ようこそ葛城康平に補佐がいる教室へ   作:地支 辰巳

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よう実の二次創作のオリ主で生徒会に入ってるのはあんまり見ませんね。


生徒会 越えるべき壁

俺たちAクラスが楽々終わった中間テストの五月末から時間が経って現在は六月の中旬といったところだ。今日俺は登校してからある噂を耳にした。

それはBクラスリーダーである一之瀬が生徒会入りを果たしたというものだ。入学早々に生徒会入りを断られたはずの一之瀬が今の時期になって認められたようなのだ。これには俺も噂の裏を取るために耳にしてから直ぐに一之瀬本人に確認したところ事実のようだった。

 

「裏はしっかり取ったけど、康平はこのことについてどう思う?」

 

それから俺はまとまった時間が出来る昼休みになってこのことについて康平に意見を聞いてみることにした。入学早々はまだ教師達に実績を見せられていないと言って生徒会の扉を叩いていなかった康平としては初の一年生生徒会役員となった一之瀬に対抗心を抱いてそろそろ生徒会室を訪問すると思ってだ。

 

「素直に称賛はする。だが、少し疑問も残ることになるな」

 

「へぇーどんな所が康平としては疑問なの?」

 

「一度は断られた一之瀬がこの時期に入ったことだ」

 

「じゃあそこの康平としての予想を聞こうかな」

 

「大方生徒会長か副会長どちらかに認められなくて、それを不憫に思ったどちらかが許可したとかだろうな」

 

「ほぼ当たりだよ。本人に確認したところ堀北会長からはまだ時期じゃないと断れたらしいけど南雲副会長からの希望により生徒会入りを果たしたらしいよ」

 

「……そうか。涼禅は放課後に時間があるか?」

 

「もちろんだよ。放課後に生徒会入りを希望しに行くんだろ?そう思ってちゃんと時間は空けてるよ」

 

こうして俺と康平は放課後に生徒会室に行くこととなった。なぜ堀北会長が一之瀬の生徒会入りを断って南雲副会長が許可したのかは分からないけど、二人の考えた方などが違うことは確信出来ることだ。

 

 

♠︎ ♠︎ ♠︎

 

 

放課後、俺と康平は生徒会室前に来ていた。アポを取っていないのだが大丈夫だろうかとかいう思いはあるが、多分大丈夫だろう。

 

「それじゃあ入るが、涼禅は心の準備などは大丈夫か?」

 

「もちろんだよ康平。俺がこのぐらいで緊張すると思ってるのか?」

 

「それもそうだな」

 

その言うと康平が生徒会室をノックすると、中から堀北会長の声と思しき『入れ』という言葉が聞こえてきた。それを確認すると俺と康平はほぼ同時に失礼しますと言って生徒会室に入った。

生徒会室は簡素というか無駄な物が無い空間で厳格な雰囲気が漂っていた。

中には奥の椅子に座っている堀北会長とその隣の椅子座っている橘書記とその隣に座っている確か……桐山副会長。そして堀北会長の隣に座る南雲副会長がいた。

 

「名を名乗って要件言え」

 

堀北会長からの重みのある発言を聞いても俺らは怯まず言葉を発する。

 

「一年Aクラスの葛城康平です。生徒会入りを希望しにきました」

 

「同じく一年Aクラスの下関涼禅です。生徒会入りを希望しにきました」

 

堀北会長と他の役員達は値踏みするような視線こちらに向けたり、橘書記のパソコンの画面を交互に見たりしていた。

 

「生徒会入りを希望か。まず簡単な質問をすることにする。そのため考える時間が無いように一人ずつ受けてもらう」

 

その言葉を受けて俺は直ぐにドアに向かって歩き始めて一度礼をしてからドアから廊下に出た。こういう時は素早く行動することが大事だ、ここで戸惑って時間を食うことが一番評価が下がるだろうからな。まぁまずはAクラスリーダーである康平からなのは誰から見ても分かるからだ。

 

それから5分が過ぎた所だろうか、康平が生徒会室から出て来た。

 

「俺は認めてもらえなかったが、涼禅なら出来ると思っているぞ」

 

その言葉に俺は追求することはせず、失礼しますと言いながら生徒会室に入った。生徒会室の中は先程と変わっておらず、俺もさっきと同じように役員達の視線を一身に受ける位置で立ち止まった。

 

「では、まずは私から質問ですが、下関君は弓道部に所属しているようですが、部活説明会での堀北会長からの言葉を聞いた上で生徒会に希望しに来ていますか?」

 

「もちろんです。俺はその許可も取りに来た、もしくは買いに来ました」

 

「面白いことを言うな下関。いくら買いに来たと言っても簡単に買える額には俺はしないつもりだが」

 

「もちろん分かっています。誰かに借りたりローンを組ませてもらってでも買うつもりです」

 

俺の答えを聞いた南雲副会長は広角をあげていた笑みを浮かべていた。

 

「覚悟はあるようだな。だがその前に俺が生徒会入りを許可しなければならないぞ」

 

「分かっています。しっかりと受け答えをさせてもらいます」

 

「お前の所属するAクラスはクラスが二分されているようだが、その状態が続いたお前のクラスはどうなると思う?」

 

「まず間違えなくCクラスぐらいに落ちるでしょう。これからあるであろう試験に対してお互いで足を引っ張りあいその結果満足な成果を得られずどんどん落ちていくと思います」

 

「そうだろうな。お前ならばその状況にならないようにどうする?」

 

「簡単な方法としては片方のリーダーが素晴らしい結果を出して、もう片方のリーダーが散々な結果を出してしまって、片方のリーダーを失脚させてもう一人のリーダーがクラスを引っ張っていくことでしょう。ですが、この方法では失脚したリーダーとその中枢にいた人間が退学もしくはクラスで疎まれる存在になってしまうので、出来れば取りたくはありません」

 

「ほう。そういうならば他の良い方法があるのだろうな?」

 

「はい。二人いるリーダーにはそれぞれ大敗をしていもらいます。その結果BクラスやCクラスに落ちることもやむおえません。しかしその上で二人のリーダーに次いで優秀一人もしくは二人を選出してその人物達を新たなリーダーとしてクラスをまとめます」

 

「確かに理想的な策だな。だが、下関お前はその状況になった時これを実行するのか?」

 

「よほどのことにならなければしません。理想はどちらも尊重し合い一つにまとまることですから」

 

「それはそうだな。最後の質問だ下関。お前は聞くところによるとリーダーになっていないようだな。俺はお前がリーダーにもなれる能力があると思っているが、何故なっていない?」

 

「俺は自分がリーダーに相応しいとは思っていません。それに自分がすることが絶対に正しいと言ってみんなを導くことが出来るほど俺は自分の行動に対して自信を持てていません」

 

俺の言葉を聞いた堀北会長は最終決定を下すためか、思案顔をしていた。俺は聞かれた質問に対してすべて本心で答えたので、これでダメだったとしても堀北会長とは考え方が合わなかったということだろう。それにここにいる間の堀北会長の瞳は俺の本質を見透かされている気がして思ったよりも遥かに緊張してしまった。はたして俺の本質とは昔から変わっていないのだろうか、……それともあの時から変わってしまったのだろうか。

 

「下関涼禅お前を生徒会に入ることを許可しよう。部活との両立についても許可しよう」

 

一瞬言葉の意味が分からなかったが、理解すればするほど自分の中に驚きと喜びが溢れ出してきた。

 

「本当ですか?」

 

「当たり前だろう俺の言葉を疑うのか?今からお前は生徒会役員だ、その肩書にそった行動を取ってくれることを期待しているぞ」

 

「分かりました。精一杯頑張らしてもらいます」

 

「さっそくだが、ここにいる全員と連絡先を交換してもらう」

 

俺は会長に急かされる形で携帯を取り出して先輩方と連絡先を交換していった。その後はざっくりとした生徒会の仕事の説明をされてから次回に来てほしい曜日を言われてから生徒会室を出た。

 

「康平俺入ることを許可してもらった」

 

「そうか!良かったな、やはり涼禅は優秀だな。俺もまだまだ負けていられないように早く堀北会長に認められるようにしなければならないな」

 

康平からの素直な称賛を受けて俺もついつい顔がにやけてしまった。この状況で素直に相手を称賛出来る康平はやっぱり凄いやつだなと思う。こんな康平を裏切るようなあの策を使わないように願うばかりだ。

 

 

♠︎ ♠︎ ♠︎

 

 

下関涼禅が退出してからの生徒会室では堀北会長と橘書記、桐山副会長そして南雲副会長がさきほど立候補してきた下関涼禅と葛城康平のことが話題に出ていた。

 

「堀北先輩はなんで葛城の方は断って下関の方は許可したんですか?」

 

「個としてしっかり優秀で自身がリーダーに立つよりも支えることに意味を見出していたからな」

 

「どうですかね。こし淡々と内部から裏切ることを狙っているかもしれませんよ?それに優秀だと言うのなら葛城や前に来た一之瀬だってそうだったでしょう?」

 

「まだ時期ではないと感じていたからな」

 

けっして堀北学は口には出さないが、一之瀬と葛城の生徒会入りを認めなかったのは二人が南雲雅の影響下に入って一年も支配下に置かれることを危惧してのことだった。

 

だが、その点下関涼禅はリーダー格というよりは補佐役でありもし南雲の影響下に入ってもAクラスが支配下に置かれることがない。それに加えて堀北学も認める優秀さがあり、クラスの人間を犠牲にしない事を根底に考えていることなどを加味して生徒会入りを許可された。

 

「私も下関君は気に入りましたよ。色々考えているところとか、失脚したリーダーとその周りの人達のことも気遣っているところとか」

 

「まぁ確かに優秀ですからね。それに一年の生徒会役員が一之瀬一人だと言うのも寂しいものですからね」

 

南雲雅とて下関涼禅が気に入らないということはなかった。どちらかというと気にいる部類の人間である。なぜならば補佐役として人を支えているように見える下関はリーダーを支えているようで自身に被害を受けないようにして負けないように立ち振る舞っていると南雲は感じ取ったからだ。

 

「これからどのように一年生が過ごすにせよ、今は隠れているだけで優秀な人物はまだ出てくるだろうな」

 

堀北そして南雲が感じ取った下関の本質はどちらが正解なのだろうかそれともどちらも不正解なのかはたまたどちらも正解なのか。今は誰にもそして本人にも分からない。

 

 

♠︎ ♠︎ ♠︎

 

 

俺が生徒会会に入ったことは次の日には広まっていたようで、一之瀬からも『生徒会役員として一緒に頑張っていこうね!』という感じのメールを受け取っていた。もちろん返信はしっかりとした。

その後まぁ色んな人物にその事について聞かれたりしながらも俺は一日を過ごした。放課後にはほぼ週一で会っている気がする西野と共にいつものカラオケルームにいた。

 

「生徒会入ったんだってね。おめでとう」

 

「うん、まぁありがとうね。でも、今日はそれだけじゃないだろう?電話ごしじゃ話せないことがあるって言ったの西野の方なんだから」

 

「それなんだけど。実は最近教室内で龍園くんの周りにいつもいる石崎に加えて小宮くんと近藤くん二人の合計四人で何か話しているところを見たんだよね」

 

「それだけじゃないよな。さすがにいつもいないクラスメイトが話しているだけで、怪しいと思ったわけではないだろう?」

 

「うん。実は小宮くんと近藤くんは二人ともバスケ部で、しかも四人の会話の中にDクラスって出てきたんだよね。それでバスケ部でDクラスの生徒になにかするつもりかなと思って」

 

「確かに怪しいな。ここらで龍園が何かしら多分暴力沙汰だろうが、仕掛けてもおかしくはない。……よしじゃあ、西野はその三人が固まって放課後に出る時があったらこっそりつけてくれ」

 

「了解。でも、それだけでいいの?」

 

「いや、もし三人が誰も行かそうな所に向かい始めたら音声を録音出来るようにして何か起こった時に録音だけでもしておいてくれ」

 

「分かった。しっかり三人の行動を見ておくよ」

 

「任せたからな」

 

起こるかどうかは分からないが、これが後々何かの火種になることになるかもしれない。そう俺は予感していた。

 

 




第一話のあとがきのデータベースを変更しておきました。
第一巻はあと幕間を投稿して終わりですかね。
二巻はそんなに話数は無いと思われる。
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