ようこそ葛城康平に補佐がいる教室へ   作:地支 辰巳

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投稿遅れて本当に申し訳ない。色々していて気がついたら時間が結構経っていました。


突撃! 隣のクラスリーダー

今は1日の放課後だ。

学校から実力至上主義の学園と明かされた日だからと言って部活が無くなるわけがないので、俺は今弓道場に来ている。

みんな黙々と練習しているが、その顔は始まってから良い顔とは言えなくて、落ち込んでいるようだった。

 

そして二時間少しあった練習は終わり、各自片付けをして帰る準備をしていたので、俺は三宅とCクラスの吉本功節と帰り用意がてら話し合いをしようと思って声をかけた。

 

「三宅、吉本ちょっと雑談でもしないか?」

 

二人は怪訝そうな顔をすることなく、鞄を持ってこちらの方まで来てくれた。

 

「んで、雑談って言っても普通の雑談じゃないだろ?今日は色々あったんだし……」

 

「ああ、……俺も同感だな」

 

「その通りだ。今日あったことについて少し話そうかなと思ってな。今日のクラスの様子はどうだったんだ二人とも?」

 

利用しているみたいで申し訳ないが、少しでも他クラスの情報が得られるかと思い声をかけていた。ただ二人にもクラス内の立場ってものがあるだろうから無理して話せとは言うつもりはない。

 

「Dクラスはずっと騒がしかったかな……。ポイントは0だし、赤点の奴も多かったからみんな混乱してたな」

 

「Cクラスも騒がしかったんだけど、途中からりゅ……リーダーがしっかりとまとめてくれたから落ち着いたかな」

 

やっぱりDクラスはなかなか癖の強いの奴や計画的にポイントを使わなかった奴が多かったんだろうな。それに比べるとCクラスにはしっかりリーダーがしっかり居てまとめていたんだな。口止めもしている所を見ると頭も切れる奴なんだろう。

 

「Aクラスは比較的落ち着いていたな。みんなAクラスというのにホッとしていたみたいだったよ、いつ追い抜かされるか分かんないのにな」

 

 

「それはそれとして二人は今どれくらいのポイントを持っているんだ?」

 

「俺は3万ぐらいかな……Dクラスでポイントが入って来なかったからな」

 

「俺は8万ぐらいかな?ポイントは一応入ってきたからな。でも下関は良いよなポイント10万近く入ってきたんだろ?」

 

「ああ、今は15万ちょっと持っているよ。だから二人ともポイント無くなってきたら遠慮なく言ってくれよな。少しぐらいならあげれるから」

 

二人とも苦笑いを浮かべて頷いてくれていた。言った後に気づいたが、少し偉そうな感じで聞こえてしまっただろうか……だったら申し訳ないな。

さてと、そろそろ本題の質問でもしようかな?多分この質問をしても吉本には断れてしまうだろうけど。

 

「それで、CクラスとDクラスにはリーダーって言える奴が出来た?Aクラスはさ坂柳と葛城二人が出てきて大変なんだよ」

 

「ああDクラスは平田かな……多分。放課後にクラスのみんなに呼びかけて明日以降のことで話し合いをしていたはずだ」

 

平田って奴がリーダーなのか、でも話を聞く限りクラスをまとめることに重きを置いている人みたいだな。

 

「Cクラスはすまねぇが、話せねぇわ。口止めされててさ。でも、他のリーダーには見劣りしないのは確かだぜ」

 

やっぱりCクラスは目下に警戒するクラスだな。勘だがCクラスのリーダーは慎重にする康平タイプよりかは攻撃的な坂柳みたいなタイプなんだろうな。

坂柳とCクラスが手を組んだらいやだなぁー。なにかしら手は打っておくべきだろうか。

 

「ごめんなわざわざこんな事聞いちまってさ。ちょっと気になっちゃってさ」

 

それから三人で、本当に関係のない雑談をしながら弓道場は後にして寮まで一緒に帰った。

 

 

♠︎ ♠︎ ♠︎

 

 

弓道部の三宅と吉本から情報を得て一日が経った昼休み。今日も朝からいつも通りに少し眠りながら授業をこなした俺は弁当を早めのスピードで食べ切ってとりあえずはBクラスへと向かった。昨日聞いたC.DではなくBに行ったのは隣の教室だからだ。どうせ三クラスとも行く事になるだろうし……。

 

Bクラスの教室の前へ来た俺は少し深呼吸をしてからドアを開けた。

 

「お食事中所すみません。Bクラスのリーダーさんはいらっしゃいますでしょうか?」

 

出来るだけ丁寧にしかも敵意を感じさせずに言ってみたら、教室内の視線は俺を見るとその後に教室の中央ぐらいにいた女子に視線が向いた。その女子もこちらに近づいて来るようだった。

全員の視線が向くってことはこの人がBクラスのリーダーってことかな?

 

「一応私がBクラスのリーダーをさせてもらってる一之瀬帆波だよ。初めましてだよね?よろしくね」

 

「ああ、俺はAクラスの下関涼禅だ。こちらこそよろしく」

 

俺たちは出会って間もないにも関わらず自己紹介をし握手を交わしていた。

そして俺は痛感した。一之瀬のコミュ力は半端じゃないと。

 

「それで、下関君。私になんの用があって来たの?」

 

「ああそれなんだけど、一之瀬にとっても右腕的な参謀的な人を紹介してほしいんだよね。お願いします」

 

一之瀬は少し悩んだようだったけど、意を決したように教室内を見回すと『神崎君ちょっと来てくれない?』と言って教室内にいる長身のイケメンを呼んだ。

 

「どうしたんだ一之瀬。そこにいる奴に呼ばれたんじゃないのか?」

 

「いや〜下関君がさ、私の右腕的な人を紹介して言ったからさ神崎君を呼んだんだよ」

 

「そうか……なんで右腕の奴を探していたんだ?下関は」

 

「俺は全クラスの補佐的な人と全員と仲良くなっておきたいなと思っていてさ、もしも何か対決する場合でも信用出来る相手がいた方が良いと思って」

 

「確かにそうだな……よし、下関の言い分はよく分かった。俺は神崎隆二だ。これからよろしく頼む」

 

「俺はAクラスの下関涼禅だ。改めてこれからよろしく」

 

俺は神崎とも握手を交わして連絡先を交換してから流れで一之瀬とも交換出来た。平和に終わってくれてよかった〜俺としても平和に終わるにこしたことは無いし、これから関係を始めていく中でも友好的な方が絶対に良い。

 

それよりも次は順序的に行けばCクラスか〜口止めさせるほどのリーダーだしな絶対さっきみたいにいかない気がする。今から気が遠くなる。

 

 

♠︎ ♠︎ ♠︎

 

 

Cクラスへの廊下を俺は歩いていた。警戒心をしっかり持ちながらを歩みを進めていると丁度Cクラスの教室から一人で女子生徒が出て来た。

こんな昼時に一人でいる女子生徒か……孤立しているのかな?Cクラスに打っておく手としてはいい感じだと思うが、とりあえず声をかけてから判断することにした。

 

「いきなり声をかけてごめんね。君Cクラスの生徒かな?」

 

声をかけられた女子生徒は明らかにこちらを警戒するような目を向けてきたが、すごく面倒くさそうにこちらの質問に答えた。

 

「確かに……Cクラスの生徒だけど。そういうあんたは誰なの?」

 

「俺はAクラスの下関涼禅だ。君名前はなんて言うのかな?ちょっと聞きたいことがあるんだけど……」

 

「西野武子私の名前だから。それで聞きたいことって何?もしかしてナンパ?」

 

「残念だけど違うんだな。Cクラスのリーダーが誰か教えて欲しくてさ。いいかな?」

 

西野は少し首を傾げて迷っている様子だったけど、小言で『まぁ、別にいいか』と言って俺の質問に答えた。

 

「Cクラスのリーダーは龍園くん。本名は龍園翔。結構暴力的や人でさ、力づくでクラスを押さえつけて王って言った人だよ」

 

うわ〜やっぱりかよ。攻撃的かなとは少し思っていたけど、まさかここまでとは思わなかったな〜。まぁ仕方ないとりあえず次の事を考えることにしよう。

 

まずCクラスに打つ手のスパイとしては目の前の西野で決定だ。

力で抑えつけた龍園に口止めされていた内容を話す肝の座った所やフランクでいつつたまに見える丁寧なとこ。しかも他人に遠慮しない所もスパイとしては優秀だと俺は思う。磨けば光るだろうな西野武子は。

 

「またあとで話したいことがあるからさ連絡先を交換しないか?一応言っておくがナンパじゃないから」

 

「う〜んいいよ。なんか下関くんってなんか面白そうな事考えてそうだし。じゃ時間が出来たら連絡して」

 

俺は西野と連絡先を交換した。Cクラスに入る前に思わぬ収穫したのは非常に嬉しい。今日放課後に連絡しようかな?連絡は早いうちが良いと古来から決まっているからな。

部活サボってしまう事になるかもしれないけど、仕方ないか。うん。

 

 

♠︎ ♠︎ ♠︎

 

 

俺は気を引き締めてやっと本題のCクラスのドアを開けた。Cクラスの中には読書してる子や巨漢の黒人、ガラの悪そうなチンピラそうな奴もいた。どれが龍園か分かんないな。

 

「すみません。ここのクラスに龍園翔って人がいるって聞いたんだけどいますか?」

 

俺の言葉に反応してきた近づいて来たのはガラの悪そうなチンピラだった。まさかこいつが龍園か?確かに体格は良いけど……口止めする奴とは思えないな。

 

「おいおいてめぇ龍園さんになんか用でもあるのかよ?」

 

「おい辞めとけ石崎。こいつはわざわざCクラスの王である俺を指名してきた。一応口止めはしておいたんだがどのバカがもらしやがったんだか。それで葛城の自称補佐のカスがここに何しに来やがった?」

 

石崎と呼ばれた奴が俺に絡んで来ると後ろから会話の内容から恐らく龍園であろうストレートロン毛の奴が来た。俺の事をもう調べてんのは油断ならないが、いきなり俺の事をカス呼ばわりなんて失礼だろ。しかも自称じゃないし認められてるから。

 

「一応自己紹介をしておこうか。俺はAクラスの下関涼禅だ。よろしくなCクラスの王龍園翔」

 

「けっ、自己紹介なんて必要ねぇよ。何しに来たかって俺は聞いてるんだが?」

 

「ああ、王である龍園に参謀でも紹介してもらおうと思ってな。これから増えるであろう対決などで交渉がしやすいようにな」

 

「ククク、ああいいぜじゃあ……3万ポイントだな」

 

こいつポイントとるのかよ。まぁ3万で紹介してくれるって言うのだからまだ安い方かな?これで他の条件とか付けられたらたまってもんじゃないからな。

 

「分かったその条件で飲もう。だが先に参謀の名前を言ってくれ。それから3万を払う」

 

「それでいいぜ。俺のクラスの参謀は金田だ。じゃあ払ってもらおうか」

 

俺は約束通りに3万を払った。龍園は約束は守る男のようで、俺が払ったことが分かると、教室中に聞こえる大きさの声で『金田!』と呼んだ。

 

「どうかしましたか龍園氏?」

 

「こいつが参謀を紹介してくれと頼んできたから呼んだんだ。葛城一人だとザコだと思っていたが、いきなり参謀紹介しろと言うこいつがいるなら少しは手こずるかもしれないからな。今後のために交換しろ」

 

金田と連絡先は交換したが、龍園は聞き捨てならない事を言っていたな。こいつ全クラスのリーダーの強さを判別してるのか……全クラスを敵にでも回すつもりなのか?

 

まぁいつまでもここにいるのも居心地は良くはないので、俺は昼休みがもう終わりそうなのを確認すると放課後にDクラス訪問を残してAクラスに帰ることにした。

 

 




葛城の出番はあまり多くないなと感じております。
下関の喧嘩の強さは龍園と同じくらいだと今の所考えています。

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