ご注文はうさぎですか?―ラビットハウスの看板姉弟―   作:テクト

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第10羽後編です。


対お姉ちゃん用決戦部隊、通称チマメ隊&ユカリ隊ー3

ラビットハウスでリゼと別れ、6人は食事と入浴を済ませると、それぞれ雪兎とチノの部屋に集まっていた。

雪兎の部屋では、ユカリ隊がそれぞれくつろいでいた。

 

「いやー、お前と親父さんの飯、美味かったわー」

 

「ほんとに雪兎くんは料理上手だね」

 

「よく作ってるからね」

 

「さて」

 

リクは横になっていたベッドから飛び起きると、自分のカバンを漁り始める。

 

「色々持ってきたから何して遊ぶか」

 

どさどさと色々なものが、リクのカバンから出てくる。

 

「まずは定番のテレビゲームでいくか、コントローラーも人数分あるしな」

 

「ソフトは?」

 

「色々あるぜ」

 

「まずは定番のこれで行こうよ」

 

3人はゲーム機をテレビにつなぐと、ソフトを入れて電源を入れる。

 

「「「レースゲームで勝負!」」」

 

一方、チノの部屋ではチマメ隊が机を囲っていた。

 

「今日は楽しかったね~」

 

「夜はこれからだよ!何して遊ぶ?」

 

「クロスワードやりましょう」

 

「心理テストは~?」

 

「もっと弾けろよう!」

 

マヤの提案に出てきた二人の遊びはいささか地味なものだったからか、マヤは不満を漏らす。

 

「でも、私の部屋で遊べるものといえばチェスくらいしか。雪兎の部屋から何か借りてこようか…。ん?お父さん?」

 

突然チノの部屋に入ってきたのはタカヒロだった。

 

「盛り上がるよ」

 

タカヒロが持ってきたのはボードゲームだった。

チマメ隊にボードゲームを渡した後、タカヒロは雪兎の部屋をこっそり覗く。

 

「あー!誰だ妨害アイテム投げたやつ!」

 

「へっへーん、お先ー!って最強アイテムー!?」

 

「切り札は最後まで取っておくものだよ。二人とも」

 

「「カケルー!」」

 

こちらの男子三人は自分たちで盛り上がっているようだ。

その様子を見たタカヒロは微笑むと、見つからないように雪兎の部屋を後にするのだった。

 

―――――――――――――――――

 

「はぁー、ちょっと休憩するかー」

 

「そうだね。ちょっと頭痛くなってきた…」

 

「もうずっとやってるからね」

 

雪兎たちはいろいろなゲームで対戦や協力といったことをしていたが、流石に疲れてきたのかコントローラーを置くと床に横になる。

 

「あー!お前らこんなの持ってきてたのか!」

 

「あん?」

 

扉が開くと同時に、マヤの叫び声が飛び込んでくると、続いてメグも入ってくる。

 

「ずるいー!私たちにもやらせろー!」

 

「ゲームってあんまりやったことないけど、できるかな~?」

 

「そんなに難しいもんじゃねぇよ。まぁ、経験の差は出るけどな」

 

「メグさんもやってみる?」

 

4人が横で盛り上がっているところで、雪兎はあることを思い出す。

 

(そういえば、ココア姉ちゃんに連絡してなかったな)

 

メールくらいはしておこうかと、雪兎は立ち上がると扉の方へと向かう。

 

「僕は席外すから、4人で遊んでおいてよ」

 

「そうか。分かった」

 

「よーし、負けるかぁ!」

 

「これってどうやるの?」

 

「チュートリアルのムービーを一回流そうか」

 

遊び始める4人を残して雪兎が部屋を出ると、扉の側にケータイを持ったチノがいた。

 

「姉ちゃん。ココア姉ちゃんに連絡?」

 

「あ!…うん」

 

チノは気づいていなかったのか声を掛けられた事に驚くと、ちょっと恥ずかしそうな顔をする。

 

「でも、なんて伝えたらいいのかな…」

 

「思ったままでいいんじゃない?今日あったことをどう思ったかって」

 

チノが電話をしようか迷っていると、チノのケータイが鳴りだす。

 

「お、言ったら早速」

 

ディスプレイにはココアさんと表示されており、チノは慌てて電話に出る。

 

「も、もしもし…」

 

『あ、チノちゃん!写真見たよー!楽しかった?』

 

「は、はい!楽しかったです!」

 

チノは素直にココアに今日の感想を伝えると、雪兎も笑顔になる。

 

『…ぐすっ』

 

「ん?」

 

「泣いてる?」

 

『…私も一緒に遊びたかったなぁ』

 

「あはは…」

 

「な、泣くほどですか…。…で、でも、ココアさんと暮らし慣れてなかったら、緊張してしまって二人を家に呼ぶこともなかったのかもしれません」

 

『そっかー。明日には帰るから』

 

「あ、雪兎もいますので代わりますね」

 

『あ、うん!』

 

「はい」

 

「ん」

 

チノが差し出したケータイを雪兎は受け取る。

 

「もしもし、ココア姉ちゃん?」

 

『雪兎くん!今日はどうだった?』

 

「すごく楽しかったですよ」

 

『そっかー。…うぅ、私も遊びたかったぁ』

 

「それはさっき聞きましたよ」

 

チノと電話していた時と同じことを言い出すココアに、思わず雪兎は笑ってしまう。

 

「それに、いつでも遊べるじゃないですか。今日だけじゃないんですから」

 

『…うん!そうだね!』

 

悲しそうな声から一転、ココアの声がすぐに元気になる。

 

「はい。ココアさんも勉強頑張ってください」

 

『うん。おやすみ、雪兎くん!チノちゃんにもよろしくね』

 

「はい。おやすみなさい」

 

ココアとの通話が終わると、雪兎はチノにケータイを返す。

 

「友達を家に呼ぶ、かぁ。確かに今まではなかったね」

 

「雪兎が泊まりに行くってことはあったけど、うちではなかった」

 

お互いにしんみりと思い返す。

ココアが来てからいろんなことがあったなと。

 

「…少しは成長できたのかな」

 

「…そうかもね」

 

二人は顔を合わせると、ちょっとした互いの成長に笑い合うのだった。

 

―――――――――――――――――

 

シャロはとある教室で目を覚ます。

 

『あ、あれ?』

 

『授業中に居眠りするなんて珍しいね』

 

『早くいきましょ?』

 

何故か近くにいたココアと千夜が、早く行こうと言い出す。

場面は移り、廊下で二人を追うが一向に追いつけない。

 

『購買のパン。売り切れちゃうよ』

 

『ま、待ってー!』

 

シャロは一生懸命走るが、ココアと千夜はどんどん離れていく。

 

『何やってるのシャロ』

 

『え?』

 

『ほら、行くよ!』

 

後ろから突然聞こえてきた懐かしい声と共に、シャロの手を誰かが掴む。

手を掴んできた人物が前に躍り出ると、お構いなしにシャロを引っ張っていく。

ココアによく似た長さと色をした髪の毛。

 

『え、ちょ、きゃー!?』

 

ぐんぐんスピードが上がり、二人にどんどん追いついていく。

もつれそうになる足を必死に動かし、手を掴んだ人物に遅れまいとシャロは走る。

あっという間に前を行く二人に追いついてしまった。

 

『さすが楓ちゃん。足早いねー!』

 

『運動には自信があるからね!これくらい楽勝よ』

 

『さ、パンが売り切れちゃう前に行きましょ』

 

二人と喋る懐かしい後ろ姿がこちらを振り返り、手を指し伸ばす。

 

『行こう!シャロ!』

 

『え、あ…』

 

数年会っていなくても分かる。

こちらの事なんかお構いなしに引っ張っては振り回す、トラブルメーカーといっても可笑しくない、もう一人の幼馴染。

 

「楓!…あ」

 

叫びと共に体を起こすと、シャロの目の前の光景が千夜の部屋へと変わる。

 

(…夢)

 

先ほどの学校の光景が夢だったことに気づくシャロ。

横からはココアと千夜の寝言が聞こえてくる。

 

「…シャロちゃん。私のメロンパンいるー…?」

 

「…そんなに食べたら、午後の授業も寝ちゃうかも…」

 

二人も同じ夢を見ているのだろうか、寝言は夢の内容に近いものを感じる。

だが、もう一人の登場人物はここにはいない。

シャロは再び横になり、布団をかぶる。

 

(二度寝したら、続き見れるのかな…)

 

もう一度、夢の続きを見たい。

そんなことを思いながら再びシャロは眠りにつくのだった。

 

―――――――――――――――――

 

翌朝。

雪兎の部屋で寝たカケルが一番に目を覚ます。

雪兎はベッドで、リクとカケルは布団を敷いて別々に寝ていた。

 

「う~ん」

 

軽く伸びをして横を見ると、布団を蹴飛ばしてすごい寝相で寝ているリクと、ベッドで安らかな寝息を立てている雪兎がいた。

カケルは立ち上がると、布団を畳み、カーテンを開くと外は雪が降っていた。

その時、扉の方からノックが聞こえてくる。

 

「はい。どうぞ」

 

「おはようございます。カケルさん早いですね」

 

入ってきたのはチノだった。

 

「おはよう。チノさん。他の二人は?」

 

「まだ寝てます」

 

「んが…。さぶっ!」

 

二人で話していると、リクが目を覚ますが部屋の寒さに身震いする。

 

「おはよう、リクくん」

 

「おはようございます。リクさん」

 

「おう。おはよう、二人とも。さっぶいなぁって雪降ってんじゃん!」

 

リクが立ち上がって窓外を見ると、雪が降ってることに驚く。

 

「お二人とも、朝食にはまだ時間がありますので、部屋でゆっくりしていてください」

 

「雪兎は起こさなくていいのか?」

 

「朝食まで起きてこないと思います」

 

「あー、そういやこいつ。相当な寝坊助だって聞いてたな」

 

「では、私は朝食を作りに行ってきますので、またお呼びしますね」

 

チノは雪兎の部屋から出ていく。

 

「おーい。雪兎ー。起きろー」

 

リクは雪兎のベッドに近づくと、雪兎の頬をぺしぺしと叩く。

 

「…うーん。あと5分」

 

ベタな寝言と共に、布団の中へと潜り込んでしまう。

 

「ほんとに起きないな。こいつ」

 

「ほんとだね」

 

「よーし」

 

リクは何かを思いつくと、掛布団を投げ飛ばし、雪兎にプロレス技を掛ける。

 

「起きろー!」

 

「いだだだだ!?」

 

突然の痛みに思いっきり雪兎が声を上げる。

 

「いだだ!痛い!何するんだよ!」

 

「起きないお前が悪い!」

 

雪兎が抗議するが、リクはお構いなしに技を掛け続ける。

 

「このっ!」

 

「うおっ!?」

 

雪兎はリクの技から抜けると、体勢を崩したリクに技を掛ける。

 

「ぐえええ!」

 

「お返しだ!」

 

「なにしてるの~?」

 

「お!なになに!?プロレスごっこ!?私も混ぜろー!」

 

この二人をどう収めるかカケルが考えているところに、メグとマヤがやってくる。

 

「マヤ!頭に掛けて!僕は足に掛ける!」

 

「合点承知!」

 

「待て待て!お前ら2対1は卑怯――うごごご!」

 

「三人は何してるの?」

 

「…朝の運動かな?」

 

結局チノが呼びに来るまでプロレスごっこは続いた。

朝食を終えて、店の準備を終えた6人はカウンターに集まっていた。

 

「ねぇねぇ。5人とも。喫茶店といえばやってみたいことがあったんだ!」

 

「やってみたいこと?」

 

「何ですか?」

 

「何~?」

 

「えっとねぇ」

 

「…まじでやるのかそれ」

 

「えー…。ボクもやだなぁ」

 

「硬いこと言うなよぉ!一回だけだから!」

 

マヤの提案に難色を示すリクとカケルだったが、マヤは一回だけと丸め込む。

6人がやりたいことの準備を終えて、待ち構えていると客としてやってきたリゼが入ってきた。

 

「「「「「「おかえりなさいませ!お姉ちゃん!」」」」」」

 

6人はランドセルを背負いポーズを決めて、リゼを出迎える。

 

「妹弟喫茶だよー!」

 

リゼは呆気に取られて固まる。

 

「…リゼじゃん。これやばくね?」

 

「奇遇だね。ボクもそう思う」

 

「同じく」

 

「…なななななにしてるー!?」

 

リクがぽつりと漏らすとカケルと雪兎が同意すると、リゼが声を上げる。

 

「一列に並べー!チマメ隊!ユカリ隊!」

 

「教官には効かなかったー!?」

 

「…やっぱり、ココアさんにしか効きませんね」

 

「そうだね」

 

マヤの後ろに隠れたチノが呟くと、雪兎も同意する。

そのココアはまだ千夜の部屋で安らかに眠っているのだった。




ラビットハウスでお泊り編でした。

自分のお泊りといえば、みんなでゲームやコントローラー持ち寄ってゲームのパターンが多かったですね。
んで飽きたら漫画読んだりとか、誰かが一人用ゲーム始めたりという感じでした。
そして修学旅行とかで定番のプロレスごっこ。私はもっぱら見てる側でしたw
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