ようこそ葛城康平に補佐がいる教室へ   作:地支 辰巳

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無人島編が終わるまで、気づいたら半年ぐらいかかっていました。やべーな。


結果 一幕の終わり

やっと無人島試験も終わって、全クラスが船が停泊している浜辺に集合することになった。

なんだかんだ言って、7日間も無人島に居た疲れがあるのか、俺含めたAクラスの面々や他クラスの人間はやっと終わったというほっとした表情や疲れ切った表情をしている。

そんなクラス別で大体集合している中、浜辺にはCクラスの人間は龍園しかいなく、あいつの格好やDクラスに噛み付いているような態度を見ていると、あいつは元気で良いななんて龍園を羨ましがってしまっていた。

 

そんな他のクラスの様子を見ているうちに、どうやらリタイア者以外は揃ったようで真島先生からの労いの言葉と試験の終了が告げられた。

 

「ではこれより、端的にではあるが特別試験の結果を発表したいと思う」

 

「なお結果に関する質問は一切受け付けていない。自分たちで結果を受け止め、分析し次の試験へと活かしてもらいたい」

 

さぁ、いよいよだ。俺が狙っているのは康平の補佐の俺は2位程度の実力だと言う事で、批判の少なそうな2位を狙う予定だ。もちろん1位でも全然構わないけど。

 

結果予想だと綾小路がどれだけ動いているかによるが、DクラスかBクラスが一位になるだろうな。まぁポイントが発表されてから康平と合流してその辺は詰めていけばいいか。

 

「ではこれより、特別試験の順位を発表する。最下位は──Cクラスの0ポイント」

 

この結果を聞いたDクラス側からは大きな笑い声が聞こえてきたが、当の龍園はというと、まるでCクラスが0ポイントになることを分かっていたかのように動揺もせず、俺の方をじっと見て笑っていやがった。

 

「続いて3位はBクラスの90ポイント。2位はAクラスの95ポイントだ」

 

うーん、思ったよりもポイントが取れていなかったな。それに……この点数って俺がリーダーが誰かに当てられた?もしかして……綾小路なのか?

 

「そしてDクラスは175ポイントで1位となった。以上で結果発表を終わる」

 

この結果に、Dクラスの面々は戸惑いの表情を浮かべながらも喜びの気持ちが隠せぬほど顔に出ていた。Cクラスの龍園はさっきまでの笑みを少し抑え、疑問にあることがあるのか考えて事をしているようだった。Bクラスはそこまで他クラスと差は無いので問題無しの考えのようでほどほどに喜んでいた。

 

そして、我らがAクラス。一応は本人たちの及第点には届いたようで、力が抜けて疲れが一気に来たようだった。数人は1位じゃ無いことに納得していないようだったけど、ほっといて問題無いレベルだ。さて、頑張って演説しますか。

 

「みんな!申し訳ない!康平から任されたのに、2位という中途半端な順位を取ってしまって。これは俺一人の責任だ。本当に申し訳ない!」

 

こうやって重く重く謝っていくことで、俺に対する同情を煽っていく、祖父がよく使っていたやつだ。もちろん、4位とか3位じゃこれで許して貰えないかもしれないけど、2位だったらまぁ2位だしなという気持ちが強く、よほどじゃ無い限りは許してもらえる可能性が高い。

 

「大丈夫だぜ下関!俺らの団結が足りなかっただけだからな。次の試験なんかがあったら葛城さんが取り戻してくれるからよ」

 

まぁ、だからと言って、こんな風に素直に謝られてしまうと、良心が痛んでしまうんだけどな。そんなこんなで、特に批判の声や失望の声なんかは出なかったAクラスの面々は船に戻るために歩みを進めた。

 

 

♠︎ ♠︎ ♠︎

 

 

あれから、船で康平からのAクラス全員への労いの言葉や感謝の言葉を伝えられた後に、解散の運びとなった。先生からも自由に船で過ごすようにと言われていたので、葛城派で食事をした後は康平と二人だけで二次会?みたいに次の店へと行った。

 

「改めて、今回の試験はいくら戦術だといえ、涼禅に大きな負担をかけてすまなかったな」

 

「いや、いいんだ。あんな風に人を率いる経験も偶にする分には必要だからさ。それより、康平は今回の試験結果をどう見る?」

 

康平は深く考えてこんでいるようだった。綾小路のことは内緒にするにしても、試験結果だけを見た康平からは貴重な意見が聞けるはずだ。

 

「今回の結果により、Aクラスは1095ポイント。Bクラスは753ポイント。Cクラスは変わらず492ポイント。そして、Dクラスが262ポイント。今のところ結果だけを知っている俺からしたら、今回の結果は満足いく物だ。しかし、Dクラスが警戒すべき対象だということも事実としてある」

 

「そうだよな。今のところAクラスがリードしているとはいえ、これからどんな試験が来るかは分からない。警戒することに越したことは無い。じゃあ、そろそろ試験の詳細について教えるよ」

 

無人島での出来事。俺と神室の関係に関することや綾小路関係に関すること以外全てを俺は話した。

 

「ふむ……無人島の話を聞く限り、Dクラスで警戒すべきは堀北。そして、龍園は今回の試験で失敗したようだったが、プライベートポイントを稼ぐつもりだったようだったようだな。ここでその戦略を打ってくる辺り、やはりあいつは危険な男だな」

 

「康平も気をつけてくれよ?龍園がどこで、狙って来るか分からないんだから」

 

「もちろんだ。話は変わるが、俺はこのバカンスでもう一つほど試験があると思っている。そこで、Aクラスの指揮を執ろうと思っている。涼禅はどう見る?」

 

「うん。大丈夫だと思う。康平が出た方が士気も上がるだろうしね」

 

康平なら堅実な作戦を取ってくれるはずだ。そこで偶に補佐している合間に、綾小路の身辺調査なんかを出来たら良いかな。さて、この二次会が終わって少ししたら、坂柳への報告を終えた神室と会うことになっている。これからのことはそこで考えるとしようか。

 

 

♠︎ ♠︎ ♠︎

 

 

『神室さん。無人島はどうでしたか?楽しかったですか?』

 

「別に、ただ疲れただけだった」

 

神室は本気で疲れているようで、電話越しに話している坂柳にも伝わっているはずだが、特にそれを気にしている様子は無い。

 

「結果の報告とか、橋本がしているはずだけど、私がする必要あった?」

 

『それは私が決めることですから。まぁ、今回の試験は下関くんが、こちら側を警戒し過ぎていたことに関しては少し意外でしたが、50ポイント以上の嫌がらせは出来たので満足ですよ。龍園くんが貸しだと取られなければいいのですが……』

 

「Aクラスのボーナスポイントが無かったのは、そういうこと」

 

『ええ。あまりに神室さんと下関くんが近くにいるので、話せなかったみたいですね。それで、下関くんと、この何日間も接してみてどうですか?』

 

神室はこれの答えについて思案する。どこまで言ったら良いものかと。坂柳に対して下関についてどこまで知っているか探りを入れるのもいいだろう。しかし、相手はあの坂柳だ。そう結論付けた神室は下関の軽めの情報を多く出すことにした。

 

「思わぬ攻撃には弱いみたいだけど、非情な手も簡単に使う。こちらのことも結構探られた気もする。でも、あんたや葛城よりは指揮能力は下回ると思う」

 

『実用的な情報を多く引き出してくれて私は嬉しいですよ。そうですね……これからも下関くんとの任務は継続して下さい。彼を上手く使えるのは葛城くんよりも私ですし、彼が彼をどう思ってるのかも気になりますから』

 

「あんたの側にいられる時間が減るかもしれないけど?」

 

『構いませんよ。それでこの学校を楽しむ要素が一つでも増えるのなら』

 

そこから、また十分少々話して神室は電話を切った。そしてその足で下関との待ち合わせ場所であるデッキへと向かうのだった。

 

 

♠︎ ♠︎ ♠︎

 

 

「坂柳に聞いたけど、龍園は橋本との取引で塔に隠れていたらしい。だから、下関が心配していたリーダーを当てた奴は綾小路じゃなくて、龍園ってこと。安心した?」

 

神室との作戦会議の開口一番に、すごく有益な情報がもたらされた。まさか、龍園が塔に潜んでやがったなんてな。入り口の装置の所しか行かないから分からなかったな。まさしく灯台もと暗しってところか。

でも、それはそれでありがたかったな。他クラスが思ったよりもポイントを得ていなかったから、当てられなかったら1位になっていたし、綾小路に会話を聞かれていなかったという確信も得られた。だから、問題は無い。橋本は許さないけど……。

 

「ああ、安心したよ。これでそこまで意識することは無く、綾小路の身辺調査を出来るよ」

 

「そ、なら良かったけど。あと、坂柳から下関の見張りは続行しろだってさ。これで会う時の不自然さはなくなるかもね」

 

坂柳が続行をしたのは何か意図があってのことだろう。でも、それが何なのかは俺には分からない。もしかしたら、神室の所作から俺との関係に勘づいて泳がせている可能性も視野には入れて置くか。

 

「坂柳に対して警戒することは忘れないでくれよ。あとは、そうだな……分かっていると思うけど、坂柳派の動向は全て神室が情報源だ。だから、頼んだぞ」

 

「分かっているから。それで、いつぐらいまで坂柳の下に付いておけとかあるの?」

 

「それは現段階では未定だ。でも、今年度中には坂柳は性格的にどこかしらに大きな攻撃を仕掛ける可能性が高い。そこを攻撃相手と坂柳ともども攻撃して戦力を削ぐことは考えているな。そうなったら少しは俺個人で動かせる人員も増やせるだろうからな」

 

どうせ綾小路清隆を退学させることは3年の間にするつもりなんだ。何をするにも気長にやって行かなきゃな。

 

「期待してるから。じゃあ、おやすみ」

 

「ああ、おやすみ」

 

神室はいつもよりも少し穏やかな顔をして帰って行った。それが、寒さでそうなったのか、俺に対する信頼の気持ちでそうなってくれたのかは分からない。けれど、少なくとも俺はその顔に対して、ここ数年で一番穏やかな笑みで返せていたのだと信じたい。

 




また幕間を挟んでその次に干支試験編へといきます。

無人島のポイント詳細は、Aクラス以外はリーダー当てでの増減以外は原作から変わりません。
Aクラスは300ポイントから坂柳と葛城のリタイアを引き、トイレ3つとシャワー3つ。ここまでで残り120ポイント。
そこから料理器具と一番安い栄養食一日10ポイントを5日分。そして湖の水を濾過する濾過器。ここまでで45ポイント。
そしてBとCのリーダーを当てて、プラス100ポイント。龍園にリーダーを当てられてマイナス50ポイントで、最終が95ポイントとなっています。
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