ご注文はうさぎですか?―ラビットハウスの看板姉弟― 作:テクト
キャラが多いので動かすのがすごい大変でした。
クリスマス当日。
ラビットハウスは、クリスマス一色の飾りつけになっていた。
店の中には、普段よりもたくさん客が入っている。
「限定パンケーキ、お待たせいたしました」
リゼが出来上がったクリスマス限定のパンケーキを客に出す。
ココアはカウンターで、パンケーキにクリームの盛り付けを行い、チノはコーヒーを客に運び、雪兎は、キッチンでパンケーキを焼いている。
「この後のパーティ、みんな来られるかな?」
「千夜もシャロも、仕事忙しいからな」
「パンケーキ、次の分焼けました」
雪兎が皿にパンケーキを載せてキッチンから戻ってくる。
「限定パンケーキ4つ、お願いします」
「うへぇ、キリがないなぁ」
今日はずっとキッチンに籠りっぱなしの雪兎が思わず顔を顰める。
「文句言ってないで、次焼いてきて」
「はいはい」
チノの指摘を軽く流すと、雪兎はキッチンへと戻っていく。
ココアは追加の注文を受けて、次のパンケーキの盛り付けを行う。
「人の事心配してる場合じゃなかった…!」
「ココアさん。招待状にまた、ウェルカムカモーンとか書いてませんよね?」
「大丈夫!今度は漢字にしたから」
ココアが取り出した招待状には、さぁ、聖なる夜の時間だ、来るがよい!と独特の文章が書かれていた。
おまけに夜は何故か赤文字である。
「大丈夫じゃない!」
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一方、甘兎庵では、千夜が扉の窓を拭いていた。
甘兎庵は客の出入りが落ち着いたのか、青山以外の客の姿はなかった。
「…そうだわ!せっかくだし、パーティで一発芸を披露しましょう!」
千夜はクリスマスパーティで行う一発芸を考える。
「シャロちゃんとのコントもいいわね。…でも、このネタ、まだ完ぺきではないのよねぇ…」
シャロとのコントをイメージするが、まだ未完成であるようだ。
「ううん。ココアちゃんとチノちゃんと雪兎くんの開くパーティだもの!」
コントは出来ないと判断した千夜は、どこからか和傘を取り出し開くと、その上にあんこを放り投げる。
「妥協は許されないわ!」
叫びながらも、あんこを傘回しで綺麗に傘の上で回す芸を披露する。
「まぁー!」
それを見ていた青山は感嘆の声を上げるのだった。
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もう一方、シャロの方は街中でサンタとうさぎのフードをを組み合わせた衣装でチラシ配りをしていた。
「お願いしまーす。お願いしまーす!」
通っていく人にチラシを差し出していく。
「うぅ…、寒い!こんな日にチラシ配りだなんて…」
雪の降る外の冷気で冷えた手を、息を吹きかけて温める。
「…パーティ、間に合うかな」
この仕事を終わった後のパーティの事を思い、ご馳走をイメージする。
(集まるなら、お鍋がいいなぁ。その後に、ケーキが待ってて…)
アツアツのお鍋に、豪華なチョコレートロールケーキが思い浮かぶ。
「…あれ?この状況どこかでみたことが…」
そこである童話の話と、自分の今の状況が酷似していることに気づく。
『マッチ、買ってください』
今の自分の状況が、マッチ売りの少女の話と完全に一致していた。
「ちがーう!」
思わずシャロは叫んでしまうのであった。
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雪は止むことなく、木組みの家と石畳の町に降り注ぐ。
そんな中、ラビットハウスにある客が訪れる。
「「こんばんはー!」」
やってきたのは、頭にそれぞれ鹿とうさぎのカチューシャを付けたマヤとメグだった。
「パーティグッズは完ぺきだよー!って、あれ!?」
「ラビットハウスが混んでる!」
「珍しー!」
中の様子を見て二人が驚く。
ラビットハウスは既に、カウンター席を除き満席となっていた。
「パンケーキが話題になったみたいなの」
「座って待っててください。というか、ずっとそれ付けて来たんですか?」
「もち!」
「似合う~?」
ココアとチノが二人を出迎えると、チノが疑問に思っていたことを口にする。
「もぉ~。そんなの持ってきてぇ。気持ちを抑えきれないじゃない!」
「ココアさん、仕事中です!」
ココアがどこから取り出したクラッカーを点火しようと手に力が入るが、チノが割って止める。
「こんばんは。うわ、すごい人の数!」
「おーっす。来たぜー!ってすげぇ混んでる!」
二人に続いてカケルとリクがやってくる。
「いらっしゃい、二人とも」
「お二人も座って待っててください」
「雪兎は?」
「今日はキッチンでずっとパンケーキ焼いてます」
「そっか、ちょっと顔出してくるわ」
「ボクも行くよ」
カケルとリクはキッチンの方へと入っていった。
キッチンに二人が入ると、コンロの前でフライパン3枚を使いフル稼働でパンケーキ焼いている雪兎がいた。
「よーっす、雪兎」
「こんばんは、雪兎くん」
「あ、二人とも来たんだ!ちょっと手離せないから、ホールで待っててよ」
雪兎は顔だけを二人に向けて、パンケーキをひっくり返していく。
「何か手伝おうか?」
「助かるよ。ホールにいる姉ちゃんたちに聞いてきて」
「オッケー」
二人がホールへと戻ると、ちょうど千夜がラビットハウスにやってきた。
「こんばんは。あら?大繁盛?」
「千夜ちゃん!マヤちゃんたちと席で待っててね」
「特製和菓子を持ってきたんだけど」
千夜は中に入ると、和菓子と称してラッピングされた四角い箱をマヤ、メグ、カケル、リクの前に差し出す。
「…え。これ和菓子?」
「ん~?」
千夜の意図を酌めなかったメグが首を傾げる。
「メグ、違うぞ」
「そうそう、そこは」
「はっ!」
リクとマヤに指摘されてメグが気づく。
「こっ、これってケーキやないかい!」
メグは千夜にツッコミを入れるが、どこか遠慮気味であった。
「あ~、惜しい。もう少し、勢いが欲しいわね~。じゃぁ、リクくん」
「え」
いきなり矛先が自分に向いて、一瞬呆気にとられるリクだが、千夜は構わず箱を差し出すと、リクはすぐに表情を戻す。
「どうみてもケーキじゃねーか!」
「ああっ!良いわ!」
リクの勢いの付いたツッコミが炸裂すると、千夜は満足げな表情をする。
「私たち、お笑いで世界を狙えるわ!」
「あんまり狙いたくないなぁ…」
「世界狙えるのかな…」
千夜の提案に、ものすごく微妙な表情をするリクとカケル。
コントを一通り終えて5人がカウンター席に着く。
「お待たせしてすみません。お客さんなのに…」
「でも、本当に忙しそうね」
「雪兎にも言ったんだけど、俺らも手伝おうか?待ってるだけってのも悪いしな」
「お邪魔じゃなければいいんだけど、どうですかね?」
「「私たちも!」」
「邪魔なもんか。助かるよ」
リクとカケルの提案に、リゼが快く快諾する。
「持つべきものは、友と妹と弟だね!」
ココアが特製パンケーキを持ってカウンターにやってくると、マヤとメグの目の色が変わる。
「あ!これが特製パンケーキ!?」
「美味しそ~!」
「「これ食べてから頑張るよ~」」
「いきなりおさぼりさん!?」
「「やれやれ…」」
「あ、二人の分もあるよ♪」
「「いただきます!」」
「お前らもか!?」
マヤとメグは特製パンケーキの誘惑に勝てなかったのか、どこからフォークを取り出す。
そして、カケルとリクの分もあると聞いた途端に呆れ顔から一転して、食べる気満々になる二人。
5人が加勢してしばらくすると、最後にシャロがやってきた。
「私!間に合いましたかっ!?」
「シャロ!走ってこなくてよかったのに」
「え…。なんでみんな仕事ムードなの?」
「忙しいから手伝ってるのよ」
パーティ参加メンバーが仕事をしてる様子を見ると、ショックを受けたように数歩下がるとその場に崩れ落ちる。
「よ、ようやく…、仕事から解放されたと思ってたのに…」
「シャロちゃんは座ってていいよぉ♪」
「…座ってろ、ですって…。そんなの自分自身を許せないわっ!」
ココアの休んでいい発言に、シャロは立ち上がると天を仰ぎながら叫ぶ。
「限界を超えて覚醒した!?」
「2番テーブル!ミックスサンドとアメリカン!限定パンケーキとカフェオレ!」
「は、はい!」
「3番テーブル!ナポリタンと限定パンケーキ!ブレンドツー!」
「ラジャー!」
手伝いに入ったシャロは、矢継ぎ早に客の注文を捌いていく。
「シャロさん、すごい接客ぶりです…!」
「なんの!負けてらんないよー!」
「俺らもどんどん行くぞー!」
シャロの働きぶりにチノは驚き、マヤとリクは感化され、やる気をだす。
「これでようやく本来の仕事に戻れるよ~」
人手が足りてきたことで、ココアは一息つこうとカウンターにもたれかかる。
「休憩している暇ないぞ」
通りかかったリゼはココアのサボりを見逃さず、メニューで頭を軽く叩く。
「鬼教官!戦場の死神ー!うわーん!」
「ふっ。誉め言葉だ」
リゼに対してありったけの文句を言うココアだが、リゼは誉め言葉として受け取っている。
「ゆ、夕焼けの糸のお客様…」
「夕焼け!?」
「メグ!それはただのナポリタンだ!」
「ええ!?」
メグが何故かナポリタンの事を謎のメニュー名で呼んでいる。
「聖なる山の頂、赤と白の誘惑。お待ちどう様~」
メグに続いて出てきた千夜が、特製パンケーキを謎のメニュー名で呼びながら持ってくる。
「なんか、すごいの来ちゃった…!」
「あっ、ごめんなさい。いつもの癖で…」
「即興で思いつくのも、ある意味すごいけどな…」
ナポリタンと特製パンケーキに、謎のメニュー名を付けたのはやはり千夜であった。
「なんなら、一夜でメニュー全部書き換えてもいいのよ?」
「させぬぞ!」
「それお客さんどころか、ボクらも混乱しますから…」
「混乱を招くメニュー名は禁止!あと、限定パンケーキを追加で4つ!」
「は~い♪」
「シャロちゃんが、リゼちゃん以上に鬼教官!?」
千夜の提案にシャロはバッサリ切り捨てると、しっかり追加注文を伝える。
「でも、シャロさんが来てからお客さんの回転が良くなったね」
「よし!私たちも、気合を入れて働くぞ!」
「おー!」
こっちもシャロの働きぶりに感化され、やる気を出す。
その後も客足は途絶えることなく、ラビットハウスは満席の状態が続いていた。
「美味しかったー」
「ねー」
「はっ!」
ある客がパンケーキを食べ終えたことに気づいたシャロは、リゼの方を向くと目だけで内容を伝える。
(2番さん!食後のエスプレッソ!)
(ラジャー!)
リゼもシャロの内容を理解し、敬礼と目だけで返す。
配膳中のマヤとメグが近づくと、二人も目だけで話し始める。
(つまみ食いしたいよぉ!)
(ダーメ♪)
マヤは欲望を伝えるが、メグがバッサリ切り捨てると肩を落とす。
一方、キッチンでは雪兎と千夜がパンケーキをひっきりなしに焼いていた。
そこに手が空いたチノが手伝いに来ると、冷蔵庫を開ける。
「あ、バターが切れてしまいました」
「困ったのぉ。クリスマスは休みんどる店も多いし」
「うーん…。でも、バターがないとパンケーキが焼けないし…、どうしよう」
「大丈夫」
三人で頭を悩ませていると、千夜が割って入る。
千夜は生クリームの入った瓶をを手に取る。
「バターって、作れるのよ」
「千夜さん!」
「そうなんですか!?」
「こうやって、生クリームを振っていれば」
瓶を振り始める千夜。
「ふん!…ふん!」
瓶をひっきりなしに振るが、千夜の瓶を振る勢いがどんどん落ちていく。
「ふぅー!」
「千夜さん!?」
「大丈夫ですかっ!?」
体力のない千夜は力尽きて、調理台に突っ伏す。
「おーい、追加の注文…って、なんで千夜は机に突っ伏してんだ?」
そこに注文を伝えに来たリクがやってくる。
「リク、いいところに。リクんちってバターない?」
「あると思うぞ。切らしたのか?」
「うん。悪いんだけど」
「分かった。ひとっ走り行ってくるわ」
「すいません。お願いします」
雪兎とチノのお願いを二つ返事で引き受けると、リクはキッチンから出ていく。
一方、ホールではレジ打ちに苦戦するメグの姿があった。
「しょ、少々お待ちください…。えっとぉ…」
レジの操作が分からないのか、ボタンを押すとキャッシュボックスが飛び出す。
「わぁ!?」
慌ててキャッシュボックスを戻すが、再び混乱してしまう。
「えっとぉ…」
「3620円だよ」
「あ、お待たせしました!3620円になります!」
ちょうど近くにいたココアが得意の暗算で、メグに助け船を出す。
「はい」
「ちょうどいただきます!」
「「ありがとうございました!」」
二人で帰っていく客を見送ると、助けてくれたココアにメグが抱き着く。
「ありがとう!ココアちゃん!」
「焦らなくても大丈夫だからね。千夜ちゃんなんて、お客さんに国家予算並みのお金を請求したことあるらしいから!」
「それは焦った方がいいかも…」
千夜の大ポカにメグは言葉を詰まらせるが、当の本人は全く気にした様子もなく上機嫌に特製パンケーキを運んでいく。
時間は過ぎていくが、客足は全く衰えなかった。
メグとカケルが客に料理を運び、シャロとリゼもそれに続く。
キッチンでは、雪兎と千夜がパンケーキをひたすら焼き続け、時折チノが手伝いに来る。
戻ってきたリクがレジに着き、不慣れなメグをサポートしながら客を捌いていく。
親子で来た子どもを相手に、ココアとマヤが対応する。
「可愛い~♪なにこれ~」
「ぬおぉ!?」
女の子に抱き上げられ頬をこすりつけられているティッピーが、戸惑いの声を上げる。
「このパンケーキ、すごく美味しいです!」
「ありがとうございます」
客のパンケーキの感想に、チノはお礼を言って返す。
ココアがコーヒーを注ぎ、リゼがラテアートを描いて客へと出す。
「かっこいいー!」
「そ、そうですか?言ってもらえれば、何でも作りますよ」
リゼはラテアートを褒められたことに、照れながら頭を掻いている。
「わぁ!可愛いー!」
「器用ですねー!」
「いえ、それほどでもないですよ」
一方こちらは、キッチンの仕事に人手が増えた雪兎が3Dラテアートを披露していた。
コーヒーの上には二匹のうさぎを模った立体ラテアートが乗っていた。
「メグちゃん。次の皿の用意お願い」
「はい!」
「こっちの皿、使えますよ」
「あら、ありがとう♪」
使い終わった皿を洗い、千夜がメグに指示を出すとカケルが使える皿をあらかじめ用意していた。
「「ありがとうございました」」
帰っていく親子連れをココアとリクが見送る。
「えへへ♪」
元気よく手を振ってくれた子どもを見て、笑みがこぼれるココア。
そんな反応を見て、リクも思わず笑ってしまう。
「ははっ。手を振ってもらって喜ぶとか、ココア姉の方がよっぽど子どもだな」
「え!?そんなことないよ!私はみんなのお姉ちゃんなんだから!」
「はいはい。忙しいんだから、戻るぞー」
「もうー!」
からかうようにリクはココアを笑うと、レジの方へ向かうとココアも後に続く。
閉店まで客足は全く衰えなかった。
全員が一丸となり、ラビットハウスを回していく。
「わしはもっと、隠れ家的な静かな店を望んでいたんじゃがのぉ」
「…こういうのも、楽しいです」
カウンターからずっと満員状態のラビットハウスを見ていたチノとティッピー。
思わずティッピーの口から出た言葉に、チノは笑顔で答える。
引っ込み思案で、恥ずかしがりの孫から出た言葉に成長を感じ、ティッピーも笑うのだった。
クリスマスの大繁盛ラビットハウス編でした。
キャラが多い…!
埋もれさせないようにするのに苦心しましたが、バランスが取れてるのかはもうわかんないです…w