常通りの業務してから終わった。
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昨日に堀北会長との話があってから一日経って今日。どうやらDクラスは昨日から目撃者捜索に奔走しているらしくて、Bクラスにも顔を出したようだ。と言うことは今日ぐらいにはAクラスの生徒にも目撃者を探しに来る頃なのかな?Bクラスに行ったということはいずれ一之瀬にも伝わって協力するだろうし、まさかCクラスには聞きにいかないだろうからな。
そんなことを思っていると昼休みに俺宛にメッセージが届いた。連絡をしてきたのはDクラスの実質的なリーダーの平田からで、どうやら放課後にカフェで会えないかというお誘いだった。
これは俺に対して事件のことで聞きたいことがあるということだろう。今日は部活も無くて生徒会も特に無いので行くことにするか。Dクラスの動きなども気になるところだからな。
その前に俺は今回の事件が完全な部外者から見たらどういう風に見えているか気になったので、聞いてみることにした。
「康平はさ今回のこの事件についてどう思うの?」
「あのD.Cのことか?……馬鹿な事をしているなとしか言えないな。だがこれの対応次第ではどちらの方が知略に富んでいるかが分かるとは思ってはいるな」
へぇーさすが康平だな。一概にDクラスの方が劣っているとは言い切らないところは流石だな。まぁそれくらいじゃないと葛城派のリーダーは務まらないか。
「やっぱりD.Cも馬鹿ばっかですね。こんな事件を起こす時点でどちらもお里が知れるってやつですね」
戸塚に関してはDとCという下二つのクラスが起こしたことだから、特にAクラスに関係なんかないのでなんとも思っていなく、二クラスを馬鹿にしているようだった。そんな事を言っていたら人間足元を掬われるって言うのにな、康平を信奉するのは戸塚の美点だと思っているが、こういう自分は絶対にそっち側に堕ちないと思っているような所はあまり好みはしないな。
「そういう涼禅はどう考えているんだ?どちらのクラスにも知り合いぐらいは居るんだろ?」
「まぁどちらにも何のマイナスも無いのがいいじゃないかな?そっちの方が平和的でなんの争いも起こらないと思うけどな」
俺はAクラスとして無難な答えを返しながらこの話題について断ち切って別の話題について雑談を始めた。
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俺は放課後にケヤキモールに来ていた。理由はもちろん平田と会うためにカフェに向かうためだ。
俺は今現在平田洋介という人間をほとんど知らない。他のAクラスの奴らよりも知っている自信はあるのだが三宅に聞いてもほとんど分からず、多分だがDクラスの奴らと同じぐらいしか知らないだろう。サッカー部で俗に言う典型的なみんなに優しくて明るい陽キャで人一倍にお人好し、しかも同じクラスの軽井沢恵と付き合っている。ざっとこのくらいしか知らないのだ。なので今日この時間に少しでも平田洋介という人間を知れたらなと考えている。
俺がカフェに着くとすでにカフェ内には俺を呼んだ平田と何故かギャルぽい女子たち四人がいた。えーマジですか、これはあれですか?聞き込みに見せかけた惚れ自慢ってやつですか?……大丈夫だ、問題ない。俺はこれでも中学の頃には告白されたことだってあったのだ。俺には効かないだろう。多分。
俺が内心で何かと戦っていると、こちらに純粋な笑顔で手招きをする平田に気づいた俺は平田はそんな奴じゃ無いだろうと結論づけると平田達が座っている席へと向かった。
「ごめんねわざわざカフェまで呼び出してしまって。それで本題の前にここにいるみんなの紹介はいるかな?」
平田の言う通り俺は平田以外のこの場にいる人間は全く持って知らない。多分一人は軽井沢って呼ばれる彼女なんだろうなということしか分からない。彼女を置いて女子四人と放課後にいる男なんていないだろうからな。
「ああ平田以外は申し訳ないが、全く知らなくてな。手間がかかるけどお願いするよ」
俺の言葉を聞くと平田が女子達に僕が簡単に紹介しようと言っていて、どうやら平田から簡単に紹介してくれるようだ。俺はこの15年間彼女なんて出来たことが無いから、高校ぐらいは彼女を作りたいと平田を見ていたら思えたので女子の名前ぐらいは今からでも他クラスでも覚えておくか。
「僕の隣にいるのが彼女の軽井沢恵さん。その隣にいるのが佐藤麻耶さん。で、その隣が松下千秋さん。反対側の僕の隣が篠原さつきさん。どうかな覚えてくれたかな?」
平田からの紹介で名前が分かった所で、彼女である軽井沢を見てみると典型的なギャルぽさがあって、この四人女子グループのリーダーなんだなと一目で感じることが出来るほどだった。他の三人もこれまたギャルなんだな〜と感じれる風貌をしていて、全員に地味さなんて感じさせないようだった。
「ねぇねぇあのAクラスの下関君だよね?」
あの?なんだ何か噂されているのか?俺はこれでも人に不信と思われる行動などとったことなんて無いつもりないんだけどな。まさか西野との関係がバレたのか?確かに週一では会ってるからな。一応周りには気をつけて会っていてもバレているかもしれないな。どうするか……。
「え、あのって?佐藤さん俺って何か噂でもされてるの?」
「何ってねぇー。篠原さん下関くんって結構有名だよね?」
「うんうん。だって私が聞いた話だと弓道部のエースで明るくて目の下の隈を含めても学年イケメンランキング上位に入る人だって女子達には結構人気だよ?」
「そうなんだ。初めて聞いたよ。隈は仕方ないとはいえそこまで言われると照れちゃうな。個人的には普通だって思ってるんだけどね」
「謙遜しすぎだよー。松下さんは付き合うなら上級生が良いって言ってたけど、背が高い下関くんはどうなの?」
「いやー背の高さと上級生は関係ないでしょ。確かにAクラスで、頭も回りそうだから悪くないは無いと思うけどね」
俺と平田が置いてきぼりの中で女子達の恋愛トークがヒートアップしていっていた。確かに時々褒められるのは素直に嬉しいが、これは本題にしっかりと入れるのか?
そう危惧をしているとついに平田が話を何とか修正しようと会話に口を出した。
「みんな今日の目的は忘れてないよね?ごめんね下関くん今から本題について話すよ」
平田が口を出すと女子達は会話をしっかりと中断をした。さすがに本題を遮ってまで会話を続けるなんてことはしなかった。
「ああ、構わないぞ。まだ時間はそこまで経っていないからな」
「ありがとう。それで本題って言うのは、担任から聞いていると思うけどDクラスとCクラスの暴力事件の目撃者についてなんだ」
まぁ予想通りの本題がきた。この時期でDクラスの話し合うことと言ったらこの話題ぐらいだよな。さて、何て答えるべきかな。
「やっぱりその事だよな。それで何で俺個人をわざわざ呼び出して聞くことにしたんだ?Aクラス全員にメッセージで聞いた方が早いと思うんだけど?」
「うん。その方が早いんだけどね……他の人を疑うみたいで申し訳ないんだけど、Dクラスの人がAクラスの人に聞いても答えてくれないことが多くてね。それで生徒会でAクラスの下関くんからみんなに聞いてくれないかとお願いするために今日は呼んだんだ」
そう言うことね。Aクラスの奴にはDクラスを見下す奴が多い。それでまともな受け答えが出来なくて本当にそいつが見ていないかが分からない。だから同じAクラスでDクラスを下に見ず、しかも生徒会の権力で無理矢理聞くことも出来る俺に頼みに来たということか。
これは受けるべきだな。ポイント取引する為にもDクラスの動きは知る必要があるかもしれないしな。だけど、流石にここで協力をするために表立ってDクラスにポイントを要求するのも気が引けるからな、素直に受けることにするか。
「ああもちろん構わないよ。一応言っておくけどAクラスは今派閥が割れていてね、それで俺の所属している派閥にしか聞けない可能性があるんだけどそこは大丈夫かな?」
これは本当のことだ。いくらAクラスだと言っても葛城派の俺から聞いても坂柳派の奴らは答えてくれない可能性が高い。もしかしたら別のクラスに聞かれた方が答える可能性が高いぐらいだ。
「それで十分だよ。それで追加でお願いしたいんだけど、誰に聞いたかはメモしておいて欲しいだけどいいかな?」
「それでも大丈夫だよ。とりあえずやれるだけやってみるよ」
「ありがとう。結果が分かったら僕の携帯にメッセージを送ってね」
それからは本題が終わったからと女子達と会話をしていた。その日はそこにいた女子と流れで連絡先を交換をしてから自室に戻った。
次回で暴力事件の事は終われるといいな。