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いよいよ無人島に降り立ったAクラスは名前の順で整列をさせられて、点呼をすることになり、問題無く終わったのだが、Aクラスは携帯が没収された上、暑い浜辺の中、他クラスが揃うの待つことになった。
俺は汗をあまりかかない体質だからいいけど、汗っかきの奴はもう汗が出てるほどの暑さだぞ?少しは水撒きとかの対策ぐらいはしてほしいものだな。
それから最後に下船したDクラスが整列して点呼が終わったぐらいのタイミングで、我らが担任の真嶋先生がいつの間にか用意されていた壇上に上がった。
「今日、この場所に無事につけたことを、まずは嬉しく思う。しかしその一方で1名ではあるが、病欠で参加できなかった者がいることは残念でならない」
真嶋先生が一瞬Aクラスに目線を寄越して坂柳の事について触れた。他クラスからはボソボソと言った会話が聞こえてきた。大方「そんな人いたんだ気づかなかった」とか「旅行で休むなんて可哀想」だろう。
といっても、一之瀬や龍園、堀北などは坂柳が休んでいて、理由が体の事ぐらいは分かっているだろう。
「ではこれよりーーー本年度最初の特別試験を行いたいと思う」
生徒がそれなりに静かになった所で真嶋先生から、生徒を天国から地獄に叩き落とすような発言がなされた。
もちろんその発言が来るのは分かっていました。なんて思っている各クラスの中心人物を除く、他の生徒の間では疑問の声や話し声が止まらなかった。
そして真嶋先生からこの無人島での特別試験についての説明がなされた。
まず今日から一週間俺たち一年は無人島で集団でのサバイバルをさせられるようだ。
これは企業研修を参考にしているとか先生が言っている時に思い出したけど、そういえばお父さんが昔そんな事を言っていた気がした。それをもっと早く思い出していれば、今俺に向かって西野が控えめにピースサインをすることも無かったのにな……。
それから生徒から出た文句を真面目な顔をして諭したりしていた真嶋先生が言うにはこの特別試験のテーマは
こういうテーマなどは重要になりそうだな。
こんな風に毎回テーマが出されるとしたら、それをしっかり考えれることで運営が考える正解に辿り着けるのはお決まりというやつだ。
そこから真嶋先生は小出しにしつつもこの試験の概要やルールを説明してくれので、俺は頭の中でまとめてみることにした。
・まず各クラスに試験専用の300ポイントを支給するから、上手く使って生き残れ。
・支給物はクラスごとにテントを二つ。懐中電灯を二つ。マッチ箱を一箱。歯ブラシは一人一つ。日焼け止めや女子特有の物は制限が無い。
・マニュアルを用意してあり、そこには300ポイントを使うことで飲料水からバーベキュー機材まで買うことが出来る。
・堅実なプランを組めば無理なく一週間が過ごせることと、二学期以降への悪影響は無い。
・そして特別試験終了時に残っている各クラスのポイントがクラスポイントに加算され夏休み終了後に反映される。
・マニュアルは一クラスに一つで、紛失したらポイントを消費して再発行が可能。
・体調不良などでリタイアすると300ポイントから30ポイントが引かれる。なので坂柳が居ないAクラスは270ポイントからスタートする。
今のところこんな感じのことが説明された。ただのサバイバルだと本当に危ないから、戦略性も交えつつもポイントで運営が助けて、一週間を安全に過ごすことが出来るとかは、本当によく出来ているところだな。
それより重要な事は、この残りポイントがそのままクラスポイントに反映されることだ。
もし仮にBクラスが300ポイントを手にしてもAクラスから落ちることが無いのは安心だけど、反映されるということで、クラスの本気度が変わってくることころだ。
例えばだが、少しでもポイントを残したい派と一週間を快適に暮らしたい派で意見が割れてクラスの雰囲気が最悪になる可能性も考えられるだろう。
これは最悪どちらかが折れれば良い話だけど、問題は反映されることでAクラスにとっては不利という点だ。理由としては、他のクラス全てがAクラスに対してヘイトを持っていて、引きずり落とす対象にしているのに、わざわざそんな奴らと無人島で、協力する気があるのかと言う話だ。
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そんな風に俺が考えを深めている間に、全クラスがそれぞれ担任の所に行くことになったので、俺も周りのAクラスの生徒と共に真嶋先生の元へ行くことにする。それからも追加の説明があったのでまとめておく事にする。
・完全防水の多機能高性能腕時計が配布されて、一週間の間に外すとペナルティが課せられる。
・学校側はポイント関連以外一切関与はしないので、自分達で食料や水は管理しろ。
ここまでは真嶋先生が口頭で説明したのだけど、ここで、マニュアルを一番初めに渡された康平がペナルティ項目を読むように促されたので、康平が読んだマニュアルの内容をまとめることにする。
・体調が崩れたり、大怪我をしたらマイナス30ポイントとその者はリタイア。
・環境を汚染する行為はマイナス20ポイント。
・毎日午前8時、午後8時の点呼に不在ならマイナス5ポイント。
・暴力行為や略奪行為、器物破損を行うと、所属するクラスを即失格として、対象者のプライベートポイントは全没収。
内容としてはまぁ当たり前の事がほとんどだな。こういうのはちゃんと覚えておいて損なんて無いからちゃんと覚えるつもりだ。
そこからは色んな意味で中々の反応が出る説明がなされた。
まず支給テントは8人用のものが2つ。これはまだそこまでの反応は無かった。最悪ポイントで買えば良い話だからだろうな。
さて問題は次だ。
もちろん無人島になんかトイレはあるわけが無いので、支給されることになるのだが、これが中々のものだった。真嶋先生がやり方を説明しながら出したものが簡易トイレというもの。
これの説明がされればされるほどにコソコソと喋り声が増えていって、遂には何人か女子が普通のトイレを買ってと康平に対して、それなりに大きい声で要望してきた。流石の康平も一理あると思ったのか頷いていた。
まぁトイレ問題はこれにて解決したわけだが、個人的に重要だと思う追加ルールが二つほど説明された。
・一つ目に島の各所にはスポットが存在している。占有権があり、占有したクラスのみが自由に使える権利を得る。
・占有権は八時間しか意味を持たないので、その度に占有し直す必要がある。
・スポットを占有するごとに1ポイントのボーナスを得れて、試験終了時に加算される。
・スポットを占有するには専用のキーカードが必要。
・他クラスが占有しているスポットを勝手に使用すると50ポイントのペナルティ。
・キーカードを使用出来るのはリーダーとなった人物だけ。
・正当な理由なくリーダーは変更出来ない。
・二つ目に最終日の昼に点呼のタイミングで他クラスのリーダーを言い当てることが出来る。
・的中すると50ポイント、されると50ポイントのマイナスとボーナスポイントを全て失う。
・間違った人物を言うと、マイナス50ポイント。
・リーダーは例外無く決めることになる。
という感じだ。この時点でさっきよりも戦略性が広がって、ワクワクするような事になって、やっとテーマである自由というものについて理解出来た気がするな。
何をするも自由なので、リーダー当てに集中する大博打も可能というわけだ。
そんな事をする奴なんて居ても龍園ぐらいだとは思うけど……。
まぁ今の説明を聞いた段階で、7割方は無人島の特別試験での戦略を立てることは出来た。これを康平に事前に伝えていた策と合わせればAクラスが敗北をすることは無いだろう。
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「ここに居ても他クラスが居て、この試験に関わる話が出来ない。少し落ちついる場所に行こうと思う。ついてきてくれ」
真嶋先生が完全に下がって喋らない雰囲気になったので、ここだとばかりに康平が前に出てきて、Aクラス全体に号令をかけた。坂柳派の人間も渋々ながらも率先して歩いて行く康平に置いていかれると思いついて行った。もちろん俺もついて行き、康平に確認したいことがあるので、康平の周りに誰も居ないのを確認して隣まで行った。
「康平。追加ルールとかは理解出来たよね?これが最後の確認だけど、俺の事前に考えた策を採用するよ?」
「ああ、このルールを聞いてますます涼禅の提唱した策が有効だと分かったからな。涼禅の策に乗ることにしよう。打ち合わせ通りでいいんだろ?」
「もちろん。アドリブもよろしくね」
康平からの最後の了承が出たので、俺は坂柳派に先を越されないことに対して優越感は若干感じながら、康平の歩くそこそこ後ろに下がって、葛城派の重鎮で親交がそこそこある町田の隣に来た。特に町田を選んだこだわりなどは無く、それなりに頭の回る町田の意見を聞いておきたいと思ったからだ。
「よぉ町田。無人島のルールを粗方聞いたけど、どう思った?」
「下関か。それなりに複雑だとは思ったが、俺たちはAクラスだから、特に何事も無く終われるだろうな。坂柳派の奴らが気がかりだが、葛城さんなら問題無く対処してくれるだろうな」
まぁ町田の意見が大体の葛城派の人の意見だろうな。だけどやっぱり、AクラスやCクラスにも言えるけど、リーダーに頼り過ぎだと言わざる得ないかな。
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そんなこんなでやって来たのは島をぐるっと見た時に発見した洞窟だった。そこで、康平に言われて全員が洞窟に入ることになった。洞窟の内部は人工的に作られたんだろうなと思わせるような内部だった。広さもまぁまぁで、アリの巣のような構造となっていた。
そこで康平の話を聞こうと全員が座り、真嶋先生も立ちながらも話を聞くようだった。坂柳派の人も特に反抗せずに座ってくれてありがたかった。もし反抗されれば聞くように説得するのも大変だったからな。今でも若干嫌そうなやつが何名かいるが、まぁ気にせずにいこう。
「ここに集まってもらったのは、これからの無人島の生活の戦略についてと、リーダーについてだ」
「まずこの特別試験がサバイバルというのを理解して欲しい。
その上で、この特別試験で重要なのは、いかに団結して効率良く生活をして、リーダーを他クラスから守るかだ。この二つが出来ない時点でそのクラスの負けは決まったことになる。そして、団結に欠けるということはこの試験においては命にも関わる問題なのを覚えておいてほしい」
「これに注目すると、このクラスも完璧とは言えない。坂柳を慕っている者達は俺の意見、命令を聞くのに不快感を覚えモチベーションが下がり、団結が削がれる可能性がある。そして俺を慕ってくれている者達は、坂柳の30ポイントで坂柳を慕う者達との団結が削がれるだろうと考えられる」
「この事から俺は涼禅と協議して一つの結論を導き出した。それは今回の無人島試験で……俺がリタイアすることだ。そして俺の右腕である下関涼禅と坂柳の右腕である神室真澄にすべてを一任する。これが導き出した最善の結論だ」
この最後の発言にクラスの坂柳派、葛城派関係なく、真嶋先生でさえ驚いた表情をしていた。この策を知っていたのは俺と康平のただ二人だけだ。このクラスから情報が漏れる可能性があるのは二つの派閥があるからだ。だったら一度坂柳との連絡が取れない、この試験間だけでも派閥を無くせば良いと思ったから康平に対して提案をした。説得にはそれなりに苦労したけど、了承してくれて本当に良かったよ。
打ち合わせの内容に加えて、アドリブでこの試験に関することも言ってくれたし、説得力は抜群だな。流石康平だ。
「か、葛城さん?本当にリタイアするんですか?坂柳のいない今こそ葛城さんこそがリーダーに相応しいと見せつける絶好の機会ですよ?」
「その考えこそが駄目なんだ弥彦。自らを魅せることばかり考えていては足元を救われる。それを回避するための策がこの策だ」
こう言っても、この策が坂柳派による情報漏洩を防ぐためということを、気づいている人間はすでに何人かいるだろう。現に今、橋本は俺の方を向いてニヤニヤしてきてるからな。
まぁ気づこうが、気づかまいがどちらでも構わない。もう、すでに宣言がなされた以上はな。
康平が後ろに下がったのを確認すると、俺は不意に立ち上がり、声を上げて他の人の視線に集めながら、康平の話していた場所に向かって歩いた。
「みんな聞いてほしい。この策は何も団結するためだけじゃ無い。俺たちAクラスが康平や坂柳さんと言ったリーダーに頼らずとも優秀だと他クラスにアピールするためでもある。他クラスの連中はAクラスは二人が居なければ何も出来ない不良品だと影で思っているに違いない。それを見返してやるんだ!」
もちろんこんな意見は想像半分だ。龍園とかは絶対に思っているに違いないが、大事なのは共通の敵を用意することだ。二人の事を別格と考えているAクラスもこの意見には自覚も少しあって、結構効くだろうしな。
「いいんじゃないか?神室の指示だったら俺たちは問題なく聞けるからな」
「ちょっと橋本あんた何言って」
「ここで断ったりしたら、坂柳や神室の心証が悪くなるだけだぜ?なら、とっとと乗っといた方がいい」
「……はぁ、分かった。私、葛城からの一任を受けるから」
俺のAクラス全体へ発破をかけた事により、意外な人物が一番にこの策に乗ってきた。橋本だ。橋本は神室から小声で話し合っていたようで、神室から了承の発言がなされた。何はともあれ、橋本と神室という坂柳派の中核が乗ってくれたことにより坂柳派はこの策に全面賛成だろうな。
「……葛城さんが考えてくれた策なら俺はもちろん構いません。下関も葛城さんが信頼を置いている人物ですし、不満はありません」
未だに少し納得していない戸塚に代わって、町田が意見を申してくれた。その意見には葛城派の人間が多く頷いてくれていた。流石、葛城派に初期からいる人間の言うことは違うな。
「神室さん了承してくれてありがとう。とりあえずこっちに来てくれない?」
俺の言葉に渋々ながらも神室は来てくれた。後は改めてクラス全員からの合意を取って、後からとやかく言われることを防げば終わりかな。
「じゃあ改めて合意を取るから。全員顔を下げて、俺、下関涼禅と神室真澄が無人島の間仕切ることに反対の人は手を挙げてくれ」
さすがに互いの派閥のナンバー2が見ている状況で手を挙げる人間なんて居なくて、満場一致で可決となった。
「みんなありがとう。反対意見は無かったよ。じゃあ今から俺と神室さんはこの後の作戦について打ち合わせをするから、少し待っておいて」
「真嶋先生。では、俺はリタイアするので手続きをお願いします」
「葛城さん。俺……」
「弥彦。お前には涼禅を支えてやってほしい。任せたからな」
「……はい!任せてください!」
「葛城。リタイアは船の所に行けば問題は無い」
康平がマニュアルを俺に渡してから、洞窟から出るのを見届けた俺と神室は二人で洞窟の奥の方に向かった。ここなら大声で話さなければ聞こえることは無く、見られることは無いだろう。
♠︎ ♠︎ ♠︎
「それでこっちの動きを封じるだけに葛城をクビにしたみたいだけど、これからの作戦はあんたは考えてるの?」
奥の部屋に来た途端に、神室からこれからのことについて聞かれた。意外にもこの試験に対してやる気があるようだ。てっきり俺にすべて任せてくると思ってたな。
「ああもちろん考えてあるよ。とりあえずはAクラスを三つに分けて、それをこの洞窟と、塔と崖下の小屋の三つのスポットの場所に分かれて過ごさせる」
「団結って言ってた割に、分けるんだ」
「こっちの方が効率が良いからな。どうせ240ポイントしか残ってないんだから、節約なんてせずにスポット更新を確実にしていって稼ぐしか無いよ」
俺は康平から貰ったマニュアルをペラペラとめくりながら神室との会話に勤しんでいた。
「あんた。あれだけ言って勝つ見込みはあるの?」
「もちろん。でも、狙うのは2位で、リーダー当てでしっかりするつもりだから、ポイントを使いまくって丁度2位にいけるかな?それとリーダーは神室に任せるから。他の人には言っちゃ駄目だからね」
神室は少し驚いた顔をしたが、諦めたのか、ため息をつきながらも了承をしてくれた。俺の予想だと体調不良でリタイアすれば、リーダー変更は出来ると思うので、それを使ってボーナスポイントだけは死守しないとな。
それから真嶋先生を呼んで、神室のリーダーカードを作って貰った。
Aクラスの連中がいる場所に戻った俺と神室は、さっそく坂柳派の12人を塔に向かわせて、とりあえず他クラスが来たら牽制するように指示した。
葛城派の12人も小屋に向かわせて、同様のことをお願いした。戸塚がいつもよりもハキハキしていたこと以外は、特に何も無かった。
漏れたお互いの派閥の奴と中立の奴12人にはここに待機を命じて、拠点整備と、康平を呼ぶお客さんが来たら、飛脚的なもので俺と神室まで伝えるように言った。
もちろん、人払いを済ませてから、洞窟の占有権を確保した。これで今出来ることは必要な物を買うだけだな。さて、康平の分までこの無人島で頑張るとしますか。
次回は多分龍園が来るところまでは書くつもりです。