ようこそ葛城康平に補佐がいる教室へ   作:地支 辰巳

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今回で無人島試験はほとんど終わります。前半に詰め込み過ぎた感は否めないけど。

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順調 元の関係には戻れない

無人島試験も折り返しを過ぎて四日目に入った。8時になり、Aクラス全員はもう揃っていたのて、朝の会議を始めようと思ったところで、俺のところに橋本が近づいて来た。

 

「下関、ちょっと良いか?」

 

見たところ橋本は何も持っていなくて、特にいつもと変わったところも無く話しかけてきた。何の話かとは思ったが、橋本は坂柳の手足として無人島でも行動している。神室との関係や色々と悟られないように会話をしよう。

 

「どうしたんだ橋本?何か面白い情報でも見つかった?」

 

「いや、そんなんじゃなくてな、提案があるんだが、構わないか?」

 

「ああ、いいけど」

 

「この試験ももうちょっと終わりだろ?それで、塔チームと小屋チームの役割を逆にしてもいいんじゃないかと思ってな。どうだ?」

 

逆か。確かに、同じことをすることは効率が上がるけど、飽きがくる可能性も高くて、やる気を損なう可能性もあるな。それに、いつもとは別の奴に見張りをさせたら、新しい発見なんかもあるかもしれない。橋本の提案ということで、多少の警戒はしておく必要はありそうだけど、概ね問題は無さそうかな。

 

「中々良いアイデアだと思う。じゃあ今日から変えてみようか」

 

「ありがとな下関。これで試験もより順調になると思うぜ」

 

そこからの会議で、橋本の案を採用をして、役割を逆にすることをみんなに伝えた。もちろん、変な反感を生まないように橋本の案だと言うことは伝えていない。特に反対などの意見は無かったので、今日から試験の終わりまで、逆の役割にすることが決まった。

 

 

♠︎ ♠︎ ♠︎

 

 

四日目ともなるとやることが無くなり、スポット更新ぐらいしかすることがなくなったので、洞窟の中に籠って会話に勤しんでいたり、他のみんなと同じように仕事をしていた。

 

そして、3時頃に洞窟の前で神室と丁度会話を始めた時、塔チーム奴と小屋チームの奴がほぼ同時にこちらに来た。

 

「報告なんだけど。なんか小屋に人が来た。Dクラスの綾小路清隆って名乗って、探索に来ただけって言ってた」

 

「俺も同じだ。塔の近くでウロウロしていた奴がいたそいつも、Dクラスの綾小路って名乗って、探索しに来ていたらしいから、報告に来た」

 

ここに来て、綾小路がこちら側を探索しに来たのか。そんなことをされると、まるで俺のことを見張っていると警告しているみたいに感じてしまうじゃないか。分かっているんだ、そんなことはあるわけないって。綾小路という人物は気づいたとしても、そんな風なことをしないってことは。だから、綾小路の報告を受けただけで、ビビってしまうのは、いつまでも恐怖を克服出来ない俺の弱さだ。

 

「はぁ、綾小路のことは後で私たちで色々と考えておくから、もう帰ってもいいよ」

 

俺が綾小路のことで止まっているのに神室が気づいてフォローしてくれた。やっぱりこういう所が神室を相棒にして良かったな。これまでの人生で人にフォローされた経験もあんまり無かったから。

 

「ほら、あいつら行ったから、浜辺に行くよ」

 

俺が返事をする前にとっとと神室によって引っ張られて、前に俺が神室に自分の秘密が知られた浜辺へと向かわされた。

 

 

「私とあんたの関係に、メンタルケアも含まれてるの?」

 

「本当ごめん。綾小路が俺の近くまで迫ってると思うと、なんか怖くなるんだよ。俺だってずっと精神が安定しないなんて……嫌なんだ。毎日毎日夢に見ているせいで、起きてしまって寝れないのも嫌なんだ」

 

なんで、こんなずっとずっと溜め込んで来たことを神室に告白してしまっているんだろう。いや、良いのかな。俺はずっと我慢してきたんだ、今ぐらい、神室にぐらい話してしまってもいいのかもしれない。

 

「そういうのって、何かトラウマとか傷跡とかで忘れることが出来ないとかあるんでしょ?あんたの……背中のやつとか」

 

神室は気づいてたんだな。まぁ今からこれについて話して楽になろうとしていたんだ。いまさらバレていたところで変わらない。

 

「ああ、そうだな。多分これがあるから、いつまでも俺の中で綾小路は恐怖の対象として映ってしまうんだろうな。見せるよ神室。それで俺は綾小路への恐怖を克服するよ」

 

俺はゆっくりと長袖のジャージを脱いで、そのまま半袖の体操服も脱いだ。そして、上半身の至る所にある、火傷の跡を神室に対して見せた。

 

「これが、俺が綾小路に対して恐怖を感じている証だ」

 

見せた瞬間の神室は目を見開いて驚いたけど、、特に気持ち悪がることも無く、グルリと俺の体を一周回って見た。

 

「よくこれを隠してこれたね」

 

「プールの授業なんかでは、絶対に休んで、体育とかも体操服を中に来てから学校に行ったりして、見られないようにしてきた。だから、俺に火傷の跡があるのを知っているのは医者と俺しか知らない。実の妹でさえ知らないことだ」

 

「それを私に見せて、下関は楽になれた?」

 

多分、俺は楽になれたんだと思う。そんな実感が根拠も無いけどしている。自分にかかっていた重みが取れたみたいに感じれるから。前までは自分に信じられる相棒が欲しいとは思っていたけど、ここまで明かすつもりなんて無かった。でも、神室の前だと昔みたいに気を張らずにいることが出来るんだ。もしかしたら、俺は神室に対して依存してしまっているのかもしれない。

 

「なんかすっきり出来た気がするよ神室。俺を……裏切らないでくれ、お前だけは俺から離れないで」

 

「一々言わなくても分かってる。私はあんたにこの身を預けてるつもりだから」

 

俺自身心の整理がそれなりについて、これで少しは綾小路と対等に対決出来るのかもしれない、そう思いながら俺は神室とともに浜辺を後にした。

 

 

帰って来た俺たちは、帰る前と同じように仕事をして、夜の会議までの時間を過ごした。

夜の会議では、役割を逆にした感想なんかを聞くために、いつもよりも長く時間を取ったり、初めての見張りの私見なんかを聞いたりしていた。それをやってから四日目は終わった。

 

 

♠︎ ♠︎ ♠︎

 

 

五日目になった。まぁ今日もやることは変わらなかった。朝から会議をして、いつも通り仕事をした。そして夜になって特にいつもと同じようなことを言うだけの会議をして終わるはずだったのだけど、終わる直前になって町田が手を挙げていた。

 

「どうしたんだ?町田」

 

「いや、今日、雲を見ていたら明日ぐらいに大雨が降りそうだなと思ったから一応の報告をしようと思ってな」

 

「そんなこと、報告する必要なんかあるのかよ」

 

町田の報告に対して、坂柳派の誰かがヤジを飛ばしていたけど、俺は町田の意見を全面的に良い意見だと思っている。贔屓では無い。嘘だろうが、勘違いだろうが、その可能性があるのなら、用心することに越したことは無いと思っただけだ。

 

「町田の意見は採用すべきだ。もしも大雨とかになってしまったら、離れる場所で過ごすという作戦をとっているAクラスでは、点呼がカウントされない可能性がある。だったら用心のために対策をしておくに越したことは無い」

 

「対策って言ったって、どうするんですかリーダー?」

 

橋本が少しの煽りも混ぜながら聞いて来た。なんか橋本がいきなり質問とかすることが多くなっている気もしないでも無いな。まぁ橋本のようなタイプは昔会ったことがあるが、はっきり言ってああゆう権力や金に弱そうな奴は嫌いなんだよな。だからこそ、状況によってはこちらの味方をする可能性もあるから、度外視することも出来ないんだよな。

 

「そんなことは簡単だ。ここがベースキャンプとして登録してあるから、ここで雨が止むまで過ごせば良い。幸いにも食料の備蓄なんかもここだし、Aクラス全員も問題無く入ることが出来る」

 

「了解だぜ。リーダー」

 

「じゃあ、そういうことで、塔や小屋に荷物などを置いている奴は一度帰ってから、こっちに戻って来てこっちで寝てくれ。試験終了まであとちょっとだ。気合いを入れて頑張っていこう」

 

Aクラス全員はこれまでの無人島生活が思った以上に心身にきていたのか、実感の伴った頷きを持って返されて、夜の会議は終了となった。

 

 

そして六日目。朝起きてから、洞窟の外に出てみると、周りの木々には水滴が多く付いていたり、足元のぬかりが凄かったりしていた。なによりも湿気がすごく高くなっていて今、立っているだけでも蒸し暑く感じていた。どうやら、町田の予見していた通りに、深夜に大雨が降って来ていたようだった。

 

といっても、今日することはそこまで変わることは無い。前日通りに偵察を実行することで、今日は流石に偵察は無いだろうと思って油断するかもしれないからだ。食料集めもまぁいつもよりは量は減らすけど、するだけしては置こう。

 

そんなこんなで、色々と朝の会議で決定をしたものの、昼ごろからは雨が強く降ってきたので、早めに作業を切り上げて、全員を集合させた。普通に作業していた俺含め、泥だらけの奴が結構な人数いたので、シャワーを使う列なんかはすごく長くなってしまっていた。ほとんどの人数の人間がシャワーを浴びてからは、Aクラスの奴は全員が洞窟の中に待機していたので、俺は雨が当たらない出入り口ギリギリに座ると出ようとする奴が居ないか見張っていた。余りにも暇な時間だったけど、偶に来る男連中としゃべったり、誰も来ていない時間には神室も来てくれて二人で色々雑談したりした。

 

夜の会議は、全員を安心させるような言葉をかけるだけで終わって、とっとと解散してしまって、10時頃には全員が洞窟内で寝るように雰囲気になっていた。

 

 

そして、雨もほとんど降らなくなった夜中になった大体深夜の1時30分頃、スポット更新を終えた俺と神室は船が停まっている近くの浜辺に来ていた。

 

「こんな場所になにか用でもあるの?」

 

「うん。ここで神室にはリタイアして貰いたい」

 

「……そういうこと。分かった、あんたの指示通りリタイアする」

 

どうやら神室は理解してくれたみたいだ。これだったらわざわざ説明する手間も省けるな。

 

「後は任せてくれ神室。これからのために大きな敗北はしないつもりだから」

 

「下関の実力は分かっているから、別にそこは疑っていない」

 

「ありがとう」

 

そこから、船のデッキへと向かい、神室のリタイアへの手続きをして、それが終わってから俺へのリーダーの引き継ぎが行われた。

 

いよいよ、この長かったこの試験も終わりか。綾小路がいることを知ったり、神室という相棒を得れたりした色んな意味で良い試験だったよ。俺はこの試験ことをずっと覚えることになるんだろうな。

 




次の話で、結果発表とかやって、その次に幕間を挟んで無人島編は多分終わりです。


2年生編5巻読みました!
これまでで、一番ラストが予想つかなかったし、神崎君への同情もすごくしたけど、個人的にすごく好きな巻でした!よう実は次巻への楽しみが読んだ後にすごくするから好き。
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